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実習 - 5. page

京大実習(一部,四部)+公開臨海実習⑦

さて,いよいよ佳境に近づいてきた京都大学の実習レポートです
 

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干潟の生き物をいざ同定



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今回注目のクリーチャーはこいつ

ハマガニです

なんでも本州でみられるのは非常に珍しい芦原性の種だそうで,

芦原の減少とともに個体数も減ってきているのだそうです.
 

興味のある方は「ハマガニ」で検索してみてください.

いろいろ絶滅危惧に関連したウェブサイトが引っかかってきますよ
 

ハンティング能力に長けた学生により捕獲されました
 

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干潟で採集された生物.こちらもかなり種数が多く,なんと計63種に上りました.

みなさんの採集努力に脱帽です
 

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干潟のお次は久保田先生によるプランクトン実習です
 

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専用ピペットの作り方解説中.

非常に小さなプランクトンをうまく海水からピックアップするためには,

先の細いピペットを使う必要があります.
 

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まずプラスチック製のピペットの先を火であぶって溶かします.
 

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そしてこう!
 

溶けた部分が固まらないうちにピンセットでつまみ,

びろーーーん

...と伸ばします.

あとは冷めて固まるのを待ち,細くなった部分を鋏で切ればOK
 

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 実態顕微鏡で観察中.

毎度おなじみ田辺湾から,今回は何が採れたのでしょうか?
 

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おお,プルテウス幼生が採れました

腕の長さからしてクモヒトデの幼生でしょう.
 

台風の影響か,普段に比べると生き物が少ない印象でしたが...
 

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こんなものが採れました
 

なんと内肛動物の幼生の可能性が高いということです
 

おしりに一対の針状の構造を持っているのが特徴とのこと.

勿論,白浜周辺でも成体がみられるのですが,うーむ幼生は初めてみました.
 

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台風で外洋性生物の観察の機会がなかったので,

浜に打ちあがったプランクトンを観察するついでに,番所崎にも磯採集にきました.
 

打ちあがったペットボトルに,エボシガイというカメノテの仲間が付着していました.

これも広い意味ではプランクトンと言えるでしょう.
 

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激しい波に晒されたせいでしょう.しっかりと岩に張り付いているカキも,

一部はがされてしまったようです.台風の脅威を感じます.
 

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急遽敢行した磯採集だったのであまり潮の条件がよくなく,満潮に近い状態です.

いつもは余裕で通れるところが,水浸し状態

普段みる干潮とは違った景色でした
 

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 いつもハネウミヒドラがみられるタイドプールがなくなっていました

いつもは小高い丘も,このように孤島に.

磯観察での潮位の重要性を改めて理解しました.
 

続く.


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習⑥

発生実習の次は,干潟にやってまいりました
 

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まずは干潟下流の用水路にて観察.

朝倉先生の説明が終わった後...
 

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わら...
 

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わらわら...
 

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あっという間に岩礁に食らいつくソルジャーたち.

生き物への愛情があふれています.
 

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そしてお次は干潟にやってまいりました.

いい具合に潮が引いて,泥干潟になっています.
 

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なかなかの日照りでした.暑い
 

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 麦わら帽子に長靴,これが磯観察の基本スタイルです.

これに,軍手というオプションを付ける場合もあります.
 

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段々と川の上流に遡っていくと,分布している生物も少しずつ変わっていきます.
 

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ほぼ川のような状態になってきましたが,

それでも下流の干潟で見られたチゴガニなどがみられました.
 

こういった種は生息場所の塩分濃度が一日で劇的に変化するため,

幅広い塩分変化に対する耐性(広塩性)を持っているということです.
 

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またしてもi phoneのパノラマ機能を使ってみました.

天気も恵まれており,ここでもかなりたくさんの種を採集できました.
 

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ドロドロになった長靴を洗っておしまい
 

お疲れ様でした


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習⑤

 ナマコの卵成熟方法
 

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このように,謎の液に卵を浸し
 

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十分ほどしたら,スポイトで丁寧に液を海水に置換するだけ.
 

では,その液とは!?
 

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こちらです.ジチオトレイトール(DTT)溶液です.
 

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コチラを適当な濃度に調整し,冷凍庫で保管しておきます.
 

最終的な使用濃度は1 mMなので,

スペース確保のため,今回はその十倍の10 mMに調整した液を保管しました.
 

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こちらが処理前の卵.小さく映って見にくいかもしれませんが,

卵の中に.未成熟であることを示す大きな卵核胞と呼ばれる丸い構造が見えています.
 

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DTT溶液に曝すことで卵核胞が崩壊して見えなくなり(減数分裂が進み),

受精可能な状態となります.ちなみに,周りに群がっている小さな粒粒は精子です.
 

この精子の形も,ウニのものとは少し違います.
 

後はウニと同様に環境を整えながら,発生観察を行います.
 

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本実習ではもう一つ,ウニの掛け合わせ実験も行いました.
 

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その名の通り,様々なウニの精子と卵を採りだし,

総当たりで掛け合わせるというものです.
 

コチラはタコノマクラの採卵中.
 

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こちらは,各ウニ(ツマジロ,ムラサキ,コシダカ,ガンガゼ,タコノマクラ,ラッパなどなど)

から採取した精子の懸濁液です.
 

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今回は,ほとんどすべてのウニが放精,放卵してくれました

それぞれ掛け合わせの担当を決めて,結果を考察してもらいました.
 

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実験のあとはみんなで後片付け.
 

洗って干場に置くまででなく,元の場所に戻すまでが片づけです
 
 

勿論,すべてをいちいち洗った後に拭いて戻す必要はありませんが,

自然乾燥しにくい形状のものや,乾きかけのものは拭いておくと,

後の片づけが楽になります.
 

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夜中にそっと実習室を除いてみると,たくさんの学生がレポートに取り組んでいました.
 

今回の掛け合わせでは,受精の可否,発生段階の違いなどなど,

様々な興味深い結果が出たようです.
 

それぞれのウニの生息環境や系統関係を考慮すると,

面白いことが分かりそうですね

いいレポートがかけることを期待しています.
 

続く.


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習④

京大実習レポートももう第四弾です.

付着生物実習の次は,発生学実習です
 

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講師は毎度おなじみ,宮崎先生です.

詳しい事前解説の様子は,これまでの実習の様子をご覧下さい.

今回は実践の様子をかいつまんでレポートいたします.
 

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ウニを散髪(棘)中.棘が飛んで目に入らないよう,ゴーグルで完全防備
 

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配偶子誘発物質(塩化アセチルコリン)を注射したウニを観察中.

雌であれば,生殖孔(反口側にある)が水につくようにして,卵が容器の底にたまるのを待ちます.
 

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採卵を観察中.なぜこのように,卵同士がくっつかずに,

一様の間隔で配置されるのか?気になったあなたは公開臨海実習に参加しましょう

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お次はナマコの発生実習です.

ナマコは,ウニのような薬品による放精抱卵の誘発が困難です.

そこで,このようにある方法でナマコの生殖腺を吐き出させます.
 

解剖によって精巣・卵巣を取り出すこともできますが,

とある方法で無傷(?)で吐き出させることができます.

気になったあなたは公開臨海実習に参加しましょう!
 

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赤いソーメンみたいのが取り出されました.

これは色からして卵巣ですね.このように,ピンセットでしごいてやると...
 

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赤い小さな粒粒をとりだすことができます.

これが卵です
 

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そしてこちらはクリーム色をした精巣です.

これもハサミ等でチョキチョキ切ってやると,精子を取り出すことができます.
 

では,あとはウニのようにこれらを混ぜ合わせておしまいかというと,

実はそう単純なものではありません.
 

ナマコの卵は,成体内では卵形成が減数分裂の第一分裂前期でブロックされています.

この状態では受精能力がなく,いくら精子の懸濁液と混ぜ合わせても受精は起こりません.
 

自然状況下では,温度変化などの環境変化を感じ取ったナマコが

体内で卵成熟を進め,放卵を行うのですが,

実験室での誘導はなかなか大変で,確実とは言えません.
 

そこで,本実習では「ある方法」によって,ナマコの卵を実験的に成熟させます.
 

その方法とはなんなのか?
 

ふふふ,気になってきたでしょう.
 

続きはまた明日
 
 
 
 

...余談ですが,ウニの卵はこのような方法を用いずとも,

放精,抱卵させた配偶子を混ぜ合わせることで簡単に受精させることができます.

このように,生殖期に配偶子が成熟状態で体内で待機している動物は実は少数派です.

ウニが古くから発生実験に使われてきた所以と言えるでしょう.
 

他にも,
 

・採集が容易

・放精・抱卵を簡単に誘発できる

・卵が大きく観察しやすい

・一年中,生殖期の種採集できる(場所によりますが).
 

などなど,実はウニは発生実験において,

唯一無二と言えるほどの優れた実験材料なのです.
 

と,何気なく棘皮動物アピールをしておきます


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習③

真夏の京大は実習まだまだ続きます
 

瀬戸臨海が誇る高速型多機能調査船「ヤンチナ」の係留港にやってまいりました.
 

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設備の説明中.黄緑の鉄枠は「Aフレーム」と呼ばれ,

ドレッジなどの重量物を船上に引き上げるのに大変役にたちます.
 

何度もこれにお世話になっております.
 

台風避難のために湾に多数の船が入り込んでヤンチナが出港不可につき,

本来予定していた畠島渡航は断念と相成りました.
 

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しかしそこは百戦錬磨のSMBLスタッフです

係留物に付着する生物を観察するという代案を繰り出しました
 

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船を係留しているロープなどには,驚くほど多数の生物が付着します.
 

ちなみに,これは以前紹介した筑波大学の中野先生が,

平板動物を採集するためのガラス板を入れておいた買い物かごを沈めておいたものです.

海中に入れて1年はんほど経っていますが,かごであった形跡は微塵もみられませんね.
 

ほとんどが海藻,コケムシ,ヒドロ虫,ホヤなどで,ゴカイの棲管なども

この光景の形成に一役買っています.
 

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タイヤやロープなど,様々な係留物から生き物を採集してもらいました.
 

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採集物の解説中.磯観察ではどうしても動くものばかりに目が行ってしまうのですが,

固着物だけを見るというのも,なかなかどうして面白いものです.
 

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コケムシの群体をモニターに映し出しました.
 

採集当初は虫室に引っ込んでしまっていたのですが,

しばらくすると安心したのか,ほとんどの個虫が元気に顔(触手)を出してくれました.
 

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たくさん採れたシロボヤを解剖してみました.
 

はじめに小さな個体を真っ二つにした際には何がなんだかわからなかったのですが,

複数の個体を捌いているうちにだんだんと構造が分かってきました.
 

体内の鰓の構造,胃の位置,さらには口と肛門と,入水孔と出水孔の位置関係など,

大変興味深く勉強させてもらいました.
 

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観察の合間に水族館を解説.

白浜水族館の誇る無脊椎動物ラインナップをとくとご覧あれ.
 

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付着生物実習のまとめです.前日に引き続き,様々な生き物が採れました.
 

「動かない」とう一見不利な生活を行いながら,食う,寝る,子孫を残す,などの生活の必須要素を

どのように達成しているのかを考える,良い機会になったのではないでしょうか.
 

続く.

 


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習②

京大実習のレポートです
 

最初の実習は付着生物観察です.
 

多くの動物はその名のとおり「動」いて生活しています.
 

ところが,中にはフジツボやイソギンチャクのように,「動かない」という生活を選択したものがいます.

それらの付着生物にターゲットを絞り,その生態的な意義を考察してもらうのが目的です.
 

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講師は大和先生.

調査地の説明中.


 

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台風の接近に伴い,実験所近くは荒天につき磯観察ができなかったので,

普段は来ない,内湾の鳥の巣という場所に来ました.
 

堤防の向こうが観察地ですが,流石にこの高さは降りられません
 

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ということで少し離れた階段から歩いて磯に向かいます.
 

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台風の影響はありましたが,まだ雨は降っておらず,

青空も垣間見えました.
 

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こんなコンクリートの棒の橋を渡ります.
 

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田辺湾の景色を説明中.

普段は遠くに望んでいる神島が近くに見られました.
 

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公開臨海実習の自由課題用のコドラート調査中.

このような方形枠を何地点かでとり,その中の生物相を

地点ごとに比較するという伝統的な方法です.
 

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例のごとく,持ち帰った生物を図鑑で同定中.

図鑑の使用方法も,臨海実習の重要な教育事項です.
 

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バットの中で,何やら小さな黒い粒が蠢いています.

こんなものは採っていなかったはずですが...
 

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黒い粒をモニターに映してみました.
 

なんとこれらは,ゾエア幼生と呼ばれるカニの赤ちゃんでした
 

お母さんガニはお腹に卵を抱えて,孵化するまで育てます.

採集された際の刺激で,ゾエア幼生が孵化してしまったのかもしれません.

(もちろん自然に孵化した可能性もあります)
 

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む,このコンビは.

TAの小泉君と,3月の実習に来ていた大塚くんの感動の再会です.

詳しくは3月の実習報告をご覧下さい.
 

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Nahraさんも磯の生物に興味津津

タンタ大学では軟体動物の生物学を専攻していらっしゃるそうです.
 

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イソギンチャクが,槍糸と呼ばれる防御用の刺胞を備えた糸を出していたので,

河村博士がモニターに映し出して解説中です.
 

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指示棒で指しているのが刺胞細胞ですね.

さすが防御用ということで,長い刺胞が発射されている様子が観察できました.
 

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最後に,採集された生き物を黒板に書き出しました.
 

なんとその数60種!
 

これは生物が豊富な畠島実習での採集数に迫ります.

学生のみなさんの採集努力の賜物ですね.
 

次は,漁港などの係留物に付着した生物を観察しに行きます
 

続く.

 


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習①

2014年8月6日~13日にかけて,

京都大学の臨海実習(一部,四部)+公開臨海実習が開催されました.
 

臨海実習一部は,

海洋生物学の基礎を学ぶことを目的とし、乗船・磯での海産無脊椎動物の観察や採集、さらに各種顕微鏡によるプランクトンの観察やウニ類の発生観察などを行う。

事を目的とした実習です(京都大学シラバスより)

今回は12名が受講してくれました!
 

臨海実習四部はいわゆる自由課題実習で,実習期間中に自ら研究テーマを決定し,

データの収集,解析,発表までの一通りの研究の流れを習得してもらう実習です.

公開臨海実習も自由課題形式で,全国の大学生が受講可能です.
 

第四部の受講者はいなかったものの,

滋賀県立大学の学生一名が公開臨海実習を受講してくれました。
 

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京都大学の2年生が多めです.

将来の海洋学者の芽をここで育みたいものです。
 

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瀬戸臨海側の挨拶.

一番左のピンクの服を着た方は,エジプトのタンタ大学から瀬戸臨海に「外国人共同研究者」として来られている,

Nahra Omran准教授です.
 

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一週間お世話になる宿泊棟の説明.

おや,なんだか見た顔がいる気がしますが...きっと気のせいですよね.
 

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避難経路の説明のついでに,公園化した番所山に登ってみました.

入道雲と青空のバランスが夏を感じさせます。

この後白浜はすさまじい暴風雨に襲われます.
 
 

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宮崎先生によるウェルカム講義.

海洋生物の多様性に関するお話です.本来は朝倉先生の担当ですが,

大学院入試で不在のため,宮崎先生がピンチヒッターを引き受けられました.
 

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河村博士による顕微鏡の説明.

こちらも本来は宮崎先生のご担当ですが,先の講義の後に大学院入試に行かれたため,

河村博士がピンチヒッターで引き受けられました.
 

瀬戸臨海実験所実習担当の層の厚さによってなせる玉突きピンチヒッター術です。
 

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 みなさん大変丁寧に顕微鏡を扱ってくれました.

これから一週間をともにする相棒です.
 

さあ,真夏の実習が始まります。


実習の思い出

学会のあと,鳥取で日本海の調査を行ってきました.  
 

海蝕洞という半分海に浸かっている洞窟の調査でしたが,

いろいろあって非常に楽しく,ブログを更新するのを忘れてしまいました
 

その様子はいずれ更新する予定です
 

その前に,先日の市立大学の実習の最終日ですが...

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帰宅を控えたみなさんがなにやらごそごそ...
 
 
 
 
 

していると思ったらなんと
 
 
 
 
 
 

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色紙をいただきました(画面右下の河村博士の手元に注目)
 

「瀬戸臨海実験所の皆さまへ」

とのことでした.大変嬉しかったです.

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バスで帰途につくみなさん.

本当にありがとうございました
 

今後の実習ラッシュも頑張ります


大阪市立大学実習⑦

イギリス旅行記の第二弾を書こうと思っていましたが,

大事なことを忘れていました。
 

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大阪市立大学実習オフショット写真集です。 
 
 

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久保田先生による磯観察の講義中.
 

日差しが強いので,日傘で防衛中です.
 

久保田先生はベテランなのでサンダルでも大丈夫ですが,

磯観察の際は,基本的には長靴長ズボンで怪我がないようにしましょうね。
 

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水族館で見たモミジガイ類(ヒトデ)の底力.
 

彼らの管足は吸盤状になっていおらず,砂に潜るために機能分化しているのですが,

なんとかして水槽の壁面にへばりつくこともできるようです.

ただしその速さや吸着力は,他のヒトデには及ばないようです。
 

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放課後,浜でビーチバレー中.
 

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こちらに気づいてポーズ。
 

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これは(笑)
 

詳しいルールを聞いていないので推測のなりますが,

真ん中の人がミスをしたら,周りから水をか行けられるゲームだったようです。

いずれにせよ,みなさん大変仲がよくて楽しく実習に取り組んでいて,

こちらも楽しく勉強することができました.
 

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小宮先生とみなさんでパシャリ.

今回の履修者の中から,海関係の研究者が出てくれることを期待しています。
 

終わり


大阪市立大学実習⑥

大阪市立大学実習最終レポートです。
 

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最終日は,夜中まで研究発表会でした。
 

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スベスベマンジュウガニに関するお話.

一部の足を切り外し,機能形態学的な話をしてもらいました.
 

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学生,教員関係ありません.

全員が,各々興味を持った生物についての発表を行いました.

橘先生の,ヒメヒラアワビなどの軟体部が露出する貝類の刺激反応に対するお話.
 

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こちらは後藤先生による,巻貝類の歯舌のお話.

カサガイの齒舌が本当に体長の何倍も長いのか?

そしてヒザラガイの齒舌は本当に磁性があるのか?

というお話を,見事に完結に短時間でまとめてくださいました。
 

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川村博士の,シマレイシガイダマシの同定と生態学に関するお話.

ご自身のこれませのシマレイシガイダマシの他種との分類の問題点と,

食性などの生態について,見事にまとめてくださいました.
 

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私も発表を行いました.

番所崎に生息する星虫類の分類学的研究です.
 

白浜周辺の礫石間を探るとたくさんの星口動物が採集できるのですが,

実は実はそれらをよく観察すると,少なくとも三種がいることがわかりました.
 

そのうちの一種が,現在の図鑑的な文献では同定できないことがわかりました.
 

タテホシムシ科だと思うのですが,吻部の鉤列が50以上あるので種が同定できませんでした.
 

ご意見を伺ええる方は是非ともご一報を。

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こんな感じで深夜まで研究発表が行われました.
 

最終的に私自身は大変楽しめ,またみなさんとてもいい笑顔で実習を終えられましたが,

それがランナーズハイ的な笑顔でないことをを祈るばかりです(笑)
 
 

最終日は,みなさんの清掃により,

大変気持ちよく実習を終えることができました.
 

みなさんお疲れ様でした。


大阪市立大学実習⑤

 国際学会@ポーツマスが終わりました。
 

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発表も済ませてきました.
 

なんやかんやしているうちに発表の日が来てしまったのですが,

なんとか無事に発表を終えられてほっとしています.
 

学会の様子についてはまた後日。
 

その前にこのレポートを終えなくては。
 

大阪市立大学の実習レポートです。
 

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久保田先生の系統分類学の講義の続きです.

白浜水族館は海産無脊椎動物の展示が充実しており,

海の生き物の多様性を学びやすい構造になっています.
 

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また,各水槽は分類群(主に門や綱)ごとに分けられ,

それぞれに設けられたトピック的な解説を読んでもらうだけで,

楽しく生き物の分類を知ってもらえます.
 

引率の後藤先生や橘先生も含め,皆勉強熱心になっていました.
 

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さてさて,生き物の基本構造が頭に入ったところで,

再び番所崎で磯観察です!
 

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柔らかいホネナシサンゴなどもタイドプールで見られました.
 

これは,ヤギなどとは異なる六放サンゴの仲間です.

ですが,いわゆるソフトコーラルとは呼ばないのだとか.
 

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番所崎一周中.前回はいかなかった北側をグルっと回ってくると...
 

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なんとホンダワラ(Sargassum)が大量に打ち上がっていました。

普段は穏やかな砂浜ですが,足の踏み場もないとはこのことです!
 

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どこまでが砂浜でどこまでが水やら...

うっかりすると長靴が水没しそうでした。

夏の到来が感じられる出来事でした.
 

続く.

 


大阪市立大学実習④

 大阪市立大学の実習もいよいよ佳境です。

生理学実習の次は,系統分類学実習です.

講師は瀬戸臨海の久保田先生。
 

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動物門の説明中.我々研究員が整理した標本が使われております。
 

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浜に打ち上がっていたヤギ(硬い骨格のない柔らかいサンゴ)の説明.

台風八号の影響で,普段はなかなかうち上がらない生き物が見られたそうです.
 

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と,盗撮者が!?
 
 
 
 
 
 

...というわけではもちろんありません.
 

ドイツから来ていた久保田先生の取材チームが実習に同行していました.

ベニクラゲに関する記事でしょうか.
 

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南浜での磯採集の様子.

みんなで力を合わせて石の裏の生物を探します。
 

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誰かが踏んだようですね.タツナミガイを。

姿は見えねど,体液が見えています。
 

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なんと,カツオノエボシが打ち上がっていたそうです。

こいつの触手(この写真では水中に隠れて見えませんが)は強力な毒があるのでご注意を.
 

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カツオノエボシの刺胞の観察中.
 

種類にもよるのですが,触手を薄い酸(食酢くらい)に晒すと,

刺胞を発射してくれます.
 

右下のポコポコした黒い部分が触手で,

毛のようにピュっと伸びたのが刺胞です.
 

この刺胞の長さと,刺胞に含まれる毒の量で,

人間に対する害の度合いが決まってくるんだとか.
 

カツオノエボシの刺胞は非常に長く,刺す気が伝わってきます.

みなさんは触らないようにしましょうね!
 

くわばらくわばら...
 

続く.

 

 

 


大阪市立大学実習③

市立大学実習,まだまだ続きます.
 

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小宮先生の次は後藤先生(中央)の,生理学実験です.

新しくなった実習室の棚に言及していただきました。
 

棚改修の詳しい様子はコチラ↓

http://setoblo.blogspot.jp/2014/07/blog-post.html

http://setoblo.blogspot.jp/2014/07/blog-post_3.html

http://setoblo.blogspot.jp/2014/07/blog-post_4.html
 
 

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まずは実験材料にする巻貝を採りまくります.
 

アラレタマキビ300個体,

イボニシ200個体,

イシダタミ150個体...

全員の力を合わせて,なんとか採集できました。
 

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そして,新聞紙の上において一晩乾燥状態におきます.
 

乾燥(蓋が閉じた状態)の巻貝を,さまざまな塩組成の水溶液につけてみて,

その反応を見ることで,彼らが海水のどのような成分を認識しているのかを確かめるのです。
 

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乾燥状態に置かれたイボニシ.

元気な個体は軟体部を出してしまうので,ひっくり返していきます.
 

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アラレタマキビを10個体ずつ実験用に分けます.
 

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これを1セットにして溶液につけて,

反応した個体の%をカウントします.
 

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助教の橘先生(左)の指示のもと,みんなで手分けをして溶液作成中.
 

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最終的にさまざまな種類の塩溶液が作られました.
 

あとは得られた結果をまとめて,各自でレポートを提出して完了。

お疲れ様でした。
 

続く.

 


大阪市立大学実習②

ロンドンで一泊し,ポーツマスに移動しました。

これから三日間,棘皮動物に関するマニアックな国際会議が開かれます。
 

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ロンドンでのった地下鉄の乗車券.

正直「イギリス+地下鉄=オサレの方式」に乗っかってます.
 

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意外に夕暮れどきの地下鉄は混んでいました.

イギリシアンの方々も,通勤に苦労されているのですね...
 

 今は無事に発表を終えました。

あとは学会を楽しむだけです。
 

ということで,市大実習の続きです。
 

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 卵を受精させました.

このあと,正常発生はうまくいったようです。
 

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おや,小宮先生がなにか操作をされています.
 

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むむ,これはカルシウム(イオン)フリー?

人工的にカルシウムがない状態の海水を作り,発生にどのような影響を与えるのかを見る実験です.
 

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なんと桑実胚がこのようなぶどう状態に。

普通はきちんと球状に配置する割球が,このようにバラバラになっちゃいました。
 

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TAさんも活躍

タイ留学経験があると噂のタナチュウさん.
 

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 追加実験中の日野上さん(右)

いずれも頼りになる学生さんです。
 

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市大は千徳博士の古巣です.
 

小宮先生の後の実習を担当される後藤先生(分子実験のお師匠さんだそうです)と,

旧交を温めていました。
 

たくさんの先生方が集まり,いよいよ楽しくなってまいりました。

このあとの展開にも乞うご期待。
 

続く

 


大阪市立大学実習①

10時間フライトの後に,ロンドンはサウスケジントンに到着しているMokanishiです。
 

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ホテル周辺はこんな感じ.
 

ロンドン到着から一夜明けた7/19の夕方までにポーツマスに移動して,

アイスブレイカー(学会前夜祭みたいなもの)です。
 

それまでに自然史博物館を見学できないかなと目論んでおります。
 

そして少し遅くなりましたが,

大阪市立大学の実習(7/8-7/14)のレポートをしていきます。
 

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去る2014/7/8.

SMBLに愉快な学生と先生方が集いました。
 

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この実習では,先生方が入れ替わりで実習を担当されます.

まずは小宮先生による発生実習.
 

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放精・放卵誘発剤の塩化アセチルコリン水溶液を分注中の小宮先生.

ピペット口吸いでいぶし銀です.

学部生の頃の実習を思い出します.
 

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デモンストレーション.
 

コシダカウニはムラサキウニに比べてやや小さいです.
 

小宮先生のお手元をよーーくご覧下さい.

小さなオレンジの丸い生き物が見えたら,それがコシダカウニです。

大きくて直径5cmくらいでしょうか.
 

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みんなで放精・放卵を見守ります.
 

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若干産みが悪かったのですが,何個体かが卵を出してくれました。
 

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さらに他の個体でも追加実験中.

結局,あまりたくさんの配偶子は得られませんでした.
 

ちょうどこの時に台風8号が来ていたので,淡水で塩分が薄まったショックで,

実験前に放精・放卵してしまったのかもしれません.
 

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とはいえ,正常発生出来るだけのモノは得られたので,

お手製のスライドグラス(ビニールテープで空間を作り,環境をよく保つ)で発生観察を行いました.
 

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学生さんへの親密なご指導の様子.
 

とても気さくでユーモラスな小宮先生でした。
 

続く.


奈良教育大学実習⑥

奈良教育大学実習のレポート最終話です。
 

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最終日の朝,名残惜しそうに各自採集用具を片付けています.
 

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菊池先生が,ポリタンクにナマコを詰めています。

「海水を持って帰るついで」だそうです.
 

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私も感化されてナマコ収集?システムを作ってみました.

棘皮動物は,硬さを自由に変えることのできるキャッチ結合組織(英名:Mutative connective tissue)

を持ち,体型可塑性がかなり高いのです.

このように,半分に切ったペットボトルの入り口にナマコを突っ込んでおくと...
 

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 体を柔らかくしてペットボトルの口を抜けてしまします(奥はほぼ抜けかけ)。

我々はこのシステムを”Namaco Ninja Sysytem”と名付け,実習室に保管しました.

興味のある方は是非ともやってみてください.
 

それしても,ナマコは無事に奈良に持ち帰られたのでしょうか.
 

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最後に記念撮影.
 

本当に楽しい五日間でした.

お世話になった教員の方々,

船を出してくださった技官さん,

そして一緒に勉強してくださった学生の皆さん,

ありがとうございました
 
 
 
 
 
 

ということで,奈良教育大学実習レポート終了
 
 
 
 
 
 
 

と思いきや,
 
 
 
 
 
 
 

まだまだたくさん使われていない名シーンがありますので,
 
 
 
 
 
 
 

オフショット集公開です。 
 
 

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 畠島で磯採集中の石田先生(右)です.
 

ご専門は微生物ですが,その磯採集能力は特筆に値します.
 

今回も実に様々な生物を採集してくださいました.

腰の装備が,歴戦を物語っています.
 

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 採集物を見に来られていた技術職員の加藤博士に,

飛び入りでマクロベントスの解説をしてもらいました。
 

ご専門は多毛類ですが,なぜか貝類の説明をしてもらうという。

それでも解説できてしまうところがいぶし銀なところです。
 

解剖動作が速すぎて,写真がぶれてしましました.

決してカメラマンの腕ではないのです.決して...
 

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奈良教の教員大集合の様子が写真に収まっていました。
 

後列の黒シャツの面々が,左から松井先生,石田先生,辻野先生,

一番右の青シャツの方が菊池先生です.
 

みなさんフィールドは海ではないのですが,

あふれんばかりの生物への情熱をもって教育に取り組んでおられました.
 

そして何よりご自身が実習を楽んでおられました.

我々も見習わなくてはいけません。
 

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「名シーンはメイオベントス採集にあり」
 

という名言は別にないのですが,その傾向はあるのではと個人的に思っております.

稀有な抽出作業が,人を笑顔にさせるのでしょうか.
 

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このように,ネットで受けることでもメイオベントスを採集できます.

「マーメイド・ブラ」と呼ばれる,メイオベントス採集必須アイテムの一つです.
 

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彼には,何も頼んではいけない(一応期待は持たせるから).
 

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 ウニの撮影中.
 

最近はスマートフォンのカメラ性能の向上で,

野外や出先で手軽に良質な写真を撮影できるようになりました.
 

野外実習でも,たくさん生物の写真を撮って,

家に帰っても自然に思いを馳せてもらいたいものですね。
 

ということで
 

本当に奈良教育大学レポート終了。
 

お疲れ様でした。


奈良教育大学実習⑤

※本日の記事は若干グロ注意です 
 

先日,大阪市立大学の実習が無事に終了しました.

笑いあり,涙ありで,大変勉強になった一週間でした.
 

市立大学のレポートはまたのちにするとして,

まずは奈良教育大学実習のレポートです。
 

昨日の記事の最後に現れた謎の黒き物体たち...

その正体は!
 

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ニセクロナマコでした
 

麻酔されてだらーんとしています.

ナマコを海水につけた状態で,メントールの結晶をその上に浮かべておくと,

徐々に溶けたメントールによって麻酔されます.
 

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棘皮動物研究者の端くれとして,

デモンストレーションを務めさせていただきました.
 

ニセクロナマコ

たまには詳しく構造を解説しましょう.
 

上側が頭,下側がおしりです.

実は解剖の途中で切ってしまったのですが,

消化管が頭から肛門までつながっています.

赤い線の束が生殖腺で,本来は頭の近くの消化管につながっています.
 

左の方の消化管につながっているもやもやがあり,

そのうち茶色いほうが腸間膜(消化管から栄養を吸い取るところ)で,

白っぽいのが呼吸樹です.
 

体の後端の真っ白いのはキュビエ氏管です.

非常に粘着性の強い器官です,

刺激を受けるとこれを相手に浴びせ,困っているうちに逃げるそうです.
 

ちなみに体内にあるうちは粘着力はないのですが,

体の外に出る際に表面の構造が壊れて粘着力をの持つようになるそうです.
 

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学生さんもトライ。
 

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筋がいい学生さんばかりです.

これらは生殖腺がクリーム色なので,雄ですね(解説写真の個体は雌).
 

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こちらはナマコに飽き足らず,タツナミガイを解剖中.

さすが軟体動物.外套膜になかなか弾力があり,

ナマコより苦労したようです.
 

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そうこうしているうちに,成長を続けていた胞胚が,

いよいよ受精膜からハッチ(孵化)しようとしていました。
 

しばらくぐるぐる回っていると思ったら...
 

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ポンッ

と抜けていきました。

うまくタイミングが合わないとなかなか観察できない現象です.

みなさん,運がいいですね。
 

続く


奈良教育大学実習④

メイオベントス,プランクトン観察とくれば,

お次はウニの発生実験でしょう。
 

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河村博士の主導の元,

いざ発生実験開始。
 

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ウニの口の周りのやわらかい周口膜という部分に注射をうち,

1 mM塩化アセチルコリン(1 ml)を注入します.
 

二日目だけあって皆手慣れたものです.

笑顔すらこぼれる余裕っぷりです.
 

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研究員の間で抜群の定評を誇るムラサキウニは,

今回も優秀な成績で放精放卵をしてくれました。
 

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1時間30分後,第一卵割が始まっています.
 

割球が二つに増えている卵が観察できました。
 

ムラサキウニの卵は黒くて観察がしにくいという話もありますが,

親個体の採集や放精放卵のしやすさ,生殖時期の長さを考えると,

やはり発生実験には欠かせない動物と言えます.
 

私はそんなムラサキウニが好きです。
 

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これは一日目に時間差で受精させたもの.

もうプルテウス型幼生にまで変態が進んでいました。
 

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受精させたウニの幼生の入ったボウル.

このように,使ったウニの名前と,受精した時間をきっちり記録させましょう。
 

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水槽にうごめく謎の黒木物体...

その正体は次回の記事で明らかに。
 

続く


奈良教育大学実習③

奈良教大実習レポです。
 

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北浜です。
 

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フジツボを採ります。
 

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砂を掘ります。
 

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海藻を採ります。
 
 

もうわかりますね。
 
 

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メイオベントス観察です。 
 
 

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シェイクされたフジツボの液.

この上澄みの中に極小生物がいるのです。
 

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このようにボールにとってピペットでスライドグラス上に移して観察します.
 

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今回の目玉はこれ。

謎の動きでみんなを騒がせた生物ですが,

どうやら昆虫か何かの幼虫だったようです.
 

みる人が見れば一発なのでしょうが,

海産生物しか頭にないと完全に謎の生物でした.

一つ勉強になりました。
 

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この実習ではプランクトン観察も行いました.

田辺湾産の採れたて新鮮プランクトンです.

メイオベントスと同様の方法で観察します.
 

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河村博士のイチオシ紹介中。
 

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クシクラゲです。

櫛板を活発に動かしている様子が観察できました.
 

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アイドル顔負けの撮影会に。

私もかなりの枚数の写真を激写したのですが,

ひとつ前のような写真しか採れませんでした.

写真撮影の技術も向上させねばと誓うのでした。
 

続く.


奈良教育大学実習②

 奈良教育大学実習レポートです。
 

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一度で船に乗りきらない人数なので,

後発隊は船着場でなく,近くの岸壁から乗船です.
 

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いつもの分室で説明がされている間に...
 

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河村博士が分室入口の掃除をしていました.
 

このような実験所所員の努力によって,

清潔に保たれているのですね.

※撮影後,私も手伝いました.
 
 

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講義のあとは,磯観察開始。

そしてタイドプールにウミシダ発見。

オオウミシダのようです.
 

黒色で,時折潮間帯でもみられる種だそうです.
 

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黒く濁ったタイドプールを発見。
 

中にタコがいるに違いないと,タコ採り名人の石田先生(奈良教大)がチャレンジをしましたが,

意外に穴が深く,残念ながら採れませんでした.
 

穴の中のタコを引っ張るのではなく,奥の方にぐいぐい押し込む力を与えてやると,

嫌がって出てくるそうです.
 

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デローンと転がったニセクロナマコたち.
 

畠島の北西の方には,このようなナマコゾーンが広がっています.

要因不明ですが,彼らにとっては住み心地のよい環境のようです.
 

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大阪教育大学の実習の時にも見つかった亀の死体がまだ残っていました.
 

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おや,まさか...?
 

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なんと辻野先生(奈良教大)が持ち帰るそうです。
 

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無事に岸壁に帰着.

この後奈良まで持ち帰ったようです.
 

辻野先生は,シカやサルなどの哺乳類と樹木のかかわりや,

人と自然のかかわりなどを研究されています.
 

自然が作り上げた脊椎動物の骨格標本に,思わず食指が動いたのでしょう.
 

ウミガメが今後の研究に生かされるとよいですね。
 

続く


奈良教育大学実習①

いよいよ実習シーズンです。
 

6月30日~7月4日にかけて,奈良教育大学の実習が開催されました。
 

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大阪教育大学実習に引き続き,担当は宮崎先生です。
 

まずは開館直前の水族館解説です。
 

これだけのコンディションの整った状態の水族館を見られることもなかなかないでしょう.
 

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そしてすぐにウニの受精を行います.
 

後にも受精を行うのですが,まずは一日目に受精をさせてしまい,

時間差で発生の進んだ状態を観察してもらうためです.
 

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慎重に塩化アセチルコリンを注射.
 

今回使うのは,人口放精と放卵が比較的簡単な

ムラサキウニHeliocidaris crassispinaです。
 

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放卵が認められたら,さかさま(口を上)にして,

おしりをビーカーに満たした海水につけます.
 

静かに見ていると,真ん中のビーカーに見られるように,

卵が底の方に溜まっていきます.
 

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こちらは放精の様子.
 

精子の動きは,肉眼で絶対に見えず,海水中では白いもやのように見えます.

放精が確認されたら,おしりを,乾いたシャーレーの底に擦り付けるようにし,

ドライスパームと呼ばれる状態にして保存しておきます.
 

精子は海水につけると動き出し,すぐにエネルギーを消費してしまうのですが,

ドライスパームの状態で置いておけば何時間ももちます.
 

冷蔵庫などに入れておけば,さらに長持ちします.
 

この後いよいよ受精させるのですが,それはまた後のお話にしましょう。
 

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みなさんモニターに興味津々
 

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宮崎先生の受精卵の観察に,みなさん釘付けです.
 

向学心の高い学生さんに来ていただいて,うれしい限りです。
 

続く

 


大阪教育大学実習④

 大阪教育大学の実習最終レポートです。
 

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プランクトン観察を行いました.
 

他の実習では,こちらで用意したプランクトンを観察してもらうことが多いのですが,

この実習では自分たちで採集します.
 

北浜の船着場に出て,プロフェッショナル河村博士による

プランクトンネットの説明.
 

このネットを...
 

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投げる 
 
 

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投げる 
 
 

できるだけ遠くまで投げて,水面下50 cmくらいを

すーっと曳いてくるのがコツです。
 

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ネットで集められたプランクトンは,

おしりのゴムとプラスチックのチューブの中に集積されます.
 

ゴム止めを外して,サンプル瓶に移せば終了。

何か採れたかな?
 

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プランクトンやメイオベントスでは,

何年見ていてもわからないものが時々出てきます.
 

今回も謎の胞胚状の球形物体が採れました.
 

プロフェッショナルの久保田先生に見ていただき,

どうやら何かの卵(やはり胞胚だった?)ということが分かりましたが,

詳しい種類まではわかりませんでした.
 

まだまだ勉強することはたくさんあるのですね.
 

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最終日は水族館観察を行いました。
 

再開館直前のキレイな状態を観察で来て,みなさんたくさんのものを得てくれたことでしょう.

※私は古生物学会参加のため,最終日はおりませんでした.

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そして最後に,王道のウニの発生実験です。
 

コシダカウニは卵が透明なので発生観察に非常に適しているのですが,

繁殖時期が短いことと,採集がやや難しいため,

年によってはうまくいかないことがあります.
 

今年は大分うまくいったようです。
 

ということで,大教大の実習レポートは以上です。
 

この後,奈良教育大学,大阪市立大学の実習が目白押しでやってきています。
 

それらも徐々にレポートにしてきますのでお楽しみに。
 

(特に素敵なポージングをしてくださったみなさん)


大阪教育大学実習③

 台風八号が本州に接近しています。
 

海に近いので「非常に強い」と聞くとひやひやしてしまいますが,

今のところ少し風が強くなってきたかなというところです.
 

大阪市立大学の実習日程の日にもろに直撃しそうですが,

逸れてくれるか,早く過ぎ去るかを願うのみです.
 

というわけで,過ぎし日の実習のレポート(大教大)です。
 

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海岸へやってきた一向.

もう目的は言わずもがなですね。
 

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フジツボをこそぎ採ります。
 

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せっせと海藻を採ります。
 

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そして砂を掘ります.
 

そう,
 
 

メイオベントス観察です。  
 

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とってきた砂に真水を混ぜ,ひたすらかき混ぜます。
 

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海藻にも真水を混ぜ,かき混ぜます。

目に見えない生き物の採集は,想像力が命.

大漁を想像中の表情ですね。
 

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撹拌後しばらく待機,後に上澄みを篩いに受ける。

簡単そうに見えますが...
 

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「疲れた...」
 

実はこれがなかなか筋肉を使う作業です。
 

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そして篩の上に残っている(はず)のメイオベントスを,

丁寧にボールに移します.
 

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さて,何が採れたかな?

わくわくが伝わってきますね!
 

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今回もいろんなメイオベントスが採れました。

海藻からは,クマムシ(矢印)が.
 

海藻の裏に隠れてしまっていますが,いるのです。

生で見たい人は,瀬戸臨海実験所の公開臨海実習にお申し込みくださいね.
 

続く


大阪教育大学実習②

大教大実習レポート第二弾です。
 

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畠島から持ち帰った生物を,例のごとく分類群ごとに仕分けして,同定を行います.
 

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図鑑と照らし合わせながらあーだこーだと悩みます.

例えば貝類の場合,アクキガイ科などの難しい種類を同定する場合は,

一種に一時間以上かかる場合もあります.
 

このような同定の苦労を経て,生物の多様性を直に感じてもらうことが,

この分類の実習の醍醐味ではないでしょうか.
 

少なくとも瀬戸臨海で開催されるすべての大学の実習では,

必ずこの分類の実習が行われます.

各大学で分類の重要性が理解され,今後も続けていってもらえるといいなー

なんて,密かに期待していたりします.
 

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真剣にスケッチ中。
 

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おや,こちらに気づいて...
 

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良い笑顔です。

最近気づいたのですが,事前に

「この写真はブログに載せる可能性があります」

と宣言したほうが,学生の皆さんのポージングが良い気がします.

みんな誰でも心にアイドル性を秘めているのですね.
 

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全部でこれだけの生き物が得られました。

今回の参加学生は8名とやや少なかったのですが,

それでも数時間でこれだけの生物が観察できるのは,

畠島の生物相の豊かさを物語っていますね.
 

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担当した分類群の説明中.
 

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河村博士の刺胞動物の説明.
 

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そして宮崎先生の総括の説明.
 

遊び心も織り交ぜつつ,実習は進んでいきました。
 

続く.


大阪教育大学実習①

2014年6月24日~6/28日にかけて,

大阪教育大学の臨海実習が行われました。

例によってその様子をレポートします。
 

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大阪教育大学教育学部の生田准教授です.
 

生田先生は宮崎先生の筑波大学時代の後輩にあたり,

甲殻類を主な研究材料として,形態・発生学的な研究をすすめておられます.
 

ウェブサイトはコチラ
 

珍しい生き物がお好きで,珍奇生物に興奮してしまう私としては,

親近感を覚えてしまいます.
 

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この実習でも畠島へ渡ります.

畠島頻度が高くなってくすると,いよいよ実習シーズンが始まったなという感じです。
 

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畠島から一望できる白浜の様子を開設する宮崎先生.

生田先生とのつながりで,本実習は宮崎先生が担当されています.
 

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帯状分布の説明.磯観察の基本ですね。
 

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いつも人気のタツナミガイさん Delabella auricularia
 
 

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 ガンガゼDiadema setosum発見
 

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そして横にはアオスジガンガゼDiadema savignyi

本種は肛門の周りに青い筋があることでガンガゼと区別できたのですが,

うまく写真が撮れていませんでした.なんたるイージーミス。
 

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ウミガメの死骸.アオウミガメだそうですが,

実はこのウミガメ,二か月前からここにいました.
 

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ケハダヒザラガイAcanthochiton defippi
 
 

多板綱という軟体動物門の一群ですが,必ず八枚の殻を持つグループです.

(化石種では七枚のやつがいるらしい)
 

以前はその八枚の板が繰り返し構造とみられ,

環形動物や節足動物との類縁性を疑われた時期もありましたが,

現在ではなんの関係もないということが分かっています.
 

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小丸島付近の転石をひっくり返すと,必ずこいつがいます.
 

でろーーんと長く伸びたムラサキクルマナマコPolycheira fusca

無足類と呼ばれる,管足(体表面のぶつぶつ)がないタイプのナマコです.
 

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こちらは,ニセクロナマコHolothuria leucospilotaを片手に,ナイスポージング。
 

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 さすが甲殻類研究者の生田先生.

怒らせると怖いベニツケガニを見つけたと思ったら...
 

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なんとそのおなかにフクロムシがついているではありませんか。
 

しかも二個体同時。

※あまり詳しい説明はありませんが,フクロムシについてはコチラ
 
 

フクロムシがどこにいるかわからない
 

という方のために
 

特別にイラストレーションします。
 

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これでおわかりいただけるでしょう。

しかし同じ甲殻類でもこんなに形が変わるんですね.
 

実際に目の当たりにすると,生物の適応力の底知れなさを感じます.
 

続く.

 


奈良女子大学実習⑤

奈良女子大学レポートシリーズ最終話です。
 

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本実習ではプランクトン観察も行います.
 

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 みなさん生物顕微鏡の使い方にもだいぶ慣れた様子.
 

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その間に,畠島で得られた珍しい生き物を撮影.

なんと,小さなウミシダが採れたのです.

専門家伺ってみたところ,成体ではなく何かの赤ちゃんとのことです.
 

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器の中で所在なさげにしていたので,

ウニの死に殻を入れてみたところ,必死に張り付いていました.

可愛いですね~.
 

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さてさて,そうこうしている間に次の課題が始まりました.

この実習では毎年,自由課題実習も行われています.
 

それぞれの班に分かれ,まずは課題を黒板に書きだします.

毎年,独創的な課題が出てくるのでとても楽しみです.
 

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私は棘皮班の付き添いに名乗りを上げ,

ニセクロナマコの採集のお手伝いをしました.
 

例によって激写する先生を激写.
 

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室内に生物を持ち帰って実験です。
 

この班は,イソクズガニが体の付着物の趣向性について調べるため,

捕まえてきたカニの付着物を歯ブラシで落としています.
 

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こちらの班は,ナマコがどれくらいのストレスを受ければ,

体内から忌避物質を出すのかを調べるため,

あらゆるストレス実験を行っています.
 

ナマコを解剖し,その体液で他のナマコに影響が出るかを調べています.

解剖されたナマコについては,しっかりと内臓の構造を解説いたしました.
 

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実験が終わったら,結果を取りまとめてまた発表です。

例によって,紙に手書きで資料をまとめます.
 

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そしていよいよ発表です。
 

短い時間で得た結果をもとに発表を行うのは,

実はとても難しいのですが,

みなさん,ここでもうまく結果をまとめられていました.
 

中には本当に科学的に新発見なのではないかという発表もあり,

個人的に非常に楽しませてもらいました.
 

ここで興味を持ったことを,そのまま卒研のテーマにして

瀬戸臨海で実験を続けてくれる学生もいます.
 

今年,ナマコに興味をもった学生が,棘皮の研究をしてくれないかなあと

期待してみるのでした.
 

実はナマコはまだ分類が進んでいないおすすめ研究対象なのです。

と,密かに宣伝をしておきます。
 

というわけで,奈良女子大学の実習レポート終了。

 


奈良女子大学実習④

奈良女子大学実習レポートです。

タイドプール相の比較調査の結果を,班ごとに発表していきます.

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画用紙に手書きのタイドプールのスケッチを描き,

それを元に説明してきます.

生物のスケッチの意義について,よく

「スケッチするために観察するのでなく,観察するためにスケッチする」

と説かれます.タイドプールでも同じことが言えるのかもしれません.

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みなさん,大変よく説明できており,

質問も活発に投げかけられ,大変アカデミックな雰囲気でした。

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さて,お次は畠島でのマクロベントス観察です.

遊佐先生の合図でGO。

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みんなでお弁当を持ち込んで乗船.

渡し橋から落ちないようにね!

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出港してすぐ,水クラゲの大群が出迎えてくれました.

この時期はクラゲ相の変化によって,季節の移り変わりが感じられます.

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畠島には様々な底質環境がみられます.

岩礁でのZonationの説明や,生物の乾燥耐性についてのお話.

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アマモ場の重要性と,そこに生息する生物群の解説,

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砂場をよーーーく見ると,タツナミガイDolabella auriculariaが。

見事にゴカイの巣穴に擬態しているように見えます.

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うわー!だれか間違えてタツナミガイをふんじゃったようです.

紫色の汁を出してしまい,スプラッタ状態に。

※タツナミガイはこれくらいでは死にません.

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「みんなまってー!!」

畠島はそこらのアドベンチャー施設には負けないくらい広く,

細かく見ようと思ったら一日では回り切れません。

引率の先生,お疲れ様でした.

続く.


奈良女子大学実習③

 分類学会のレポートで遅くなってしまいましたが,

奈良女子大学の実習レポートの続きです。

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前回の磯観察で採集された海藻を標本にしました.

これで海藻の知識はばっちりですね。

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ということで再び磯に出ます.

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さてさて,磯で頃合いのタイドプールを探しますよー.

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「これなんかどうかな?」

彼女たちが何をしているのか,

賢明な皆様はもうお気づきでしょう.

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そう,3月の海藻実習でも行われた,タイドプールの海藻相比較です。

大きさや深さ,海抜や海からの距離のうち,一つないし二つが異なるタイドプールを二つ選び,

その生物相を比較します.

まずはプールの計測.

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そんな様子を激写する先生を例により激写.

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測定の後はプールの水抜き。

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えっさほいさ!

大変な作業ですが,みなめげずに頑張りました。

※タイドプールの水は,その後スタッフによって元の水位に戻されました.

続く


奈良女子大学実習②

奈良女子大学実習第二弾です.

番所崎での観察はまだまだ続きます.

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波打ち際から...

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タイドプールから...

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波が激しく当たる岩場まで!



それぞれの環境には,それぞれに適応した海藻が分布しています.

段々と環境を変えながら観察していくことで,その変遷がよく理解できます.

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岩場の最前線に果敢に攻めいる人物が一人。

と思ったら遊佐先生でした。

学生に見せるためのウミウシを探していたそうです.

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お,遠くに見たことある人が.

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調査中の凌君でした!

遠くなので声はかけられませんでしたが,

彼は毎月大潮の際に,どんなに寒かろうと暑かろうと,

定点で貝類の調査をしています. 

※安全には十分注意した上で調査にあたっています.

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みなさん,とても真面目に先生の海藻の解説に耳を傾けています.

普段何気なく見ている岩場にも,実は驚く程多様な海藻が生息していることがよくわかります.

分類を学ぶことの一つの意義は,

こうした自然をより深く楽しめるようになるための知識を得られるところにあるのかもしれません.

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南浜からグルッと回って,北浜の洞門に帰ってきました.

お疲れ様でした。


教育利用募集

瀬戸臨海実験所は平成23年度より教育関係共同利用拠点に認定されていて,

臨海実験所を有しない全国の大学に施設を開放し,

海洋生物の自然史科学に関わる人材を育成することで,

高等教育の充実に貢献することを目的としています。実習施設と臨海実習プログラムを提供し,

共同利用に必要な基本的施設の整備,公募の実施,共同利用者の利用支援を行っています.

瀬戸臨海実験所HPより転載





ということで,




パンフレット表(提出版)

拠点利用案内のポスターが作られました。

デザインは,拠点ポスドクの河村博士によるものです.

全国の卒論生,および大学院生の皆さん,

是非とも瀬戸臨海を研究に利用してくださいね。

以上,宣伝でした.


奈良女子大学実習①

5月26-31日にかけて,奈良女子大学の実習が行われました。

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この実習でも,毎日野外に出ます.

まずは海藻実習のための事前講義です。

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そして早速フィールドにいきます。

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おや,どこに行くかと思いきや?

まずは避難経路の説明ですね.

南方熊楠記念館までいけば,想定津波到達高は免れます。

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そして改めて野外へ.

この実習では,麦わら帽子着用者が多いようですね.

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まずは海岸で説明.

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この時期は脱落した海藻が浜に打ち上がるんですね。

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引率の遊佐先生も,そんな学生の様子を撮影するため,

胴長装備です。

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海岸での実習は続きます.

春先にはヒトエグサなどの緑藻が繁茂していましたが,

ほとんど見られなくなっているなど,

海藻相の変遷が見られました.

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タイドプールに魚の群れが。

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 ぐるぐる...

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ぐるぐる...

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 ぐるぐる...

ずっと輪を作って泳いでいました.

カタクチイワシの群れだそうです.

潮の関係で取り残されてしまったようですね.

こんな珍しい現象に恵まれながら,実習が始まりました。

続く.


2014年和歌山大学実習⑧

和歌山大学実習レポートも

ついにラストです。

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和歌山大学ではコドラートを使った実習も行います.

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コドラート調査では,このように特定の方形枠を設定し(50 cm×50 cmなど),

その枠の中にいる生物の組成を調べる方法です.

今回の実習では,潮上帯(潮が満ちても水が来ず,水しぶきだけがあたる場所),

潮間帯(普段は水の底で,干潮時に陸になる場所)

潮下帯(干潮時にだけ陸になる場所)

に分けてコドラート調査が行われました.

これにより,水深ごとの生物分布を比較します.

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デジカメで方形内を撮影.

後の情報整理に役立ちます.

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あまりに計測個体数が多い場合は,一部分の計測値をもとに,

全体の計測数を割り出す方法をとります.

なんだかクイックスを思い出しますね.

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この日は潮がよく引いていたので,

普段は渡れない塔島までわたることができました。

先端まで行くと,外洋性の生物が少しだけ見られたりします.

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現場で同定できなかったものは,

実習室へ持ち帰ってじっくり鑑定します。

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そして最後の実習,プランクトン観察。

本当はウニの発生実験も行う予定だったのですが,

なぜかムラサキウニがうまく放精放卵しなかったため,中止となってしまったのです.

時期はそんなに悪くなかったのですが,不思議ですね.

予想外のハプニングもある意味,生物を扱った実習の醍醐味です.

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プランクトン実習では,先生でもわからないような生き物が出てくることがあります.

先生と学生で頭を悩ませながら種を同定することもしばしば.

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先生お手製の篩で,実験所のすぐ裏の海水を濾してみました。

結構たくさんのプランクトンが採れたようですよ.

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そんなこんなで,野外尽くしの和歌山大学実習でした.

そろそろ実習シーズンに突入します.

この夏は学会,実習,提出期限のある論文に大忙しになりそうです.

まずは目の前の日本動物分類学会第50回大会で頑張って発表してきます!


2014年和歌山大学実習⑦

四双島でウミシダが採れたので!

ウミシダの標本作製についてお話しましょう!

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まず,クモヒトデと同様,まずは容器に入れて写真撮影です.

しかし,麻酔はご法度です.

実はウミシダでは塩化マグネシウム溶液による麻酔ができません.

無理に麻酔液に漬けると,苦しんで腕がバラバラになってしまいます.

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撮影が終わったら,クモヒトデの時と同じように,別の容器にエタノールを入れます.

写真の様子は灯油の配注ではありません.

一斗缶にエタノールが入っていて,灯油ポンプで取り出しているのです.

私の知る限り,大体の科学者が灯油ポンプでエタノールを扱っています.

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そしておもむろにウミシダを隣におきまして...

プレゼンテーション1

えい.

とひっくり返してエタノールに漬けます.

この時,しばらく上から軽く抑えてやるのがポイントです.

腕が平面上に固定され,あとで観察のしやすい良い標本になります.

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そっ…と手をのけてやると

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ウミシダ標本の完成です!

あとはクモヒトデと同様,ビニールパックに入れるなりして研究室に持ち帰り,

瓶などに入れ替えます.

ちなみに,オレンジ色のモヤモヤはエタノールに体色の構成要素が溶け出したものです.

固定後は色が変わってしまうので,その前に写真を撮っておく必要があります.

続く


2014年和歌山大学実習⑥

 四双島で見られた生物シリーズ。

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まずはこちらの岩の隙間をよーくご覧ください.

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岩の隙間にウメボシイソギンチャク Actinia equinaの集団です。

実験所周辺ではブロックなどの隙間の奥にしか分布していないため,

こんな風に簡単には観察できません.

しかし色といい形といい,梅干の名を関するにふさわしいですね.

ただ,種小名は「馬のたてがみの」とかいう意味のようです.

絶対梅干のほうがいいと思うなあ.

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四双島の醍醐味はタイドプールにありました.

何気ない態度プールのように見えますが...

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こんな風にイボヤギTubastraea coccineaやトゲトサカDendronephtyaがいたり.

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これもイボヤギでしょうか?

無藻性のサンゴと思いますが,なんだか緑色です.

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ハナヤサイサンゴ?がいたり。

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さらにはなんと,ムチヤギがいたり。

普通は波あたりが強い場所や日光が当たらない場所,

やや深い場所にいるはずの生き物がごろごろみられました.

熱い!

これはまた徒党を組んで調査に来なくてはなりません。

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こんな風に,クシクラゲもプカプカ浮いていました!

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そして島の外洋性を示すこちらのウニたち.

(ヒメ)クロナガウニEchinometra oblonga(左二個体)と,

ホンナガウニEchinometra mathaei(右一個体)です!

どちらかというと亜熱帯に生息しているウニで,

瀬戸臨海周辺でも見られるのですが,こんなに大きくありません.

黒潮が当たる温暖な四双島では十分に成長できるのかもしれません.

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ちなみに,岩の間のクロナガウニを採ってみると,こんなになっていました.

これは別に採集時のダメージでこうなったわけではありません.

おそらく岩に密着していたた部分の外殻が発達しなかったのだと思います.

体の内部の骨格が見えちゃってますが,いいんでしょうか...

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さらにコブヒトデまでいました。

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 この大きな管足!立派ですねー.

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そしてウミシダまでタイドプールに。 

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え!!ウツボまで!!?

・・・と思ったら,釣り人の釣果でした。

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軟体動物も多様でした.こちらはメクラガイDiloma suavis

海藻にたくさんが付いてました.

ずいぶん派手な色をしていて,岩陰などにはかくれないそうです

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THE アメフラシAplysia kurodai 

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クロシタナシウミウシDendrodoris arborescens

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コチラはメリベウミウシMelibe papillosaです.

この方の採餌法は変わっておりまして.

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体の前方(左側)の口をカッと広げて・・・

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ガバッと投網を投げるかの如く,目の前の海底を覆います。

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そしてゆっくりと口をすぼめて,小さな甲殻類などを食べちゃうそうです.

もしゃもしゃ.

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みんなでそんなメリベウミウシのお食事を観察.

大変有意義な四双島調査でした!

続く.


2014年和歌山大学実習⑤

 四双島に上陸しました。

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畠島のように視界を遮る山などの起伏はなく,

広めのタイドプールが点在しています.

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緑藻,褐藻,紅藻など,藻類が豊富です.

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場所によっては,このように一種類の海藻が優先していました.

これはフクロフノリです.

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決して気温は高くなかったのですが,水着になった猛者が。

何をしているのかと近づいてみると...?

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ぶくぶくぶく...

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「はい!とってきました!」

上の人に命令されていたようですね。

続く.


2014年和歌山大学実習④

和歌山大学実習レポートです。

この実習の特徴の一つは,「四双島」での磯観察です.

瀬戸臨海実験所の西方に位置するこの島は,

畠島とは違い,京大所有の島ではありませんが,

外海に面しているため,畠島や番所崎とはまた違った生物がみられます.

一年を通して,実習でこの島に渡るのは和大の実習だけなのです。

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いつもの寒さ浦の船着場でなく,

実験所の裏の北浜からの乗船.

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ワイルドに砂浜に着けた船に乗り込みます。

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出港は人力です。

技官の興田さんのパワーです。

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第一便(定員いっぱい)に乗り遅れた先生とポスドクたち.

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学生が集めたハコフグを眺めて待つとしますか...

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そうこうしているうちにすぐに船が帰ってきました。

孤島の釣り人を横目に出発。

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うっすらみえてきました。

灯台がある島が四双島です。

はたして何が待ち受けるのか?

続く.


2014年和歌山大学実習③

畠島でクモヒトデが採れたので




突然ですがクモヒトデの標本の作り方を紹介します.






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まず,これが今回採れたクモヒトデ.

岩の下にいました.

バットの上にあけましたが,これだと逃げようとして腕をからませあったりして,

何個体いるかもよくわからず,とても標本にするどころではありません.

そこで,麻酔液(塩化マグネシウム水溶液(MgCl2))を使います。

作り方は簡単で,塩化マグネシウム六水和物を73.5g/1Lの分量で真水に溶かすだけ。

注意点としては,潮解性のある試薬なので,

素早く計量しないとどんどん水を吸って秤がべちゃべちゃになっちゃいます.

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麻酔液に浸した状態がコチラ。

種類によりますが,2,3分で効きます.

完全に脱力し,形もこちらの意のままです.

この状態だと腕の自切もありません.

スペースを稼ぐため,このように「彗星型」にするのが私の出身の藤田研究室のスタイルです.

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そしてこのスキに写真を撮ります。

最も重要なのは,体の真ん中の「盤」です.激写しまくるのです。

コチラは反口側. 

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コチラは口側.真ん中にあるのが口です.

写真は,もちろん標本にした後でも撮影できるのですが,

エタノールなどにつけると色が抜けてしまう場合が多いので,

麻酔している間にとるのがベストです.

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そして,別のトレイに固定液(最近は主にエタノールです)を満たしておき,

麻酔したクモヒトデをそっと移します.

後はこれをビニールパックにラベルとともに入れておき,後日瓶に移して標本完成です。

たまには真面目な研究話でした.

続く.

 


2014年和歌山大学実習②

和歌山大の実習で見られた畠島の生き物シリーズ!

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その① チゴケムシ Watersipora subovoidea

岩の下の方に,薄らオレンジに見えるコケのようなものが張り付いているのがおわかりいただけますでしょうか?

これはれっきとしたコケムシと呼ばれる動物で,外肛動物門とも呼ばれています.

個虫と呼ばれる,頭の部分に触手の環を持つ小さな生き物が,

サンゴなどと同じように群体を形成しています.

詳しい形態の話などは,知り合いのコケムシ研究者さんのウェブサイトで勉強できますよ!コチラ↓

https://sites.google.com/site/kokemushiweb/

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その② アオウミウシ Hypselodoris festiva

春はウミウシの季節ですね.このように目につく鮮やかなものから,

擬態しているのか,じっと海藻を見ていてやっと見つかるようなものまで,

様々な種がみられました.

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その③ ウミヒルモ Halophia ovalis

海藻ではありません.海に適応した種子植物です.

畠島では汚染が進んだ1970-80年代に消滅してしまったという記録がありますが,

海の浄化がすすんできた近年になってまたみられるようになりました.

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その④ モミジガイの仲間たち.

「カイ」といっても貝ではありません.写真からお分かりいただける通り,れっきとしたヒトデです.

いつもは砂の中に潜っていますが,潮が引くと,苦しいのか砂から出てくるので,簡単に捕まえられます.

この中にはおそらくトゲモミジガイとモミジガイが混ざっていますが,見分けがつきますか?

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その⑤ ウミガメとその⑥ ハリセンボンの死骸!

外湾に面したこの島には,いろんなものが流れ着くのですね.

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今原先生が何かを見つけられました!

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その⑦ コマイハナゴケ Cervera komaii

です!ヤギやウミトサカに代表される八放サンゴはあまり浅いところには見られませんが,

こんな潮間帯にみられる八放サンゴもいるのですね!

この赤いポツポツの一つ一つがポリプで,観察していると,

八放サンゴに特徴的な羽状の触手が観察できました!

ちなみに種小名の「komaii」

は,瀬戸臨海実験所の初代所長の駒井卓先生に献名されたものです.

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その⑧ これは,,,なんでしょう?

海中から突っ立ている棒状の物体.

ツバサゴカイの棲管でしょうか?それにしては長いような,,,

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浜辺で赤潮が観察されました.

その⑨ 夜光虫Noctiluca scintillans(渦鞭毛藻)

が大量発生していたようです.

この水の中にはすさまじい数の夜光虫が顕微鏡で観察できます.

こんな日に夜の海岸に出ると,波の動きに刺激された夜光虫が光ってとてもきれいですよ.

続く.


2014年和歌山大学実習①

2014年4月14日~19日にかけて,和歌山大学教育学部の実習が行われました!

この実習では,とにかく野外に出ます.

毎日野外尽くしです!

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まずは畠島へ出発!

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古賀先生による,畠島の説明.

普段瀬戸の先生の解説ばかり聞いているので,ちょっと新鮮でした.

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今回の実習にはスペシャルゲストが!

黒潮生物研究所和歌山支部の今原幸光先生です.

八放サンゴ(骨格を持たないやわらかいサンゴを含むグループ)の専門家です.

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国立科学博物館の並河洋先生です.

ヒドロ虫という,刺胞動物の中では比較的派生したグループの研究をされています.

変わった生殖様式を持つグループで,先生は各地からヒドロ虫を採集・飼育し,

生活史を見ておられます.

お二人の来浜の目的については,また今度お話しますよ!

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この日は雲一つない磯観察日和でした!

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海の生き物に興奮して,磯の際まで攻める学生あり.

遠くから「うひゃー!!」「すげー!!」などの嬌声があがっていました.

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ハッと気づいたら,海藻の専門家の高須先生(+ついていった学生二名)がはるか遠くへ!

フィールド科学者の足腰は強靭です.

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そんなこんなのポカポカ畠島観察でした.

この後も怒涛の野外実習が続きます.


2014年龍谷大学実習④

龍谷大学実習レポ,ついにラストです!

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畠島で採集した生物を,黒板にリストアップしていきます.

はるか昔から行われている,

教育効果の高い優れた手法です.

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リストアップした生物の中で,

自分が気になった生物を説明してもらいました.

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生物の形と,採集された場所とを関連付けてもらい,

なぜそのような環境に生息するに至ったかについて考察してもらいました. 
 

生物と環境を考える上では,その生物の形や生態に注目する必要があります.

今後,彼らがどのような分野に進むかはわかりませんが,

多角的な視点を育むことは,環境学を修めていく上で決して無駄にはならないでしょう.

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聞く方も真剣勝負!

先生方や研究員からも質問が飛びました.

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そして,無事に発表終了!

明日もまだありますが,とりあえず主な実習項目は終了です.

千徳博士から〆の挨拶.

三日という短い時間でしたが,

教える側と教わる側とで刺激しあうことのできたよい実習でした.

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一夜明けて最終日.

この日は朝から最後の講義です.

千徳博士の「サンゴの生物学」

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単なる学問的な話だけでなく,

博士課程での実情などを交えた,とても楽しい発表でした.

多くの学部生にとっては,普段はあまり聞かない話に触れられる,

よい機会だったのではないでしょうか.

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河村博士の「クラゲの多様な生活史」

クラゲの研究を行う上では,どのポリプがどのクラゲになるのか?

また逆にどのクラゲがどのポリプになるのか?

という生活史の解明が必要なため.飼育が必須です.

そのようなクラゲの多様な生活史について,

非常に美麗なクラゲ写真が満載のスライドで発表してくださいました.

クラゲへの愛がうかがえます.

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私もお話をさせてもらいました.

学会での雰囲気を味わってもらうため,ポスター発表風にしてみました.

先日の古生物学会で発表したポスターが活用されましたw

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ちなみに,この日はアウターを「テヅルモヅルパーカー」でキメてみました.

このウェブサイトでも注文できますよ!

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講義のあとは,野外授業!

浜辺でのビーチコーミング(漂着物観察)です!

白浜は黒潮の影響を受けて,南洋性の様々なものが流れ着きます.

珍しいものも時々混じっているんですよ!

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そして,最後にみんなで写真をパシャリ.

あっという間の四日間でしたが,教える側としても得られるものの多い実習でした.

個人的には,自分に足りないものの一つ(熊のプ○さんの物真似の精度)

がはっきりとわかった貴重な実習でした.

来年までに腕を磨いておきます!










ちなみに,私は本日(5/27)をもちまして,31歳となりました.

時が経つのは早いものです.

高校生ぐらいの時に想像していた31歳とは全然違うのですが,

今はクモヒトデの研究がつづけられてとても幸せです.

今後も教育に,研究に邁進していきます!