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棘皮動物

第16回国際棘皮動物学会議

2018年5月27日~6月1日まで名古屋で開催された

第16回国際棘皮動物学会議の後,三崎でエクスカーションが開催されました.

世界の棘皮研究者が,三崎に集いました

美しい夕日がお出迎え.ん,誰かが泳いでいる?

実験所下の荒井浜での採集.

調査船に乗って深海生物採集.

採れた生物が,エキスパートによって解析されていきます.

手際よくウニを観察するドイツの研究者.

巨大なウニに驚くウニ研究者

最後は技術職員のKさんと一緒にパシャリ.

三崎の技術職員は採集人と呼ばれていますが,

皆,その採集スキルの高さと生物の知識に舌を巻いていたようです.

三崎のお好み焼き屋で打ち上げ.

皆さん,お好み焼きともんじゃ焼きを堪能されたようでした.

最後に,参加者の一人のロシア人から,チョコをもらいました.

かなりがっつり塩が入っている変わった味でしたが,

まさに塩スイーツで,なかなか美味でした



今回は参加者だけでなく,

我々にとっても実りあるエクスカーションでした.

我々が普通だと思っていた種が,実は別種の可能性があったり,

新種だよこれ,と言われたり...



それから,限られた時間で最大限にデータを持って帰ろうとする,

海外研究者の姿勢にも感銘を受けました.



次の国際会議はカナリア諸島です.


棘皮動物の体軸について

東京大学では先日,修士論文の発表会が終わりました.

その後教職員の懇親会に参加させていただき,東大に帰って来たんだなあと密かに実感していました.

今回は三崎からのも発表者がいましたが,そのいずれも棘皮動物を扱っており,何度も発表練習を聞きました.



その中で何度か話題に上がったのが,棘皮動物の体の方向性を表す言葉です.



棘皮動物は,体が五放射(星形)なので,「前後軸」がちょっとわかりにくいです.

例えば,普段見るウニやヒトデには,「前後」はあるのでしょうか?そして「背腹」は?

一つ明確なのは,ヒトデやウニ,クモヒトデでは,いつも地面に向けている方と,その反対側は体の作りが大きく異なり,

ほとんどの種では地面に口を向け,その反対側に肛門があります.

この体制の事を,「背腹」と呼ぶか,「口・反口」と呼ぶか,というところで問題が生じます.



この原因の一つがナマコの存在です.

ナマコは,体の進む方向に口,反対側に肛門があります(ほぼ固着生活を送るものもいますが).

さらに,その前後軸に対して,多くの種が明確な背腹を持ちます.



従って,例えばウニ,ヒトデ,クモヒトデで「背腹」(肛門と口)を使うと,

これはナマコの「背腹」とは違ったものを指してしまうことになります.

従って,私は,これらの生き物の体制を指す時には「口・反口」を使うようにしています.



ウミユリ綱(ウミシダを含む)は,地面と反対側に,口と肛門を両方もちます.

ですので,実はウミユリ類では,ウニやヒトデとは地面と口の向きの関係が逆になっています.

ただこの場合も「口・反口」が使えるでしょう.



しかし何事にも例外は存在し,

ウニにもナマコのように,前後軸や背腹が存在する不正形ウニ類(ブンブク・カシパンなど)も存在します.

これらも含め,棘皮動物の体制の呼称をどうするかについては,未だに研究者間でも統一がみられません.


化石拾い

先日採集した,化石を含む砂部層の処理です.

よーく乾燥させた土を水に付けて,泥に戻します.
そして,篩で微小な砂を除きます.

この作業は,船上でお手のものですね.

こちらが篩の残渣です.

乾燥させると,貝などが良く分かります.

これ,全部化石です

容器にまとめるとこれくらい.

これを少しずつスプーンですくっては...

顕微鏡で見ていきます.

主な目的は,棘皮動物の骨片です

コケムシやサンゴ,腕足動物なども混じっているので,

気づいたら拾って,種類ごとに分けていきます.

一日10掬いでも,2-3カ月かかりそう...

でも,いいものも入っていそうです


Dr. Alan Noel Baker

2017年10月13日に,ニュージーランド在住のAlan Noel Baker 博士が,闘病生活の末亡くなりました.77歳でした.博士はニュージーランド自然史博物館に勤められながら40年(1965-2003)の研究キャリアの中で,ウミシダ類を除く現生棘皮動物に関する,約25報の論文を著しました.これらの著作のうち初期のものでは,多くの新属や新種,新記録の報告を行っており,そのほとんどがニュージーランドとオーストラリアを中心とするものです.

彼はキャリアの半ばに差し掛かると,クモヒトデ類にその興味を傾倒させるようになります.特に1970年代後半から1980年にかけて,博士は南西太平洋産のクモヒトデ類に関する研究を精力的に進め,24以上の新分類群の設立を含む,94種のクモヒトデを報告しています.これらの多くには,博士の”pen-and-ink”による美麗なスケッチが与えられ,各種の分類学的な特徴が非常によく表されています.

中でも1980年に博士が出版された「ニュージーランド・オーストラリア・南西太平洋のツルクモヒトデ目について」と銘打たれた論文は,2007年に私がツルクモヒトデ目の研究を始めるにあたって,何度も参考にsました.情報の少ない本目の研究の良例が30年前に示されていたことは,私にとって非常にありがたい事でした.

そして1986年に,博士は,Frank Rowe 博士(オーストラリア博物館),Helen Clark 博士(ニュージーランド自然史博物館)と共に,「シャリンヒトデ綱」を新しく記載されました.これは深海の沈木の上に生息する小さなヒトデに似た動物ですが,その形態的な特徴が他のいかなる棘皮動物の綱とも異なります.高次分類についてはある程度の決着がつけられている棘皮動物の中での新綱の記載は非常にセンセーショナルで,この論文は有名な科学誌natureに出版されました.

その後,このシャリンヒトデ綱の所属については,様々な研究者による検討がなされてきましたが,記載から30年後,現在のDNA解析などによって,ヒトデ綱の独立した一科という結論に落ち着いています.

博士は,棘皮動物の研究の後には鯨類の研究にも打ち込まれていたようで,海洋生物に対する造形の深さが伺えます.

残念ながら私は博士にお会いしたことはありません.しかし,彼の旅立ちの三ヶ月ほど前に,メールのやり取りをしました.既に闘病生活に入られていましたが,彼の文面から伝わる優しさや誠実さは,私がその著作から感じ取ったそのものでした.生前の博士とやり取りができた事を光栄に思います.

ご冥福をお祈りいたします.


深海生物テヅルモヅルの謎を追え!―正誤表―

2016年5月30日に東海大学出版より発売された,

フィールドの生物学シリーズ第20巻

「深海生物テヅルモヅルの謎を追え! 系統分類から進化を探る」の正誤表です.

 

P47 5行目: Von voyage !→Bon voyage !

P51 11行目: …たことがある→…たことがある

P231 10 行目: …科を一一種ずつ含んでいたので…→…科を種ずつ含んでいたので…(二という漢字が一一に誤変換されてしまったのかもしれません)

P243 15行目: …幾多の大学院生が排出されて…→…幾多の大学院生が輩出されて…

P266 11行目: …筆を置く…→…筆をく…

 

他にも間違いがありましたら,是非ご連絡ください.

更新:2016年5月30日.

深海生物テヅルモヅルの謎を追え!

本を出版することになりました.

「深海生物テヅルモヅルの謎を追え!―系統分類から進化を探る―」

というタイトルです.主に私の博士課程の時の研究をまとめつつ,

系統分類学やの紹介などた話です.5/30に発売です.Amazonなどでも既にポチれるようです↓

http://ur0.pw/tO4Q

興味のある方は是非手に取ってみてください.

以下,オフィシャルな情報です.
———————————————-
【書 名】

 深海生物テヅルモヅルの謎を追え!―系統分類から進化を探る―

【著者】

 岡西政典(茨城大学理学部助教)

【体 裁】

 B6判 299頁 並製

【定 価】

 2160円(税込)

【著者割引】

 1728円(税込)・尚、送料は400円 5冊以上の場合,送料小会負担でお送りします

【発 行】

 東海大学出版部

【発売日】

 2016年5月30日・発送は5月25日以降になります

【ISBN】

 ISBN978-4-486-02096-7
お支払方法 振込、MASTER・VISA CARDを但しカードの場合は、カード名義、カード番号、
有効期限をご連絡ください。 ご購入の場合はメ ールにて稲までご連絡ください

【内 容・目次】
珍しい生きもの好きすべての人へ : テヅルモヅルって何? クモヒトデって何? どんな
生きものか?  分類学を通して学ぶ。日本初のテヅルモヅルの本

目次
はじめに
第1章 系統分類学に出会う
1 北の地で
2 研究室に所属する
コラム・ジャンケン
3 分類学とは
コラム・「斜体」と「立体」
4 クモヒトデがしたいです
コラム・北大での研究対象選び
5 コピー機の前に立つ日々
コラム・何語であろうがいつであろうが
6 初めてのサンプリング
コラム・磯に採らえば……!
7 クモヒトデってどんな動物?
コラム・棘皮動物①
8 同定を試みる
コラム・様々な標本の作り方
9 Von voyage !
コラム・アネロン ニスキャップの思い出
10 師匠との出会い
コラム・ウミユリはいつ「生きた」化石になった?
11 クモヒトデを採りまくれ!
コラム・魚屋さん
12 院試と卒研を突破せよ
コラム・棘皮動物②

 第2章 テヅルモヅルを収集せよ
1 博物館に所属する
コラム・D‌Cを目指す?
2 孤独との戦い
コラム・「テヅルモヅル」ってどんな分類群?
3 一筋の光明
4 無限の荒野を行くのなら
コラム・新種はどこで誰のために発見される?
5 記載の果てで
コラム・査読
6 Describing man blues
コラム・新種と未記載種
7 「鑑定眼」が養われた?
コラム・チョッサー、ボウスン、ストーキー
8 少しずつサンプルが集まってきた
コラム・漁港巡り

 第3章 海外博物館調査
1 海外進出!
2 初めての海外調査
コラム・飛行機の中の紳士
3 国際学会+α
コラム・海外ではパスポートを!
4 再びオセアニアへ
コラム・ニュージーランドでの思い出
5 アメリカ再訪
コラム・時岡先生のお写真
6 ヨーロッパ周遊
コラム・守衛のおじさんとのやり取り
コラム・アムステルダムでの思い出

 第4章 ミクロとマクロから系統を再構築する
1 形態形質を精査せよ
コラム・新種?
2 分子系統解析に取り組む
3 初の実験成果
4 科レベルの記載
5 初めてのポスター賞
コラム・若手分類学者の集い

 第5章 系統・分類学から進化を探る
1 なんかないの?
2 学位を取得する
3 学位取得、その後
4 ポスドクを経て
5 系統分類学は楽しい?
6 クモヒトデの系統進化
7 X線でお見通し
8 キヌガサモヅルの分類
9 それでも、系統分類学!

 おわりに
謝辞
用語
引用文献
索引

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二年ほど前から少しずつ執筆を始めていたのですが,

まさか本当に出版にこぎつけられるとは思っていませんでした.

それなりに,一般の人にもわかりやすい解説を入れたつもりですので,

系統分類学に興味がおありの方は,是非ともご覧になってみてください.


棘皮動物研究集会が開催されました!③

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棘皮動物研究集会,研究の部が終わった後は勿論懇親の部です.

東工大名誉教授の本川先生のご発声で乾杯



スライド2

研究の部参加者の9割8部が懇親の部に参加



スライド3

大学生協で豪華な料理を拵えてもらいました
 

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こちらは水戸らしく,納豆の包み揚げです



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今回の集会では,茨城大学の学生(右手前2人)にお手伝いしてもらいました.

昆虫の研究室の学生さんですが,とても献身的に手伝って下さり,本当に助かりました.

感謝!


棘皮動物研究集会が開催されました!②

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棘皮動物研究集会ではポスター発表も行われます.
 

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毎回研究集会に参加されている方々から,初の参加者まで,

ざっくばらんにお話できるのが当研究集会の良いところです.
 

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そんなこんなで無事に発表の部が終了

向かう先は勿論...


棘皮動物研究集会が開催されました!

かねてから宣伝しておりました通り,

去年の12月5日に,茨城大学にて棘皮動物研究集会を開催しました.
 

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受付の様子.全国津々浦々,総勢40名を超える研究者が集まりました.
 

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口頭発表会場のインタビュースタジオです.

非常に立派な設備を使わせてもらえました.
 

ウミユリの発表を皮切りに,
 

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ウニ,
 

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ヒトデ,
 

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そしてクモヒトデなどの発表が行われました.

たまたま日本に来ていた海外研究者の発表も行われました.
 

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せっかくなので,彼にも座長をお願いしました
 

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次回の国際棘皮会議は,なんと日本(名古屋大学)で2018年に開催の予定です
 

その開催に向けての話題提供の様子です.
 

盛り上げていまいりましょう!


2015年10月30日~11月6日 タイサンプリング⑫

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まだまだタイの海の生き物をご紹介しますよ.

岩肌...ではなく,画面真ん中あたりにヒドロ虫が固着しています.



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ボネリムシの吻.ユムシの仲間で,この類は顕著な性的二型を示すらしく,

これはメスの長ーく伸びた吻の先っぽです.2叉分岐しています.

よーく見ると,口が上側に反り返って,いわゆるスプーン状になっているのがわかります.



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やたら腕が分岐しているウミユリ.

これで一個体だと思うのですが,あまりに堂々としているのでパシャリしました.



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これはコシダカウニ...かな?

周りに海草の屑を付けています.



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ボートの係留ブイは,たくさんの魚のよりどころとなっています.

特に稚魚にとっては非常に貴重な隠れ家です.



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魚だけでなく,フジツボなどの固着生物も生活基盤ともなっています.

よーく見ると,ミョウガガイの仲間がくっついているのがわかりますでしょうか.


2015年10月30日~11月6日 タイサンプリング⑩

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潜水直後の調査チーム.

あらゆるベントスを発見してやりましょう



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ヤギの林.ピピ島の水深7 m位だったでしょうか.

これよりも少し深くなると,もう乱立状態は解消されていました.



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リュウキュウナガウニでしょうか.

アンダマンでみられるウニは,このタイプばかりだったように思います.



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イソギンチャクの中にクマノミが.

このクマノミはなかなか負けん気が強くて,

何十倍も体が大きい私に対しても威嚇してきました.



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テーブルサンゴ.

でっかいですねえ.この隙間にたくさん生物がすんでいるはずですが,

サンゴはいろんな意味で破壊が難しいので,ある意味最強の隠れ家かもしれません.


2015年10月30日~11月6日 タイサンプリング➈

せっかく水中写真をたくさん撮ったので,

しばらく紹介してみたいと思います.
 

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イボウミウシの仲間.

なんだか思い出したようにポツポツ出てくるんですよね.



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巨大なヤギ.実に立派ですね.

まさに身の丈ほどありました.



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マンジュウヒトデ.水深3 m位の岩肌にくっついていました.

コイツをひっくり返すと...



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  口からチビクモヒトデがわさわさ離れて?いるようでした.

ひょっとして捕食されているのでしょうか?

名前は可愛いんですが,意外に凶悪なヒトデなのかもしれません.


2015年10月30日~11月6日 タイサンプリング⑦

水中写真の続きです.

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一つのヤギに,三個体のウミシダが絡んでいます.

資源不足でしょうか.



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ナンヨウキサンゴ?でしょうか.

潮通しがよいのかもしれません.

サンゴの根元のカイメンも気になります.



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ヘルメットイシの類のサンゴです.ちょうど二つに分裂したばかりでしょうか.

いかにもこれから再生するぜ!といった心意気を勝手に感じました.



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岩肌に小さな単体サンゴを発見.



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デカいトサカの群体です.私の上半身位はありました.



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シャコガイがカイメンに覆われたのでしょうか.

なんだかハロウィーンを思い起こさせる色あいと形です.
 

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最後にトサカの写真です.



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同じ個体を,フラッシュつきで撮るとこんなに色あいが違います.

光の減衰を感じますねえ.


2015年10月30日~11月6日 タイサンプリング⑥

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今回は,今原先生に水中カメラを貸していただきました

ありがとうございます

初水中カメラを携えてのダイビングに,心が躍ります.

 
 

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潜水ポイントでは,ガンガゼの群れがお出迎え.どこに行っても群生しているんですねえ.

 
 

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イソバナの類でしょうか.この写真からはわかりにくいかもしれませんが,

ポリプが良く触手を伸ばしているため,軸の周りがフサフサしています.



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 この海域では,ウミシダがヤギに絡んでいるのをよく見かけました.

もはやウミユリの風格.

 
 

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カイメン.このような杯状の種がたくさんみられるのですが,

杯の底の方に溜まっている砂などは,いつ,どのように排出されるのでしょうか.



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ヤギ調査に勤しむ今原先生のご様子.

一回のダイブではとても見切れない数のヤギがいたそうです.


2015年8月28日~9月4日 京都大学臨海実習第一部+四部+公開臨海実習「自由課題実習」~番外編~

そういえば,京大の実習でなかなか面白い生き物たちが得られたのでご紹介いたします.



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キクメイシモドキでしょうか?畠島の内湾側で見られました.

なんだか個体同士が離れている印象.



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トックリガンガゼモドキ.

最近発見した畠島の棘皮動物ゾーンにいました.

ガンガゼに似て,体の反口側真ん中の肛門が突出していますが,

トゲがよりふと短く,白黒の縞模様になっているのが特徴です.



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そして最近発見した面白生物はこれ

ヌノメイトマキヒトデです.

最近まで畠島には本種はいないといわれていたのですが,

よーく他種と比較してみると,どうやら分布している事が分かったのです.



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こちらは近似種のトゲイトマキヒトデ.

体の真ん中たりに,細い白いスジのようなものが五角形の模様を作っているのが,わかりますか?



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対してこちらはヌノメイトマキ.

前者のような筋構造がないことから区別できます.
 

おそらくこの二種は私が瀬戸に来た頃からずっと同所的に生息していたと思うのですが,

最近になって意識してみるまでは,別種と気づきませんでした.


 

とある先生の,「これは別種じゃないの?」の一言で詳しい同定に踏み切った次第です.

先入観は恐ろしいものですね.



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打ちあがってしまったモミジガイ.

本来砂に潜っている種ですが,おそらく弱ってしまったのでしょう.

体がややボロボロになり始めていました.



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イソアワモチ.白い筋のようなものは彼らの糞で,

これを辿っていくと,岩の表面に擬態している彼らのところにたどり着くことができます



そんなこんなで,意義深い畠島探索でした!


江津良でシュノーケリング④

 

 

 

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江津良でシュノーケリングの生物シリーズもそろそろ終わりにしましょう.

最後は棘皮動物と軟体動物です.

石をひっくり返すとアカクモヒトデがいました.

目立つし個体数もそれなりに多いので,初心者向きです.
 

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これもアカクモヒトデと生息地や生態が似ているクロクモヒトデ(多分)



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ウデナガクモヒトデ.名前の通り腕が非常に長く,

且つ自切しやすいので,完品を得るのが少し難しい.
 

因みにクモヒトデの採集の方法ですが,腕を引っ張ったりするのでなく,

盤をやさしく手で包み込んでみてください.

そうすると,手の中に自ら収まってくれます.

石などの隙間に入り込もうとする習性を利用した採集法です.



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タコノマクラもいました.砂の中に潜っている事が多いのですが,

運よく石の隙間に見つけることができました.



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ホンナガウニ?

白浜では小型の個体が多いのですが,これは結構大型でした.



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トラフナマコでしょうか.

イソナマコに少し似ていますが,こちらの方が柔らかめ.
 

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砂の上にコロッとマガキガイ.

目を出している様がミギーそっくりなのですが,

残念ながらちょっとさわると警戒して引っ込んでしまいました.



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最後に,カコボラが産卵していました.

砂の中に産み付けようとしていたところを採ってしまいました.

その後,元気なベリジャーが飛び出してきたので,海に帰してあげました.


FSERC NEWS

フィールド研のニュースレターに記事を書かせてもらいました.
 

河村真理子・岡西政典 (2015) 瀬戸臨海実験所の臨海実習.FSERC NEWS. 36: 1.

 PDFはコチラ↓

https://fserc.kyoto-u.ac.jp/main/book/ltr36.pdf



簡単なノートですが,

少しでも瀬戸の教育活動のアウトリーチができればうれしいですね.



ちなみに,今年度から瀬戸に特定助教として着任された,

加賀谷先生の紹介記事も掲載されています



ところでこの記事を書いていて知ったのですが,

棘(きょく)って,常用漢字じゃないのですね. 
 

せいぜい輻楯くらいかと思っていたのですが,

今後はルビにも心を配ろうと思ったのでした.


畠島ウニ調査③

 ウニ調査も終わり,昼食を採って,

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「そろそろ始めますか...」
 

にわかに立ち上がり,
 

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磯観察始めました
 

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せっかく畠島に来たので,昼休みを利用して磯観察.

早速大きなオニイソメが見られました
 

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1 mはゆうにあろうかという巨体.頼もしいですねえ.

しかし大きいものは3 mを超えるらしいので,

まだまだ若造のようです.
 

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多毛類専門家の加藤さんによれば,

どうやら途中でいこのように色が変わっているのは,

一度ちぎれた部分が再生している証拠とのこと.

これだけ大きな体でも条件さえよければ再生できるのですね.
 

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水際に移動させて,ご尊顔をアップで.

このモンスター感,たまりません.
 

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思わぬ撮影会の機会となりました.

AKBよりもOIM!
 

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他にもこんな生物が.

この棘の短さ,何のウニかと思いきや.
 

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どうやらムラサキウニだったようです.

一度ほとんど棘が脱落してしまうようなピンチに見舞われながら,

こちらも再生に成功している模様.

生命の神秘に触れた畠島観察でした.


畠島ウニ調査②

ウニ調査の続きです.

コドラートの枠ができたら,後は枠内のウニを種類ごとに計数するのです
 

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...が.それなりの数のウニを,正確に測るのは至難の業.
 

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そこでこのチェーンの出番です.

これで,現在の自分の調査ラインを線引きをしながら計数できるというすぐれもの.
 

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更に,ごくまれに出現する小さい個体(殻径1.5 cm未満)は,

この透明なプラスチック板のメジャーを使って特別に計数します.

先人たちの知恵が受け継がれています.
 

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潮もいい感じに引いています

今年はなかなか面白い調査結果になったそうです
 

続く.


畠島ウニ調査①

畠島で毎年行っているウニの生態調査をしてきました

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ゾエアを運転する加藤さん,
 

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および船員を務める山内さん.

お二人とも飼育担当ですが,船員も務められます
 

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いい感じで雲っており,調査日和です
 

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畠島の北西部の先っちょに来ました.

加藤さんが指さすところが調査地です
 

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まずメジャーで距離を測り,
 

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しかるべき岩に釘をうつ.

※調査後は回収します.
 

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この釘に赤い紐を引っかけて,
 

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巨大なコドラートを作ります

これで調査の枠が完成しました
 

後半に続く.


白浜ドレッジ④

先日のドレッジで変なクモヒトデが採れました.

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こいつです.

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残念ながら体は半分です.弱っているわけではなさそうなので,

分裂中かもしれません.

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変ポイント:体が皮で覆われている.

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更に変ポイント:腕の反口側で皮が内輪状になっている.

ふーむ,今同定を進めていて,こいつか?というところまでは行きついていますが...

ひょっとするととても面白いやつかもしれません.ホクホク.

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Ophiologimus hexactisも採れました.

すぐに盤が溶けてしまいます.今回も完全体の捕獲はならず.

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ちょっと大きめのスナクモヒトデ類.

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Ophiomusiumの類.この類は異様に体が硬いのですが,

一体普段どのように生活しているのでしょうか.

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トゲクモヒトデ類.深海に多い類です.

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 他にも,マツカサキンコと思われるものも.

棘皮とは思えませんねえ.


目録が出版されました

沖縄の棘皮動物の目録が出版されました
 

藤田喜久,入村精一,木暮陽一,岡西政典,François Michonneau, 成瀬貫.(2015)

琉球大学資料館(風樹館)棘皮動物標本目録.

琉球大学資料館(風樹館)収蔵資料目録 第10号.pp. 106.
 

私はツルクモヒトデ目とクモヒトデの一部の同定・写真撮影・および序文の執筆をお手伝いしております.

PDFへのリンクはこちら↓(画像をクリック!)
 

 琉球大学資料館 棘皮動物標本目録

ページ下部のリンクからDL出来ます(35.9MB)
 

225種の写真288枚が掲載されておりますが,他の著者の皆様の写真はいずれも非常に美しく,

私が撮影した写真のクオリティの低さをただただ恥じるばかりです.
 

タイトルページの各綱の写真は特に美しく.

私もこのように対象分類群に「愛」を持たねばとハッとさせられました.
 

沖縄には多数の棘皮動物が生息しているにも関わらず,

包括的な報告はありませんでした.

本書が今後の沖縄の棘皮動物研究の進展に役立ちますよう 
 


ニシキクモヒトデの謎を追え②

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先日お伝えしたニシキクモヒトデ.

ほとんどヤギに絡んでいることは以前からお伝えしている通りですが,
 

ヤギに絡まず岩場に張り付いているものもいるのです.
 

彼らは何故わざわざ岩場という荒野でその身を危険にさらしているのか?
 

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ということで,岩場の個体をとってきて,

足掛かりになりそうなものを入れてみました.

まずはクリップです.
 

因みに,形態観察からはヤギに絡んでいるものと違いがみられませんでした.
 

こんな安直な実験でいいのだうか...

ニシキクモヒトデにもプライドがあるのでは... 
 

 
 

10分後
 
 
 
 

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めっちゃくっつきましたね...
 

別にヤギでなくても良いようです.
 

うーーむ,彼らはなぜ,どうやって,ヤギに絡んでいるのでしょうか.
 

これだけ簡単に採れて,飼育も比較的簡単なので,

実験で証明できそうです.


書籍紹介①「ウニ学」

 

 

突然ですが本を紹介いたします.

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その名も「ウニ学」
 

東京工業大学名誉教授の本川達雄先生が編集されています.
 

ウニを題材として,行動,水産,形態,生態,分類,ゲノム科学に至る幅広い分野をカバーした優れた学術書です.
 

「ウニ」と銘打たれてはいますが,棘皮動物の基礎的な知見も学べる,

数少ない棘皮動物の「日本語教科書」でもあります.
 

なぜウニは「五放射」なのか?

どうやってごはんを食べているのか?

移動手段は?

ほとんど動かなくても生きていけるのはなぜ?
 

海の景観づくりに一役買い,食卓を彩り,

親しみ深い「ウニ」ですが,

この本を読めば貴方のウニを見る目が変わること請け合いですよ.
 

春休みの愛読書に一冊いかがでしょうか.


ブンブク

 

 

水族館の飼育員さんが,砂の中に潜んでいた生物を発見しました.

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ジャーンこちらです.このフサフサの生物.
 

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ウニです.

先ほどの写真は口側.こっちは反口(背)側.
 

ブンブクという類のウニで,体が前後にやや細長くなっているので,

厳密な星形ではなく,左右対称です.

一番上の写真では,左側が進行方向になります.
 

このようなウニを不正形ウニといい,

他にもカシパンウニやタコノマクラといった類がこの仲間になります.
 

これに対してムラサキウニなどの,

背側から見るとほぼ完全な円形になるのは,正形ウニといいます.
 

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不正形類の一つの特徴は,この花紋と呼ばれる管足孔の列です.

4つの管足孔が列を成していますが,実はここから4つの管足が伸びるわけでなく,

2つの孔から1つの管足が出ます.

実はこれは呼吸用に発達した管足です.
 

これらのウニは砂に潜って暮らすため,

呼吸用管足で効率よくガス交換する必要があります.

そのために管足内で効率的に水を循環させなければなりません.
 

管足

呼吸用管足の断面図.矢印は水流を表す. 
 

1つの管足の中に2つの仕切りとなる孔があると,双方で別の方向の流れを作ることで,

管足内の水の対流をよくするという仕組みということです.

詳しくは上の手書きの芸術的なイラストをご覧ください.
 

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因みに,フサフサの毛は光沢鮮やか.
 

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口の周りには房毛管足と呼ばれる,一見イソギンチャクのような管足があります.
 

このようにブンブクの体は,砂中で暮らすための様々なうまい仕組みに満ちているだけでなく,

機能的に洗練された形態には美しさすら感じられます..

気になった方は,是非ともウニ本を読んでみましょう
 
 

海洋大でウニを研究しているの田中颯さんに聞いたところ,

どうやらオオブンブク(Brissus agassizii)か

ミナミオオブンブク(B. latecarinatus)の可能性が高いとのことです.
 

田中さん,ありがとうございました


チーム棘皮動物

 

三崎調査を終えた翌日,

やり残しの仕事を片付けに,急遽科博で調査を行いました.
 

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なんと偶然,その日はアメリカのスミソニアン博物館から,

Christopher Mah博士(ヒトデ系統分類学者)が科博に調査に到着した日でした.
 

せっかくなので,つくばセンター駅で一緒に食事をして,

藤田研の院生と一緒にパシャリ.
 

左から,M2の新井君(ヒトデ),研究生のAbe Woo君 (ナマコ),私(クモヒトデ),Chirs (ヒトデ)です.

撮影してくれたD3の倉島君,ありがとうございました!
 

実はChirsとは,ちょうど四年前のスミソニアン博物館訪問以来の再開でした.
 

最近の棘皮動物学の動向から,生き物好きにはたまらない,彼のブログの話まで,

楽しいひと時を過ごしました.
 

さあ,あとは東大での調査を残すのみです


15th International Echinoderm Conference

第15回国際棘皮動物会議が,5月にメキシコのカンクンで開催されます.

ウェブサイトはコチラ↓

http://www.icmyl.unam.mx/15iec/index.html
 

約3年周期で,大陸持ち回りで開催されている本会議.

棘皮動物の,自然史研究物が集う数少ないチャンスです.
 

前々回(2009:タスマニア)は私の国際会議初陣でした.
 

前回(2012:ベルギー)は,経済・スケジュール的問題で不参加でしたので

今回は何としても参加したいところではあるのですが,

いかんせんメキシコは遠い
 

パッと調べてみても,航空券約16万円,所要時間片道21時間
 

5月というのがまた微妙なところ.

なれど容赦なく迫りくる参加登録締め切り.
 

まずは発表ネタを練り上げるために,科博での作業を頑張ります.

それから考えよう
 

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2009年のタスマニア会議での様子.

会議最終日,フェアウェルパーティーのこの日,

謎の発熱に襲われ一日寝込んだのは今は良き思い出です.


ウニウニ君

 

 

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ウニの解剖開始

外部形態→内部形態と,みられる特徴を余すところなく見ていきます.
 

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そしてこちら!今回は秘密兵器を導入していました.

私(右手)が触っているタッチパネルにウニの動画を映し出し,

詳しいウニの特徴を詳細な動画で理解できる次世代型教育機器です.

この写真では,私のタッチパネルの操作が,そのままモニターに反映されます.
 

叉棘の動きや多孔体の配置,水管系の仕組みなど,

なかなか解剖の現場では全員に教えにくいことも,

この装置ならその場で瞬時に見せることができます.

また,本来は展示品として開発したものなので,自発的な学習にも役立ちます.
 

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開発者はこの方.自然共生研究センターの渡辺友美さんです.

実は今年の動物学ひろばの隣のブースでこの展示を見かけたときにお話をして,

今回の実習に使わせていただきました.

お陰様で,いつもは解説が難しい部分まで詳細に見せることができました.

ありがとうございました!
 

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まだ開発途中らしく,今後,様々な意見を取り入れ,教育用にも開発を進められるとのこと.

完成版が楽しみです

ちなみに,今回の実習でこの装置に「ウニウニ君」という愛称が付けられることとなりました

 


棘皮動物の解剖

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今年最後の実習では,棘皮動物(ウニ,ヒトデ,ナマコ)の解剖を担当しました.
 

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クモヒトデは解剖できるほどの大きさではないので,

標本でその存在を紹介.
 

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ウニの解剖の方法の説明.基本的には赤道面上でパカッと割ります.
 

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こちらが,ウニの体内部の様子.北極から(口側を)見た様子です.

真ん中にはアリストテレスのランタンとも呼ばれる,強大な歯を備えているのがわかります.

体の側面にあたる部分には,黒色の消化管が裏打ちされています.

時期であればこの消化管の間に生殖巣が発達しているのですが,

残念ながらこの個体ではほとんど見当たりませんでした.
 

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  ヒトデも,腕二本を切って,その間から盤中心を除くように観察します.

ウニでもヒトデでも,瓶嚢と呼ばれるスポイト状の部分で,

水管系の水圧を調整している事が見て取れるかと思います.


仕事納め

 

 

先日は仕事納めでしたね.
 

私も,今年最後の仕事を終えてきました.

12/25-27にかけて,大阪府立豊中高校の臨海実習が行われました.

スーパーサイエンスハイスクールの一環で,

生物好きな高校生たちに,大学の教育カリキュラムの一部を体験してもらうという催しです.
 

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我々研究員も協力いたしました.こちらは河村博士によるウニの実習.

今年最後の実習の様子をレポートしていきます
 


棘皮グッズ

  先日の記事で,クモヒトデイヤリングをご紹介いたしました.



木登り1

こちらが所有者の@木登りヤギ(Twitterアカウント)さんです.

なんとこの方,この日は全身棘皮グッズで参加されていました.



ウニ・ヒトデネックレス,ウニTシャツまで

木登り2

おそらく会場における棘皮力は群を抜いていたと思います.
 

実はこのようなありとあらゆる生き物愛好家で集まって,

グッズ販売,パネルディスカッション,講演等によて交流する

参加型創作イベントがあるそうです.



その名も「いきもにあ



一年後の2015年12月12-13日に,

京都市勧業館「みやこめっせ」で開催予定とのこと. 
 

もし余裕があれば,次回は参加して棘皮グッズをゲットしたいです



ちなみに,木登りヤギさんは,かの有名な

なにわホネホネ団」にも所属されています.


もづるcafe

 

2014年12月7日に,東京高田馬場にて,モヅルカフェを開催してきました
 

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サイエンスカフェということで,雑誌の表紙などを参考に,

なるべくオシャレなフォントを使ってタイトルページを作りましたが,

持ち込んだノートPCへのフォントのインストールを忘れたため,

あえなく撃沈.慣れないことはするもんじゃないですね
 

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たっぷり一時間半,モヅルや研究についてあれこれしゃべってきました.
 

そもそも,テヅルモヅルとは何者なのか?

海藻ではありません「クモヒトデ」です
 

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では,そのクモヒトデとは何者なのか?

クモでもヒトデでもありません!でも,ヒトデはちょっと惜しい
 

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クモヒトデもヒトデも,ウニやナマコと同じ「棘皮動物」というグループに含まれます.

じゃあ,よく言われるクモヒトデとヒトデの違いとは?
 

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私が専門にしている分類学ってどんな学問?

その歴史と実際まで,楽しく解説してきました.
 

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なぜ,私はテヅルモヅルを研究しているのか

テヅルモヅルを研究する意義とは?8年間蓄積した情熱をぶつけてきました.
 

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そして,前日の棘皮動物研究集会でも発表した,

キヌガサモヅルの分子系統地理のお話もしてきました.
 

参加者(サポーター)の方から「思ったより進んでいてびっくりした」とおっしゃっていただきました
 

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最後に,みなさんでもづるポーズ
 

「もづるトークをします」との呼びかけに,これだけの人が集まってくださいました.

なかなか注目されにくいマニアックな研究でも,

ちゃんと人の知的好奇心の一部を満足させられることが分かっただけでも,

開催して良かったと思います.
 

academistの支援者の皆様,

academist事務局の柴藤さん,森さん,

そしてもづるカフェにご参加いただいた皆様,
 

本当にありがとうございました
 

これからも頑張ります


棘皮動物研究集会③

 

勿論私も発表しました
 

「キヌガサモヅル(棘皮動物門:クモヒトデ綱)の分子系統地理」

岡西政典(京大・瀬戸臨海)・藤田敏彦(国立科博・動物)
 

無題

ちょっと画質がよろしくないのは,暗闇のせいではございません.

実はこれは,動画のキャプチャーなのです
 

今回の発表は,academistのご助成で進められたもので,

当初予想していたよりも,とても面白い結果が出つつあったので,その内容を発表しました.

さらに詳細に標本を検討できれば,論文にできそうです
 

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こうして,ポスター発表,口頭発表共に大盛況のうちに幕を閉じました.

締めの挨拶をしているのは,今回の世話人の一人の,三崎臨海実験所の大森紹仁先生です.

今回の研究集会を取り仕切っていただきました.本当にありがとうございました.
 
 
 

そして
 
 
 

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打ち上げの始まりです
 

大いに研究した後は,大いにのまなくてはなりません.

美味しい三崎のマグロ料理と地酒に舌鼓を打つのでした.
 

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大分お酒も進んだところで,みなさんとパシャリ.

私の左手が神奈川大学のウニの古生物の大御所,金沢先生と,

右手が今回のもう一人の世話人,三崎臨海の幸塚先生(ウミシダの専門家)です.
 

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とにかくみんな仲良く,お酒も研究も楽しむのが棘皮動物研究者です

来年もよろしくお願いいたします
 

今回お世話になった集会オーガナイザーの皆様,

発表に対しご意見をくださった先生方,

懇親会でお話してくださった皆様に,感謝を申し上げます.
 

そしてacademistでご支援いただいた皆様,

ありがとうございました


ウチノミナンカイヒトデ

 

「珍しいヒトデが入った」

という話を聞きつけ,水族館へ向かいました
 

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こちら!ウチノミナンカイヒトデAsterodiscides helonotusです

このナンカイヒトデ類(科)は,腕の先っちょの1対の上縁板が特に大きくなるのが特徴で,

和歌山県立自然史博物館で飼育されていたヤマトナンカイヒトデもこの特徴を持つのですが,
 

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この種の上縁板はずいぶん巨大です.

まるで蹄のよう...
 

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体表面を覆う顆粒も,色々な形があってかっこいいですね
 

因みにこの種は,偉大なヒトデ研究者であるFisherによって1913年に新種として発表されたという事なのですが,

原記載と思われる以下の文献にあたってみましたが,どうにも記録が見つかりません.
 

Fisher, W.K. (1913)

“Four new genera and fifty-eight new species of starfishes from the Philippine Islands,

Celebes, and the Moluccas”

Proceedings of the US National Museum, 43: 599-648.
 

うーん,なぜでしょうか.情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら,ご連絡くださいませ.
 

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因みに,白浜水族館には,今年になって飼育を始めた可愛いオカヤドカリや,
 

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我々がドレッジ調査で採集したスナダコ等が飼育されていました.

冬休みは解説ツアーもやります
 

是非ともお越しください

 


棘皮動物研究集会②

まだまだ続く棘皮動物研究集会.

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実験施設の中には,水槽がたくさんありました.

さすが海洋生物エボデボのメッカ。ちょっと暗いですが,

こちらはアカウニ水槽.
 

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こちらはハネジナマコ水槽.
 

しかし,実はハネジナマコの学名には混乱があるらしく,

ナマコ研究者の方の「これ,ハネジナマコじゃないよ」発言に,

しばらく現場が騒然としていました.
 

実際には,まあ,研究している実態が違うわけではないから大丈夫か,という話に落ち着いていました.
 

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ポスターセッションにはお菓子や飲み物がフリーで用意されていました
 

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古生物の発表や, 
 

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今話題のオニヒトデに関する発表や,
 

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なんと,三崎に生息するテヅルモヅルの発表まで

といいつつ,まあ私も共著者の一人です(笑)
 

三崎のイソバナ群落に付着するセノテヅルモヅルの幼体の発表です.

テヅルモヅルは発生等は未だに謎のままなのですが,

イソバナ群落におびただしい数が付いているということで,

その個体数や,成長と腕の分岐数の計測をした研究です.

時間をかけてモニタリングすれば,何かの発表になるかもしれません.
 

聴衆の中に,棘皮動物猛者が

何と,ワモンクモヒトデイヤリングです
 

私も様々な棘皮動物グッズに目を配ってきましたが,

クモヒトデをイヤリングにしているのは初めて見ました.天晴.
 

世界はまだまだ広いですね.


棘皮動物研究集会①

2014年12月6日に開催された,棘皮動物研究集会に行ってまいりました.

今年の開催地は,東大の三崎臨海実験所.

非公式な集会ながら,今回は,

約70名もの参加者が集まったそうです.
 

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口頭発表とポスター発表の合間に,実験所の施設見学がありました

こちらは,臨海実習を行っている,日本海洋生物学百周年記念館.
 

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こちらが実習室.実は三崎を訪問するのはこれが7年ぶり2度目.

臨海実習に携わる身としては,ずいぶんと見方も変わるものですね.

机が円形に配置されているのは,陽の光を十分に取り込むためだそうです.
 

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実習室の標本棚が,透明です

これは大変見やすい!とても参考になります.
 

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危険生物の告知は瀬戸でも行っていますが,

そういえば水産有用種についてはあまり触れていません.

少なくともここに上がっている種のほとんどは瀬戸でも採集できるので,

何らかの告知をしてもよいかもしれませんね.
 

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記念館からの眺め.窓外は油壷湾の入り口に臨み,

実験所の調査船「臨海丸」(奥の大きな船)が見えます.
 

なんと2000mのケーブルが巻かれているということで,

かなりの水深(浅くても700 mくらい?)まで調査が可能です.
 

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屋上に上って,油壷湾を眺める棘皮動物研究者方.
 

毎年若手だけでなく,大御所も多数参加されており,

若手と先生方の交流が活発なのが本集会の特徴でもあります.
 

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この場所には,通称「グリーンハウス」と呼ばれる木造の実験棟があったのですが,

東日本大震災の際に焼失してしまったそうです.
 

残念ですが,他に被害がなかったことは不幸中の幸いでしょうか.
 

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記念棟と研究棟までは,景色のいい小道でつながれています.

集会当日は天気に恵まれ,とても美しい景色まで堪能できました

 


タイの水族館②

 

ずいぶん前のことになりますが,

タイの水族館のレポートが途中になっておりました.
 

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途中から無脊椎も本気を出してきました

赤と白のストライプが美しいサラサエビ.
 

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カメラに向かってポージングをしてくれました.

すかさず激写
 

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ホネナシサンゴ.
 

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そして最後はまたお魚ゾーンへ.

なんだか考え込んでいるタツノオトシゴ.
 

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巨大なタマカイ.こんなのと一緒に泳げたら,楽しいでしょうねえ.

※ただし,稀にダイバーに強力な一撃を加えることもあるそうです.注意
 

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海中トンネルまでありました

定番のエイが真上を通過してくれて満足

しかし,エイの口側って何とも言えない顔に見えますよね.
 

そうこうしているうちに,イベントの時間が始まりました

薄暗いシアタールームのような場所に行くと...
 

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何と人魚のロボットが

何年か前に韓国で開催された環境保全のイベントで作られたそうです.

かなり滑らかに動いており,音声に合わせて口を動かしていました.

タイの技術力の粋をみました
 

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お客さんは我々のみという贅沢さ

広々空間で,保全について学びました.

因みに,後で判明したのですが,この人魚のロボットは日本製だそうです.
 

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出口(入口)付近に,なぜかヒトデの詳しい体の仕組みのパネルや,
 

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ナマコの食事法についてのパネルが展示してあることに気づきました.

何故かわかりませんが,この水族館ではずいぶん棘皮動物を贔屓にしてもらっているようです.
 

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これはナマコのデミグラスソース煮込み?

これは棘皮動物研究者としては一度は食べておかねばならない代物ですね.
 

こんな感じで,タイの最終日は過ぎていったのでした.
 

 


鳥取県立博物館に行ってまいりました④

鳥取県立博物館でのシンポジウムが終わり...
 

新たな実習も始まり,SMBLは秋の気配.
 

しかし夏はまだ終わらない
 

鳥取オフショット集です
 

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サンゴ展に掲載さていた勉強になるパネル.

最深の刺胞動物門ない大系統と,その中での骨格を作る分類群(サンゴ)の位置.

こうしてみると,サンゴが刺胞動物内で多系統であることがよくわかります.
 

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つづいてこちらも勉強になったパネル.

グレートバリアリーフは日本語で「大堡礁」というんですね.

欲とよく考えると,海外にあるものに和名がつけられているのもすごいことです.
 

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待合室で見かけた,おそらくキノコ展の産物かと思われるキノコぬいぐるみ.

この後千徳博士の手によってどうなったかは,彼女のブログをご覧ください.
 

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シンポジウム後に連れて行ってもらった居酒屋「かたつむり」.

実に隠れ家な雰囲気漂う良い店でしたよ
 

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シンポジウムお疲れ様でした!乾杯

むむ,しかしこれでは雰囲気が伝わりませんな.
 

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改めていざ

そう、この躍動感があってこその乾杯です
 

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夜遅くまでサンゴについての楽しいお話を聞かせてもらいました.
 

この日は一か月以上に渡った特別展の最終日でもありました.

準備から本番までのほとんどの作業行程を手掛けられた徳田さん,本当にお疲れ様でした.
 

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鳥取の美味いもんをいただきましたよ
 

手前の茶色い練り物が鳥取名物あごちくわ,

その隣の小鉢の中身は,言わずと知れた鳥取の定番らっきょうです.
 

その他にも豆腐ちくわなど,たくさんの珍しくておいしい名産品を頂きました
 

いつも名店を紹介してくださる徳田さん,ありがとうございます
 

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最後に,シンポジウム後にお話をされる千徳博士と江崎先生の師弟ツーショット.
 

江崎先生には,今回もいろいろとご馳走になってしまいました.

いつか恩返しができるように,頑張ります!
 

さてさて,もうすぐ実習が終わりますが,

その後はすぐに動物学会に参加してくるために仙台に行ってまいります.
 

11日L会場 16:45

岡西政典(京大・瀬戸臨海),藤田敏彦(国立科博・動物)

「日本産キヌガサモヅル(クモヒトデ綱:ツルクモヒトデ目)の分子系統解析」

 
 

国立科学博物館の藤田先生と共著です.
 

13日には座長も務めさせていただきます.
 

頑張ります


グリーンホテルモーリス

出張で鳥取に来ています.
 

明日から鳥取県博で講演があるのですが,

宿泊先のホテルグリーンモーリス

もうすごいんですよ
 

大浴場完備(サウナ・ジェットバス付き)

浴場にはタオル,シャカシャカ・ブラシ・綿棒・ドライヤー・マッサージ機完備

本,新聞,漫画完備

洗濯機・乾燥機あり

勿論自販機有り

枕,空気清浄機,ズボンプレッサー完備

Wifiサービスあり

朝食付き
 

これで一泊約5000円です
 

すげー
 

他にもサービスがありすぎて把握しきれません
 

今までいろんなホテルに泊まりましたが

ここのサービスはピカイチですね.
 

英気を養って

明日は頑張ります


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習④

京大実習レポートももう第四弾です.

付着生物実習の次は,発生学実習です
 

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講師は毎度おなじみ,宮崎先生です.

詳しい事前解説の様子は,これまでの実習の様子をご覧下さい.

今回は実践の様子をかいつまんでレポートいたします.
 

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ウニを散髪(棘)中.棘が飛んで目に入らないよう,ゴーグルで完全防備
 

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配偶子誘発物質(塩化アセチルコリン)を注射したウニを観察中.

雌であれば,生殖孔(反口側にある)が水につくようにして,卵が容器の底にたまるのを待ちます.
 

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採卵を観察中.なぜこのように,卵同士がくっつかずに,

一様の間隔で配置されるのか?気になったあなたは公開臨海実習に参加しましょう

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お次はナマコの発生実習です.

ナマコは,ウニのような薬品による放精抱卵の誘発が困難です.

そこで,このようにある方法でナマコの生殖腺を吐き出させます.
 

解剖によって精巣・卵巣を取り出すこともできますが,

とある方法で無傷(?)で吐き出させることができます.

気になったあなたは公開臨海実習に参加しましょう!
 

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赤いソーメンみたいのが取り出されました.

これは色からして卵巣ですね.このように,ピンセットでしごいてやると...
 

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赤い小さな粒粒をとりだすことができます.

これが卵です
 

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そしてこちらはクリーム色をした精巣です.

これもハサミ等でチョキチョキ切ってやると,精子を取り出すことができます.
 

では,あとはウニのようにこれらを混ぜ合わせておしまいかというと,

実はそう単純なものではありません.
 

ナマコの卵は,成体内では卵形成が減数分裂の第一分裂前期でブロックされています.

この状態では受精能力がなく,いくら精子の懸濁液と混ぜ合わせても受精は起こりません.
 

自然状況下では,温度変化などの環境変化を感じ取ったナマコが

体内で卵成熟を進め,放卵を行うのですが,

実験室での誘導はなかなか大変で,確実とは言えません.
 

そこで,本実習では「ある方法」によって,ナマコの卵を実験的に成熟させます.
 

その方法とはなんなのか?
 

ふふふ,気になってきたでしょう.
 

続きはまた明日
 
 
 
 

...余談ですが,ウニの卵はこのような方法を用いずとも,

放精,抱卵させた配偶子を混ぜ合わせることで簡単に受精させることができます.

このように,生殖期に配偶子が成熟状態で体内で待機している動物は実は少数派です.

ウニが古くから発生実験に使われてきた所以と言えるでしょう.
 

他にも,
 

・採集が容易

・放精・抱卵を簡単に誘発できる

・卵が大きく観察しやすい

・一年中,生殖期の種採集できる(場所によりますが).
 

などなど,実はウニは発生実験において,

唯一無二と言えるほどの優れた実験材料なのです.
 

と,何気なく棘皮動物アピールをしておきます