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プロフィール オカニシマサノリ

講演をします [2/1(金)]

2/1に講演をします。以下詳細です。

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よさこい生態学セミナー

【日 時】2019年2月1日(金)16時30分~18時00分
【参加費】無料

【会 場】高知大学物部キャンパス 附属暖地フィールドサイエンス教育研究センター講堂

http://www.kochi-u.ac.jp/outline/campus_map_monobe.html

 

「クモヒトデを研究する

~フィールドワークに基づくアプローチ」

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参加無料のようです。要旨など、詳しくは以下のHPをご参照ください。
http://yosakoiseminar.blogspot.com/

 

実家にとても近い場所で凱旋?講演です。

お声をかけてくださった高知大学の鈴木紀之先生、

ありがとうございます。

頑張ります!


おさえておきたい学名文法

※この記事は基本的に「野田泰一・西川輝昭(編集:2005)国際動物命名規約第4版(日本語版)」を参照しています。また、間違いなどございましたら是非ご連絡ください.

 

種名の表記にはいろいろなパターンが存在する.

  • 亜属は大文字で書き始め、属名の後で()内に入れる:
    • Asteroschema (Ophiocreas) caudatus Lyman, 1879 (クモヒトデ)

 

  • 亜種小名は小文字で書き始め、種小名の後につける
    • Gorilla gorilla gorilla (ニシローランドゴリラ)

 

  • 集群は小文字で書き始め、種小名の前で()内に入れる(動物):
    • Ornithoptera (priamus) croesus Wallace, 1865 (チョウ)

 

  • 亜種の種群は小文字で書き始め、()内に入れて種小名と亜種小名の間に挿入する
    • Aus aus (aus) aus

Xus (Xus) (aus) aus (aus) aus (6語)もあり得る!

 

  • 属名は主格単数の名詞限定だが,種小名は形容詞でも,名詞でも可

  Mus rattus (ネズミ―ネズミ)

 

  • 種小名が形容詞の場合,属名と性の一致をしなくてはならない

  Asterochema amamiensis ⇒ Squamophis amamiense

 

  • 良く使われる語尾とその性:-us (男性), -a (女性), -um(中性

 

  • 種名をラテン語で表記するのは印刷上のならわしに由来で,厳密にはイタリックにする必要はない

 

  • 女性への献名語尾は-ae,男性は-i

 Calyptogena okutanii, Basilissa soyoae

 

  • 地名を表す語尾:-ensis, iensis, -ense, -(a)nus, inus, icus

  Zosterops japonicus, Nipponia nippon

 

  • 名前のアポストロフィーなどは除く(動物)

  Ophiura döderleini ⇒ Ophiura doderleini

 

  • 名前の接頭辞は,連結している場合のみ残す

  Vanderbilt ⇒ vanderbilti, von Letkemann ⇒ letkemanni

 

  • 学名は複数文字発音可能でないといけないが,発音さえできれば,意味が無くても可

  Meringa hinaka

 

  • 原則­学名に記号はつけないが,形質を表すアルファベットのみ,ハイフンで結べる(動物)

  Polygonia c-album (チョウ:シータテハ)

 

  • 属名と種小名の組み合わせは動物の中で唯一無二のものでなくてはならない(動物では属名のリストがある)

動物学のためのラテン語文法解釈

※この記事は基本的に「野田泰一・西川輝昭(編集:2005)国際動物命名規約第4版(日本語版)」を参照しています。また、間違いなどございましたら是非ご連絡ください.その他の引用文献はページ末に付してあります.

 

はじめに

  •  種名は,属名+種小名より成る.属名は主格単数の名詞であり,種小名はその修飾語である.
  • ラテン語は語尾変化言語であり,その単語は,変化しない語幹と,変化する語尾からなる.語幹がわかれば単語同士を連結させる,単語に接尾辞をつける,地名,地域名を種小名にするなどが可能となるため,語幹がわかるようになることは非常に重要である.
  • 語尾は,(種名に使われる範囲内では)性,修飾する単語の性,数に応じて変化する.
  • 種小名に用いられるラテン語の格は,主格属格の二つのみ.
  • 種小名に用いられる品詞は名詞,形容詞,副詞,動詞(ただし分詞化する必要がある),数詞,前置詞であるが,主に使われるのは名詞と形容詞である.

性の一致

種小名に形容詞を用いる場合,その性は属名の性に合わせなくてはならない.例えば属名が女性名詞であれば,種小名も女性名詞にしなくてはならない.したがって,新たな学名をつくる際や,ある種が属を移る際には,その種小名が形容詞である場合,属名の性との一致が必要となる.これは,辞書の引き方さえわかっていれば,至極簡単に判定することができる.

 

辞書を引き,単語の性,語幹,語尾,語尾変化を判定する

名詞の場合

見出し語(主格・単数),語尾変化(属格単数),性.が載せられている.このうち,語尾変化と辞書巻末の変化表,あるいは「種を記載する」の表8.1 を照らし合わせれば,語幹を決定できる.

例)abruptum, -i n. 深淵:(研究社 羅和辞典)

→名詞の語尾変化表から,この単語は中性名詞の第2 変化であり,その語幹がabrupt であることがわかる.

 

形容詞の場合

見出し語(主格・単数),語尾変化(修飾する性に伴う変化).が載せられている.

例) admirabilis, -e adj. 深海の:(研究社 羅和辞典)

→形容詞の語尾変化表から,この単語は主格単数形が男性と女性で同じく,中性では別の第3 変化であり,その語幹がadmirabil であることがわかる.

 

こうして語幹を判定することができれば,属名,種小名の意味を読み解くことはもちろん,種名作成も自由自在である.

 

様々な種小名の作り方

種小名の単語の構成には,様々なパターンがある.

 

  • 一単語の形容詞を用いる:非常に簡単だが,それゆえに既に使われている場合が多い.語尾を変化させることで比較級,最大級にすることもできる(種を記載する,p190 参照)
  • 過去分詞,現在分詞を用いる:動詞を分詞化したものを種小名に用いることもできる.動詞には第五変化までが存在するが,辞書を引いて,①第一変化であった場合は,その語幹に-ans をつけ,②第二~第五変化であった場合はその語幹に-ensをつければ現在分詞となる.また,変化形に関係なく,語幹に-us, -a, -um をつけると過去分詞となり,形容詞のように扱うことができる.
  • 名詞を用いる:種小名は,属格と同格の名詞にしてもよい.この場合,語尾は属の性と一致させる必要はない.
  • 合成語を用いる:複雑な意味を持たせることができる.基本的には一番目の単語の語幹に連結母音(a, o, i)をくっつければよく,様々な品詞を合成することができる.二番目の単語が形容詞の場合,その単語の語尾だけが性の一致をうける.連結母音は,響きの良いものを使うようである.
  • 形容詞+形容詞or 名詞+形容詞:辞書を引けばすぐにつくれて簡単である.
  • 接頭語(副詞,前置詞,数詞)+(名詞,形容詞,動詞,副詞):副詞,前置詞,数詞などの接頭語は語尾変化しないため,辞書の見出しに出てくる単語を,そのまま後ろの品詞にくっつけるだけでよい.
  • 名詞+名詞:二番目の名詞はそのまま名詞として用いてもよいが,過去分詞化する場合は属名との性の一致が必要となる.
  • 地名に基づく種小名:地名に,接尾辞-ensis-iensis を伴うことで,形容詞として扱われる.但し,属名が中性の場合は-ense-iense にしなくてはならない.また,その他に,-(a)nus, -inus, -icus などの接尾辞を加えて種小名とすることもできる.
  • 献名による種小名:献名したい人の名前の最後に,男性に個人名に基づく場合は-i を、女性の個人名に基づく場合は -ae を付ければよい.人名に基づいた種小名は,属格の名詞として扱われる.ちなみに、船はラテン語では女性名詞なので、船に基づく場合は-aeを付ける(例:soyomaruae: 蒼鷹丸に基づく場合)など。
  • 無意味な種小名:発音さえ可能であれば,ランダムに単語を並べたものを種小名としてもよい.このようにして作った名前は,一切語尾変化しない.

 

参考

辞書に掲載されている略語:

adj. 形容詞(adjective);adv. 副詞(adverbe);gr. ギリシア語起源の(Greek);num. 数詞(numbers);pl. 複数(plural);praef. 接頭語(prefix);praep. 前置詞(preposition);s. 名詞(substantivum);f. 女性(feminine);m. 男性(masculinum);n. 中性(neuter);suff. 接尾辞(suffix);v. 動詞(verbum)

引用

ジュディス・E・ウィンストン/著,馬渡峻輔・柁原宏/訳,2008.種を記載する,第8 章 種を命名する:語源学:pp. 179-209.

平嶋義宏/著,2002.生物学名概論

小野展嗣/編,2009.動物学ラテン語辞典


講演をします(9/22[土])

9/22に講演をします.以下詳細です.

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公益財団法人水産無脊椎研究所
財団設立30周年記念シンポジウム
「サンゴとサンゴ礁の生き物たち」

【日 時】2018年9月22日(土)13時30分~16時30分
【参加費】無料

【定 員】300名(定員に達した時点で締め切ります)
【会 場】東京大学農学部弥生講堂 一条ホール
東京都文京区弥生1-1-1 東京大学農学部内
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/yayoi/map.html

【講演者】
基調講演
「サンゴの常識・非常識」
山城 秀之(琉球大学 瀬底研究施設)

講演
「サンゴ礁性魚類とウミクワガタ類の相互関係」
太田 悠造(鳥取県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館)

「サンゴ礁とその周辺に生息するクモヒトデ類」
岡西 政典(東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所)

「サンゴ礁域の隠れ上手な魚類たち」
片山 英里(公益財団法人水産無脊椎動物研究所)

「奄美のサンゴ群集とその周辺で見られる多様な生き物たち」
藤井 琢磨(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室)
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事前申し込み制(高校生以上)です.参加方法は以下のHPをご参照ください.
http://www.rimi.or.jp/event/symposium30th/

身に余る大役を仰せつかってしまいましたが,

クモヒトデを宣伝するチャンスと思って頑張ります.


論文が出版されました⑥

論文が出版されました.

沖縄県の海底洞窟から見つかったクモヒトデの新種を記載したという論文です.

残念ながら(?)海底洞窟だけではなく,付近の海底環境からも見つかっているので,

海底洞窟環境の固有種というわけではありませんが,

沖縄からもまだまだ新種が見つかる事に驚きました.



棍棒状の触手鱗を持つ事にちなみ,Ophioconis claviculataと名付けました.

Okanishi, M*,  Fujita, Y. (2018b) “A new species of Ophioconis (Echinodermata: Ophiuroidea) from Ryukyu Islands, southwestern Japan”. Proceedings of the Biological Society of Washington. 131(1): 163—174.

Linkはコチラ

ちなみに,今回論文を掲載してもらったPBSWは,

伝統のある分類系の雑誌で, 憧れがあったので,素直にうれしいです.


第16回国際棘皮動物学会議

2018年5月27日~6月1日まで名古屋で開催された

第16回国際棘皮動物学会議の後,三崎でエクスカーションが開催されました.

世界の棘皮研究者が,三崎に集いました

美しい夕日がお出迎え.ん,誰かが泳いでいる?

実験所下の荒井浜での採集.

調査船に乗って深海生物採集.

採れた生物が,エキスパートによって解析されていきます.

手際よくウニを観察するドイツの研究者.

巨大なウニに驚くウニ研究者

最後は技術職員のKさんと一緒にパシャリ.

三崎の技術職員は採集人と呼ばれていますが,

皆,その採集スキルの高さと生物の知識に舌を巻いていたようです.

三崎のお好み焼き屋で打ち上げ.

皆さん,お好み焼きともんじゃ焼きを堪能されたようでした.

最後に,参加者の一人のロシア人から,チョコをもらいました.

かなりがっつり塩が入っている変わった味でしたが,

まさに塩スイーツで,なかなか美味でした



今回は参加者だけでなく,

我々にとっても実りあるエクスカーションでした.

我々が普通だと思っていた種が,実は別種の可能性があったり,

新種だよこれ,と言われたり...



それから,限られた時間で最大限にデータを持って帰ろうとする,

海外研究者の姿勢にも感銘を受けました.



次の国際会議はカナリア諸島です.


Ophiodaphne formata (Koehler, 1905)(ダキクモヒトデ)

ダキクモヒトデ

Ophiodaphne formata (Koehler, 1905)

写真:@相模湾

撮影:幸塚久典

顕著な性的二型を示し,

雌の盤の口側に小さな押忍がしがみつくことが多い.

スカシカシパンなどの不正形ウニ類の体の上で生活する例が多い.


Ophiura calyptolepis H. L. Clark, 1911(ギョリンクシノハクモヒトデ)

Ophiura calyptoplepis H. L. Clark, 1911

ギョリンクシノハクモヒトデ*

(新称:「覆う」という意味の接頭語”calypto”と「鱗」という意味の”lepis“にちなんだ)

写真:@相模湾

撮影:幸塚久典


論文が出版されました➄

論文が出版されました.

腕の先っちょだけが分岐する,サキワレテヅルモヅル属(Astroclon)という珍しい属の分子系統解析を行ったところ,同科の他のいかなるグループとも遠縁であることが分かりました.また,主要な近縁種の形態観察から,これまでに注目されてこなかった形態によっても他の属と区別できるため,本属は独立した亜科とする事が妥当,と結論し,新亜科Astrocloninaeを記載しました.
 

Okanishi, M*,  Fujita, T. (2018)

“Description of a New Subfamily, Astrocloninae (Ophiuroidea: Euryalida: Gorgonocephalidae), Based on Molecular Phylogeny and Morphological Observations”.

Zoological Science. 35(2): 179—187.
 

Linkはコチラ

 

本研究で扱ったサキワレテヅルモヅルは,以前マイナビニュースで取り上げてもらった「分類学者が選ぶ! 好きなテヅルモヅ ルベスト3」の2位にランクインさせてもらったグループです.変わった腕の分岐パターンだけでなく,体が非常に頑健な骨片に囲まれている事もポイントです.
 

https://news.mynavi.jp/article/scientist_best3-3/



さらに,サキワレテヅルモヅル属の中の奇種中の奇種(といっても2種しかいない),イボサキワレテヅルモヅル(Astroclon suensoni)が,Zoological Scienceの表紙に選ばれました!好きなモヅルを論文にできて,しかも表紙に載せてあげることができてうれしいです.博士からの研究の続きではありますが,これでツルクモヒトデ目の系統に関する研究は一旦区切りになるかもしれません.今後は,テヅルモヅルのもっとディープな部分を掘り下げていきたいと思っています.

今後も,益々研究に励んで参ります.



イボサキワレテヅルモヅル(2014/1撮影

@串本海中公園)


論文が出版されました④

論文が出版されました.
 

日本の深海に生息するキヌガサモヅル(Asteronyx loveni)のDNA解析を行い,その中に新種を発見したという内容です.本種は世界的な分布域を持つ種と言われていますが,今回の結果から,実際に複数種が含まれている可能性が示唆されました.今後は,世界中のキヌガサモヅルの標本を解析することで,本種の正確な分布域を把握したいと思っています.以下,書誌情報です.
 

Okanishi, M*, Sentoku, A, Martynov, A, Fujita, T. (2018)

“A new cryptic species of Asteronyx Müller and Troschel, 1842 (Echinodermata: Ophiuroidea), based on molecular phylogeny and morphology, from off Pacific Coast of Japan”.

Zoologischer Anzeiger. 274: 14—33. 
 

本研究は,クラウドファンディングサイト”academist”を通じて得た資金で行われました.academistにチャレンジしてから丸四年が経ちましたが,やっと皆様に報いることができました.一部の方は論文の謝辞に加えましたが,暖かい支援の言葉を頂いた皆様に,心より感謝申し上げます.ちなみに,掲載された雑誌Zoologischer Anzeigerは,昔から憧れのある雑誌だったので,論文を載せることができて,とてもうれしいです.
 

今後も,益々研究に励んで参りたいと思います.


論文が出版されました③

論文が出版されました.



テヅルモヅル類の1属のAstrodendrumに着目し,

そのうちの3種のタイプ標本を含む14個体のAstrodendrumを観察しました.

その結果,既知5種が従来通りに分類できることを確かめ,

観察した標本のうち11個体は新種であることを認め,

これをAstrodendrum spinulosumとして記載しました.



 

書誌情報

Okanishi, M*, Fujita, T. (2018)

A taxonomic review of the genus Astrodendrum (Echinodermata, Ophiuroidea, Euryalida, Gorgonocephalidae) with description of a new species from Japan.

Zootaxa. 4392(2): 289—310.

LINK



 

また,新種の11個体のうち,7個体は昭和天皇御採集のものです.



今回の成果は東大からプレスリリースされており,

いくつかのメディアでも取り上げられております.



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180309-00000017-jij-soci



ただ,ニュースのコメント欄を見ると,

やや誤解されている部分あるようですので,

以下のように説明を追加いたします.



・陛下が御採集されたのは,1930-1935, 1950-1958年の間で,

決して戦時中にご採集はなされておりません.



・陛下は今回新種として扱われた標本の一部をご採集されましたが,

発見(記載)した,というわけではありません.



私の説明不足で混乱を招いてしまいましたことを

この場でお詫びいたします.


論文が出版されました②

共著論文が出版されました.

1960年代にインド洋から採集されたツルクモヒトデ目のリストです.

3新種を含む,14種を記載しました. 

書誌情報

Baker AN, Okanishi, M, Pawson, DL*. (2018) Euryalid brittle stars from the International Indian Ocean Expedition 1963–64
(Echinodermata: Ophiuroidea: Euryalida).  Zootaxa. 4392(1): 1—27.

LINK (オープンアクセスです)



第一著者のAlan N Baker 博士は,

去年の10月にルー・ゲーリック病を患って逝去されました.

 

本論文は,まさしく博士の遺稿となります.

そんな論文に関われて光栄に思うと同時に,博士のご冥福を改めてお祈りいたします.

 


棘皮動物の体軸について

東京大学では先日,修士論文の発表会が終わりました.

その後教職員の懇親会に参加させていただき,東大に帰って来たんだなあと密かに実感していました.

今回は三崎からのも発表者がいましたが,そのいずれも棘皮動物を扱っており,何度も発表練習を聞きました.



その中で何度か話題に上がったのが,棘皮動物の体の方向性を表す言葉です.



棘皮動物は,体が五放射(星形)なので,「前後軸」がちょっとわかりにくいです.

例えば,普段見るウニやヒトデには,「前後」はあるのでしょうか?そして「背腹」は?

一つ明確なのは,ヒトデやウニ,クモヒトデでは,いつも地面に向けている方と,その反対側は体の作りが大きく異なり,

ほとんどの種では地面に口を向け,その反対側に肛門があります.

この体制の事を,「背腹」と呼ぶか,「口・反口」と呼ぶか,というところで問題が生じます.



この原因の一つがナマコの存在です.

ナマコは,体の進む方向に口,反対側に肛門があります(ほぼ固着生活を送るものもいますが).

さらに,その前後軸に対して,多くの種が明確な背腹を持ちます.



従って,例えばウニ,ヒトデ,クモヒトデで「背腹」(肛門と口)を使うと,

これはナマコの「背腹」とは違ったものを指してしまうことになります.

従って,私は,これらの生き物の体制を指す時には「口・反口」を使うようにしています.



ウミユリ綱(ウミシダを含む)は,地面と反対側に,口と肛門を両方もちます.

ですので,実はウミユリ類では,ウニやヒトデとは地面と口の向きの関係が逆になっています.

ただこの場合も「口・反口」が使えるでしょう.



しかし何事にも例外は存在し,

ウニにもナマコのように,前後軸や背腹が存在する不正形ウニ類(ブンブク・カシパンなど)も存在します.

これらも含め,棘皮動物の体制の呼称をどうするかについては,未だに研究者間でも統一がみられません.


論文が出版されました

2018年早々に論文が出版されました.琉球諸島の4つの海底洞窟から,クモヒトデの2新種を発見した,という論文です.
 

海底洞窟内部には,低塩分,低光量の特殊なアンキアラインと呼ばれる環境を形成することがあり,

今回発見した新種のうち,Ophiozonella cavernalisは,そのような環境固有の種と思われます.
 

また,このような環境に生息する種の発見は世界で二例目で,日本を含むインド―太平洋海域から初報告となります.



書誌情報

Okanishi, M*, Fujita, Y. (2018) First finding of anchialine and submarine cave dwelling brittle stars from the Pacific Ocean, with descriptions of new species of Ophiolepis and Ophiozonella (Echinodermata: Ophiuroidea: Amphilepidida).  Zootaxa. 4377: 1—20.

LINK (オープンアクセスではありません)



ちなみに私にとっては,初のテヅルモヅル以外のクモヒトデの記載論文となります.これを機に,色んなクモヒトデに目を向けていければいいなと思っております.

 


化石拾い

先日採集した,化石を含む砂部層の処理です.

よーく乾燥させた土を水に付けて,泥に戻します.
そして,篩で微小な砂を除きます.

この作業は,船上でお手のものですね.

こちらが篩の残渣です.

乾燥させると,貝などが良く分かります.

これ,全部化石です

容器にまとめるとこれくらい.

これを少しずつスプーンですくっては...

顕微鏡で見ていきます.

主な目的は,棘皮動物の骨片です

コケムシやサンゴ,腕足動物なども混じっているので,

気づいたら拾って,種類ごとに分けていきます.

一日10掬いでも,2-3カ月かかりそう...

でも,いいものも入っていそうです