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Euryophiurida(ツルクシノハクモヒトデ上目)

Ophiura calyptolepis H. L. Clark, 1911(ギョリンクシノハクモヒトデ)

Ophiura calyptoplepis H. L. Clark, 1911

ギョリンクシノハクモヒトデ*

(新称:「覆う」という意味の接頭語”calypto”と「鱗」という意味の”lepis“にちなんだ)

写真:@相模湾

撮影:幸塚久典


Asteroporapa (Astromoana) koyoae Okanishi & Fujita, 2011(コウヨウモアナモヅル)

Asteropoapa (Asteromoana) sp

Family: Goegonocephalidae テヅルモヅル科

Subfamily: Gorgonocephalinae テヅルモヅル亜科

Genus: Asteroporpa シゲトウモヅル属

Subgenus: Asteroporpa (Astromoana) モアナモヅル亜属

Specific name: koyoae コウヨウモアナモヅル
 

トゲモアナモヅルと同時に記載したモヅルです.

当然のことながら,発表当時は日本初記録亜属のモヅルでした.



2009年に小笠原での科博の深海調査に参加させてもらった際に,

お世話になった水産実験センターの方が,

「例えば,深海籠調査ではこんなのが採れますよ~.」

と言いながら気軽に見せてくださったものの中に混じっていました.



①盤の反口側の縁部に,フックがついた板を持つ,

②盤の反口側は一様な大きさの円錐型皮下骨片に覆われる

③それらの皮下骨片の先端には,皮下骨片の高さよりも長い棘が生じる

 

といった特徴で他種と区別できます.

せっかくなので,水産実験所の研究船「興洋」に献名しました.

本種はこの個体以降採集されていないため大層珍しいのだと思われます.

採集における人脈の大切さを教えてくれた種です.

 

撮影:岡西政典


Asteroporapa (Astromoana) muricatopatella Okanishi & Fujita, 2011(トゲモアナモヅル)

 

DSC_6487 (コピー)

Family: Goegonocephalidae テヅルモヅル科

Subfamily: Gorgonocephalinae テヅルモヅル亜科

Genus: Asteroporpa シゲトウモヅル属

Subgenus: Asteroporpa (Astromoana) モアナモヅル亜属

Specific name: muricatopatella トゲモアナモヅル
 

こちらはなかなかの珍モヅルです.

シゲトウモヅル属は日本の太平洋側から古くより記録が知られるのですが,

1980年にニュージーランド産の種に対して設立されたモアナモヅル亜属は,

日本からは知られていませんでした.
 

同属のシゲトウモヅルAsteroporpa (Asteroporpoahadracantha は古くより日本の太平洋側より記録があります.

科博にもたくさんのシゲトウモヅルの標本があり,

それらを調査していたところ,6個体ほど入った瓶の中に,

1個体だけ顕微鏡で見ると明らかに形態が異なる種を見つけました.
 

それがこのトゲモアナモヅルです.
 

①盤の反口側の縁部に,フックがついた板を持つ,

②盤の反口側は一様な大きさの円錐型皮下骨片に覆われる

③それらの皮下骨片の先端には,皮下骨片の長さよりも短い棘が生じる
 

クモヒトデでは,パッと見て,すべて同種だろうと思うような数が採れることがよくあるのですが,

実際に検鏡して見るとこのように別種が混じっていることがよくあります.
 

 

どのような分類群でもそうかもしれませんが,

必ず検鏡しないと「同定した」と言えない,ということを教えてくれた種です.

撮影:岡西政典