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2014年11月20日~25日 伊良部島調査

思い出

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昨年の伊良部島調査の際の写真をもらいました.
 

菅島臨海実験所の伊勢優史先生が撮ってくださったものです.

水面でぱちゃぱちゃしているのが私です.
 

この写真ではわかりませんが,この下は水深30 m辺りまで一気に落ち込んだ崖になっているのですが,

透明度が高いため水面からでも海底が見下ろせる絶景です.
 

あー,思い出したらまた行きたくなってきました.

また今年も潜りたいものです.
 

写真を提供してくださった伊勢先生,ありがとうございました


至福の時

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年末年始にかけて採集してきたクモヒトデの同定(種名を調べること)を行っています.

顕微鏡でのぞきながら,文献と比較.

一見同じように見えるクモヒトデですが,

顕微鏡で観察すると,その形の多様性に驚きます.
 

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同定した標本に耐水紙のラベルを入れて,

瓶に整理.
 

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仮番号を付けて,整理をしていきます.

最終的には,博物館相当施設に収めて,研究に活かします.
 

分子実験も嫌いではないですが,

私の場合,いろいろな疑問が湧いくるのは検鏡している時です.
 

なかなか時間がとれないこともありますが,

こうしてクモヒトデ研究に携わる時間は幸せで落ち着きます.

そんな小さな幸せを噛みしめる冬の夜更けでした.


伊良部島調査⑭

伊良部で採れた棘皮動物シリーズ
 

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まずは手始めにツマジロナガウニ.

どこにでもいます.
 

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ちょっと変わってオウサマウニ類.

やはりこの子はいつ見てもかっこいい
 

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腕がバラバラになってしまったクモヒトデ.まさにBrittle(=脆い) star(=ヒトデ)ですね.

この種は八放サンゴに絡んでいたのですが,うまく捕まえられなかったので,

私がピンセットでつついているうちに腕が切れてしまったようです.
 

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しかしご覧くださいこの盤の色彩の美しさ.

よく見ると,非常に長い棘も生えています.

おそらくトゲクモヒトデ科(Ophiotrichidae)というグループでしょう.
 

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フサクモヒトデ科(Ophiocomidae)の類.
 

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こいつも,盤をよく見ると網目模様でかっこいいじゃないですか
 

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もういっちょフサクモヒトデの類.
 

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これ,何かに似てると思ったら,サンゴの隔壁に似ている気がする!
 

「サンゴ 隔壁」で検索したら,こんな記事にいきあたりました.
 

なるほど,冬瓜にも似ているのですね.
 

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こちらはアワハダクモヒトデ(Ophiodermatidae)の類と思われます.
 

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盤の表面にも,小さなクモヒトデが(笑)

こいつは腕が小ぶりでなかなかキュートなヤツです.
 

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星形だけではありません。 棘皮度物の中には,6本以上の腕を持つ奴もいます.

数は少ないのですが,奇形などでなく,6本で種のなかで固定しているところを見ると,

祖先から分岐してしばらく経つクモヒトデの中には,

もはや星形にこだわる事をやめたのかもしれませんね.
 

実は,棘皮動物がなぜ五放射なのかという疑問に対する十分な答えはまだ得られておらず,

後生動物の体の仕組みを考える上での大きな謎のひとつとなっています.
 

いつかはそんな謎にも挑戦したいなあと思いながら,

まずは目の前の課題をこなさなくてはならないのでした.
 

今年もあと少し,頑張ります


伊良部島調査⑬

 まだまだお見せしたい写真はありますが,

そろそろ水中写真はこれでおしまいにいたしましょう.
 

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藻場に横たわるハネジナマコ.
 

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これはスギミドリイシとかいう種類のサンゴでしょうか?
 

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大きなテーブルサンゴ.
 

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塊状のサンゴ.
 

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様々な形のサンゴが目を楽しませてくれました.
 

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こんな風にカンザシゴカイの巣になっていたり,
 

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魚の隠れ家になっていたりと,生物多様性の基礎を支える重要なサンゴです.
 

最近,人工的な移入による珊瑚の保全活動が見られますが,

サンゴは無性生殖と有性生殖を行うため,

例えばサンゴの採集地点をうまくばらつかせないと,

移入元が全て無性生殖によるクローンだけということも考えられます.
 

その場合は有性生殖で次の世代が残せないため,

最近は,網羅的な遺伝子解析で,

移入元のサンゴの由来を調べる技術が発達しつつあるようです.
 

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いつまでもこんな美しい海藻とサンゴのコラボレーションがみられる海であるとよいですね.
 

続く.

 


伊良部島調査⑫

 

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まだまだ続けましょう,伊良部島の生きもの写真シリーズ
 

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前回とはまあ違ったウツボに遭遇.

こちらは太くてなかなか攻撃力が高そう.

グルグルドリル噛みつきにやられないよう退散
 

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岩の隙間に見えたサンゴ.

始は八放かと思ったのですが,どうもヒドロサンゴのようです.
 

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もう一つおまけにヒドロ虫.

頑張って触手がわかるような写真を撮りました
 

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ガンガゼに見えてちょっと違う.この針の細さは,タワシウニでしょうか.
 

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サンゴを覆っていたテルピオスとは違った,被覆性のカイメン.

ムラサキカイメンのようですが,正確に分類するためには骨片を見なくてはなりません.
 

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こんな風に生き物の姿がよく見られたのは,ひとえにこの快晴のおかげですね.
 

ここ数年,出張や調査の際の天気運に恵まれなかったのですが,

最近はなんだか恵まれています.
 

採集運的な厄年を抜けたのかもしれません


伊良部島調査⑪―外伝

 

 

先日のブログでお伝えした,このサンゴですが,
 

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記事を見てくださった伊勢先生から,驚きのコメントがよせられました.
 

なんと,この右半分の黒い部分は,サンゴが死んでいるのではなく.

テルピオス Terpios hoshinotaという,海綿動物なのだそうです
 

黒い被覆状の海綿で,サンゴを覆って殺し,時に大発生するのだとか.
 

黒色は,大量に共生しているシアノバクテリアの色で,

左半分もこの後,徐々に浸食されて死んでしまうやも,という事でした・
 

写真だけでここまでわかってしまうとは,やはり専門家はすごいですね.
 

自分の不勉強さを自覚すると共に,

生物の不思議を改めて感じるのでした.


伊良部島調査⑪

せっかくの機会なので,

今回はたくさん生物写真を紹介しましょう.
 

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普段何気なく見ているつもりのサンゴですが,
 

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よーく拡大してみると,一つ一つのセクションから,

小さなイソギンチャク状の触手(ポリプ)が伸びており,

群体性の刺胞動物であることがよくわかります.
 

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こちらは,白黒パンダ模様のサンゴではありません.

右側は死んでしまっているようです.
 

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生きている部分のポリプは, こんな風に非常に元気であります
 

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こちらは,遠目に見てもポリプがもさもさしているのがわかります.
 

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近づいてみても,一つ一つの触手が長いのがわかりますね.
 

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一見,ほとんど石のように見えるサンゴも,よーく近づくと...
 

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表面に小さなポリプが触手を伸ばしています

こんな風に,一口にサンゴと言っても,いろいろな形があるんですね.

なかなかサンゴのポリプをうまく写した写真を持っていなかったので,

今回はこの写真が取れだけでも満足です
 

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しかしわれらが棘皮動物も負けてはいません.

海草の間に突如として出現したマンジュウヒトデ.
 

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思わず多孔体を接写してしまいました.
 

よーく見ると,なんだか網目模様が見えます.いったい,これは何なのか.

標本だけからではわからないことに遭遇できるのも,フィールドワークの魅力に一つですね
 

ちなみに多孔体は,棘皮動物の肝とも言える器官で,

読んで字のごとく穴凹だらけのこの骨片の板を通して,

体の中の水が通る管(水管系)へ海水が入っていきます.

これがなければ,棘皮動物は管足を動かせないので,

食事はおろか,移動や呼吸にも支障をきたします.

逆に言えば,水管系はそれだけ棘皮動物にとって重要な器官ということです.
 

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しかし,でかい!これだけ巨大な体になれるのも,

実は水管系のおかげなのです
 

と,結局は棘皮動物のお話になってしまっているのでした.
 

続く.

 


伊良部島調査⑩

 

 

沖縄の海の生き物シリーズ,まだまだ続きますよ

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複雑な網目構造を作るエダサンゴ...ではなくて,

その奥にツマジロナガウニが潜んでいます
 

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アマモ類にくっついているホヤ.

よーく目を凝らすとかなりの数が見られました.

かなり巧妙に擬態しています.
 

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この手のひらほどの大きさのイモガイは?
 

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おそるおそるひっくり返してみると,どうやらマダライモのようでした.

いずにしろ怖いので,記録だけ残し,そっとしておきました.
 

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サンゴ塊の奥に,ウツボ発見

幅4-5 cmほどの小さな打ウツボでしたが,近づくと口を開けてしっかり威嚇してきます.

そっとその場を離れました.
 

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大きなサンゴには,大型の魚類の住処になっています.

オーバーハングしたサンゴの裏側には,ギョロ目のハリセンボンが.

じーっとこちらを観察しているようでした.
 

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おっと,ミノカサゴまでいました

楽しい海とはいえ,やはり危険がいっぱいですね.

十分気を付けましょう.
 

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こちらは,おそらくタマシキゴカイか何かの卵塊でしょう.

奥の方に,親の巣穴が見えます.
 

普段は潮間帯で干上がった状態の磯観察が多いため,

水中で見る生き物は,いずれもとても興味深い生態を見せてくれます.