Skip to content

論文

論文が出版されました⑥

論文が出版されました.

沖縄県の海底洞窟から見つかったクモヒトデの新種を記載したという論文です.

残念ながら(?)海底洞窟だけではなく,付近の海底環境からも見つかっているので,

海底洞窟環境の固有種というわけではありませんが,

沖縄からもまだまだ新種が見つかる事に驚きました.



棍棒状の触手鱗を持つ事にちなみ,Ophioconis claviculataと名付けました.

Okanishi, M*,  Fujita, Y. (2018b) “A new species of Ophioconis (Echinodermata: Ophiuroidea) from Ryukyu Islands, southwestern Japan”. Proceedings of the Biological Society of Washington. 131(1): 163—174.

Linkはコチラ

ちなみに,今回論文を掲載してもらったPBSWは,

伝統のある分類系の雑誌で, 憧れがあったので,素直にうれしいです.


論文が出版されました➄

論文が出版されました.

腕の先っちょだけが分岐する,サキワレテヅルモヅル属(Astroclon)という珍しい属の分子系統解析を行ったところ,同科の他のいかなるグループとも遠縁であることが分かりました.また,主要な近縁種の形態観察から,これまでに注目されてこなかった形態によっても他の属と区別できるため,本属は独立した亜科とする事が妥当,と結論し,新亜科Astrocloninaeを記載しました.
 

Okanishi, M*,  Fujita, T. (2018)

“Description of a New Subfamily, Astrocloninae (Ophiuroidea: Euryalida: Gorgonocephalidae), Based on Molecular Phylogeny and Morphological Observations”.

Zoological Science. 35(2): 179—187.
 

Linkはコチラ

 

本研究で扱ったサキワレテヅルモヅルは,以前マイナビニュースで取り上げてもらった「分類学者が選ぶ! 好きなテヅルモヅ ルベスト3」の2位にランクインさせてもらったグループです.変わった腕の分岐パターンだけでなく,体が非常に頑健な骨片に囲まれている事もポイントです.
 

https://news.mynavi.jp/article/scientist_best3-3/



さらに,サキワレテヅルモヅル属の中の奇種中の奇種(といっても2種しかいない),イボサキワレテヅルモヅル(Astroclon suensoni)が,Zoological Scienceの表紙に選ばれました!好きなモヅルを論文にできて,しかも表紙に載せてあげることができてうれしいです.博士からの研究の続きではありますが,これでツルクモヒトデ目の系統に関する研究は一旦区切りになるかもしれません.今後は,テヅルモヅルのもっとディープな部分を掘り下げていきたいと思っています.

今後も,益々研究に励んで参ります.



イボサキワレテヅルモヅル(2014/1撮影

@串本海中公園)


論文が出版されました④

論文が出版されました.
 

日本の深海に生息するキヌガサモヅル(Asteronyx loveni)のDNA解析を行い,その中に新種を発見したという内容です.本種は世界的な分布域を持つ種と言われていますが,今回の結果から,実際に複数種が含まれている可能性が示唆されました.今後は,世界中のキヌガサモヅルの標本を解析することで,本種の正確な分布域を把握したいと思っています.以下,書誌情報です.
 

Okanishi, M*, Sentoku, A, Martynov, A, Fujita, T. (2018)

“A new cryptic species of Asteronyx Müller and Troschel, 1842 (Echinodermata: Ophiuroidea), based on molecular phylogeny and morphology, from off Pacific Coast of Japan”.

Zoologischer Anzeiger. 274: 14—33. 
 

本研究は,クラウドファンディングサイト”academist”を通じて得た資金で行われました.academistにチャレンジしてから丸四年が経ちましたが,やっと皆様に報いることができました.一部の方は論文の謝辞に加えましたが,暖かい支援の言葉を頂いた皆様に,心より感謝申し上げます.ちなみに,掲載された雑誌Zoologischer Anzeigerは,昔から憧れのある雑誌だったので,論文を載せることができて,とてもうれしいです.
 

今後も,益々研究に励んで参りたいと思います.


論文が出版されました③

論文が出版されました.



テヅルモヅル類の1属のAstrodendrumに着目し,

そのうちの3種のタイプ標本を含む14個体のAstrodendrumを観察しました.

その結果,既知5種が従来通りに分類できることを確かめ,

観察した標本のうち11個体は新種であることを認め,

これをAstrodendrum spinulosumとして記載しました.



 

書誌情報

Okanishi, M*, Fujita, T. (2018)

A taxonomic review of the genus Astrodendrum (Echinodermata, Ophiuroidea, Euryalida, Gorgonocephalidae) with description of a new species from Japan.

Zootaxa. 4392(2): 289—310.

LINK



 

また,新種の11個体のうち,7個体は昭和天皇御採集のものです.



今回の成果は東大からプレスリリースされており,

いくつかのメディアでも取り上げられております.



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180309-00000017-jij-soci



ただ,ニュースのコメント欄を見ると,

やや誤解されている部分あるようですので,

以下のように説明を追加いたします.



・陛下が御採集されたのは,1930-1935, 1950-1958年の間で,

決して戦時中にご採集はなされておりません.



・陛下は今回新種として扱われた標本の一部をご採集されましたが,

発見(記載)した,というわけではありません.



私の説明不足で混乱を招いてしまいましたことを

この場でお詫びいたします.


論文が出版されました②

共著論文が出版されました.

1960年代にインド洋から採集されたツルクモヒトデ目のリストです.

3新種を含む,14種を記載しました. 

書誌情報

Baker AN, Okanishi, M, Pawson, DL*. (2018) Euryalid brittle stars from the International Indian Ocean Expedition 1963–64
(Echinodermata: Ophiuroidea: Euryalida).  Zootaxa. 4392(1): 1—27.

LINK (オープンアクセスです)



第一著者のAlan N Baker 博士は,

去年の10月にルー・ゲーリック病を患って逝去されました.

 

本論文は,まさしく博士の遺稿となります.

そんな論文に関われて光栄に思うと同時に,博士のご冥福を改めてお祈りいたします.

 


論文が出版されました

2018年早々に論文が出版されました.琉球諸島の4つの海底洞窟から,クモヒトデの2新種を発見した,という論文です.
 

海底洞窟内部には,低塩分,低光量の特殊なアンキアラインと呼ばれる環境を形成することがあり,

今回発見した新種のうち,Ophiozonella cavernalisは,そのような環境固有の種と思われます.
 

また,このような環境に生息する種の発見は世界で二例目で,日本を含むインド―太平洋海域から初報告となります.



書誌情報

Okanishi, M*, Fujita, Y. (2018) First finding of anchialine and submarine cave dwelling brittle stars from the Pacific Ocean, with descriptions of new species of Ophiolepis and Ophiozonella (Echinodermata: Ophiuroidea: Amphilepidida).  Zootaxa. 4377: 1—20.

LINK (オープンアクセスではありません)



ちなみに私にとっては,初のテヅルモヅル以外のクモヒトデの記載論文となります.これを機に,色んなクモヒトデに目を向けていければいいなと思っております.

 


論説が出版されました

うみうし通信に論説が出版されました.
 

岡西政典* (2017)

クモヒトデ綱(棘皮動物門)の系統分類の現状(2)

うみうし通信. 94: 10—12.
 

本論説は、最近激変期を迎えつつあるクモヒトデ類の系統分類についてのレビューを行ったものです.実は二部作になっており,前作(クモヒトデ綱(棘皮動物門)の系統分類の現状(1))は,うみうし通信の前号(93号)に掲載されています.

これでシリーズ終了,のはずでしたが,ひょっとするともう少し続くかもしれません.


論文が出版されました

2016年度ギリギリに論文が発表されました.テヅルモヅルの仲間であるキヌガサモヅルをマイクロX線で観察して,分類学・形態学的に非常に有用なツールであることを提唱した,という内容です.ご興味がお有りの方は,以下よりアクセスできます(オープンアクセス)
 

Zookeys
http://zookeys.pensoft.net/articles.php?id=11413



書誌情報
Okanishi, M, Fujita, T, Maekawa, Y, Sasaki, T. (2017) Non-destructive morphological observations of the fleshy brittle star, Asteronyx loveni using micro-computed tomography (Echinodermata, Ophiuroidea, Euryalida). Zookeys. 663: 1-19.



また,本研究は,国内初の学術系クラウドファンディングサイトであるacademistからのご支援の一部を元に得られた初の論文成果ということで,茨城大学をはじめとする各所でプレスリリースされることとなりました.



academistを通じてご支援いただいた皆様,本当にありがとうございました.academist資金を快く受け入れてくださった京都大学の皆様,プレスリリースしてくださった茨城大学の皆様,そしてacademistの皆様,特に一番最初の挑戦を薦めてくださった柴藤さん,ありがとうございました.



academistの支援成果としてはまだまだ一部です.今後の更なる成果にご期待いただければと思います.

以下,プレスリリースです.



茨城大学
http://www.ibaraki.ac.jp/news/2017/03/280911.html

Euekalert!
https://www.eurekalert.org/pub_rel…/2017-03/pp-tfc032717.php


論文が出版されました

論文が出版されました.

ツルクモヒトデ目の属の再検討です.

アムステルダムとコペンハーゲンの博物館の標本観察の結果,1980年に記載されていたAsteroporpa (Astromoana)という亜属が,実は1930年に記載されたAstrohelixという属である事が分かりました.

80年に渡り,博物館に標本が保管されていたからこそ成せた研究だと思います.博物館のスタッフのたゆまぬ努力に感謝です.そしてこれからも,標本が安全に管理されていく事を願っています.

以下,オープンアクセスではありませんが,リンクです.

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/217458

Okanishi, M* (2017) “A taxonomic review of the genus Astrohelix Döderlein, 1930 including the synonymy of the subgenus Asteroporpa (Astromoana) Baker, 1980 to Astrohelix”.  Zootaxa. 4227 (4): 543—553.


論文が出版されました

%e3%83%80%e3%82%a6%e3%83%b3%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%89

2016年11月に沖縄で開催された国際動物学会と日本動物学会の合同大会を記念して,

Book title: Species Diversity of Animals in Japanという本が出版されました.

私はその中の一章を担当させていただきました.
 

クモヒトデ類の一般的な体制,近年の系統分類学的な研究の成果の紹介と,

日本でこれまでに報告されたクモヒトデの情報をまとめて掲載しました.

以下,リンクです.オープンアクセスではありません.

http://www.springer.com/us/book/9784431564300

Okanishi, M.(2016)
“Ophiuroidea (Echinodermata): Systematics and Japanese Fauna “.
In: Masaharu Motokawa and Hiroshi Kajihara (eds.) Species Diversity of Animals in Japan.
Springer Japan, Tokyo, Japan, pp. 657—678.

—————————————

要旨:クモヒトデ綱の基本的な体制と,近年の分類体系の解説,ならびに日本における生物相の報告を行った.日本からは現在までに,北太平洋海域の種数の3/4に匹敵する18科120属342種が知られている事がわかった.また,日本の5つの海洋区の種数はそれぞれ,218種(暖温帯区),203種(亜熱帯区),111種(中間温帯区),16種(冷温帯区),27種(亜寒帯区)であった.

—————————————

本論文を査読してくださった研究者の方々,並びに編集者の本川先生(京都大学)と柁原先生(北海道大学)には大変お世話になりました.本当にありがとうございました.

一応,日本でクモヒトデの系統分類学的な研究を行うための最低限の情報は含んだつもりです.今後のクモヒトデ研究の参考になればうれしいです.

 


論文が出版されました

京都大学瀬戸臨海実験所の研究船ヤンチナによる3年半に渡る底生生物調査を行い,

白浜周辺の海洋生物相の一部を報告しました.

以下,リンク(オープンアクセス)と書誌情報です.

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/217458

Okanishi, M*, Sentoku, A, Fujimoto, S, Jimi, N, Nakayama, R, Yamana, Y, Yamauchi, H, Tanaka, H, Kato, T, Kashio, S, Uyeno, D, Yamamoto, K, Miyazaki, K and Asakura, A. (2016)
“Marine benthic community in Shirahama, southwestern Kii Peninsula, central Japan”.
Publications of the Seto Marine Biological Laboratory. 44:7—52.

—————————————

要旨:2012年~2016年にかけて,白浜周辺の潮下帯~陸棚域までの底生生物の調査を行った.7門から75科,132種を認め,その中には24種の白浜初記録種,2種の日本初記録種,6種の未記載種,5種の未記載種候補が含まれていた.これらのうち88種の写真を掲載した.

—————————————

13名の著者の方々のデータを取りまとめさせていただくという大役を仰せつかりました.筆頭著者にしてもらってはいますが,共著者皆さんの多大なるご努力あってのものですので,大変恐縮しております.特に,図を取りまとめてくださった千徳明日香博士(クイーンズランド大学),英文を細かく見てくださった藤本心太博士(東北大学),並びに自見直人氏(北海道大学)には,感謝してもしきれません.ありがとうございました.

この論文の一つの目的は,白浜のような比較的海洋生物相の研究が進んでいるところからもまだまだ面白い生物が発見される(=海の生き物は謎だらけ)という事を示し,瀬戸臨海実験所の生物相カタログのベースを作る事です.本研究が,今後の白浜の豊かな自然の保全活動の一助になればと願って止みません.


記事が公開されました

アメリカのMcGraw-Hill Educationが提供するAccessScienceに,

ツルクモヒトデ目(Euryalida)の総説記事を書きました.
 

アメリカのスミソニアン博物館のDavid L. Pawson博士経由でこの記事の執筆依頼を頂きました.

お恥ずかしながらその時に初めて,この会社の存在を知ったのですが大手の出版社です.

↓リンクです.全文を読むには登録が必要なようですが,さわりだけは読めます. 
 

https://www.accessscience.com/content/euryalida/246500
 
 

記事の執筆依頼を下さったDavid L. Pawson博士,

写真をご提供くださった下田臨海センターの鈴木様,ありがとうございました!


論説が出版されました

化石研究会会誌に論説が出版されました.
 

岡西政典* (2016)

分子系統と形態観察から探る

深海性クモヒトデ類(棘皮動物門)の進化

化石研究会会誌. 49(1): 26—34.
 

本論説は、2015年6月に開催された化石研究会 第33回総会・学術大会ミニシンポジウム

「深海環境と生物」

での私の講演録です.
 

クモヒトデの簡単な紹介と,私のツルクモヒトデ目研究,

そして,神奈川県鹿穴台より得た,日本で初めてとなる砂時計型腕骨化石の報告を行いました.

これが化石デビューとなるのかもしれません.



その他,ここでも少し,現生種と化石種の研究者のコラボレーションについて,言及しています.
 

本論文を執筆するに辺り、

化石を採集してくださった三井翔太氏,石田吉明氏

研磨設備をお貸しいただいた,東京大学の佐々木猛智氏,前川優氏,

そして専門的なコメントを下さった京都大学の千徳明日香氏,

ありがとうございました!


論説出版

日本動物分類学会誌「タクサ」に論説が出版されました.


岡西政典* (2016)

分類学と古生物学の融合を考える

― Some considerations of collaboration between taxonomists and paleontologists.

タクサ. 日本動物分類学会誌. 40: 17—21.


本論説は、2015年9月に開催された日本動物分類学会シンポジウム

「分類学と古生物学の融合:現生種と化石種による海産無脊椎動物の系統分類学的研究」

での私の講演録です.


畏れ多くも,分類学者の目から見た,

分類学と古生物学のコラボレーションの可能性について述べてみました.


本当に畏れ多いです.

他にもたくさん適任者はいると思うのですが,

今回は巡り合わせの問題でしょう.私がこのような文章を書くことになりました.


今後も両分野の融合がますます活性化されることを願います.


本論文を執筆するに辺り、

研磨設備をお貸しいただいた,茨城大学の長谷川健先生,安藤寿男先生,

大阪市立大学の江崎洋一先生,

そして専門的なコメントを下さった京都大学の千徳明日香博士,

ありがとうございました!


うみうし通信

IMG_6579

最近,うみうし通信の(ほぼ)全刊を手に入れました.

何かの折にチラ読みしているのですが,

これ,油断すると読みふけってしまいますね.

とても面白いです.



私のお気に入りは「フランツ・ドフラインの『東亜紀行』」の訳です.

ドイツの動物学者のドフラインが,100年以上昔の明治時代に来日し,

仙台や三崎に滞在して海洋生物の研究をされた様子が時に叙情的に記されています.



動物の記録だけでなく,当時の日本の社会や日本人とのやり取りが興味を引きます.



IMG_6580

まだ半分くらい未読部が残っています.

海洋生物研究者におススメです.

この秋のプチ読書にいかがでしょうか.


FSERC NEWS

フィールド研のニュースレターに記事を書かせてもらいました.
 

河村真理子・岡西政典 (2015) 瀬戸臨海実験所の臨海実習.FSERC NEWS. 36: 1.

 PDFはコチラ↓

https://fserc.kyoto-u.ac.jp/main/book/ltr36.pdf



簡単なノートですが,

少しでも瀬戸の教育活動のアウトリーチができればうれしいですね.



ちなみに,今年度から瀬戸に特定助教として着任された,

加賀谷先生の紹介記事も掲載されています!



ところでこの記事を書いていて知ったのですが,

棘(きょく)って,常用漢字じゃないのですね. 
 

せいぜい輻楯くらいかと思っていたのですが,

今後はルビにも心を配ろうと思ったのでした.


目録が出版されました

沖縄の棘皮動物の目録が出版されました!
 

藤田喜久,入村精一,木暮陽一,岡西政典,François Michonneau, 成瀬貫.(2015)

琉球大学資料館(風樹館)棘皮動物標本目録.

琉球大学資料館(風樹館)収蔵資料目録 第10号.pp. 106.
 

私はツルクモヒトデ目とクモヒトデの一部の同定・写真撮影・および序文の執筆をお手伝いしております.

PDFへのリンクはこちら↓(画像をクリック!)
 

 琉球大学資料館 棘皮動物標本目録

ページ下部のリンクからDL出来ます(35.9MB)
 

225種の写真288枚が掲載されておりますが,他の著者の皆様の写真はいずれも非常に美しく,

私が撮影した写真のクオリティの低さをただただ恥じるばかりです.
 

タイトルページの各綱の写真は特に美しく.

私もこのように対象分類群に「愛」を持たねばとハッとさせられました.
 

沖縄には多数の棘皮動物が生息しているにも関わらず,

包括的な報告はありませんでした.

本書が今後の沖縄の棘皮動物研究の進展に役立ちますよう! 
 


分類(献)学

IMG_4505

最近,日本のクモヒトデの情報をまとめています.

テヅルモヅル類についてはほぼ完全にまとめているのですが,

クモヒトデとなると,まだ完全ではありませんでした.
 

IMG_4509

実は分類学には文献学の側面もあり,

たとえばとあるグループの分類の情報を整理する際には,

過去のいかなる情報も漏らさず目を通す必要があります.

先人が残したクモヒトデの記録情報を,

種名,場所,日付,水深,水温などの項目ごとに,一件一件まとめます.
 

結構単純作業なのでやってる途中は本当にしんどいのですが,

ある程度情報量が増えてくると,不思議なことに,

生物の特性の分布の関係が浮かび上がったりしてきます.

生物学はこのような毎日の地道な作業の積み重ねですね.
 

ちなみにこのデータは,エクセルに打ち込んでデータベースなどに運用するのですが,

そんなものがなかった昔(1800年代とか)の研究でも,

正確に記録がまとめられています.
 

偉大な先生方にはまだまだ及びません.


論文出版!

論文が出版されました!
 

ダイオウグソクムシで有名な鳥羽水族館の森滝丈也さん,
国立科学博物館の藤田先生との共著論文です!
 

Masanori Okanishi, Takeya Moritaki and Toshihiko Fujita. (2014)

“Redescription of an euryalid bittle star,

Astroceras coniunctum (Echinodermata: Ophiuroidea: Euryalidae).”

Bulletin of the National Museum of Nature and Science Series A (Zoology). 40 (3): 133-139.
 

本論文では,2012年に三重県鳥羽水族館に持ち込まれた三重県沖のクモヒトデと,

2013年に高知のサンゴ漁で得られたクモヒトデの標本が,

ツノモヅル属(Astroceras)のAstroceras coniunctum Murakami, 1944

であると認めたため,再記載しました.
 

ツノモヅル属の種は,体の表面にツノのような突起をもつのですが,

それが同属の他の種と比べて非常に大きいことで区別されます.

また,この特徴をもって本種に「オニツノモヅル」という標準和名を付けました.

本種は村上子朗によって1944年に記載されて以降,実に70年ぶりの発見となります.
 

このような再記載は,当時と現在の海洋環境を比較する上で非常に重要です.
 

Astrocharis sp. (16)
三重から採集されたばかりのオニツノモヅル(撮影:森滝丈也)


OLYMPUS DIGITAL CAMERA
アルコール標本になったオニツノモヅル.


本研究では,大阪市立大学の江崎洋一教授と,

瀬戸臨海実験所の千徳明日香博士に便宜を図っていただき,

デジタルマイクロスコープ(VHX)での写真撮影を行わせていただきました.

ありがとうございました!
 

しかしいい写真が撮れますね.

今後も是非使わせてもらいたいなあ...と思ってみたり(笑)

現在も別の論文を準備中なのですが,

実習や学会でなかなか時間がとれないことと,

初めての系統分類以外の論文ということともあり苦戦していましたが,
 

やっと時間がとれるようになったので,

一気に進めているところです.
 

頑張りますよ!


論文紹介

今日は真面目に論文の紹介をしたいと思います.
 

Nakano 2014

“Survey of the Japanese Coast Reveals Abundant Placozoan Populations in the Northern Pacific Ocean”

Scientific Reports. 4 (5356)

doi:10.1038/srep05356
 

リンクはコチラ

この論文は,平板動物(Placozoa)という海産無脊椎動物が,

日本各地に分布していることを明らかにした論文です.
 

平板動物は,板状のアメーバのような,直径0.5-3 mm程度の動物です.

特筆すべきはその体制単純さで,

7種類の細胞がわずか3層にしか配置されておらず,非常に薄いのが特徴です.
 

この動物は,背腹はあるのですが前後左右がないため,

動物全体の左右相称性の進化を考える上で非常に重要です.

しかしながらその小ささゆえにこれまでほとんど見過ごされてきました.
 

世界中に生息するといわれているのですが,

これまで日本で定量的な研究が行われたことはほとんどありませんでした.
 

この度,筑波大学下田臨海センターの中野裕昭助教が,

日本各地の6地域から平板動物の採集を試みたところ,

北は能登半島,南は沖縄のすべての調査地域において採集ができ,

一年中を通して日本各地に分布していることが示唆されました.
 

実はこの6地域のうちの1つが瀬戸臨海実験所で,

二年前に来所された際のデータが論文に使われました.

詳しくはコチラをチェックしてみてください!
 

中野さんは非常に優秀な発生進化学者で,

これまでトリノアシ珍渦虫などの珍しい海産無脊椎動物の発生を明らかにされています.

動物学会でもよくお会いするのですが,

物腰柔らかで,兼ね備えている人はいるものだなあと思い,

いつも研究への刺激を受けております!
 

ということで,瀬戸臨海を利用した研究成果を紹介してみました.

臨海実験所ならではの仕事に携わることができて,ちょっとうれしい出来事でした!
 


論説出版!

我々の論説が、日本動物分類学会誌「タクサ」に出版されました。

岡西政典*, 加藤哲哉, 宮崎勝己 (2014)

瀬戸臨海実験所の教育と研究における分類学の重要性―時岡隆先生と臨海実習に注目して― A focus on Takasi Tokioka (1913―2001) and short training course in marine biology: The importance of the taxonomy for education and research at the Seto Marine Biological Laboratory.

タクサ. 日本動物分類学会誌. 36: 1-5.

本論説は、2013年9月に開催された日本動物分類学会シンポジウム

「臨海実験所と動物学研究」で私が講演した内容を文章にまとめたものです。

2013年に生誕100周年を迎えられた時岡隆先生の一生を振り返り、

瀬戸臨海実験における分類学および生物学教育に対する貢献につ いて紹介しています。

また、実験所で開催されている近畿一円の大学の臨海実習に注目し、

動物学教育における臨海実習の意義と分類学の重要性について述べています。

 

私の現在の職務である、臨海実習における教育活動を、

文章に残せてとても嬉しい限りです。

今後共瀬戸臨海実験所をご贔屓に!

本論文を執筆するに辺り、

資料等をご提供いただいた時岡先生のご遺族、

河村真理子博士、

並びに、建設的なコメントを下さったSMBLの

宮﨑勝己先生、加藤哲哉博士、

ありがとうございました!


論文出版!

私と元指導教官の藤田敏彦先生の共著論文が、European journal of Taxonomyという雑誌に出版されました!

 

Masanori Okanishi and Toshihiko Fujita. (2014) A taxonomic review of the genus Asterostegus (Echinodermata: Ophiuroidea), with the description of a new species. European journal of Taxonomy. 76: 1-18.  http://dx.doi.org/10.5852/ejt.2014.76

 

本論文はクモヒトデの中のAsterostegusという属の分類学的再検討です。ユウレイモヅル科のAsterostegus mainiAsterostegus tuberculatusを再記載し、新種Asterostegus sabineaeを記載しました。
ちなみに、この新種の種小名は、スウェーデン自然史博物館のクモヒトデ学者のSabine Sthorさんに献名したものです。以前から、誰かに献名した新種を記載したいと思っていたので、その夢が叶いました!
 

Stockholm_3-1


本論文で記載したAsterostegus sabineae です。

どうでしょう?頭を掻いているヒトに見えてきませんか?笑