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2014年5月6日~10日UMISAWA2

UMISAWA2その⑨

うみさわ会番外編

~魅惑のオフショット集~

うみさわの神髄は採集だけでなく,

日常の風景の中にあります.

誰が最も「さわやか」なのか?

この永遠のテーマへの挑戦も,

実はうみさわの裏の趣旨でもあるのです.



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夕暮れの千畳敷にて,地学出身の田中博士や,千徳博士による地層の解説中.

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断崖の向こう側の三人衆.

「Check it out!!」

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最近公園化した番所山の展望広場にて.

これはかなりうみさわ指数が高い写真です.

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メイオベントスを見つめる人たち.

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非常に男前に撮れてます。

うみさわですね.

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最後に記念撮影.

まだまだ面白写真はたくさんあるのですが,

今回はこれくらいにしておきます.

みなさん本当にうみさわでした.

今回の参加メンバーは以下の通りです.

広瀬雅人 東京大学大気海洋研究所 特任助教(コケムシ類)
田中隼人 広島大学生物圏科学研究科 学振PD(貝形虫類)
太田悠造 滋賀県立琵琶湖博物館 特別研究員(ウミクワガタ類)
角井敬知 北海道大学理学研究院 研究員(タナイス類)
山崎博史 琉球大学理学部 ポスドク研究員(トゲカワムシ類)
吉田隆太 琉球大学理工学研究科 博士研究員(フクロムシ類)
藤本心太 京都大学理学研究科 D2(クマムシ類・コウラムシ類)
安岡法子 奈良女子大学人間文化研究科 M2(カキ類・カクレガニ類)
泉貴人 東京大学理学系研究科 M1(イソギンチャク類)
杉本雄祐 大阪市立大学理学部 B4(サンゴ類)
竹本亨世 大阪市立大学理学部 B4(サンゴ類)
久一沙彩 大阪市立大学理学部 B4(サンゴ類)
千徳明日香 瀬戸臨海実験所 学振PD(サンゴ類)
岡西政典 瀬戸臨海実験所研究員(クモヒトデ類)
中山凌 瀬戸臨海実験所 M2(カサガイ類)
中町健 瀬戸臨海実験所 M1(コツブムシ類)
+受け入れ教員を中野先生(カサガイ類)と宮崎勝巳(ウミグモ類)

 

ご覧のとおり,多岐にわたる動物群を専門とする猛者たちが全国から集まってくれました.

少なくとも海産無脊椎動物の分類コミュニティにおいては,

一昔前までは,採集といえば研究室単位で行われることが多く,

他の機関や研究室研究者同士での合同の機会は少なかったように思います.

ですが,実は他の動物研究者との交流や,野外での知見の交換などが,

自らの対象生物の研究にとって有益であることも少なくありません.

また,同じ場所で採集を行っても,

それぞれの研究者の目線でみれば違う生き物が採れています.

すなわち,合同採集は,採集成果的にも,学術的にも有益な,優れた方法と言えるでしょう.

今回の,そしてこれからのうみさわ会でも,

このような生産性の高い採集が行われることを願っております.

そして願わくば,それらに果てしない「笑い」があらんことを...

最後になりましたが,今回のうみさわ参加メンバー,

調査船を出してくださった実験所の技術職員の皆さん,

そして研究代表者となってくださり,

サポートを行ってくださった実験所の教員の皆様に心よりお礼を申し上げます.

ありがとうございました!


UMISAWA2その⑧

深海を攻めた後は浅海を攻めるしかないでしょう。

ということで,干潟に来ました。

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ここでは泉君が,イソギンチャクを狙いました.

何のイソギンチャクかは後のお楽しみ。

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こういう干潟のドロドロの中に埋もれて暮らしているイソギンチャクだそうです.

まずは泥をとり,網でふるえば採れることがあるそうです.

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おや!採れましたか!?

・・・残念,ホヤだったようです.

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同行していた千徳博士が,カニに手袋を挟まれていました。

この後,泉君は二時間ほど作業を続けましたが,残念ながら獲物は現れなかったそうです.

しかしそれだけに,採集できた時の喜びがひとしおになるのでしょう.

戦い続けたソルジャーにだけ,うみさわの女神は微笑むのです.



そして,好例の発表会もいよいよ最後です。

毎晩ほぼ夜12時オーバーというスケジュールでしたが,

みなさん大変面白い発表ばかりだったので楽しい時間を過ごすことができました。

中でも最終日は一味違っていました.

東大が生んだ鬼才,泉氏の落語からはじまったのです. 

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「うみさわっす!」の軽快な一言からスタートです.

前口上中に,観客が食べていたそばを見て,とっさに思いついた題目は,

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「時そば」です。

以下,Wikipediaより転載

—————-

そばの勘定を巡るごまかしを目撃した男が、それにえらく感心して、

自分も真似して同じことをしようというスリリングかつ滑稽な話である。

本編に入る前の枕の部分で、江戸時代のそばについてあらかじめ解説しておく場合が多い。
そばを食べる場面において麺を勢い良くすする音を

実際と同じように表現することが本作の醍醐味であり、

一番の見せ場であるとよく言われる。

—————-


数ある古典落語の中でもポピュラーな題目らしく,

「そばを食べる音」の再現が注目らしいのですが,

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超リアルでした.

いや本当に.

話のテンポ,声の張りなど,どこをとっても,

大変素晴らしい出来の落語でした.

ありがとうございました。

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そして興奮冷めやらぬまま研究発表へ.

これが彼の研究対象の

「ムシモドキギンチャク」だそうです.

残念ながら今回は見つけられませんでしたが,

既に卒業絵研究での成果を,論文にできつつあるそうです.

素晴らしいですね.身が引き締まる思いです。

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私も続いて発表しました.

この間少しだけ世間を騒がせた,「クラウドファンディング」 に関する発表でした.

うみさわメンバーも何人か興味をもったようでした.

もうみんなやっちゃいましょう。

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その後も,琵琶湖博物館の太田さんによる

ウミクワガタ(昆虫ではありません.れっきとした「甲殻類」です)

の採集に関する発表や,

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東京大学海洋研究所の広瀬さんの

コケムシ(コケではありません,コケムシ動物門という,れっきとした動物です)

に関する系統分類や発生,生態に関する発表がありました.

いずれの研究も,研究対象に対する「愛」がひしひしと伝わってくる内容で,

「金」の話をしたわが身を少し恥じました。

やっぱり,研究に必要なものは,「愛」ですね。

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さて,この日はなんと参加者の一人,

大阪市立大学の竹本さんの誕生日でした!

憧れの千徳博士にプレゼントをもらい,

満面の笑みを浮かべています。

うみさわですね。

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さて最終盤,

売り子と化した凌君もところせましと食堂を駆け回ります。

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大トリは,琉球大学の吉田さん.

フクロムシという,一風変わった動物の発表をしてくださいました.

カニなどの腹に寄生する動物で,見た目はその名の通り,「フクロ」にしかみえないのですが,

実は体制が退化したフジツボなどの「節足動物」の仲間だそうです.

この不思議な生物の系統分類学的な研究について,

うみさわのトリを飾るにふさわしい,

美彩なスライドで発表してくださいました.

天晴。

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ということで!!





うみさわおひらき 





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ありがとうございました

続く?


UMISAWA2その⑦

ドレッジ二日目。

天気があまりよろしくないということで,田辺湾内(波が穏やか)でドレッジを行いました.

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波がないので余裕です。

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先日は細かい作業ができなくてカメラ係だったので,

今日は最前線で働きました。

(ドレッジをつまんでいるだけに見えていますが,ちゃんと仕事しています)

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湾内の底質は大体ドロドロです.

この中には,いったいどんな貴重生物が!

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さて,陸に帰ってからが本番です。

まずは細かいものを見る班が,泥と水を混ぜて撹拌し,

うちのメイオベントス実習でも行う方法などで生き物を回収です。

この手法で,ほとんど目に見えない,体調1/10 mmよりもさらに小さい生き物

(クマムシや動吻動物,微小甲殻類など)が採集できます。



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そして,残った基質を再び水で撹拌し,

上澄みを目の細かい網(数十マイクロ)でこします。

上記の手法よりも少し大きな

(と言っても体長はµm~mm単位)微小甲殻類などを採ります。

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 そして,網に残った基質を,

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今度はもっと目の粗い網(1 mm程度)で越すのです。

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そうして,体長1 mm以下の小さな生き物がこされ,

それよりも大きな生き物や砂がこのように残ります.

今度は,この砂の中から生き物をピックアップです.

白浜沖の生き物を,余すところなく採集です。

つづく


UMISAWA2その⑥

 UMISAWA2中盤編,

いよいよドレッジ投入です。

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手で保持しつつ投入.

最後に信用できるのは人の手です.

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さあいってこい。

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今回もロープ操作は技官の興田さんです.

船長の山本さんとともに,今回の乗船調査を引き受けてくださいました.

感謝です。

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ドレッジの待ち時間,船の横でプランクトンネットを曳く者あり。

東大M1の泉君です.彼は「東のクラゲさん」の異名を持つ刺胞動物野郎で,

今回は白浜のクラゲやイソギンチャクを思う存分採集していってくれました.

所属的には私の後輩にあたります(国立科学博物館,藤田研究室).

ちなみに,西のクラゲちゃんは定期的に瀬戸臨海実験所に来ています.

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このあたりから段々と船酔いによる脱落者が.

船上では,

「笑いがなくなる=酔っている」

という公式が成り立ちます.

私がどうだったかは,表情からお察しください.

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さてドレッジがかえってきました。

中身はいかに?

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あら,ほとんど採れませんでした....

網をひっくり返しても何もなし。

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ということで,気を取り直してもう一発。






40分後





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深海200 mより返ってまいりました。

はたして中身は?

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採れました。 

貝殻や砂が入っています。成功です!

目に見える大きな生き物はあまりいませんが,

この泥や砂の中に,小さな貴重な生物たちが埋もれています!

陸に戻るまで大事に保管です。

そしてこの後,予定では2回とのことでしたが,技官さんの計らいにより,

浅い場所(20 m)でもう一回やらせてもらいました。

はたしてどんなものが採れるのか。

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パンッパンです。

砂と侮るなかれ,がっしり網に噛んでしまって,

全然網から取り出せません。

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ということで,ギチギチの砂を取り出すべく,

みんなであーだこーだと苦戦中.

元気そうな千徳博士の表情.

現役船ソルジャーとの差を思い知りました.

なんとか砂をオレンジの箱のなかに取り出した...と思ったら, 
 


なんとドレッジのむこうで不動のエースふじもんが沈黙。

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と思ったら自分も沈黙。 

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さらにその後ろで後輩の泉君も完全に沈黙。 

壮絶な戦いでした....

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作業終了。

苦労して持ち帰ったサンプルを,

今度は陸上でさばきます!  

つづく


UMISAWA2その⑤

 今回のUMISAWA2の主な目的は,ドレッジ採集でした.

幸いなことに天候にも恵まれ,目的の海域で調査することができました.



しかし...



先に言っておきましょう.



酔いました。 



その戦いの記録をご覧ください.

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船に乗り込むUMISAWA戦士たち.

ドレッジにしては人数が多めです.

ヤンチナの人気がうかがえます.

が,作業中は危険なので,見学者は遠巻きに見てもらいました.

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出港!

隣の船舶に接近しないよう,手で押すのがヤンチナ流.

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出港後すぐの様子.

「UMISAWA–!!!」

「アハハ」

この時まではよかったのです.

この時までは....

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沖にでると波がでてきました。 

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甲板に波が寄せます。

はたしてドレッジは無事にできるのか?

つづく


UMISAWA2その④

今回のウミサワでは,毎夜,若手研究者による発表会が行われました。

質問あり,やじりあり,笑いあり,涙あり...悲喜こもごもの人間模様がスライドの上で展開されていきました.

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プロジェクターの準備中.この時点で早くも笑いが生まれています.

今回のうみさわの個人的な裏テーマは「笑い」でしたが,幸いにもメンバーに恵まれ,腹筋の休まる暇がありませんでした。

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今回のオーガナイザーの藤本会長の趣旨説明.

彼なしでは今回の調査は実現しませんでした.本当にありがとう。

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琉球大学の山崎博士の発表.

彼はスライドに映っている動吻動物門(Kinorhyncha)の系統分類学的研究を行っています.

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そして今回は,動吻動物門が含まれる,有棘動物の最近の系統分類の動向を語ってくれました.

実にマニアック。実にUMISAWA。

この動物群は,他に胴甲動物(Loricifera),鰓曳動物(Priapulida)を含み,

頭に出し入れ可能な棘の束を持ちます.

例外を除きほとんど小型で,これまであまり研究が進んでいなかったグループです.

現在活発にこのグループの研究が行われているのは,コペンハーゲンと日本くらいでしょう.

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そして二番手は北大の角井博士.

彼はタナイスという甲殻類を研究しています.

カニやエビを含む,いわゆる十脚類とは違い,

フクロエビ上目という,ダイオウグソクムシなどが属するグループの甲殻類です.

微小な種(普通mm単位)が多いのですが,明瞭な鋏脚をもつことが特徴です.

彼は,この小さなタナイスの生殖行動を追い,

自家受精を行うことを最近突き止められた,大変優秀な研究者です。

ウェブサイトはコチラ

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そして藤本会長の発表でこの日はラスト。

UMISAWA QUEST 

なんというクオリティ...彼はこのロゴの制作に命を燃やしたそうです.

今後のUMISAWAの方向性が確実なものとなりました.

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そして〆のスライド.

そう,我々は海でさわやかに採集し続けるのです.

心に海の生物への探求心(QUEST)を持つ限り何度でも。

続く.

 

 

 


UMISAWA2その③

外調査の合間,

研究室を覗いてみると...?

東大海洋研の広瀬先生が,

なにやら写真をとっています

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60年以上前に採集され,報告されたコケムシの標本が見たかったのだとか.

この標本は,写真と同定結果が不明瞭であったため,

再観察の必要があったそうです.

そして,やっぱり再観察によって,新知見があったそうです。

野外採集だけではありません,

その研究機関を利用したありとあらゆる自然史的研究が,

UMISAWAなのです。

続く.


UMISAWA2その②

UMISAWA2調査初日は天候に恵まれ,無事にドレッジに成功しました。

※若干の酔いはありましたが...

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ドレッジ採集での様子は後日まとめて記事にするとして,

サンプル処理の様子です.

底引き網採集では生物といろんな基質が混獲されます.

その中から生物を選り分ける方法が,対象生物のサイズごとに異なるのです.

今回は各専門家たちが様々な方法でサンプルのより分けを行いました。

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おもしろ生物その一.

ケヤリムシ.

ソーティング中にふと気づいたら頭を出してました.

エキセントリックな配色に思わずパシャリ.

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クモヒトデも採れました。

こちらはチビクモヒトデ科の仲間で,

このように岩やカイメンなどの隙間に潜り込む生物です.

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外人の真似をしながらサンプル処理するの図.

常に国際的な感覚を忘れないUMISAWA会.

まだまだ続きます。


UMISAWA2

UMISAWA2がはじまりました。

 

UMISAWAとは,

「海で爽やかに採集する会」

の略です。

来る5/6,全国各地から海産無脊椎動物分類の猛者が集結しました。

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続々と戦士たちが集ってきます.

調査地のスーパーの精査にまで余年がありません.

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瀬戸臨海実験所にInvertebrateソルジャーが次々に集まってきます。

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中にはプランクトンネットを持参したものも。

プランクトンからベントスまで,あらゆる骨のない輩の名前を

決めまくってやります。