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Monthly Archives: 3月 2014

打ち上がり

 

嵐の後、実験所近くの砂浜にたくさんの海藻が打ち上がっていました。

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海藻は、多くが春に繁茂して夏にかけて脱落していきます。

海藻の打ち上がりを見ると、春が来るんだなあと思います。

ただ、砂浜に行くとついつい海藻でなく動物に目がいってしまいます。

悲しき動物研究者の性なり。


同い年

 

先月、神戸大学の高須賀圭三博士がSMBLにこられました。

高須賀さんは、クモ類に寄生するクモヒメバチ類を研究しており、

野外調査や飼育実験などの直接観察に重きをおいて、ハチとクモの相互関係をおっておられます。

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今回は、組織切片の作成技法を学びに、

ウミグモの組織切片作成のスペシャリストの宮崎先生を訪ねられました。

写真手前が高須賀さん、奥が宮崎先生です。

実は高須賀さんと私は同い年(1983年生まれ)です。

今年度の蜘蛛学会での奨励賞の授賞が決まっているらしく、

こちらも刺激を受けられる良い同期です。

お互い頑張りましょう!


アマゾネス?

水族館で変なヒトデが採れました!!

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ヒトデガイドブックに載っている「アマゾネスホウキボシ」に似ているという話でしたが、

なんだか色や形が違う気がします。



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腕の側面にこのようなイボイボが並んでいます。



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口側はこんな感じ。



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よくよく見ると、腕に並ぶ管足が生えている溝(歩帯溝)の横にブツブツが見えます。



科博のヒトデを研究している大学院生にコンタクトしてみたところ、



これはアマゾネスホウキボシ Ophidiaster graniferではなく、

同じ属のミツトゲホウキボシ O. multispinusに近いとのことでした。



腕の側面のイボイボの特徴からそう判断されるそうです。

ただし、アマゾネスホウキボシでもそうなる場合があるそうなので、

詳しい同定のためには更に体の細かい特徴を検討する必要があるのだとか。



頻繁に見かけるヒトデも、実は分類するのが難しかったりします。


クモヒトデ標本

串本海中公園のクモヒトデ標本をいただけるということで、

再度お尋ねしました!

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串本の海岸は今日も穏やかに迎えてくれました。

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すごい!かなりの数のクモヒトデ標本です。

串本海中公園の野村副館長が、以前いらっしゃった八重山や、

串本周辺の海域から集めた標本ということです。

特にスキューバで潜れる水深や、底引き網で得られた深海のサンプルが多いということで、

いまから観るのが楽しみです!

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野村さんとパシャリ。必ずやこの標本たちを世に出さなければなりません。

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標本梱包作業が終わった後、標本室をのぞかせてもらいました。

キレイな宝石サンゴです。

一体どれほどの値が付くのでしょうか…。

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 他にも、サンゴの骨格標本がいっぱい。

さすが、本州有数のサンゴの産地です。

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おや?サンゴにまぎれて…?

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棘皮動物の標本もありました。

サンゴの天敵のオニヒトデは、やはり駆除の対象のようです。

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ウニの殻標本も、かなり細かく分けられてありました。

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粘土細工でできたサンゴのポリプの断面図です。

きくところによると紀南にクレイアートの専門家がおられるらしいです。

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そういえば、と館内をもう一度見渡すと、

実はこの展示もクレイアートだったということです。

動物の細かい形態まで再現されています。

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ということで大満足の標本調査でした。

これらの標本はこのような状態にして瀬戸臨海に持ち帰りました。

今後研究を進めていきます。

野村さん、本当にありがとうございました!


笹川科学助成

 平成26年度の笹川科学研究の助成が内定しました!

 

研究課題

「発生・分子・骨片微細構造観察に基づく日本産キヌガサモヅルの分散過程の解明」

 

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世知辛い話ですが、研究をするにもお金がいるわけで。

そのお金は助成団体などに申請して研究者自ら獲得する必要があるわけで。

頑張ります!


海岸にて

 

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海岸を散歩中に水鳥のペアを発見。

二人の仲を割くのは気がひけるので、少し遠慮がち。

風は強いですが、春の到来を感じました。


論文出版!

私と元指導教官の藤田敏彦先生の共著論文が、European journal of Taxonomyという雑誌に出版されました。

 

Masanori Okanishi and Toshihiko Fujita. (2014) A taxonomic review of the genus Asterostegus (Echinodermata: Ophiuroidea), with the description of a new species. European journal of Taxonomy. 76: 1-18.  http://dx.doi.org/10.5852/ejt.2014.76

 

本論文はクモヒトデの中のAsterostegusという属の分類学的再検討です。ユウレイモヅル科のAsterostegus mainiAsterostegus tuberculatusを再記載し、新種Asterostegus sabineaeを記載しました。
ちなみに、この新種の種小名は、スウェーデン自然史博物館のクモヒトデ学者のSabine Sthorさんに献名したものです。
 

 

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本論文で記載したAsterostegus sabineae です。
 


円月島

 

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夕焼けをバックにした円月島です。

 

白浜の冬は風が吹いてとても寒いのですが、

時々はっとするような自然の美しさに遭遇します。

 

臨海ならではの景色かもしれません。

 


秘境カフェ

白浜には、いろんなお店があります。

 

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SMBLから車で15分ほどの場所に、そのカフェはありました。

その名も「秘境カフェ」

 

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ご覧ください客席からの眺め。

 

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店の裏には砂浜が広がっているのです。

まさに秘境を冠するにふさわしいロケーションです。

 

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メニューもなかなか凝っています。

 

「パスタのフォンデュ」

「スイーツのフォンデュ」

 

などなど。

魅惑的なメニューに頭を悩ませましたが、

海鮮パスタのフォンデュをいただきました。

スープスパゲティを常に熱々の状態でいただけて、とても美味しかったですよ!

 

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食欲が満ちてふと店内を見渡すとこんなぬいぐるみが。

 

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 なんとうさぎが飼われています。

このチラ見具合、人見知りに違いありません。

 

白浜にはいろんなお店があります。

皆さんも是非行ってみましょう!


第十回棘皮動物研究集会へ行ってきました④

 

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魅惑の地酒が、ウニとクモヒトデの先生方を酔わせます。

 

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場はいよいよ盛り上がってまいりました。

皆思い思いに棘皮トークを繰り広げます。

 

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そろそろ一次会がお開き。

 

最後は、歌う生物学の先生の美声に酔いしれながら(歌詞付き)、

幕が閉じられました。

 

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そしてもちろん二次会突入!

 

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みなさんいよいよいい感じに酔いが回ってきたようです。

 

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なおも衰えぬ魚介類のクオリティ。

 

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本研究集会は、毎年12月頃に、各地持ち回りで開催されています。

 

2014年は、東大三崎臨海実験所で開催される予定です。

棘皮動物に関する話題であれば、誰でも発表できますので、

興味のある方は是非ともご参加を。

もちろん、発表なしでも参加できます。

 

最後に、本研究集会の開催に携わった富山大学の方々にお礼を申し上げます。

 

ありがとうございました!

 


第十回棘皮動物研究集会へ行ってきました③

研究集会の懇親会は、毎年その地域の趣向を凝らした料理やお酒が振舞われます。

 

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今回の研究会実行委員長の富山大の小松先生のご挨拶です。

 

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料理の提供元の店主のご説明が入ります。

さすが富山。日本酒がズラリです。

 

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開会前に藤田先生がご挨拶。

 

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みんな真剣に聞いています。

 

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ご覧下さいこの豊富な魚介類。

 

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水産系の学生も唸るほどの新鮮な魚介類に舌鼓をうちつつ、

富山の夜は更けていきましたとさ。


第十回棘皮動物研究集会へ行ってきました②

午前中の口頭発表のセッションが終わって、

お昼休みです。

 

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事前に申し込んだお弁当です。

富山県といえばマス寿司でしょう。

 

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またまた偉い先生方とともにお食事。

昔のいろいろな棘皮動物話を聞かせて頂きました。

 

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午後からは第十回を数えた研究集会の記念講演です。

師匠の藤田先生の趣旨説明があり、

 

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東京工業大学の本川先生の記念講演が始まりました。

 

「研究集会設立の頃を振り返って」

 

というタイトルで、研究集会が創られた経緯、

そしてこれからの研究集会の方向性をお話されました。

 

この研究集会は、もともと国内の棘皮動物研究者が

一年に一度集まり、交流を深めようという趣旨で設立されたものでした。

 

当初の参加者は10数名でしたが、

最近では50人近くが参加しており、学会への発展も一時期は考えられたそうです。

 

今回の講演では、やはり当初の「ゆるゆる」とみんなで集まろうという

志に重きを置きつつ、今後も定期的に開催しようということが語られました。

 

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廊下にフィールド研の公開臨海のポスターを発見。

残念ながら(?)去年のものでした。

そのうち今年のものに張り替えてもらえるのでしょう。

 

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口頭発表のあとは、ポスター発表です。

 

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ウミシダの発表。

 

比較的発生学的な研究が進んでいるグループで、

今回も発生過程を観察した発表がなされていました。

このあとはいよいよ打ち上げです。

 

ちなみに、写真はありませんが、私も発表しています。

 

岡西政典*・Suchana Chavanich・Voranop Viyakam・藤田敏彦

「タイ湾におけるヤギ類に付着するニシキクモヒトデ(Ophiothela danae)の色彩変異,生殖様式と体長組成」

 

タイで採れたニシキクモヒトデという種の体長組成について発表しました。

 

続く

 


第十回棘皮動物研究集会へ行ってきました①

去年の話になりますが、12月に富山大学で開催された

「第十回棘皮動物研究集会」に参加してきました!

 

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会場の富山大学の入り口。

科博時代にお世話になったクモヒトデとナマコの大先生と共にパシャリ。

 

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こんあな会場で発表でした。

モニターが二つある!

 

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早速口頭発表が始まりました。

 

生態、古生物、分類、系統、水産など、

棘皮動物を扱った様々な自然史研究の発表がなされていきます。

 

「研究集会」と侮る事なかれ、

毎年なかなかの数の参加人数を誇っているこの集会。

一時は学会への発展も考えられたそうです。

 

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科博時代にお世話になった

クモヒトデの化石の先生の発表も行われました。

 

「クモヒトデ類とヒトデ類の生痕化石に見られる条線の形成過程-現生種の管足の動きからの推測-」

石田吉明、藤田敏彦、清本正人、Martin Roper、小松俊文、加藤晃穀

 

こんな感じで集会は続いていきました!

続く


すさみエビ・カニ水族館③

すさみエビ・カニ水族館最終レポートです。

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 これは世界最大のエビ、「アメリカンロブスター」です。

人の指なんか簡単に切断しそうな鋏を持っていますが、顔は優しそうです。

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対してこちらは鋏も顔も凶悪。

「オーストラリアンキングクラブ」です。

絶対許してくれなさそうです。

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おや?この水槽には?

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暖房(電熱線)にくっついるこいつは「リョウマエビ」です。

高知県出身としては見逃せないところ。

エビだって寒いとぬくぬくしたくなるんですね。

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その横にはひっくり返ったヒトデ。

管足が丸見えですが良いのでしょうか。

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すっかり楽しんで長居してしまいました!

名前に偽りなしのエビカニ水族館でした。


すさみエビ・カニ水族館②

すさみエビ・カニ水族館レポート第二弾です。

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 ポージング中のオオコシオリエビ

エビという名がついていますが、ヤドカリを含む異尾類の仲間です。

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こいつは強そう。体の表面の黒っぽいのは藻類でしょうか?

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奥の方にヤドカリ釣りコーナー発見。

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結構簡単に釣れたりします笑

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タッチングプールもありました。

アオヒトデやニセクロナマコなどがちらほら。

棘皮にもスポットが当たっていてうれしい限りです。

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フサフサした感じが憎いこいつの名は「ケガニ」です。

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 これは、白浜の近くの南部の漁港でもよく揚がる、「ヒシガニ」です。

こんなに腕が大きい必要があるのでしょうか。


串本へ行ってきました③

水族館レポート第三弾です!

途中、ドクターシュリンプというコーナーが。

イソスジエビが人の角質を食べてくれるそうです。

治療効果が高そうです。

串本海中公園では、たくさんのウミガメが飼われています。

ウミガメも種類によってずいぶん大きさが違うのですね。

餌を持ってるだけでカメたちが寄ってきます!

 みんなよく教育されてます(笑)

 本館から離れた海中展望塔へ!

 

 潜水艦気分ですなあ。

 

展望塔の魚①

ヘラヤガラの仲間?

じっとこちらを見ていました。

展望塔の魚②

ハコフグの仲間

こっちへ突撃してきました。

 

 

 

ということで、サンプルまでいただいた上に、館内も楽ませてただきました。今回いただいたサンプルは、傷まないうちに丁寧に標本として保存しました。

 

研究のアンテナを張っていると思いがけない僥倖に巡りあう事があります。珍しい動物に出会えた時の喜びは、本当に筆舌に尽くしがたいものです。

 

ちなみに、串本ではもうひとつ、研究的に嬉しいことがあり、また伺うことになりそうです。

 

 

最後に、今回の連絡を下さった宇井晋介館長、ならびに丁寧に解説をしてくださった串本海中公園のスタッフの皆様に心より御礼を申し上げます。

 

ありがとうございました!


分類学について

誰もが一度は「ホモ・サピエンス」という単語を耳にした事があるのではないでしょうか。

これが我々人間を表していることは、多くの方がご存知かと思います。

ですが、この単語の真ん中になぜポチ「・」が入っているのか?

そしてこの言葉の意味は何なのか?

ということについて深く考えた方はあまり多くないのではないでしょうか?

ホモ・サピエンスは正式には”Homo sapiens“という二つの単語をカタカナにしたものです。

Homoとは「ヒト」の意味のラテン語の名詞で、

sapiensとは「賢い」の意味のラテン語の形容詞です。

これは、我々「ヒト」という種を表す学名です。

では学名とは何なのか?

なぜ学名を使う必要性があるのか?

続きはまた今度お話いたしましょう。


串本へ行ってきました②

テヅルモヅルの観察が終わった後、

串本海中公園館内を見させていただきました!

 ここではサンゴが非常に良い状態で飼育されており、

そこに棲む熱帯性の色鮮やかな魚達で彩られた水槽が多いです。

 でっかいハナギンチャク類!

触手が見事に伸びています。

飼育が難しいヤギもこんなに元気。

たまにクモヒトデが絡んでいます。

 ウツボのカメラ目線。

 甲殻類もたくさん。

渋い…。

ガザミの仲間でしょうか。

渋い…。

 タガヤサンミナシ(巻貝)です。

こいつは毒で相手を仕留めます。

 

 棘皮も負けていません!

タコノマクラです。

キサンゴ科も飼育されていました。

個々の個体が、規則性に則って群体を形成しているそうです。

 

展示パネルの代わりに、こんなものが!

フォトフレームです。

複数の画像が順番に展示できるよう工夫されています。


すさみエビ・カニ水族館①

和歌山に住んでいてここに行ったことがなければモグリだぜ!

ということで…。

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行ってきましたすさみ海立エビ・カニ水族館!

展示はエビとカニだけ!

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入り口で早速タカアシガニがお出迎え。

世界最大の現世節足動物を惜しみなく入り口に配置するあたり、

さすがエビ・カニ水族館です。

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平たい立派な角が特徴的な「ハコエビ」。

イセエビに比べて味はどうなのでしょうか。

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串本海中公園にもいます。「ソデカラッパ」。

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こいつはカイカムリ?

何も被っておらず、堂々としてますね。

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これ、ニュースで見たことある!

飼育員さんが開発したガラス製の巻貝の模型です。

ヤドカリが貝殻の中でどのように動いているのか一目瞭然。

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エビ・カニ以外も居ました!

しかも彼らの天敵の最大級のタコ、「ミズダコ」です。

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キンセンモドキ。

両側につきだした甲羅の角は何に使うのでしょうか。

あるいは魚の喉に引っかかりやすくするため?

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でました。格闘王シャコ。

実はこいつはエビではありません。

分類で言うと、エビ・カニの属する真軟甲亜綱とは異なる、

トゲエビ亜綱という独自の分類群をつくっているそうです。

海老や蟹では顎になっている部分が、ハサミ状の脚になっています。

このハサミのパンチ力はガラスを割るほどと言われていますが、

実は眼がとても発達していて、高度な視覚を持っているそうです。