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分類学について

分類学について⑩

リンネ以降爆発的に記載が増加し,

徐々に自然の体系が整理されていきました.

ところが,それに伴って浮き彫りとなった問題もありました.
 

例えば,ある人がフィリピンで新種の魚を記載しました.

その後,別の人がこのフィリピンの魚を知らずに,

日本で採れた同じ魚を新種として記載しました.
 

この場合,同じ種に別の名前が付けられることになります.
 

これを「異名」と言います.
 

さらに,リンネの階層式分類体系の中では,

化石種の扱いは定められていませんでした.
 

このような問題が増える中,18世紀から19世紀にかけて,

世紀英国科学振興会,アメリカの地質・博物学会,

国際地質学会議,国際動物学会議で議論が重ねられた結果,

著名な動物学者による動物の命名を審議するための委員会が結成されました.
 

これが動物命名法国際審議会の誕生です.

その後,第5回国際動物学会議(ベルリン,1901)における同委員会による報告が,

「Regles internationales de Nomenclature zoologique」

なる法典として成文化されました.
 

この法典は,その後の諸会議で一連の改正を伴い,

1961年に,「国際動物命名規約」として出版されました.
 

IMG_4944

現在は第4版まで出版されており,

動物の学名が恒久的に,混乱なく使えるようにするための取決めが,

詳細に書かれています.
 

また,この規約では,動物の学名を運用するための,

様々な重要な概念などについても言及されているのです.
 

私もよくお世話になっている一冊です.


分類学について➈

新種発表等の命名法的行為は,

「適格な」著作物の学術論文の中で行われなければなりません.
 

学術論文の一般的な構造は以下の通りです.
 

1.タイトル(その論文のテーマを的確に表す題名)

2.著者とその所属

3.緒言(論文を書くにあたっての背景)

4.材料と方法(論文で用いた材料や,解析などの方法)

5.結果(論文で得られた結果の明示)

6.考察(得られた結果から考えられる科学的知見)

7.謝辞(お世話になった方々へのお礼の言葉)

8.文献(論文内で引用した文献の正確なリスト)
 

記載論文も基本的にはこの構造をとります.

が,ちょっと違う部分もあります.

実際にはどのような構成でしょうか.

クモヒトデの新種記載論文をここに書いてみましょう.


1.タイトル

和歌山県白浜町より得られたクモヒトデの新種
 

2・著者と所属

岡西政典 京都大学フィールド科学教育研究センター 瀬戸臨海実験所
 

3.緒言

紀伊半島西岸では,これまで63種のクモヒトデが記録されている(Murakami, 1963; Irimura, 1981).2015年++月に和歌山県南部漁港で得られたクモヒトデが未記載であることが判明したため,本論文で報告する.
 

4.材料と方法

本研究で扱ったクモヒトデ30個体は,****年**月**日に,和歌山県南部漁港の刺し網で得られた.採集場所は南部沖の水深約30 mである.形態観察には実体顕微鏡を用いた.

標本は**博物館に保管した.標本番号は***である.
 

5.記載

Ophioaus bus sp .nov.
 

検討標本: タイプ(標本番号***),和歌山県南部,約30 m.
 

記載:盤は**mm, 腕の長さ** mm,盤上は長さ** mmの鱗に覆われ云々.
 

*記載論文が一般の論文と大きく異なるのはこの部分です.「結果」の代わりに「記載」というセクションになります.ここで当該論文で扱った標本についての,詳細な記述を行います.因みに,Ophioaus busは本論文でつけようとしている二名法で記された新種の名前,sp. nov. はラテン語で「新種」という意味ですので,この一文で,「こんな新種の名前を提唱します!」という意味を成しており,現在では,この一文がないと記載を行ったことになりません.また,タイプとはその種の名前を担う標本の事で,これがきちんと指定されていないと,現在では命名したことには成りません.ちなみにいちいち「現在では」とただしているのは,実は論文の発行された年代によって,命名法的行為の満たすべき要件は違ってくるためです.そのあたりについてはまた今度.
 

6.所見

本種は**という形を持つことから,Ophioausに属する.本属は世界で10種が知られるが,本種のような***を持つ種は他にO. cus, O. dus, O. eusの3種が知られる.しかし,これら3種の腕の長さは最長でも100 mmなのに対し,本研究で扱う新種の腕は30 mに達する事から容易に区別できる.また,他にも**という特徴により区別できため,これらの形質を考慮して,本種は新種と考えられる.

*この部分も,一般の論文では「考察」だったのに対し,記載論文では「所見」です.ここでは,当該論文で扱う種が新種である根拠を,他の近縁種との比較から論理的に説明していきます.また,ここで生態や分布域について言及すrことも少なくありません.
 
 

7.謝辞

白浜大学の瀬戸博士には,サンプルの採集,記載におけるアドバイスなど,多方面にわたりご助力をいただいた.ここに記して謝意を表する.
 

8.文献

Irimura, S. 1981. Opiurans from Tanabe Bay and its vicinity, with the description of a new species of Ophiocentrus. Publ. Seto Mar. Biol. Lab., 26(1/3): 15–49, pl. 1.

Murakami, S. 1963. On some ophiurans from Kii and vicinities with description of a new species. Publ. Seto Mar. Biol. Lab., 11(2): 171–184.
 

これが記載論文の基本的な流れとなります.
 

長くなりましたが,このような論文をせっせと書くことでやっと新種として認められるわけです.

もちろん,単に書いたから明日から新種!というわけではなく,論文が完成したら,

雑誌に投稿,査読者からの長いやり取りの後にようやく雑誌に掲載が許可(受理)され,

その後何か月後かに雑誌が発刊されてやっとその命名法的行為は認められます.
 

おそらく,早い人でも新種を発見してから発表に至るまでは半年はかかるでしょう.
 

リンネによって分類学の基礎が築かれてから250年あまり,

現在名前が付けられている生物は180万種程度かと思いますが,

まだ名前のついていない種は1000万種はいるといわれています(これは研究者によって意見が違いますが).
 

このような作業を行いながら人類が地球上の生物に名前を付けることができるのは,

まだまだ遠い未来の事になりそうです.
 

*この記事ではZoobankへの登録がない,タイプの指定がない,

などの理由から命名法的行為には当たらないとは思いますが,

念のため,筆者からも命名法的行為の棄権を明言しておきます.


分類学について⑧

新種はそう珍しいものではありません.

離島の海底洞窟の中,

人影まばらなビーチの砂の間,

漁港に打ち捨てられた漁労物などなど.
 

まだまだ探せばいくらでも見つかるはずです.
 

しかし,では新種を見つけたからと言って,

「新種を発見しました!名前はAus busです!」
 

とブログに書いても,それはAus busを命名したことにはなりません.
 

生物の名前に関わる行為(命名法的行為)は,

決められた要件を満たした著作物の中で,

決められた手順を踏んで行われる(「公表される」)必要があります.
 

というとなんのことやらですが,

おそらく,現代ではほぼすべての命名法的行為は,

学術論文の中で行われています.
 

著作物が満たすべき決められた要件とは,

国際命名規約第四版では以下のように定められています.
 

条8.1.1. 公的かつ永続的な科学的記録を提供する目的で発行しなければならず,かつ,

条8.1.2. 最初に発行された時点で,無料あるいは有料で入手可能でなければならず,さらに,

条8.1.3. 長期保存に耐える同じ複本を一度に多部数制作可能ななんらかの方法に余tt,同時に入手可能な複本からなるひとつの版として制作されたものでなければならない.
 

ただし,以下のものは条9のもと,除かれます.
 

条9.1. 1931年以降の,手書きの著作物の模写

条9.2. 写真

条9.3. 校正刷り(印刷段階前の,著者の確認のための版)

条9.4. マイクロフィルム

条9.5. 録音

条9.6. 標本のラベル

条9.7. 図書館などに供託されているが,公表されていない著作物の,注文による複本

条9.8. ウェブサイトで公開された文章や絵

条9.9. 学会の要旨集,ポスターなど.
 

これらに基づくと,学術雑誌は完全にOK,ウェブサイトはダメとなります.

しかし,例えば新聞であれば,もし万が一新種記載の要件を記事の中で満たしてしまった場合,

それが新種の提唱になりうるのではないかと私は考えています.
 

また,最近では電子出版の著作物内での命名法的行為も認められており,

迅速な新種の記載がおこなわれるようになってきました.
 

そのあたりについてはまた今度.


分類学について⑦

 

 

分類学について.
 

分類学ってどんな学問?[岡西]

リンネによる階層式分類体系が確立される前から,

人々は生物を分類してきました.

その基準はどのようなものでしょうか?
 

最も頻繁に用いられるのは,やはり見た目,すなわち「形」でしょう.
 

・星形の体

・くねくね動く腕

・腕は分岐する

・腕の背面にはかぎ爪の列

・多孔板は五つ

・全体的に赤い
 

例えばこんな見た目の動物がいたら,

我々はそれを「アカテヅルモヅル」と,

一瞬で判断することができます.
 

形だけでなく,
 

顕花植物などでは花の「匂い」,

鳥などでは「鳴き声」, 
 

なども分類の基準にされています.

最近では,例えば菌類などは「DNA配列」自体を特徴として分類をしています.
 

このような分類の指標となる生物の指標を「形質」と呼びます.
 

分類学者は古来より,可能な限りたくさんの形質を総合的に比較して,

生物を分類・命名してきました.
 

では,この命名行為とは,一体どのようにして行われるのでしょうか?
 

続く.


分類学について⑥

分類学についてです.
 

コンビニで迷うことなく目的のものを買うことができるのは,

体系的に陳列されているからだということは,前回お話いたしました.
 

では,生物の名前も混乱が内容に用いるためにはどうすればよいのか?

答えは簡単で,同じように体系化すればよいのです.
 

実際,体系的な名前の整理は,紀元前4世紀ごろ,アリストテレスの時代から行われてきました.

しかし,リンネはここに「階層性」という革命的な概念を取り入れたのです.
 

分類学ってどんな学問?[岡西]

まず,とあるところに,12種のテヅルモヅルがいたとしましょう.

この12種の中から,似たものどうしを集めて集団にします(これを「クラスター」といいます).
 

分類学ってどんな学問?2[岡西]

さらに,このクラスターをさらに似たクラスター同士にまとめます.
 

分類学ってどんな学問?[3岡西]

これを繰り返すと,このような入れ子構造ができてきます.
 

分類学ってどんな学問?[岡西]4

これがリンネの考えだした「階層性」で,それぞれのクラスターのレベルに

分類階級(属,目,綱など)を与えました.

これが現在も使われている「階層式分類体系」です.
 

これは,写真などのファイルをフォルダに振り分ける作業に似ているかもしれません.

そもそも,PCではファイルを「階層」で分けていますよね.
 

リンネが初めてこの階層性を用いた際には,

「綱,目,科,種」が使われていましたが,

その後研究が進むにつれ,細分化などが進み,

少なくとも動物では,現在では以下のように,
 

分類学ってどんな学問?[岡西]5

上から順に「ドメイン,界,門,綱,目,科,属,種」等が用いられています.

しかしもちろんこれは日進月歩で,

最近では界と門の間にいくつかの分類階級群が存在するということで,
 

○亜界

(左右相称動物亜界)(非左右相称動物亜界)
 

○下界※非左右相称動物亜界の中で

(前口動物下界)(後口動物下界)
 

○超門

(脱皮動物超門)(冠輪動物超門)(脊椎動物超門)(歩帯超門)
 

等が設けられるようです.

http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/281/1794/20141729.abstract
 

ですが,これらはいずれも「界」や「門」に付随して設置された階級で,

基本的な階級に変更はありません.
 

あと,この論文のフォーカスはこのような階級の設定ではなく,

脊椎動物を三つの門に分ける,というところです.念のため.
 

続く.


分類学について⑤

分類学についてです.
 

ちょっとものの整理について考えてみましょう.

例えばお菓子とジュースを買いにコンビニに行くとします.

まずはコンビニの中ほどにあるお菓子コーナーでポテチを物色.

店の壁際のショーケースに並ぶ飲料コーナーで,

ポテチに合うコーラを物色し,颯爽とレジへと向かうわけです.
 

実はこのような何気ない日常を過ごせるのは,

コンビニのものがコーナーごとに体系的に並べられているからにほかなりません.
 

では,体系的に並べられていないとどのようなことになるのか?

今度はスーパーを例にとってみましょう.
 

全体像の理解の難化1

スーパーでは果物,野菜,魚・肉がコーナーごとに並べられています.
 

例えばこれをアイウエオ順に並べてみるとどうなるでしょうか?
 

イチゴの隣にキャベツがあり,魚の横にジャガイモがあり...

これでは,果物を選ぶために,イチゴとミカンを比べたいと思ったときに,

店の端と端を行ったり来たりしなくてはならずとても不便です.
 

全体像の理解の難化2

ここにお菓子や飲料が入ってきたらもう大変です.
 

このように,たくさんのものを単純に名前で並べただけでは,

その全体像の把握は実は非常に難しくなってしまうのです.
 

中世ヨーロッパでも,次々に持ち込まれる動植物の全体像の把握が

段々と困難になっていきました.
 

そこで,この状況を打開すべく,リンネがある方法を考え出しました.
 

続く


分類学について④

二名法の利点は,単に名前が短くなったたけではありません.

もう一つの利点は,「名前を記号として扱った」ことです.
 

実はそれまでの生物の特徴を表す形容詞がどんどん付されていった名前は,

その種の名前であると同時に,定義でもありました.
 

従って,その種の定義が変わってしまった際には,

その名前も変更されることになります.
 

例えば,
 

「灰色の 毛並みがいい 足の早い 北欧産の オオカミ」
 

がいたとして,これによく似ていてちょっと毛の色が薄い
 

「薄灰色の 毛並みがいい 足の早い 北欧産の オオカミ」
 

がいたとします. 
 

そして前者の種があるとき,ヨーロッパ全体に分布していることが確認されると,
 

「灰色の 毛並みがいい 足の早い 欧州産の オオカミ」
 

と改名されます.

こうなってくると、この2種の狼の会話が

かなり複雑なことになってしまう可能性は否めません.

 

対してリンネの二名法では,名前をあくまでも記号として扱い,定義は別のものとして扱いました. 
 

つまり,種の形質(この場合は分布域)が変わろうとも,名前は変えなかったわけです.

上の会話の
 

「灰色の 毛並みがいい 足の早い 北欧産の オオカミ」

および「灰色の 毛並みがいい 足の早い 欧州産の オオカミ」

と呼ばれていた種を二名法で
 

「灰色の オオカミ」に,
 

「薄灰色の 毛並みがいい 足の早い 北欧産の オオカミ」を

二名法で
 

「薄灰色の オオカミ」

というように、名前はあくまでも記号にすれば、

生物の名前の複雑化に伴う混乱は解消したといえるでしょう.
 
 
 

そしてさらに、リンネはこの二名法の他にさらに便利な方法を開発しています.
 

 
 

続く.

 


分類学について③

分類学の話です.
 

舞台は中世ヨーロッパです.生物の名前がどんどん長くなり,

目前に迫った生物資源利用の困難化救ったのが,

スウェーデンの博物学者
 

カール・フォン・リンネ(Carl von Linné)

でした.
 

彼はその著書「自然の体系(Systema Naturae)」の中で,

生物の名前を表すのに「二名法」という方法を採用しました. 
 

二語名法

これは,分類の最小単位「種」の学名である「種名」の表示法です.

基本セットは「属名」+「種小名」です.
 

属名は必ず名詞です(ですから一文字目が大文字です).

種小名は,基本は形容詞なので,種名は種小名が属名を形容する

(「灰色のオオカミ」など)

形になります.
 

ただし,種小名は名詞でもかまいません.
 

時々,名詞が二つ続く事に違和感を覚える方もいらっしゃいますが,

例えば「オレンジ・ジュース」みたいなものと思っていただければよいでしょう.
 

学名は

「ラテン語」

で表されます.
 

例えば種小名にsabineaeとか,japonicusとか,

“ae”とか”us”とかの聞きなれない語尾がついていることがあるかと思いますが,

これは全て単語をラテン語化する際につけられた語尾です.
 

以下に,種小名に頻繁にみられるラテン語尾をリストアップします.
 
 

“***i”, “***ae”:人名などの有性単語につける語尾.

男性にはi, 女性にはaeを付ける(ちなみに船は女性名詞です).

例) smithi, soyoaeなど
 
 

“***ensis”, “***iensis”:地名につける.

例) nipponensisなど
 
 

“***(a)nus”, “***inus”, “icus”:地域名につける

例) japonicusなど
 
 

ただし,これらの綴りや組み合わせは,

もとになった単語(語幹)が単数か複数かよっても変わりますし,

出来上がる単語の響きによっては,iが追加されたり,

語幹の一部が削られたりするので,一概にこうと言えるものではありません.
 

先にも述べましたが,種小名は名詞で表すこともできます.

例えば”soyoae”は蒼鷹丸という中央水研の有名な調査船に献名した種小名ですが,

単に”soyo”という名詞を種小名に使っても同じような意味となります.

ラテン語の名詞と考えればよいのです.
 

少し長くなってしまいましたが,このようなラテン語の2単語の後に「命名者」+「命名年号」が続き,

4単語が基本となって種名が表されます.

(亜種,亜属などが含まれるともっと単語数は増えますが,その説明はまたの機会に)
 

この二名法の発明により,生物の名前が簡便に表され,

それまでの混乱が解消されることとなりました.
 

これは「リンネ式二名法」と呼ばれ現在も変わらず用いられているため,

リンネは現代分類学の父と称されています.
 
 
 
 

しかし、実は,二名法のメリットはこれだけではないのです.

続く.


分類学について②

前回の記事から書く書く詐欺状態になってしまったので,

分類について,少し話を進めてみたいと思います.

今日は「学名」についてです.

話は中世ヨーロッパに遡ります.

このころ,航海技術の発達によって,

ヨーロッパに各国から多種多様な動植物が持ち込まれ,

次々に名前がつけられていきました.

当時は命名にルールがなく,動植物の名前に,

類似種と区別できる特徴を示す単語をどんどん追加していきました.

例えばオオカミは当時”Lupus“と呼ばれていましたが,

ジャッカルは”Lupus aureus“という感じです.

しかし次々に持ち込まれる生き物に同じ方法で名前を付けていくと,

名前は長くなる一方です.

例えばミツバチには,

Apis pubescens, thorace subgriseo, abdominale fusco, pedibus posticis glabris utrinque martine ciliatis

という非常に長い名前が付けられていたそうです.

こうなってくると,動物の数の増加に伴い,

生物の名前を覚えるにも一苦労で,

必然的に全体像の把握も難しくなってきます.

さらに,多くの名前にはラテン語が用いられていましたが,

他の言語による生物の名前も混在していました.

こうなってくると,生物の研究はもとより,

生物資源の利用も難しい状況に陥るのは明らかです.

そこで,全人類が簡便に共有できる

生物の名前の呼び方を考案する必要がありました.

これが「学名」です.

このような状況を受け,はたして,1758年に,

「学名」の付け方のルールや,分類法の基礎が築かれることとなりました.

では,この基礎を気付いたのは一体誰なのか? 

続く.

 


分類学について

誰もが一度は「ホモ・サピエンス」という単語を耳にした事があるのではないでしょうか。

これが我々人間を表していることは、多くの方がご存知かと思います。

ですが、この単語の真ん中になぜポチ「・」が入っているのか?

そしてこの言葉の意味は何なのか?

ということについて深く考えた方はあまり多くないのではないでしょうか?

ホモ・サピエンスは正式には”Homo sapiens“という二つの単語をカタカナにしたものです。

Homoとは「ヒト」の意味のラテン語の名詞で、

sapiensとは「賢い」の意味のラテン語の形容詞です。

これは、我々「ヒト」という種を表す学名です。

では学名とは何なのか?

なぜ学名を使う必要性があるのか?

続きはまた今度お話いたしましょう。