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Monthly Archives: 8月 2016

2016年蒼鷹丸調査➄

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次はいよいよ,ベントス採集です.

まずはベントスネット.間口1 mを越える大きな網です.



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こちらも,船員さんによって,慎重に,



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海中に下されます.いいものが採れますように



ロープの操出速度は,速ければ1.5 m/s位ですが,

大抵1 m/sで繰り出していました.

水深の約2倍のロープを繰り出すので,例えば水深1000 mに網を下す場合は,

ロープを2000 m繰り出すとして,最低2000秒(=30分強)かかります.

ロープを繰り出してから,ベントスネットの場合は約30分を曳網時間とします.

そして,操出よりも少し遅いスピードで巻き上げを行うため,



30 + 30 + 40=約100分


 

をかけて,網を揚げる計算になります.



さらに,水深が深くなると網の浮力による漁具の着底時間の遅延が無視できなくなります.

船によっては,1000 mごとに1時間の待機時間を作ります.

ですので,もし水深5000 mに網を下す場合,
 

網下し:10000秒=約3時間

待機+曳網:5時間半

網巻上:10000秒=約3時間
 

計11時間半!半日丸々かける事になります.
 

蒼鷹丸ではこの待機時間をうんと短く(1時間半)にしているようですが,

それでも7時間オーバーです.

深海調査の大変さがお分かりいただけるでしょうか?



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水深数百 mから揚がってきたサンプル達.

クモヒトデがたくさん採れています.
 

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このそうめんみたいなもの,全てクモヒトデの腕です.
 

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余すところなく収集しました.手伝ってくださった瀬戸臨海の井上峻輔さんに感謝です


2016年蒼鷹丸調査④

蒼鷹丸調査の一発目は,CTDによる採水でした.



CTD(Conductivity【電気伝導度】,Temperature【水温】,Depth【水深】)
*海水の塩分、水温、圧力(深度)を計測するセンサーで構成された観測装置です。ケーブルにつないで海水中に投下し、水温と塩分の深さ方向の分布を観測します(http://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/observe/seawater.htmlより)。



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このロケットみたいな棒がたくさん連なったものがCTD装置です.



船員さんの慎重な操作の元,海中に投入されます.



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船上組は,揚がってきた海水の採水作業の準備です.

ホースで採水を行います.



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海水が揚がってきました.

この筒一本一本が,船上からのリモート操作で任意に閉じる仕組みになっています.

これによって,好きな深度の採水が行えるという仕組みです.

 
 

この筒の下側にホースを接続し,丈夫な袋に採水していきます.

水深数千mとなると,手がかじかむほど水温が低くなります.



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無事採水が終わった後は,海水を抜いて,慎重に中身を洗います.

少しでも海水が残っていると,その後の採水に影響が出てしまうためです.


2016年蒼鷹丸調査③

蒼鷹丸で扱う漁具をご紹介.

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エントリーナンバー1「ベントスネット」

いわゆる底曳網です.数十分間海底を引きずり,比較的大きな生物を多量に採集します.



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これくらいの網目です.ほとんどの底質は抜けて,

石ころや,粘度の高い泥くらいしか残りません.



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こちらは白浜でも活躍したドレッジの大型(間口1 m)ver. です.

内側に目の細かい網があるので,砂などと一緒に,小さな生物も採集できます.



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こちらがカゴ.中にイワシの切り身などの餌を入れて海底に沈め,

一晩放置しておくと,中に魚やカニなどが入ってきます.



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そしてこれらを牽引するロープ.

蒼鷹丸は10000 mものロープを巻いています.

10000 m分のロープ...どれくらいのロープ幅になっているのか,

検討もつきませんね.


2016年蒼鷹丸調査②

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出港日の朝.



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いよいよ最後のLeg(*)の始まりです.

研究室で緊張の面持ちで出港を待つ面々.

*Leg・・・一回の航海調査の区分けのこと.



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最終Legの調査地点も貼り出されて,準備万端です.

蒼鷹丸は今回,横浜→東北→小樽→博多→横浜と,

日本をほぼ一周する形で回ります.



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陸と船を繋いでいたタラップが,



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船員さんによって収納されました.



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いよいよ出港です.サラバ陸

  こんにちは大海原



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天気は上々でほとんど揺れはありません.

この日は移動のみで,翌日からいよいよ調査です


2016年蒼鷹丸調査①

2016年7月29日~8月10日にかけて,

中央水産研究所の調査船「蒼鷹丸」の調査航海に参加してきました.



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前期最後の講義を追え,一路成田へ.

LCCは貧乏研究者の味方です.
 

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夜も大分更けた頃,博多港に着きました.

真っ暗な港で光を放つ蒼鷹丸は,どこか安心感を与えてくれました.



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船内はこんな感じ.これは研究者が主な作業を行うドライルームです.

各研究者が持ち込んだ研究器材で溢れています.



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第4代目蒼鷹丸.

全長67.5 m, 892トン.

ウィンチロープ長約10,000 m.
 

我々の分野の研究者が乗船できる調査船の中では,

最大級の船です.
 

2週間の調査の日々が幕を開けます


分類学実験が開講されました②

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海岸で採集した生物を,実験室に持ち帰ってじっくり観察します.



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分類群ごとにバットにわけ...



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種を同定します.「白浜の海岸生物観察ガイド」が大活躍です



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最終的に,藻類を併せて107種がリストアップされました.

100種越えです!すごい!ちょっと同定が不安なものもありますが,

コンディションが悪い中,短期間でよく頑張りました



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学生がいなくなった実習室.なんとなくセンチメンタルです.

来週は,山で野外実習です.海に山に,自然制覇を目指します.


分類学実験が開講されました①

2016年8月18日~19日にかけて,分類学実験を開講しました.

水戸市から東へ車で40分ほどの「平磯海岸」に出向き,

そこの生物を観察するというものです.いわゆる磯観察ですね.



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10時頃の干潮を狙って,朝一で大学を出発.

いい感じの時間に海岸につきました.



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平磯海岸は,このような転石帯がいい感じに広がっていて,磯観察向きです.

実はこの日は台風の余波で波が高かったのですが,

うまく波が入ってこない地形になっていて安全でした.



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めいめい,磯観察に励みます.



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転石をひっくり返すとこんな感じ.

ゴカイの棲管,海綿,石灰藻,ヒザラガイなどなど.

なかなか多様性が高そう



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さて何が採れたのでしょうか?