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Monthly Archives: 9月 2014

京都大学臨海実習第二部+公開臨海実習⑥

アーウィンループを作成しても,観察対象がいなくては実習は始まりません.

ということで,
 

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フジツボから
 

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砂の中から
 

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メイオベントスを採ります
 

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今回の目玉生物はコチラ.
 

チリハギガイという,体長数ミリの寄生性二枚貝です.

普通はイガイ類に寄生しているという話なのですが,

なんとヒザラガイの表面をガリガリ削ってみたところ,

この貝が得られました.
 

殻の中の黒くなっている部分では,

稚貝を育てているそうです.
 

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最後は朝倉先生による甲殻類の解剖.

磯に普通に見られるホンヤドカリを解剖し,

その機能形態や,体節性を学んでもらいました.

まずは殻を割って中身を取り出さなくてはなりません.

そのために使ったのが...
 

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この...
 

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万力

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実に優秀な対ヤドカリ兵器のおかげで,

このように硬い殻に引きこもったヤドカリも,無傷で白日の下にさらされました.

ちなみに,事前に採集したアルコール標本を用いています.
 

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このように,ピンセットで体節の付属肢を一本ずつ解体し,
 

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顕微鏡で観察します.

体節ごとの形態の違いを学んでもらいました
 

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 最後に,朝倉先生のセミナーで,

実習課題はおしまい

 


京都大学臨海実習第二部+公開臨海実習⑤~アーウィンループ作成!~

京大実習レポート第五弾
 

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毎度おなじみメイオベントス実習ですが,

今回は一味違いました
 

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その秘密はこれ!アーウィンループの作成を行いました
 

メイオベントスは非常に小さいため,普通のピンセットでつかむのが困難なばかりでなく,

掴んだとしてもプチッと潰してしまう場合があります.
 

そこで,このような金属製の小さな輪っかを作り,

その径中に表面張力でメイオベントスをトラップして無傷でスライドグラスに載せて観察します.
 

これを「アーウィンループ」と呼びます.
 

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コチラは作成風景.非常に繊細な作業です.
 

材料は以下の通り.
 

・タングステン線(0.2 mm径,0.4 mm径),

・0.1 mm径ニッケル線

・割り箸一本

・アロンアルファ
 

です.それでは作り方説明
 

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まず適当な長さ(20cmもあれば十分)のニッケル線を,

両端がほどけないように捩じって,輪っかを作ります.
 

1の部分に捩じり用タングステン線(0.4 mm径)を,

2の部分にループ作成用タングステン線(0.2 mm径)をひっかけ,
 

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片一方を固定して,捩じります
 

もうこれ以上捻じれない、というところまで行けば,

ループ用タングステン線と同じ径の輪っかを持つアーウィンループができるわけです.
 

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コチラが捩じりに捩じったループの部分.

お次はこのループの先をピンセットの手でつかむ部分に挟み...
 

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えい

とおもむろにペンチでプレスします.
 

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そうしてできたのがコチラ
 

アーウィンループのループ部分が,いい感じでひしゃげてさらに径が狭まりました

そしてお次は,
 

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このような柄付き針を用意し,割り箸の先端に刺して,穴を開けます.
 

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その穴に接着剤をたらり.
 

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そして乾かないうちにループの反対側をくっつければ...
 

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完成です
 

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残り少ない(大学生にとっては)夏休みですが,

貴方もこのアーウィンループでメイオベントス観察を楽しんでみては?
 

続く.

 


京都大学臨海実習第二部+公開臨海実習④

 

京大実習レポート第四弾

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今回は軟体動物の解剖です
 

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まずは番所崎で貝(二枚貝はダメ)を採る
 

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水族館の取水口でも採る
 

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今回の目的は,貝類の歯舌の観察です.

体内にある歯舌をとりだすため,
 

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肉抜きという技術を使います.
 

要するに茹でて軟体部だけを殻から取り出すのですが,

実はこれが,形態観察,DNA解析の両方を行う上で優れた方法なのです.
 

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以前も紹介したマツバガイ(カサガイ)の軟体部.
 

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これは何かといいますと...
 

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コチラ!タツナミガイは体内に歯舌がないなあと思っていたら,
 

こんな風に唇みたいになっていた構造が,実は歯舌だったようで,

これを取り出して観察してみると,ちゃんと歯舌状のザラザラ構造がみられました.
 

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取り出した歯舌を,電子顕微鏡で観察.
 

この日はかなり遅くまで観察を続けたようです.
 

お疲れ様でした


日本の機窓から

先日,機内から翼を見ていたところ...

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おや,翼に何か書かれています.
 

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“Do not step out on this area”
 

一体誰に宛てられたメッセージでしょうか?


京都大学臨海実習第二部+公開臨海実習③

 

気付けば九月も終わりです

白浜では今年最後の実習が始まりました
 

それらの報告も早くできるように,まずは京大の実習のレポートの続きです
 

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畠島から持ち帰った生物の鑑定.
 

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採集・鑑定した生物を毎度のごとく,黒板に書き出していきます.
 

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それぞれの分類群ではそれぞれの専門の先生がご説明.

朝倉先生がヤドカリの鋏について熱く語っておられます.
 

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私も棘皮動物の説明を担当しました.

毎回,説明するたびに自分が知らないことが見つかります.

棘皮動物学も奥が深いです.
 

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これだけの生物が見つかりました

毎度思うのですが,たった半日採集しただけでこれだけ見つかるわけですから,

専門家が集って本気の採集を行えば,どれだけの種数に上るのでしょうね.
 

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夕食は,今夏お世話になったまるかわさん.

お店の外のプレハブを貸切です
 

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みんなで和気あいあいとお食事.
 

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カツです

デミグラスソースにもひと手間かかっていて,とても美味でした
 

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ごちそうさまでした
 

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帰ってから,カメノテとフジツボ解剖です
 

節足動物は,体制がはっきりとしているので,

各体節と他の節足動物との対比ができて,見ていて飽きません.  
 

続く.


京都大学臨海実習第二部+公開臨海実習②

学会のお次は,京大実習のレポートです.
 

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久保田先生のプランクトン実習.

多くの海洋生物は間接発生を行うため,

親と子の形が全然違います.
 

こちらは,親と子のそれぞれの写真から,

親子関係をつなぎ合わせる作業中.
 

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おお,なかなか大きめのクラゲが採れたようです.

最近,久保田先生は田辺湾で採集されるクラゲを長年連載で紹介されていますが,

最近,そのまとめがご著書として発売されました.
 

「魅惑的な暖海おクラゲたち~田辺湾(和歌山県)は日本一のクラゲ天国~」

http://book.akahoshitakuya.com/b/4907841159
 

要チェックです
 

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翌日は畠島へGO
 

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天気にも恵まれました
 

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たまには畠島の風景をご紹介しましょう.

こちらは畠島北西部に位置する小丸島.

潮がよければ,この小丸島へも歩いて渡れます
 

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小丸島を超えて,その先の部分まで来ました.

画面右上に見えるポコッとした島は,

わが実験所の在る番所崎の先端の塔島です.
 

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途中の泥岩帯で,足元の岩を割ってみると...
 

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このような穴が開いています.なんじゃこら.
 

犯人はこいつコツブムシですね.
 

ダイオウグソクムシと同じ等脚類で,ダンゴムシの仲間です.

泥岩に穴を開けて巣にしているのですが,

瀬戸内海のある島では,彼らによる激しい穿孔圧のせいで,

島自体がなくなってしまったとか
 

小さいながら,島ひとつを消してしまう破壊力を秘めた巨虫です.
 

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他にも,穿孔性のホシムシなどもみられました.

一見何気ない岩場にも,実はいろんな生き物が暮らしているのですね.
 

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往路では渡れた道が,復路では水没しているのはよくあること.

皆さん長靴に水をたっぷり湛えて帰りましたとさ

続く.


日本動物学会@仙台⑦

動物学会レポート最終話です
 

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三日目,最終日.

帰り支度をしてこられている方もちらほら.

お祭りの後のようで,少し寂しいですね.
 

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午前中のセッション後,動物学ひろばに急行
 

ナイスポスターの甲斐があってか,

ひっきりなしにお客さんが来られて大盛況でした
 

去年の自然あふれる場所でのひろばも良いですが,

やはり学会場に近いと活気が違いますねー.

ちょっと時間を見つけて他のブースもみてきました.
 

去年に引き続き,「数ミリ以下の動物学」や,

館山(お茶の水大学),下田(筑波大学),三崎(東大)も展示をされており,

どちらも大盛況でしたが,
 

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私が心を惹かれたのはこちら
 

東大理学研究科と土木研究所 自然環境センターによる

「ウニの体のミクロな世界」
 

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このようなタッチパネル式のモニターにウニが映し出されており,

体の各部位をタッチすると,

生体(録画映像)を見ながら詳しく解説されるという仕組みです.
 

管足や叉棘などが動いている状態が観察でき,

その仕組みがより深く理解できるというわけです.
 

ひょっとしたら,今度の実習でこのシステムを拝借するかもしれません.

その際にはよろしくお願いいたします
 

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時々個性豊かなお客さんも来てくださいました.

こちらのお客さんはクイズに答える傍ら,

タカアシガニの甲羅のアバンギャルドな使い方を開発してくれました
 

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開始から五時間,ついに動物学ひろばもフィニッシュ
 

おつかれさまでした!スタッフさんたちによる迅速な片付けを物語るメッセージが,

教室の黒板に残されていました.
 

最後まで見届けることはできませんでしたが,

きっと見つかったことでしょう

お手伝いいただいたスタッフのみなさん,どうもありがとうございました
 

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仙台最後の夜は,琉球大学の山崎さん夫妻と,宮崎先生と過ごしました.

お二人共お酒が大好きなようで,ついつい飲みすぎてしまうくらい楽しい夜でしたよ
 

この日はまたもや宮崎先生におごってもらいました.

ありがとうございます!いつか必ず恩返しすることを,仙台の夜空に固く誓うのでした.
 
 

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翌日,飛行機の時間まで少し時間があったので仙台を観光しました.

有名な伊達政宗の像です!
 

独眼竜として,その眼帯のイメージが根深い政宗ですが,

実際に眼帯をしていたかどうかはわからないそうで,

20年くらい前の大河ドラマで渡辺謙が眼帯姿を演じてから定着したイメージだそうです.

...ガイドの人の話の受け売りです
 

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そして,最後に奥州のそばをいただいて帰ってきましたとさ.
 

これにて,仙台動物学会のレポート終了です
 

お世話になったスタッフの方々,

座長に推薦いただいた法政大学の島野先生,

ご馳走いただいた先生方,

楽しい動物学的なお話を聞かせていただいた参加者の方々にお礼を申し上げます.
 

ありがとうございました


論文出版!

論文が出版されました
 

ダイオウグソクムシで有名な鳥羽水族館の森滝丈也さん,
国立科学博物館の藤田先生との共著論文です
 

Masanori Okanishi, Takeya Moritaki and Toshihiko Fujita. (2014)

“Redescription of an euryalid bittle star,

Astroceras coniunctum (Echinodermata: Ophiuroidea: Euryalidae).”

Bulletin of the National Museum of Nature and Science Series A (Zoology). 40 (3): 133-139.
 

本論文では,2012年に三重県鳥羽水族館に持ち込まれた三重県沖のクモヒトデと,

2013年に高知のサンゴ漁で得られたクモヒトデの標本が,

ツノモヅル属(Astroceras)のAstroceras coniunctum Murakami, 1944

であると認めたため,再記載しました.
 

ツノモヅル属の種は,体の表面にツノのような突起をもつのですが,

それが同属の他の種と比べて非常に大きいことで区別されます.

また,この特徴をもって本種に「オニツノモヅル」という標準和名を付けました.

本種は村上子朗によって1944年に記載されて以降,実に70年ぶりの発見となります.
 

このような再記載は,当時と現在の海洋環境を比較する上で非常に重要です.
 

Astrocharis sp. (16)
三重から採集されたばかりのオニツノモヅル(撮影:森滝丈也)


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アルコール標本になったオニツノモヅル.


本研究では,大阪市立大学の江崎洋一教授と,

瀬戸臨海実験所の千徳明日香博士に便宜を図っていただき,

デジタルマイクロスコープ(VHX)での写真撮影を行わせていただきました.

ありがとうございました
 

しかしいい写真が撮れますね.

今後も是非使わせてもらいたいなあ...と思ってみたり

現在も別の論文を準備中なのですが,

実習や学会でなかなか時間がとれないことと,

初めての系統分類以外の論文ということともあり苦戦していましたが,
 

やっと時間がとれるようになったので,

一気に進めているところです.
 


テヅルモヅルとは⑥

クモヒトデがツルクモヒトデ目とクモヒトデ目に分けられるということですが,

ではこの二目は何が違うのか.
 

以前は腕の腕骨と呼ばれる骨の形で分けられていましたが,

研究が進むにつれ,両目で共通の形の腕骨がみられることが明らかになり,

現在では腕骨による分類はできません.
 

私が研究を進めていたところ,

どうやら二目は腕の別の骨片によって分けられることがわかってきました.
 

クモヒトデ類は腕の周りに腕針と呼ばれる針状の硬い器官を備えています. 
 

実はツルクモヒトデ目とクモヒトデ目は,

この腕針の配置が決定的に異なるのです.
 

クモヒトデ目では,この腕針が須らく腕の側面についています.例外はありません.

これに対しツルクモヒトデ目では腕針がすべて口側についてます.

クモヒトデを反口側から見てみると一目瞭然で,

クモヒトデ目の腕はなんだかフサフサしているのに対して,

ツルクモヒトデ目はつるっとしています.
 

Eu-Oph

(左)ツルクモヒトデ目のキヌガサモヅル(Asteronyx loveni)と

(右)クモヒトデ目のスナクモヒトデ科の1種の反口側(背側).



キヌガサモヅルは腕がツルっとしてますが,

スナクモヒトデ科の一種は腕がフサフサしているのがお分かりいただけますでしょうか?


ただし,この腕針が退化的で非常に小さくなっている種もいますので,

確実に見分けるためには顕微鏡が必要です.



 
腕針の配置なんて簡単に変わりそうなものですが,この違いはかなり顕著ですので,

何か重要な機能的な理由があるのではと考えられます.



 

ツルクモヒトデ目の多くの種は,

現生の種をみる限り,ヤギなどのサンゴに絡んでいます.

一方クモヒトデ目は(例外はありますが),ヤギに絡むことはほとんどありません.

口側の腕針は,ひょっとするとヤギに絡むために発達した器官なのかもしれません.



 

この腕針の機能の探究も,てづるもづる研究の一つの興味深いテーマかもしれませんね.


テヅルモヅルとは⑤

最近友人から,
 

「このHPを見てもてづるもづるについて何もわからないじゃないか」
 

というご指摘を頂きました.
 

全くその通りかと思います.
 

ということで,もう少し真面目にテヅルモヅルについてお話をします.
 

これまでにヒトデ綱とクモヒトデ綱の違いをお話ししました.

次はいよいよクモヒトデ綱の中の分類についてお話いたしましょう.

クモヒトデ綱は現在約2070種が知られており,

おそらく棘皮動物門の5つの綱中では最多種数です.
 

その最たる理由は,おそらく柔軟な腕にありましょう.

この腕を器用に動かすことで,体を小さく折りたたみ,

岩の隙間,砂の中,サンゴなどの他の動物の上など,

他の棘皮動物には到達しえない様々な環境に生息可能となった結果,

多様性を獲得できたと考えられています.
 

しかし悲しきかな.
 

これらは基本的には隠蔽的,すなわち人目に付かない環境ばかりです.

従って,彼らは莫大な種多様性を獲得しながらも,

知名度ではウニ,ナマコ,ヒトデには遠く及びません.

Yahoo Newsにのりました!
 

少し話が脱線しました.話を分類に戻しましょう.

クモヒトデは種数が多いため分類群が多く,

科の数は20を超えていています.

しかしながら,目の数はたった二つ,
 

クモヒトデ目ツルクモヒトデ目です.
 

しかしこの分類には大きな偏りがあり,クモヒトデ目が約1900種なのに対し,

ツルクモヒトデ目は180種ほどです.
 

実はテヅルモヅル類が属しているのはこのツルクモヒトデ目です
 

すなわち,テヅルモヅルは,
 

マイナーなクモヒトデ綱の中でもさらにマイナーなグループなのです.
 

続く.


ヒザラガイの歯舌

突然ですが
 
 

軟体動物の一部のグループは
 
 

歯舌という,読んで字の通り,人間でいうところの歯と舌の機能が合わさったような組織を持ちます.
 
 

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例えばカサガイを茹でると,軟体部だけがコロッととれます.

コチラは背中側です.
 

紐のように見えるのは,消化管でしょうか.

あンた,背中が煤けてるぜ.
 

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コチラは口側.
 

左上の頭部を切開すると線状のものが見えてきます.

これがカサガイの歯舌です.
 

同様に,ヒザラガイの仲間も,同じような線状の歯舌を持っています.
 

種によって違いますが,歯舌の表面はヤスリのようにザラザラしており,

これで岩などの表面を舐めるようにして,藻類などを食べているそうです.
 

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そしてこのように,歯舌を二つ並べてみました.
 

実はヒザラガイの歯舌には鉄分が多く含まれており,

磁石に反応するというので,その検証実験をしてみます
 

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磁石をそっと近づけると...
 
 

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!!!
 
 
 

くっつきました 
 

カサガイ(マツバガイ)の歯舌には全く反応しなかったため,

少なくともマツバガイのものよりは鉄分を多く含んでいるようです.
 

という,簡単な実験のお話でした.
 


京都大学臨海実習第二部+公開臨海実習

2014年9月4日~10日にかけて,

京都大学の臨海実習+公開臨海実習が開催されました!
 

この実習では,8月に行われた実習の発展版として,

様々な採集方や形態観察法を駆使して,

個々の分類群についての理解をより深める事を目的としています.
 

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全国津々浦々からソルジャーたちが集まりました.

おや,見た顔がいますね.最近リピーターが多いような気がします.

いいことです
 

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まずは研究所内の説明の後に...
 

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朝倉先生による講義

「動物の分類と体制」
 

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そして,宮崎先生による顕微鏡の使い方の説明です.
 

これで実習の下準備はばっちり

さて,今回はどのような無脊椎ドラマが繰り広げれられるのでしょうか?
 

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ところで,今回は鳥の脊椎骨を髪飾りにしている

古生物女子が参加してくれました(手前の人です).
 

なかなかの猛者が集ったようですね
 

続く.


日本動物学会@仙台⑤

 

動物学会二日目は,分類学会のシンポジウムからはじまりました.
 

「数ミリ以下の動物学」
 

その名のとおり,成熟しても体長数ミリにしかならない動物の研究を集めた集会です.

今年で第三回目を迎えており,毎回新進気鋭の研究者が非常に興味深いお話を聞かせてくれます.
 

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先日打ち合わせを生で聞いていたオーガナイザーお二人により,

シンポジウムは幕を開けました.
 

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UMISAWA2にも参加していただいた角井さんによる発表.
 

タナイスという甲殻類の生物学についてお話いただきました.

最近,とにかく面白い研究を目指さねば,と自分改革を目指している私にとって

参考になる発表でした.かくありたい.
 

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昼休み,宮崎先生,千徳博士,そして藤田研での後輩で,

現在は水産無脊椎動物研究所に勤めている増田さんと一緒に,東北大の食堂でお食事.
 

ご覧下さいこのヘルシーなラインナップ
 

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こちらはレシート.
 

赤,緑,黄,で栄養価を点数かするシステムを見ると,学部時代を思い出しますね.

(院時代は正確には大学所属ではありませんでした)
 

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他にもこんなのや...
 

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こんなのや...
 

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こんなレシートが
 

一番最初のが私ですが,他のは誰のでしょうか?

正解は,忘れました
 

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さて,午後には翌日の動物学ひろばの準備が待っていましたよ
 

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教室にいくつものパネルが立てられ,スペースが確保されていました.
 

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我々のスペースはこちら
 

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せっせせっせと準備を進めまして...
 

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ポスターデザインは千徳博士です.
 

うーむ相変わらず見やすいポスターですね.

これで完璧かと思いきや...
 

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一箇所だけ脱字が見つかりました

急いでマジックで修正を試みましたが...間違いに気づきますか?
 

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動物学ひろばでは,去年に引き続き標本当てクイズを開催しました.
 

参加者に提供される豪華景品の中には,実習でみなさんに配っているウミウシフィギュアもありますよ

たくさんお客さんが来てくれるといいですねえ.
 

続く.

 

 

 


日本動物学会@仙台④

 

日本動物学会レポートまだまだ続きます.
 

写真 2

勿論私も発表いたしました.
 

岡西政典・藤田敏彦

「日本産キヌガサモヅル(クモヒトデ綱,ツルクモヒトデ目)の分子系統解析」
 

まだまだ予察的な内容だったので上手く話せるかわからなかったのですが,

とりあえずは発表は終えられたというところでしょうか.
 

しかし最近になって,自分の研究の面白さを人に伝えることの難しさを考えさせられています.
 

それはすなわち,テヅルモヅルの理解の深さ,

自分らしさの表現,に言い換えられると思います.
 

これらは結局,自分で手を動かしてデータをとっていかなくてはなし得ません.

みなさんのおかげで資金は得られておりますので,

これから本格的に取り組んで行きたいところです.
 

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一日目は,分類学会のシンポジウムもありました.

博物館のこれからを考えていくシンポジウムです.
 

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オーガナイザーの一人,北大名誉教授の馬渡先生のスピーチです.

その手前におられるのは,国立科学博物館に努めておられた松浦先生です.
 

たくさんの先生方が,日本に国立の自然史博物館を作ろうと,

いろいろと手を動かしてくれています.
 

我々若手もそれに応えるべく,そろそろ分類学を楽しむだけでなく,

一般に還元していくことを考えていかなくてはなりません.
 

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シンポジウムの打ち上げの様子.
 

かなりの人数です。途中から人が少しずつ増え,

最後は入りきらなくなるのではと心配になるほどでした
 

お食事はどれも絶品でしたが,なかでもホヤは見方を代えさせてくれるほどの逸品でした.

東北のグルメに舌鼓を打ちました.
 

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勢いそのままに二次会に突入.
 

まだまだたくさんの方々が残っています.

しかし後から聞いたのですが,この他にも各地で二次会が開かれていたそうです.
 

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 手前のチェックの方が琵琶湖博物館の太田さんで,UMISAWA2にも来ていただいていました.

その奥が北大の柁原先生です.
 

おふたりは翌日の朝からのシンポジウムのオーガナイザーで,

綿密な打ち合わせをなされていました.
 

そんなこんなで,動物学会の一日目は過ぎて行きましたよ.

続く


日本動物学会@仙台③

日本動物学会レポート
 

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知り合いのセッションは一日目に集中していました.
 

分類・系統や生態・行動のセッションでは,

伝統的な系統順,つまり体の作りが単純(と考えられている)な動物の発表から

日程が組まれていました.
 

一日目に知り合いが多いのは,つまりそういうことです.
 

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ということでSMBLのOBの藤本くんの発表も一日目でした.
 

藤本心太・山崎博史・宮崎勝己

「日本産ハマクマムシ(フシクマムシ目ハマクマムシ科)の分類学的研究」
 

無敵のイメージが強いクマムシですが,実はそれは少数派で,

特に海産種はほとんど有敵で,

レンジでチンすると死んでしまうのですが,

形が非常に多様です.
 

今回はそのような魅惑的な形を持った海のクマムシの紹介でした.
 

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宮崎先生の発表
 

宮崎 勝己,冨山 毅,山田 勝雅,玉置 雅紀

「二枚貝寄生性種カイヤドリウミグモの分類学的位置について」
 

最近突然に東京湾で発生したというアサリ寄生性のカイヤドリウミグモの系統的な位置の,

分子系統学的な手法による確認です.
 

内容もさる事ながら,巧みな発表技術によって,

会場を笑いの渦に巻き込んでおられました.

うーむ,私もかくありたいものです.

努力せねばなりません.
 

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この日,仙台は土砂降りに見舞われました.
 

これは決して準噴水型のモニュメントではありません.

多雨によって階段に多量の水が浸水しているところです.
 

大変なことになってきました
 

 続く.


日本動物学会@仙台②

2011年9月11日~13日に開催された,

日本動物学会の仙台大会に参加してきました
 

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仙台は遠いので前乗りです.
 

9/10,実習が終わったその足で仙台へと飛びました.
 

久々にLCCのピーチに乗りましたよ!待合室から飛行機まで徒歩で移動.

東南アジアでの乗換を思い出します.
 

最近就航したとあって,機内は非常に綺麗でしたよ

(実習疲れでほとんど寝ていましたがw)
 

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仙台に着くと,前のりしていたUMISAWAな連中から早速お声がかかったので,

夜の街に繰り出しました.
 

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こ,これは(笑)

ものは試しと入店してみると...
 

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牛タンです 
 

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地酒飲み比べです

「大して美味しいものがない」なんて,とんでもないです

一日目から仙台の美味しいものに出迎えられて大変満足しました
 

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店内の様子.例によって,若干写真がぶれているくらいが飲み会の盛り上がりが伝わって良い,

というのが私の(自己防衛のための)持論です.
 

写真を撮り忘れていましたが,北大時代の同期にも会えて旧交を深めることができました.

みんなぞれぞれに地で,それぞれに,努力しているのですね.
 

こうして仙台一日目の夜は更けていきました.
 
 
 
 

続く.

 


関西学院大学臨海実習⑦

関学実習のレポート,いよいよラストです
 

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果たして畠島での採集手数は何種に上ったのか?
 

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なんと,海藻などを含めて99種でした

あと1種で100種でした
 

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内田先生の最後の講義.
 

このような情熱溢れる研究者がおられるおかげで,畠島の自然は維持されているのでしょう,

ありがとうございました
 

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夜中まで頑張ったご褒美として,みなさんにアイスが振舞われました

またいつでも白浜の自然を観察しに来てくださいね
 

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翌日,お土産にウミウシフィギュアを持って帰ってもらいました.

やはり顔のある分類群は人気が違いますね.みんな喜んでいました

これで海洋生物好きが一人でも増えてくれるといいですね
 

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最後に新しくなった水族館でパシャリ.
 

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名残おしいですが,いよいよお別れです.おつかれさまでした
 
 
 
 

といわけで
 
 
 

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関西学院大学実習レポート
 
 
 

これにて終了


関西学院大学臨海実習⑥

だいぶ遅くなりつつありますが,
 

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関学実習のレポートです
 

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持ち帰ったベントスを例のごとく,バットにあけて観察です.
 

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こちらはカニを鑑定中?
 

十脚類くらい研究が進んでいると,ある程度図鑑で同定できますが,

そうでない分類群はそもそも図鑑すらありません.
 

実はこの「そうでない分類群」,つまり研究が進んでいない分類群は結構多いのです.

今なら研究し放題ですよ
 

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これは,ナマコの骨片を偏光板を通して観察したところです.
 

プルテウス幼生の骨片はよく観察しますが,

ナマコの骨片もこんなに鮮やかに光らせられるとは知りませんでした.
 

様々な骨片の種類が一目瞭然ですね
 

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内田先生の熱血指導を受けつつ,鑑定結果を黒板に書き出します.
 

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黒板一枚では書ききれなかったようです.果たして何種とれたのか?
 

続く


鳥取県立博物館に行ってまいりました④

鳥取県立博物館でのシンポジウムが終わり...
 

新たな実習も始まり,SMBLは秋の気配.
 

しかし夏はまだ終わらない
 

鳥取オフショット集です
 

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サンゴ展に掲載さていた勉強になるパネル.

最深の刺胞動物門ない大系統と,その中での骨格を作る分類群(サンゴ)の位置.

こうしてみると,サンゴが刺胞動物内で多系統であることがよくわかります.
 

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つづいてこちらも勉強になったパネル.

グレートバリアリーフは日本語で「大堡礁」というんですね.

欲とよく考えると,海外にあるものに和名がつけられているのもすごいことです.
 

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待合室で見かけた,おそらくキノコ展の産物かと思われるキノコぬいぐるみ.

この後千徳博士の手によってどうなったかは,彼女のブログをご覧ください.
 

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シンポジウム後に連れて行ってもらった居酒屋「かたつむり」.

実に隠れ家な雰囲気漂う良い店でしたよ
 

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シンポジウムお疲れ様でした!乾杯

むむ,しかしこれでは雰囲気が伝わりませんな.
 

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改めていざ

そう、この躍動感があってこその乾杯です
 

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夜遅くまでサンゴについての楽しいお話を聞かせてもらいました.
 

この日は一か月以上に渡った特別展の最終日でもありました.

準備から本番までのほとんどの作業行程を手掛けられた徳田さん,本当にお疲れ様でした.
 

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鳥取の美味いもんをいただきましたよ
 

手前の茶色い練り物が鳥取名物あごちくわ,

その隣の小鉢の中身は,言わずと知れた鳥取の定番らっきょうです.
 

その他にも豆腐ちくわなど,たくさんの珍しくておいしい名産品を頂きました
 

いつも名店を紹介してくださる徳田さん,ありがとうございます
 

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最後に,シンポジウム後にお話をされる千徳博士と江崎先生の師弟ツーショット.
 

江崎先生には,今回もいろいろとご馳走になってしまいました.

いつか恩返しができるように,頑張ります!
 

さてさて,もうすぐ実習が終わりますが,

その後はすぐに動物学会に参加してくるために仙台に行ってまいります.
 

11日L会場 16:45

岡西政典(京大・瀬戸臨海),藤田敏彦(国立科博・動物)

「日本産キヌガサモヅル(クモヒトデ綱:ツルクモヒトデ目)の分子系統解析」

 
 

国立科学博物館の藤田先生と共著です.
 

13日には座長も務めさせていただきます.
 

頑張ります


鳥取県立博物館に行ってまいりました③

シンポジウム報告です


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美ら海水族館の高岡博子さんの発表
 

「ツノサンゴ 鳥取の海松~ツノサンゴについて~」
 

ツノサンゴは枝状の六放サンゴですが,

実はこれに絡んでいるクモヒトデ(てづるもづる)は,須らく珍しいのです.
 

ツノサンゴを見るたびに,毎回つぶさに観察をしいますが

フィールドで出会ったことはほとんどありません.
 

他のクモヒトデが付かない理由は不明ですが,

ひょっとしたら刺胞の強さが関係しているのかもしれません.
 

そんなツノサンゴに関する話題ですが,

まだまだ分類が進んでいないグループということが驚きでした.

特にぱっと見の外見ではほとんど区別がつかず,

詳しい種分類のために顕微鏡観察を要する苦労は

クモヒトデにも共通します(勿論他の分類群もそうでしょう).
 

そもそもツノサンゴの研究者は少ないとのことなので,

今後共ご指導をお願いいたします
 

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鳥取県立博物館の大嶋さんのお話.

鳥取のサンゴ細工に関わるお話でした.
 

このような古い文献記録には,

実は我々の研究している自然史に直結してくるところがあり詳細な検討が必要とされるのですが,

なかなかおろそかになりがちです.
 

例えばテヅルモヅルも江戸時代の文献では,

生きた個体を持っていると手が痺れるのでであり,

乾燥したものを粉末にすると喘息のになる,と書かれており,

その真偽は明らかにされておりません.

いつかは取り組んでみたいですね!
 

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そしてトリの千徳博士
 

サンゴの群体の形づくりが,個虫の隔壁殻の出芽の方向性の組み合わせによって説明できることを,

わかりやすく話してくださいました.
 

特に,これまでに専門にされてきた非造礁性サンゴに見られる個体出芽の規則性が,

実は造礁性サンゴにも応用できる話は,

これからの研究の大いなる発展を感じさせてやまないものでした.
 

会場からの質問にもありましたが,群体性の生物はその個々の個体にの形質だけ注目しがちなのですが,

それだけでは分類が立ち行かなくなっている分類群もみられるそうです.

群体の形成過程や,その規則性を形質とすることで,

系統分類学にも十分応用可能だなと,

興味深く聞かせてもらいました. 
 

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合間に,しっかり白浜水族館の宣伝.

SMBLメンバーの猛プッシュです
 

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ということで,クモヒトデ研究の

ためにもなる大変有意義なサンゴシンポジウムとなりました
 

最後にメンバーでパシャリ.
 

徳田さんから後日メールをいただきましたが,

またこのメンバーで何か企画をしたいくらい楽しい時間が過ごせました.
 

いずれ,また他のInvetebrateな面子を絡めつつ,

楽しい企画をしていきたいですね.
 

今回のシンポジウムをオーガナイズしてくださった徳田さん,

並びに会場設営などでお世話になった鳥取県博の皆様,

本当にありがとうございました


関西学院大学臨海実習⑤

 

最終日は畠島に渡島です.
 

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いつもの船着場(寒さ裏)と違う場所でしばらく待つと...
 

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おお!われらが実習船ヤンチナがやってまいりました
 

大所帯の場合は一度で乗り切らないので,二班に分け,

先発隊を渡した後に後発隊を別の場所でピックアップします.
 

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船頭から乗船
 

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船上で楽しげな関先生(左)と富永先生(右).
 

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到着!分室の黒板を使った大和先生の講義のあと...
 

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いよいよ磯に出発
 

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内田先生,
 

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大和先生という黄金コンビにより,畠島の自然が余すところなく解説されます.
 

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初めてのタツナミガイに喜ぶ学生アリ.

紫の汁が出ないよう気を付けて
 

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ヤビーポンプ実演中.
 

素手採集が難しいアナジャコなどが採れました.

本当に優秀な兵器です.いつもお世話になっています.
 

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畠島北西部(外洋向き)の転石帯に行くと,生き物の様子がだいぶ違っています.
 

フジツボ一つとっても,内湾ではイワフジツボなどの小さな種類が多いのですが,

外洋に近づくとクロフジツボなどの大型種が増えてきます.

食べ物や波あたりと関係しているのでしょう.
 

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こんな自然豊かな畠島ですが,

上陸後に捨てられたと思われるゴミが時々見られます.
 

畠島は自然保護のため,無許可での上陸が禁止されています.
 

ご協力をお願いいたしますね.
 

続く.


関西学院大学臨海実習④

 

関学実習のレポートです.

ウニの正常発生は,プルテウス幼生まで進みました.
 

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こちらはモニターに映し出された幼生.

ある処理を施してやると...?
 

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ピカピカに光りました
 

これは,偏光板という一定方向の光しか通さない板で対象物を挟んで観察して得られた画像です.

プルテウス幼生になると体の中にカルシウムの骨片が出来てくるのですが,これは一定の方向性をもって配列した単結晶です.

偏光のみが反射される状態では,この単結晶以外は光が反射されないため,それだけが光って見えるということだそうです.

(という説明で合っているのか甚だ不安ですが)
 

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しかし美しいものは美しい
 

結晶の組成が,各部位で違うのでしょうか.

時折体の一部分だけが光ります.
 

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思わず関学の富永先生もパシャリ.

生き物の造形美ですよね.
 

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ウニとくればお次はプランクトンです

関学OBの内田先生が講師を務められます.
 

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プランクトンはなぜ浮いていられるのか?

浮くためにどんな努力をしているのか?
 

その答えは,この内田先生のポーズに隠されています.

後ろの黒板の文字と併せてご考察あれ.
 

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野外でプランクトン採集.

この実習では,円月島付近の流れの速い場所で泳ぎながらプランクトンネットを曳くという,

変わった方法をとります.
 

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これはベントス採集ではありません.プランクトン採集なのです
 

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内田先生の指示の元,全員で作業に取り掛かります
 

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最後に濾しとったプランクトンを瓶に集めます.
 

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実験室に持ち帰って,この日も遅くまで観察が続きました.

おつかれされまでした!
 

まだまだ続く.

 


鳥取県立博物館に行ってまいりました③

シンポジウム開始時間が迫り,ちらほら人が集まり始めました.
 

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愛弟子の千徳博士を旧交を深める江崎先生.

講演会のトップバッターを務めるにも関わらずこの落ち着きぶりは流石です,

比べて私は直前までわたわた...

見習いたいです
 

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江崎先生のお話

化石サンゴと現生サンゴが物語るサンゴの来歴
 

我々が目にする,珊瑚礁を作るサンゴは,多くが六放サンゴと呼ばれるもので,ポリプの骨格の作りの基本である隔壁(かくへき)の作りが,6の倍数で増えていくのですが,これにに対して4の倍数で増えていく四放サンゴというものがいます.
 

このサンゴは古生代にしか栄えておらず,現生のサンゴの形を考える上で非常に重要な分類群だそうです.
 

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江崎先生の発表にはいろいろと感銘を受けました.
 

私を含めた系統分類屋の多くは,現在の生物にみられる現象の検討から過去を調べようとしています.しかし,過去には過去特有の現象があり,その検討なくしては過去の環境を知ることは不可能なわけです.
 

そして,過去の現象を調べる唯一にして絶対的な証拠は化石です.
 

今後,研究の方向性に化石の検討を加えたいと思っている私にとって大変勉強になりました.
 

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美ら海水族館の野中さんのお話

八放サンゴについて
 

実はもづるの多くは八放サンゴに絡んで生活しています.そんな八放サンゴの魅力的な形を,立体メガネを駆使して見せていただいたスライドは圧巻でした,
 

さらに,産後のポリプのうち,生殖用のポリプが機能分化しているお話は非常に興味深かったです.
 

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そして勿論私もお話させてもらいましたよ

「サンゴ×クモヒトデ」
 

いつもクモヒトデがお世話になっているサンゴに対しての熱い思いの丈をぶつけさせてもらいました.
 

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ご覧下さいこの八放サンゴに付着した夥しい数のクモヒトデを

決して八放サンゴをいじめているわけでない...と信じたいのですが,

真偽のほどは不明です.
 

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何気なく,新装開店した白浜水族館の宣伝もしてきました

質疑応答もあり,それなりに意味のある発表ができたのではないでしょうか.
 

サンゴのシンポジウムでしたが,多くの方に興味を持っていただけて,非常に有意義でしたよ


関西学院大学臨海実習③

 関西学院大学実習レポート
 

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ムラサキウニの発生。講師は関学の関行人先生です.
 

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アセチルコリンを注射,放精放卵を見守るみなさん.

いつもの光景です.
 

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無事に配偶子を出してくれました

安定のムラサキウニさんは実力が違います.
 

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今回は一つ勉強させてもらったことがありました.

ウニは,自然状況下ではトゲを器用に動かして狭いところに入り込むため,
 

ビーカーの上に置いておくと,この手前のウニのように(危ない)

その中に入り込んでしまうことがあります.
 

その危機を防ぐため...
 

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このように,ビニールテープで入口を狭くしてやるというわけです
 

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...この方法が効果的でないウニもいるようです

まあ,コシダカは比較的管足が弱いので,

ビーカーの中に入っても取りやすいのでOK
 

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水替えは重要ですね

正常発生を効率よく観察するため,なるだけ快適な環境を維持してあげましょう
 

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きちんと水替え担当が組み込まれています.
 

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学生の要望に応え,ムラサキウニの解剖を行いました.
 

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パカッと開くと,腸や水管系が上下でつながっているのが観察できます.
 

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水につけてやると,内臓が浮き上がってその配置が見えやすくなります.
 

今回は尊いムラサキウニの命を犠牲にしましたが,

生殖巣だけ食べて捨てられるよりはその命を有意義に使えたはずです.
 

棘皮動物フィーバーの一日でした.


関西学院大学臨海実習②

関学実習レポートの続きです.
 

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一日目は食事後の夜も実習を続けます.
 

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昼間に採集したカメノテの解剖です
 

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講師はもちろんフジツボの専門家の大和先生です
 

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コチラはカメノテの仲間のエボシガイですね.
 

一見二枚貝のような殻を持っているように見えますが,

エビやカニ仲間で,れっきとした甲殻類です.
 

顎脚綱と呼ばれる,ケンミジンコや貝形虫などを含む仲間です.
 

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貝殻のように見える殻板を取り除き,根元をつまむと,

ツルのような曼脚を広げた様子が確認できます.
 

これは,カニなどの一番目立つ脚に該当する部分で,胸脚と呼ばれます.

この曼脚を殻の隙間から出して,水中の食べ物を捕獲します.
 

これが上を向いているということを考えると,

フジツボの殻の中での奇妙な姿勢分かってきます.
 

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これは,カメノテの体内から取り出した卵です.
 

やや発生が進んでいるようでした.この後ノープリウス,キプリス幼生と姿を変えていき,

最終的に岩に張り付く生活を送るようになります.
 

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関学の実習では,実習担当の助手の方も来られます.

お世話になった加藤さんです.濾過海水を作っています
 

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一日目から,夜遅くまで実習が続きました


鳥取県立博物館に行ってまいりました

鳥取県立博物館のシンポジウムに参加してきました

本州を文字通り縦断し,半日かけて鳥取に到着.
 

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オーガナイザーの徳田さんや共演者の江崎先生と合流し...
 

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夕食をご一緒させてもらいました
 

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とてもおいしい鳥取の料理に舌鼓を打ちます

おや,この箸置きは...
 

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なんと八放サンゴのポリプです
 

あえて,いわゆる造礁性でないサンゴのポリプの柄が入った箸置きが置いてあるお店に入るあたり,

さすがと言わざるを得ません.
 

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そんな素敵な箸置きとお料理を撮影する江崎先生...

を撮影する千徳博士を撮影.

早口言葉みたいな状況になってしました.
 

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江崎先生と,そのお弟子二人のスリーショット.
 

右側の方が鳥取県立博物館学芸員の徳田さんで,

サンゴを用いて,現生・化石の両面からその進化の検証に取り組んでおられます.

とても博識で,特に海洋の地史イベントを考慮した進化に精通しておられ,

いつも刺激になるお話を伺っています.
 

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お店の前で集合写真.
 

一番左は,江崎先生の研究室の学生さんの大野さんです.

わざわざ大阪から,先輩や先生の活躍を見に,博物館に来ていたようです
 

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明日の成功を祈って,乾杯
 

こうして鳥取の夜は更けていきましたとさ.

 


関西学院大学臨海実習

 

先日,鳥取県立博物館の特別シンポジウムでの発表を終えてきました.
 

一般の方々を対象にということで緊張したのですが,

なかなか楽しくクモヒトデの紹介や,自分の研究の紹介ができたのではないかと思っています.
 

他の発表者の方々のお話も非常に興味深いものばかりで,

私自身もすっかり楽しんでしましました.
 

その様子はまたアップいたしますね.
 

まずはこの間終わった関西学院大学の臨海実習のレポートおば.
 

2014年8月22日~26日にかけて開催されました.

八月最後の臨海実習の様子をお送りいたします.
 

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お昼に学生さんが全員集合しました.24人の大所帯です.
 

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集合当日から磯に出ます
 

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南浜で磯観察.高潮時の南浜です.新鮮
 

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瀬戸臨海実験所からは大和先生が講師として参加しておられます.

ご専門のカメノテを採集です
 

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カメノテが曼脚を広げているのがみられました.

潮が高いときでないとなかなか見られません.
 

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漂流していた浮きに,同じ蔓脚類のエボシガイがついていました.

陸生のカメノテに比べ,はるかに成長スピードが速いのだとか.
 

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北浜からの道のりはおそらく海の下になってしまうので,

帰りは番所山公園を横断.
 

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帰所後水族館観察!新装開店後,大活躍の白浜水族館です.
 

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系統樹パネルの前での説明.

関学の講師の内田先生が活発に質問をしていらっしゃいます.
 

生涯現役ですね
 

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改修後見やすくなったと評判の小さな生き物の展示.

ここではホシムシやヒモムシ,カイメンなどの普段あまり注目されない生物にスポットが当てられているのです
 

続く.