シンポジウム報告です
美ら海水族館の高岡博子さんの発表
「ツノサンゴ 鳥取の海松~ツノサンゴについて~」
ツノサンゴは枝状の六放サンゴですが,
実はこれに絡んでいるクモヒトデ(てづるもづる)は,須らく珍しいのです.
ツノサンゴを見るたびに,毎回つぶさに観察をしいますが
フィールドで出会ったことはほとんどありません.
他のクモヒトデが付かない理由は不明ですが,
ひょっとしたら刺胞の強さが関係しているのかもしれません.
そんなツノサンゴに関する話題ですが,
まだまだ分類が進んでいないグループということが驚きでした.
特にぱっと見の外見ではほとんど区別がつかず,
詳しい種分類のために顕微鏡観察を要する苦労は
クモヒトデにも共通します(勿論他の分類群もそうでしょう).
そもそもツノサンゴの研究者は少ないとのことなので,
今後共ご指導をお願いいたします
鳥取県立博物館の大嶋さんのお話.
鳥取のサンゴ細工に関わるお話でした.
このような古い文献記録には,
実は我々の研究している自然史に直結してくるところがあり詳細な検討が必要とされるのですが,
なかなかおろそかになりがちです.
例えばテヅルモヅルも江戸時代の文献では,
生きた個体を持っていると手が痺れるので毒であり,
乾燥したものを粉末にすると喘息の薬になる,と書かれており,
その真偽は明らかにされておりません.
いつかは取り組んでみたいですね!
そしてトリの千徳博士
サンゴの群体の形づくりが,個虫の隔壁殻の出芽の方向性の組み合わせによって説明できることを,
わかりやすく話してくださいました.
特に,これまでに専門にされてきた非造礁性サンゴに見られる個体出芽の規則性が,
実は造礁性サンゴにも応用できる話は,
これからの研究の大いなる発展を感じさせてやまないものでした.
会場からの質問にもありましたが,群体性の生物はその個々の個体にの形質だけ注目しがちなのですが,
それだけでは分類が立ち行かなくなっている分類群もみられるそうです.
群体の形成過程や,その規則性を形質とすることで,
系統分類学にも十分応用可能だなと,
興味深く聞かせてもらいました.
合間に,しっかり白浜水族館の宣伝.
SMBLメンバーの猛プッシュです
ということで,クモヒトデ研究の
ためにもなる大変有意義なサンゴシンポジウムとなりました
最後にメンバーでパシャリ.
徳田さんから後日メールをいただきましたが,
またこのメンバーで何か企画をしたいくらい楽しい時間が過ごせました.
いずれ,また他のInvetebrateな面子を絡めつつ,
楽しい企画をしていきたいですね.
今回のシンポジウムをオーガナイズしてくださった徳田さん,
並びに会場設営などでお世話になった鳥取県博の皆様,
本当にありがとうございました