Skip to content

Monthly Archives: 2月 2015

宿泊棟改善大作戦②

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

みなさん,これ,なんだかわかりますか?
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらで使います.そう,宿泊棟です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ベランダの金属枠部分にこのように固定し,
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

先端の輪っかにしっかりステンレスワイヤーを固定!
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ワイヤーにはピンチを通しておきます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もう一方を,同じように固定した輪っかにつなげば...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

宿泊棟のベランダに,物干しの完成ですよ!
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

真ん中に結束バンドで結節を作り,
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

洗濯物が一方に偏らないように工夫しています.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

金具もばっちりハンダで固定!

技術職員さんのテクニックに感謝です!
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もうすぐ春の実習が始まりますが,

宿泊棟も着々と快適度を増しております.
 

目いっぱい海の生きものを勉強していってくださいね!


刺網サンプル

毎週木曜日は南部の日.
 

ということで,水族館から南部産の変なテヅルモヅルが入ったとの一方を受けて,すぐさま駆けつけました.

 
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

形態的にはアカテヅルモヅルAstroglymma sculptaで間違いないのですが,

うーん,なんか黄色いですね...こんな色の個体は初めてみました.

何かの変異でしょうか.興味深いです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この日はいろいろ盛りだくさんで,

派手なミカドウミウシも採れていました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

実習で採れたりするものより,はるかにデカい!

傍らのツマジロナガウニが大体手のひらサイズなので,

30 cmはあろうかという巨躯!
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

しかもこの体躯でダイナミックに体を動かし,泳ぎまくります.
 

水族館フィーバーな一日でした.


ラボゼミ

 先日,実験所でラボゼミが行われました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

発表者は奈良女子大学の宮嶋彩さんです.

彼女は一昨年くらいまで二年間ほど瀬戸に通ってデータを取っておりました.

今回はその作業がひと段落したとのことで,報告もかねて発表をしてくださることになりました.
 

モクズガニ科のケフサイソガニ類は,鋏脚の内側に軟毛の房を持つこ堵が知られていましたが,

その機能的な意義などは明らかにされたことはありませんでした.
 

宮島さんは,瀬戸や三重に赴き,現地でのサンプリングと行動学的実験により,

タカノケフサイソガニHemigrapsus takanoiとヒメケフサイソガニHemigrapsus sinensis

2種において,軟毛の有無が闘争の勝敗に影響を与えることや,

パートナーの選択に影響を与えることを突き止められました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この日は実験所メンバーのゼミでもありました.
 

朝倉先生による「世界のゼブラヤドカリの分類学的再検討」.
 

世界各地から収集された膨大な標本に基づき,14種もの未記載種の記載を含む精力的なお仕事です.

後生の研究者に気を配った記載の工夫が施されており,

若手の分類学者にとっては非常に勉強になるお話でした.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

院生の中町君による「浅海性等脚類シリケンウミセミの脱皮齢推定」
 

海にすむダンゴムシに 近い仲間であるシリケンウミセミを対象として,

野外採集によってシリケンウミセミを採集して丹念に体サイズを計測し,

室内実験によってその脱皮回数を突き止めています.
 

彼はまだM1で,将来有望な甲殻類屋さんです!
 

IMG_4979

宮嶋さんと,その指導教官の和田先生(左列真ん中)を囲んでの鍋パーティの様子.

実は宮嶋さんは既に就職が決まっているそうで,来年度からは新天地に移ります.
 

この席にはもう一方,瀬戸へのお客さんがかくれているのですが,

その方についてはまた今度お話いたしましょう.


もづる紹介コーナー(Astrocharis monospinosa④)

 

 

ヒメモヅルについての続記です.
 

コペンハーゲンから届いたAstrocharis gracilisのタイプ標本はこちら.
 

DSC_0295

こんな感じで,箱に丁寧に梱包されて送られてきます.

真ん中の小さいのが標本です.

この1個体が,A. gracilisの記載に使われた唯一一個体になります.
 

これに対して,アムステルダム博物館から届いたタイプ標本は2つの瓶に入れられていました.

DSC_2152

これと
 

DSC_2167

これです.
 

ijiami

そして日本近海から記載されたヒメモヅルA. ijimaiの標本がこれです(タイプ標本ではありません).
 

これらの観察を始めたところ,すぐに違和感に気づきました.

明瞭に区別できる形が見つからないのです.
 

先行研究では,A. gracilis, A. ijimai, A. virgoの順に体表の鱗が小さくなるというのですが,

少なくともタイプ標本だけを見てやるとどうにも分けられません.
 

そこで,先日も記事にした新種と思われる個体と,

日本で採れたヒメモヅルも含めて,41個体の鱗の大きさと,体サイズ(盤径)を相関させて比較したところ,
 

どうやらA. gracilisA. virgoのタイプ標本の一部とA.ijimaiの鱗の大きさは同じくらいであり,

A. virgoの別のタイプ標本はそれよりも鱗が小さく,

新種と思われる標本は統計的に鱗が大きい,ということがわかりました.
 

つまり,これまでに認められていた三種は,実は二種の混合だったのです.
 

そこで,これらの結果をまとめて,これまで三種が知られていたヒメモヅル属を,

Astrocharis monospinosaと名付けた新種の記載も含めて,

一減一増の末に,三種にまとめた論文を日本動物学会誌のZoological Scienceに発表しました.
 

http://www.zoology.or.jp/html/01_infopublic/01_index.htm
 

実は,このあたりの詳しい話は↑にも書かれています.
 

この論文は,初めはAstrocharis monospinosaの記載だけで発表しようと思っていたのですが,

もう少しまとまった発表にしたほうがいいのでは?

という藤田先生の意向もあり,

少し粘って分類学的再検討という内容にしました.
 

時間はかかったものの,

結果的に一つの分類群のレビューを初めて完遂することとなった,

思い出深い論文となりました.


電気泳動

IMG_4980

実験で電気泳動を行っています.

この一つ一つのチューブの中で,

試薬を混合し,DNA増幅反応(PCR)を行います.

電気泳動は,その実験結果の検証作業です.
 

IMG_4981

電気泳動層の中にこのような穴あきゲルを浸します.

IMG_4982

サンプルチューブより,PCR実験液を,

µピペットで適量吸います(私の場合は4µl)
 

IMG_4983

パラフィルムシートの上に,泳動マーカーと呼ばれる色付きの液を滴下しておき,
 

IMG_4984

パラフィルム状で混ぜます!
 

IMG_4985

十分混ざったら...
 

IMG_4986

ゲルの穴の中に...
 

IMG_4987

アプライします!
 

IMG_4988

チュー...
 

IMG_4989

っと出してやると,マーカーと混合したPCR液は穴の中に落ちていきます.
 

IMG_4990

全ての穴にアプライし終えたら,
 

IMG_4992

蓋を閉じる!
 

IMG_4993

電源ボタンを,
 

IMG_4994

ポチっとな!
 

これで,20-25分ほど待てばDNAがゲルの中を流れて,

その存在が確認できるという仕組みです!


宿泊棟改善大作戦

真面目な話はおいといて,

実験所のお話を一つ.
 

とある晩冬の昼下がり,

宿泊棟のベランダに何をする人ぞ.
 

おお,技術職員の山本さんと津越さんです.
 

宿泊室のベランダに,物干しを作成中でした!
 

特注の金属のストッパーと鋼線で立派な物干しが作られるそうですよ!
 

食堂のテレビの棚には...
 

なんとWi Fiルータが!これで宿泊棟でも

インターネットにつながります!

 
 

玄関の靴箱も一新!
 

各浴室にドライヤーも完備!
 

床全面も湿気防止用に一新!
 

お風呂場の床マットも総入れ替えです.
 

地道にカーペットを計測し,
 

地道にカット!
 

地道に計測&カット!
 

フィット!
 

マットの裏側に切り取り線を書き,カット!
 

ジャストフィット!
 

このカーブを出すのに苦労しました.
 

もう一方の浴室の床マットも貼り換えました!
 

春の足音が聞こえつつある,紀伊の一夜を,

ますます快適になった宿泊棟で

過ごされてみてはいかがでしょうか?
 

皆様の積極的なご利用をお待ちしております!


もづる紹介コーナー(Astrocharis monospinosa)③

Astrocharis monospinosa は新種であるということがわかりました.

しかし,Astrocharisi属の全3種の原記載を読んでみて,ふと気づいたことがありました.
 

これらは本当に区別できるんだろうか?
 

当時Astrocharisに知られていたのは,
 

A. virgo Koehler, 1904

A. ijimai Matsumoto, 1911

A. gracilis Mortensen, 1918
 

で,体表を覆う鱗が,それぞれ,小,中,大,ということで区別されていました.
 

しかしこれでは具体的な数字がなく,

本当にそれが明確に数値として分けられるのか不明瞭です.
 

こうなってくると原記載を読んデイてもラチがあきません.
 

そこでタイプ標本ですよ.
 

原記載の基となった標本を担名タイプ標本といい,

基本的にはこれらの標本に基づいて種の命名は行われます.
 

上記の三種のタイプ標本の所在を調べていたところ,

A. virgoはアムステルダム動物学博物館に,

A. gracilisはコペンハーゲン大学動物学博物館に,

それぞれ所蔵されている事がわかり,

学芸員さんにコンタクトをとってみたところ,なんと貸出をしてくれるというのです!
 

喜び勇んで申し込みをして数週間後,果たしてそれらの標本は,

はるばる海を越え,果たして私の手元に到着したのです.
 

続く


もづる紹介コーナー(Astrocharis monospinosa)②

Arm midd. ven. 5.0 (2)

科博に所蔵されていた標本はAstrocharis gracilisと同定されていました.

この種はMortensenによって1918年に記載されたものでしたが,

原記載の掲載雑誌が少なくとも国内になかったため,

Döderlein (1927)による別の個体の再記載を頼りにこの種を同定していました.
 

しかしDöderleinの記載と科博の個体はどうも形が異なるのです. 
 

果たしてこの違いは種内変異なのか,

それとも科博の個体は別種なのか?

見極めるためにはやはり原記載を見る必要がありました.
 

国外の図書館に複写を依頼して果たして手元に届いた原記載.

あれほど気持ちを昂ぶらせた文献拝読は未だかつてないかもしれません.

一ページずつページをめくるたびに,疑問が確信に変わっていきました.
 

Mortensen (1918)の原記載は,明らかにDöderlein (1927)と一致しており,

科博の標本とは異なることが分かりました. 
 

すなわちこの時点で,手元の標本は新種であるという事が明らかになったのです. 
 

しかし原記載を読んで気づいたことはこれだけではありませんでした.

続く.