こちらはクモヒトデの腕の中にある腕骨です.
我々の持つ脊椎のようにこの腕骨が腕の中に連なっているため,
英語ではVertebraと呼ばれます.
これは腕の先端側から見た画像で,
腕の基部側から見ると,この突起形状がフィットするような形になっています.
つまり,お互いが関節構造を持っています.
この関節の構造は分類群によって違っており,
古くから,主に科以上の高次分類群の分類形質に使われてきました.
この表面を拡大したのが以下の画像です.
なんだか縞々が見えますよね.
実はこれ,クモヒトデの腕骨に刻まれる「年輪」と考えられています.
季節輪であるとの報告もありますが,
実際にこの輪がどのような生物学的特性によって刻まれているのかは,
いまだはっきりとはわかっていません.
しかも,実はこれは更新統から得られた化石なのです.
化石にも残るこの輪の特性がわかれば,
クモヒトデが生息していた古環境の復元も可能になるのではないかと考えています.
少し前からいろいろと手を広げて研究を進めているのですが,
最近それらの結果が徐々にまとまってきつつあります.
今年はいろいろと発表できることがありそうで,今からワクワクです.
それにしても,無限の可能性を秘めたこのクモヒトデ.
そろそろ一緒に研究をしてくれる仲間が現れないかなーと考えたりする今日この頃です.