リンネ以降爆発的に記載が増加し,
徐々に自然の体系が整理されていきました.
ところが,それに伴って浮き彫りとなった問題もありました.
例えば,ある人がフィリピンで新種の魚を記載しました.
その後,別の人がこのフィリピンの魚を知らずに,
日本で採れた同じ魚を新種として記載しました.
この場合,同じ種に別の名前が付けられることになります.
これを「異名」と言います.
さらに,リンネの階層式分類体系の中では,
化石種の扱いは定められていませんでした.
このような問題が増える中,18世紀から19世紀にかけて,
世紀英国科学振興会,アメリカの地質・博物学会,
国際地質学会議,国際動物学会議で議論が重ねられた結果,
著名な動物学者による動物の命名を審議するための委員会が結成されました.
これが動物命名法国際審議会の誕生です.
その後,第5回国際動物学会議(ベルリン,1901)における同委員会による報告が,
「Regles internationales de Nomenclature zoologique」
なる法典として成文化されました.
この法典は,その後の諸会議で一連の改正を伴い,
1961年に,「国際動物命名規約」として出版されました.
現在は第4版まで出版されており,
動物の学名が恒久的に,混乱なく使えるようにするための取決めが,
詳細に書かれています.
また,この規約では,動物の学名を運用するための,
様々な重要な概念などについても言及されているのです.
私もよくお世話になっている一冊です.