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もづる紹介コーナー(Astrocharis monospinosa)

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撮影[国立科学博物館:藤田敏彦]

Family: Astrocharidae ヒメクモヒトデ科

Genus: Astrocharis ヒメモヅル属

Specific name: monospinosa オオヒメモヅル(新称) 
 

非常にレアなモヅルです.

まずヒメモヅル属からして珍しい.
 

体の表面がブヨブヨの皮か細かい顆粒に覆われていることの多いツルクモヒトデ目ですが,

この属は体が鱗に覆われており,かつ輻楯(ふくじゅん)と呼ばれる盤の背面の板状骨片が,

裸出する,という特徴があります.
 

1.0

特に,この輻楯の裸出という特徴は,他のツルクモヒトデ目にはほとんど見られません.

私の中のかっこいいモヅルランキングベスト3には間違いなく入る属です.
 

生息域も,海山の頂上,約300 m以深に限られており,

種数も本種を含めて3種しか知られていません.
 

Astrocharis monospinosaは,
 

①体を覆う皮下骨片が他の種に比べて大きい(0.5-1 mm程度)

②各触手孔に生えている腕針が1本

③体内の側腕板や腕骨が腕の基部で裸出する
 

といった特徴によって区別されます.
 

私が科博の学生になって,博物館の標本を片っ端から見ていた時に,

この標本を見つけました.ヒメモヅル属である事はすぐにわかったのですが,

新種だという確信は得られませんでした.
 

その後,調査を進めているうちに本種が新種である事が突き止められていきました.
 

続く.