水族館の飼育員さんが,砂の中に潜んでいた生物を発見しました.
ジャーンこちらです.このフサフサの生物.
ウニです.
先ほどの写真は口側.こっちは反口(背)側.
ブンブクという類のウニで,体が前後にやや細長くなっているので,
厳密な星形ではなく,左右対称です.
一番上の写真では,左側が進行方向になります.
このようなウニを不正形ウニといい,
他にもカシパンウニやタコノマクラといった類がこの仲間になります.
これに対してムラサキウニなどの,
背側から見るとほぼ完全な円形になるのは,正形ウニといいます.
不正形類の一つの特徴は,この花紋と呼ばれる管足孔の列です.
4つの管足孔が列を成していますが,実はここから4つの管足が伸びるわけでなく,
2つの孔から1つの管足が出ます.
実はこれは呼吸用に発達した管足です.
これらのウニは砂に潜って暮らすため,
呼吸用管足で効率よくガス交換する必要があります.
そのために管足内で効率的に水を循環させなければなりません.
呼吸用管足の断面図.矢印は水流を表す.
1つの管足の中に2つの仕切りとなる孔があると,双方で別の方向の流れを作ることで,
管足内の水の対流をよくするという仕組みということです.
詳しくは上の手書きの芸術的なイラストをご覧ください.
因みに,フサフサの毛は光沢鮮やか.
口の周りには房毛管足と呼ばれる,一見イソギンチャクのような管足があります.
このようにブンブクの体は,砂中で暮らすための様々なうまい仕組みに満ちているだけでなく,
機能的に洗練された形態には美しさすら感じられます..
気になった方は,是非ともウニ本を読んでみましょう
海洋大でウニを研究しているの田中颯さんに聞いたところ,
どうやらオオブンブク(Brissus agassizii)か
ミナミオオブンブク(B. latecarinatus)の可能性が高いとのことです.
田中さん,ありがとうございました