先日,実験所でラボゼミが行われました.
発表者は奈良女子大学の宮嶋彩さんです.
彼女は一昨年くらいまで二年間ほど瀬戸に通ってデータを取っておりました.
今回はその作業がひと段落したとのことで,報告もかねて発表をしてくださることになりました.
モクズガニ科のケフサイソガニ類は,鋏脚の内側に軟毛の房を持つこ堵が知られていましたが,
その機能的な意義などは明らかにされたことはありませんでした.
宮島さんは,瀬戸や三重に赴き,現地でのサンプリングと行動学的実験により,
タカノケフサイソガニHemigrapsus takanoiとヒメケフサイソガニHemigrapsus sinensisの
2種において,軟毛の有無が闘争の勝敗に影響を与えることや,
パートナーの選択に影響を与えることを突き止められました.
この日は実験所メンバーのゼミでもありました.
朝倉先生による「世界のゼブラヤドカリの分類学的再検討」.
世界各地から収集された膨大な標本に基づき,14種もの未記載種の記載を含む精力的なお仕事です.
後生の研究者に気を配った記載の工夫が施されており,
若手の分類学者にとっては非常に勉強になるお話でした.
院生の中町君による「浅海性等脚類シリケンウミセミの脱皮齢推定」
海にすむダンゴムシに 近い仲間であるシリケンウミセミを対象として,
野外採集によってシリケンウミセミを採集して丹念に体サイズを計測し,
室内実験によってその脱皮回数を突き止めています.
彼はまだM1で,将来有望な甲殻類屋さんです!
宮嶋さんと,その指導教官の和田先生(左列真ん中)を囲んでの鍋パーティの様子.
実は宮嶋さんは既に就職が決まっているそうで,来年度からは新天地に移ります.
この席にはもう一方,瀬戸へのお客さんがかくれているのですが,
その方についてはまた今度お話いたしましょう.