京大実習レポートももう第四弾です.
付着生物実習の次は,発生学実習です
講師は毎度おなじみ,宮崎先生です.
詳しい事前解説の様子は,これまでの実習の様子をご覧下さい.
今回は実践の様子をかいつまんでレポートいたします.
ウニを散髪(棘)中.棘が飛んで目に入らないよう,ゴーグルで完全防備
配偶子誘発物質(塩化アセチルコリン)を注射したウニを観察中.
雌であれば,生殖孔(反口側にある)が水につくようにして,卵が容器の底にたまるのを待ちます.
採卵を観察中.なぜこのように,卵同士がくっつかずに,
一様の間隔で配置されるのか?気になったあなたは公開臨海実習に参加しましょう
お次はナマコの発生実習です.
ナマコは,ウニのような薬品による放精抱卵の誘発が困難です.
そこで,このようにある方法でナマコの生殖腺を吐き出させます.
解剖によって精巣・卵巣を取り出すこともできますが,
とある方法で無傷(?)で吐き出させることができます.
気になったあなたは公開臨海実習に参加しましょう!
赤いソーメンみたいのが取り出されました.
これは色からして卵巣ですね.このように,ピンセットでしごいてやると...
赤い小さな粒粒をとりだすことができます.
これが卵です
そしてこちらはクリーム色をした精巣です.
これもハサミ等でチョキチョキ切ってやると,精子を取り出すことができます.
では,あとはウニのようにこれらを混ぜ合わせておしまいかというと,
実はそう単純なものではありません.
ナマコの卵は,成体内では卵形成が減数分裂の第一分裂前期でブロックされています.
この状態では受精能力がなく,いくら精子の懸濁液と混ぜ合わせても受精は起こりません.
自然状況下では,温度変化などの環境変化を感じ取ったナマコが
体内で卵成熟を進め,放卵を行うのですが,
実験室での誘導はなかなか大変で,確実とは言えません.
そこで,本実習では「ある方法」によって,ナマコの卵を実験的に成熟させます.
その方法とはなんなのか?
ふふふ,気になってきたでしょう.
続きはまた明日
...余談ですが,ウニの卵はこのような方法を用いずとも,
放精,抱卵させた配偶子を混ぜ合わせることで簡単に受精させることができます.
このように,生殖期に配偶子が成熟状態で体内で待機している動物は実は少数派です.
ウニが古くから発生実験に使われてきた所以と言えるでしょう.
他にも,
・採集が容易
・放精・抱卵を簡単に誘発できる
・卵が大きく観察しやすい
・一年中,生殖期の種採集できる(場所によりますが).
などなど,実はウニは発生実験において,
唯一無二と言えるほどの優れた実験材料なのです.
と,何気なく棘皮動物アピールをしておきます