Skip to content

ナマコの解剖

2015年8月6日~12日 京都大学臨海実習二部+公開臨海実習「発展生物学実習」⑥

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

色々解剖してみようということで,棘皮動物の解剖のお手伝いをしました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

対象はウニとナマコ.まずはウニです.

ゴーグルをつけて散髪ならぬ散棘です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

お次はナマコ.ナマコの口はどっち?

こんな風に前端と後端をつまんでみればわかります.

ちなみにこのニセクロナマコはメンソールによって麻酔中です.だらーん.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

麻酔中に一気に切開します.

内臓の配置を確認すると,

図説に載っているマナマコとはずいぶん配置や構造が異なります. 
 

なぜ内臓の配置が違うのか?

口の位置は他の種でも簡単にわかる?

キュビエ管は他の種にもある?
 

実はある種の機能形態は,他の種(分類群)と比較することで,

得られる情報が格段に増えます.

このような比較形態学的な手法は,

地味ながら,生態や行動を考える上で非常に重要で,

かつとてもエキサイティングです.

白浜の多様な生き物を通じて,

少しでもその楽しさに触れてもらえたらうれしいですね.


2015年7月14日~20日「臨海実習(大阪市立大学)」⑦

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ナマコの解剖のあと,おもむろに取り出された黒い糸と針...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

一体これで何をするのかと思いきや...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こ,
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これは!
 

解剖されたナマコの腹を縫い合わせています.

聴いたところによると,ナマコを横に切って真っ二つにすると,

それなりの確率でどちらも再生するのだとか.

(再生率に偏りがあった気がしますが,忘れました)
 

対して今回のように縦に切ってしまうと,ほとんど再生しないらしいのです.

そこで,腹を縫合することで,再生検証実験を試みているのだとか.
 

実に野心あふれるフレッシュな実験ですね.

果たしてうまくいくのでしょうか??


2015年7月5日~9日「臨海実習(奈良教育大学)」⑥

※今日の記事はグロ注意です
 
 
 
 
 
 
 
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

奈良教育大学臨海実習,次のプログラムはナマコの解剖です.



OLYMPUS DIGITAL CAMERA

棘皮動物の実習ということで,演習を担当させてもらいました.



OLYMPUS DIGITAL CAMERA

初めての解剖ですが,みなさん抵抗なくすすめます.

赤い紐状の卵巣が広がっていますね.



OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ピンセットでつかんでいる太い紐が腸で,

そこにぶら下がっている細い紐が腸間膜だと思われます.

そしてさらに腸間膜にぶら下がっている赤茶色いもやもやは,毛細血管ではないかと思われます.

水中に広がっているクリーム色のもやもや(見にくいですが)は,呼吸樹です.

この毛細血管に完全に癒合しています.ガス交換が行われているのでしょうか.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

実習室にあるナマコの解剖図はシロナマコとマナマコしかなく,

ニセクロナマコの内臓とは若干の違いがみられます.

それらと比べつつ,各器官をあーでもないこーでもないと議論中.

勉強になります.


奈良女子大学実習2015➄

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

奈良女子大学臨海実習,後半戦は動物やプランクトンに対象を切り替えます.

講師は遊佐先生と西井先生にバトンタッチ.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この日は畠島に行く予定だったのですが...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

天候不順のため断念.

代わりに室内でできることをやろうということで,

ナマコの解剖を行う事となりました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

まずはナマコの口を確認するために石灰環の感触を確かめます.

西井先生も興味津々ですね.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そしておもむろに解剖.

おしりから口まで,一気に縦に皮を割きます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

先ほど外側から感触を確かめた石灰環を,

今度は直接観察します.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

D1の凌君がアカオニナマコを採ってくれていたので,

こちらも解剖してみます.私も初めての体験です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

キュビエ管が無かったり,

呼吸樹の量が違ったり,

皮膚の厚さが違ったり...

しっかり「比較解剖学」を実践できました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ナマコさん,ありがとうございました.

このように命を犠牲にしながら勉強していることを,忘れてはいけませんね.

 


龍谷大学実習➄

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

龍谷大実習は内容盛りだくさん.

棘皮動物の解剖を行います.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ウニの殻を赤道面で割った様子.

ウニの内臓は殻の内側に裏打ちされているので,

外側を割っただけではまだ離れません.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

お次はナマコの解剖.

時間の都合もあるので,今回は班ごとに,解説と同時進行で実践してもらいました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

意外にしっかりしたナマコの内臓の様子に,

カルチャーショックを受けた様子でした.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

最後にナマコの骨片の観察も行いました.

ナマコの皮膚を切り取り,一分ほどハイターに漬け,

水洗の後にプレパラートにして観察すると,

驚くほど多彩な骨片が観察できます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

畠島の生物の観察も,いよいよラストスパートです.

観察種数を増やすため,貝殻を割って中身を観察する猛者まで.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

時間になりました.いよいよ観察種数を書き出します

千徳博士が,お手製のペラ紙で動物門の名札を作ってくれました.

これすごいですよ!安く作れて今後も使いまわせるので,絶対に役に立ちます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今回はリストの作成と別に,個別にお気に入り生物の発表も行ってもらいました.

ジャンケンで発表順を決定
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

それぞれに自分が気になった生物の,

環境と形の適応についてを発表してもらいました
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

全体で,60種近くの生物をリストアップすることができました

今回はなかなか僅差の勝負でしたが,優勝班は海藻まで見ていたのが決めてとなったようです.
 

お疲れ様でした


大阪大学臨海実習④

なまこの骨片の観察方法について

解説致しましょう
 
 
 
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

材料:
 

なまこ
ハサミ
スライドグラス
カバーグラス
キッチンハイター

顕微鏡

以上 
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

まずはなまこの体表の皮を
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

このように切り取り
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

スライドグラスとカバーグラスでサンドイッチ

(この時,指の腹などで軽く押してやるとなおgood)
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

生物顕微鏡で観察
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

わかりにくいですね


 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

5倍希釈のハイターに少し漬けてやり,皮膚を溶かします

(スライドグラスとカバーグラスの隙間に注入してもOK)
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

皮膚が溶けて,炭酸カルシウムの骨片が見えました
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

非常に小さいのですが,かなりはっきりと形が決まっています.

なまこでは,この骨片の形を見て分類を行っています.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

お次はウニの解剖

ナガウニを求める長蛇の列.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

皆真剣に取り組んでいます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

まずはハサミで棘を短く刈りましょう.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そしてピンセットで刺を抜き...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

歯ブラシで表皮を削り取ります.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ヤスリで赤道面上の殻を削る

すると...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

パカ 
 

っと割れて,中の様子が観察できます.


 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

上手くわると,消化管などが繋がった様子が観察できます.

ちなみに,右側のクリーム色の部分が生殖巣(精巣かな)で,

右側の真ん中の白い丸い物体が,アリストテレスのランタンとも言われるウニの口器です.

そのランタンから伸びている黒い筋状のものが,消化管ですね.

顕微鏡で観察すれば,このランタンの周りの水管系の配置などが詳しく観察できます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

おや,突如実習室に見慣れた顔が...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

モッチーです!なんともっちーが連休を利用して瀬戸臨海に遊びに来ていました

既に元師匠の宮崎先生と一杯飲んできた模様.

カメラを向けるとポージングするところは相変わらずでした

福岡で元気に仕事に取り組んでいるそうです
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そんなこんなで,実習の前半は無事終了しました.

後半開始した学生たちに挨拶する古谷先生.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

TAの奥田さん,鈴木さんとともに帰阪されました.
 

おつかれさまでした!
 

続く.


奈良教育大学実習⑤

※本日の記事は若干グロ注意です 
 

先日,大阪市立大学の実習が無事に終了しました.

笑いあり,涙ありで,大変勉強になった一週間でした.
 

市立大学のレポートはまたのちにするとして,

まずは奈良教育大学実習のレポートです。
 

昨日の記事の最後に現れた謎の黒き物体たち...

その正体は!
 

IMG_0790

ニセクロナマコでした
 

麻酔されてだらーんとしています.

ナマコを海水につけた状態で,メントールの結晶をその上に浮かべておくと,

徐々に溶けたメントールによって麻酔されます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

棘皮動物研究者の端くれとして,

デモンストレーションを務めさせていただきました.
 

ニセクロナマコ

たまには詳しく構造を解説しましょう.
 

上側が頭,下側がおしりです.

実は解剖の途中で切ってしまったのですが,

消化管が頭から肛門までつながっています.

赤い線の束が生殖腺で,本来は頭の近くの消化管につながっています.
 

左の方の消化管につながっているもやもやがあり,

そのうち茶色いほうが腸間膜(消化管から栄養を吸い取るところ)で,

白っぽいのが呼吸樹です.
 

体の後端の真っ白いのはキュビエ氏管です.

非常に粘着性の強い器官です,

刺激を受けるとこれを相手に浴びせ,困っているうちに逃げるそうです.
 

ちなみに体内にあるうちは粘着力はないのですが,

体の外に出る際に表面の構造が壊れて粘着力をの持つようになるそうです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

学生さんもトライ。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

筋がいい学生さんばかりです.

これらは生殖腺がクリーム色なので,雄ですね(解説写真の個体は雌).
 

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらはナマコに飽き足らず,タツナミガイを解剖中.

さすが軟体動物.外套膜になかなか弾力があり,

ナマコより苦労したようです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そうこうしているうちに,成長を続けていた胞胚が,

いよいよ受精膜からハッチ(孵化)しようとしていました。
 

しばらくぐるぐる回っていると思ったら...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ポンッ

と抜けていきました。

うまくタイミングが合わないとなかなか観察できない現象です.

みなさん,運がいいですね。
 

続く