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2014年6月30日~7月4日「臨海実習(奈良教育大学)」

奈良教育大学実習⑥

奈良教育大学実習のレポート最終話です。
 

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最終日の朝,名残惜しそうに各自採集用具を片付けています.
 

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菊池先生が,ポリタンクにナマコを詰めています。

「海水を持って帰るついで」だそうです.
 

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私も感化されてナマコ収集?システムを作ってみました.

棘皮動物は,硬さを自由に変えることのできるキャッチ結合組織(英名:Mutative connective tissue)

を持ち,体型可塑性がかなり高いのです.

このように,半分に切ったペットボトルの入り口にナマコを突っ込んでおくと...
 

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 体を柔らかくしてペットボトルの口を抜けてしまします(奥はほぼ抜けかけ)。

我々はこのシステムを”Namaco Ninja Sysytem”と名付け,実習室に保管しました.

興味のある方は是非ともやってみてください.
 

それしても,ナマコは無事に奈良に持ち帰られたのでしょうか.
 

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最後に記念撮影.
 

本当に楽しい五日間でした.

お世話になった教員の方々,

船を出してくださった技官さん,

そして一緒に勉強してくださった学生の皆さん,

ありがとうございました
 
 
 
 
 
 

ということで,奈良教育大学実習レポート終了
 
 
 
 
 
 
 

と思いきや,
 
 
 
 
 
 
 

まだまだたくさん使われていない名シーンがありますので,
 
 
 
 
 
 
 

オフショット集公開です。 
 
 

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 畠島で磯採集中の石田先生(右)です.
 

ご専門は微生物ですが,その磯採集能力は特筆に値します.
 

今回も実に様々な生物を採集してくださいました.

腰の装備が,歴戦を物語っています.
 

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 採集物を見に来られていた技術職員の加藤博士に,

飛び入りでマクロベントスの解説をしてもらいました。
 

ご専門は多毛類ですが,なぜか貝類の説明をしてもらうという。

それでも解説できてしまうところがいぶし銀なところです。
 

解剖動作が速すぎて,写真がぶれてしましました.

決してカメラマンの腕ではないのです.決して...
 

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奈良教の教員大集合の様子が写真に収まっていました。
 

後列の黒シャツの面々が,左から松井先生,石田先生,辻野先生,

一番右の青シャツの方が菊池先生です.
 

みなさんフィールドは海ではないのですが,

あふれんばかりの生物への情熱をもって教育に取り組んでおられました.
 

そして何よりご自身が実習を楽んでおられました.

我々も見習わなくてはいけません。
 

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「名シーンはメイオベントス採集にあり」
 

という名言は別にないのですが,その傾向はあるのではと個人的に思っております.

稀有な抽出作業が,人を笑顔にさせるのでしょうか.
 

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このように,ネットで受けることでもメイオベントスを採集できます.

「マーメイド・ブラ」と呼ばれる,メイオベントス採集必須アイテムの一つです.
 

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彼には,何も頼んではいけない(一応期待は持たせるから).
 

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 ウニの撮影中.
 

最近はスマートフォンのカメラ性能の向上で,

野外や出先で手軽に良質な写真を撮影できるようになりました.
 

野外実習でも,たくさん生物の写真を撮って,

家に帰っても自然に思いを馳せてもらいたいものですね。
 

ということで
 

本当に奈良教育大学レポート終了。
 

お疲れ様でした。


奈良教育大学実習⑤

※本日の記事は若干グロ注意です 
 

先日,大阪市立大学の実習が無事に終了しました.

笑いあり,涙ありで,大変勉強になった一週間でした.
 

市立大学のレポートはまたのちにするとして,

まずは奈良教育大学実習のレポートです。
 

昨日の記事の最後に現れた謎の黒き物体たち...

その正体は!
 

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ニセクロナマコでした
 

麻酔されてだらーんとしています.

ナマコを海水につけた状態で,メントールの結晶をその上に浮かべておくと,

徐々に溶けたメントールによって麻酔されます.
 

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棘皮動物研究者の端くれとして,

デモンストレーションを務めさせていただきました.
 

ニセクロナマコ

たまには詳しく構造を解説しましょう.
 

上側が頭,下側がおしりです.

実は解剖の途中で切ってしまったのですが,

消化管が頭から肛門までつながっています.

赤い線の束が生殖腺で,本来は頭の近くの消化管につながっています.
 

左の方の消化管につながっているもやもやがあり,

そのうち茶色いほうが腸間膜(消化管から栄養を吸い取るところ)で,

白っぽいのが呼吸樹です.
 

体の後端の真っ白いのはキュビエ氏管です.

非常に粘着性の強い器官です,

刺激を受けるとこれを相手に浴びせ,困っているうちに逃げるそうです.
 

ちなみに体内にあるうちは粘着力はないのですが,

体の外に出る際に表面の構造が壊れて粘着力をの持つようになるそうです.
 

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学生さんもトライ。
 

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筋がいい学生さんばかりです.

これらは生殖腺がクリーム色なので,雄ですね(解説写真の個体は雌).
 

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こちらはナマコに飽き足らず,タツナミガイを解剖中.

さすが軟体動物.外套膜になかなか弾力があり,

ナマコより苦労したようです.
 

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そうこうしているうちに,成長を続けていた胞胚が,

いよいよ受精膜からハッチ(孵化)しようとしていました。
 

しばらくぐるぐる回っていると思ったら...
 

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ポンッ

と抜けていきました。

うまくタイミングが合わないとなかなか観察できない現象です.

みなさん,運がいいですね。
 

続く


奈良教育大学実習④

メイオベントス,プランクトン観察とくれば,

お次はウニの発生実験でしょう。
 

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河村博士の主導の元,

いざ発生実験開始。
 

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ウニの口の周りのやわらかい周口膜という部分に注射をうち,

1 mM塩化アセチルコリン(1 ml)を注入します.
 

二日目だけあって皆手慣れたものです.

笑顔すらこぼれる余裕っぷりです.
 

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研究員の間で抜群の定評を誇るムラサキウニは,

今回も優秀な成績で放精放卵をしてくれました。
 

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1時間30分後,第一卵割が始まっています.
 

割球が二つに増えている卵が観察できました。
 

ムラサキウニの卵は黒くて観察がしにくいという話もありますが,

親個体の採集や放精放卵のしやすさ,生殖時期の長さを考えると,

やはり発生実験には欠かせない動物と言えます.
 

私はそんなムラサキウニが好きです。
 

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これは一日目に時間差で受精させたもの.

もうプルテウス型幼生にまで変態が進んでいました。
 

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受精させたウニの幼生の入ったボウル.

このように,使ったウニの名前と,受精した時間をきっちり記録させましょう。
 

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水槽にうごめく謎の黒木物体...

その正体は次回の記事で明らかに。
 

続く


奈良教育大学実習③

奈良教大実習レポです。
 

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北浜です。
 

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フジツボを採ります。
 

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砂を掘ります。
 

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海藻を採ります。
 
 

もうわかりますね。
 
 

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メイオベントス観察です。 
 
 

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シェイクされたフジツボの液.

この上澄みの中に極小生物がいるのです。
 

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このようにボールにとってピペットでスライドグラス上に移して観察します.
 

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今回の目玉はこれ。

謎の動きでみんなを騒がせた生物ですが,

どうやら昆虫か何かの幼虫だったようです.
 

みる人が見れば一発なのでしょうが,

海産生物しか頭にないと完全に謎の生物でした.

一つ勉強になりました。
 

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この実習ではプランクトン観察も行いました.

田辺湾産の採れたて新鮮プランクトンです.

メイオベントスと同様の方法で観察します.
 

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河村博士のイチオシ紹介中。
 

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クシクラゲです。

櫛板を活発に動かしている様子が観察できました.
 

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アイドル顔負けの撮影会に。

私もかなりの枚数の写真を激写したのですが,

ひとつ前のような写真しか採れませんでした.

写真撮影の技術も向上させねばと誓うのでした。
 

続く.


奈良教育大学実習②

 奈良教育大学実習レポートです。
 

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一度で船に乗りきらない人数なので,

後発隊は船着場でなく,近くの岸壁から乗船です.
 

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いつもの分室で説明がされている間に...
 

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河村博士が分室入口の掃除をしていました.
 

このような実験所所員の努力によって,

清潔に保たれているのですね.

※撮影後,私も手伝いました.
 
 

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講義のあとは,磯観察開始。

そしてタイドプールにウミシダ発見。

オオウミシダのようです.
 

黒色で,時折潮間帯でもみられる種だそうです.
 

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黒く濁ったタイドプールを発見。
 

中にタコがいるに違いないと,タコ採り名人の石田先生(奈良教大)がチャレンジをしましたが,

意外に穴が深く,残念ながら採れませんでした.
 

穴の中のタコを引っ張るのではなく,奥の方にぐいぐい押し込む力を与えてやると,

嫌がって出てくるそうです.
 

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デローンと転がったニセクロナマコたち.
 

畠島の北西の方には,このようなナマコゾーンが広がっています.

要因不明ですが,彼らにとっては住み心地のよい環境のようです.
 

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大阪教育大学の実習の時にも見つかった亀の死体がまだ残っていました.
 

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おや,まさか...?
 

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なんと辻野先生(奈良教大)が持ち帰るそうです。
 

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無事に岸壁に帰着.

この後奈良まで持ち帰ったようです.
 

辻野先生は,シカやサルなどの哺乳類と樹木のかかわりや,

人と自然のかかわりなどを研究されています.
 

自然が作り上げた脊椎動物の骨格標本に,思わず食指が動いたのでしょう.
 

ウミガメが今後の研究に生かされるとよいですね。
 

続く


奈良教育大学実習①

いよいよ実習シーズンです。
 

6月30日~7月4日にかけて,奈良教育大学の実習が開催されました。
 

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大阪教育大学実習に引き続き,担当は宮崎先生です。
 

まずは開館直前の水族館解説です。
 

これだけのコンディションの整った状態の水族館を見られることもなかなかないでしょう.
 

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そしてすぐにウニの受精を行います.
 

後にも受精を行うのですが,まずは一日目に受精をさせてしまい,

時間差で発生の進んだ状態を観察してもらうためです.
 

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慎重に塩化アセチルコリンを注射.
 

今回使うのは,人口放精と放卵が比較的簡単な

ムラサキウニHeliocidaris crassispinaです。
 

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放卵が認められたら,さかさま(口を上)にして,

おしりをビーカーに満たした海水につけます.
 

静かに見ていると,真ん中のビーカーに見られるように,

卵が底の方に溜まっていきます.
 

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こちらは放精の様子.
 

精子の動きは,肉眼で絶対に見えず,海水中では白いもやのように見えます.

放精が確認されたら,おしりを,乾いたシャーレーの底に擦り付けるようにし,

ドライスパームと呼ばれる状態にして保存しておきます.
 

精子は海水につけると動き出し,すぐにエネルギーを消費してしまうのですが,

ドライスパームの状態で置いておけば何時間ももちます.
 

冷蔵庫などに入れておけば,さらに長持ちします.
 

この後いよいよ受精させるのですが,それはまた後のお話にしましょう。
 

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みなさんモニターに興味津々
 

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宮崎先生の受精卵の観察に,みなさん釘付けです.
 

向学心の高い学生さんに来ていただいて,うれしい限りです。
 

続く