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研究 - 5. page

もづるカフェ

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かねてより宣伝しておりました,「もづるカフェ」を開催しました

もともとはacademistの支援者の方へのお礼も兼ねた会でしたが,

ふたを開けてみると,あれよあれよと,会議室がほぼ満員御礼となりました
 

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もづるパーカーでキメてます
 

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もづる好き,この指とまれ
 

海洋生物好きからプログラマーまで,

たくさんの方にもづるや,分類学の話ができて,とても楽しい二時間でした.
 

こちらも,追って詳細をレポートいたします.
 

ご参加くださった皆様,本当にありがとうございました


チビモヅル入荷

とある金曜の昼下がり.

水族館から一本の電話が.
 
 

「ちびっこいモヅルが入荷したよー.」
 
 

急いで駆け付けました
 

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それがこちら.
 

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盤径が指先ほどしかない可愛いモヅルちゃんですね.

おそらくアカテヅルモヅルAstroglymma sculptaの幼体かと思います.
 

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大人は腕を広げると数十センチに達する大型種で,

親御さんかと思われる個体も採れたそうです.
 

奥にいる赤めのやつがアカテヅルモヅル.

手前のはサメハダテヅルモヅルかと思われます.
 

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研究用にくださるということでしたので,さっそく水槽にいれてみました.
 

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ちょっと腕がボロボロになっているので気がかりです.
 

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さっき見てみたら,腕を広げていました.
 

何とか復活してほしいものです.


伊良部島調査⑬

 まだまだお見せしたい写真はありますが,

そろそろ水中写真はこれでおしまいにいたしましょう.
 

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藻場に横たわるハネジナマコ.
 

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これはスギミドリイシとかいう種類のサンゴでしょうか?
 

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大きなテーブルサンゴ.
 

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塊状のサンゴ.
 

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様々な形のサンゴが目を楽しませてくれました.
 

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こんな風にカンザシゴカイの巣になっていたり,
 

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魚の隠れ家になっていたりと,生物多様性の基礎を支える重要なサンゴです.
 

最近,人工的な移入による珊瑚の保全活動が見られますが,

サンゴは無性生殖と有性生殖を行うため,

例えばサンゴの採集地点をうまくばらつかせないと,

移入元が全て無性生殖によるクローンだけということも考えられます.
 

その場合は有性生殖で次の世代が残せないため,

最近は,網羅的な遺伝子解析で,

移入元のサンゴの由来を調べる技術が発達しつつあるようです.
 

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いつまでもこんな美しい海藻とサンゴのコラボレーションがみられる海であるとよいですね.
 

続く.

 


伊良部島調査⑫

 

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まだまだ続けましょう,伊良部島の生きもの写真シリーズ
 

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前回とはまあ違ったウツボに遭遇.

こちらは太くてなかなか攻撃力が高そう.

グルグルドリル噛みつきにやられないよう退散
 

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岩の隙間に見えたサンゴ.

始は八放かと思ったのですが,どうもヒドロサンゴのようです.
 

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もう一つおまけにヒドロ虫.

頑張って触手がわかるような写真を撮りました
 

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ガンガゼに見えてちょっと違う.この針の細さは,タワシウニでしょうか.
 

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サンゴを覆っていたテルピオスとは違った,被覆性のカイメン.

ムラサキカイメンのようですが,正確に分類するためには骨片を見なくてはなりません.
 

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こんな風に生き物の姿がよく見られたのは,ひとえにこの快晴のおかげですね.
 

ここ数年,出張や調査の際の天気運に恵まれなかったのですが,

最近はなんだか恵まれています.
 

採集運的な厄年を抜けたのかもしれません


伊良部島調査⑪―外伝

 

 

先日のブログでお伝えした,このサンゴですが,
 

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記事を見てくださった伊勢先生から,驚きのコメントがよせられました.
 

なんと,この右半分の黒い部分は,サンゴが死んでいるのではなく.

テルピオス Terpios hoshinotaという,海綿動物なのだそうです
 

黒い被覆状の海綿で,サンゴを覆って殺し,時に大発生するのだとか.
 

黒色は,大量に共生しているシアノバクテリアの色で,

左半分もこの後,徐々に浸食されて死んでしまうやも,という事でした・
 

写真だけでここまでわかってしまうとは,やはり専門家はすごいですね.
 

自分の不勉強さを自覚すると共に,

生物の不思議を改めて感じるのでした.


伊良部島調査⑪

せっかくの機会なので,

今回はたくさん生物写真を紹介しましょう.
 

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普段何気なく見ているつもりのサンゴですが,
 

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よーく拡大してみると,一つ一つのセクションから,

小さなイソギンチャク状の触手(ポリプ)が伸びており,

群体性の刺胞動物であることがよくわかります.
 

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こちらは,白黒パンダ模様のサンゴではありません.

右側は死んでしまっているようです.
 

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生きている部分のポリプは, こんな風に非常に元気であります
 

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こちらは,遠目に見てもポリプがもさもさしているのがわかります.
 

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近づいてみても,一つ一つの触手が長いのがわかりますね.
 

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一見,ほとんど石のように見えるサンゴも,よーく近づくと...
 

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表面に小さなポリプが触手を伸ばしています

こんな風に,一口にサンゴと言っても,いろいろな形があるんですね.

なかなかサンゴのポリプをうまく写した写真を持っていなかったので,

今回はこの写真が取れだけでも満足です
 

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しかしわれらが棘皮動物も負けてはいません.

海草の間に突如として出現したマンジュウヒトデ.
 

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思わず多孔体を接写してしまいました.
 

よーく見ると,なんだか網目模様が見えます.いったい,これは何なのか.

標本だけからではわからないことに遭遇できるのも,フィールドワークの魅力に一つですね
 

ちなみに多孔体は,棘皮動物の肝とも言える器官で,

読んで字のごとく穴凹だらけのこの骨片の板を通して,

体の中の水が通る管(水管系)へ海水が入っていきます.

これがなければ,棘皮動物は管足を動かせないので,

食事はおろか,移動や呼吸にも支障をきたします.

逆に言えば,水管系はそれだけ棘皮動物にとって重要な器官ということです.
 

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しかし,でかい!これだけ巨大な体になれるのも,

実は水管系のおかげなのです
 

と,結局は棘皮動物のお話になってしまっているのでした.
 

続く.

 


伊良部島調査⑩

 

 

沖縄の海の生き物シリーズ,まだまだ続きますよ

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複雑な網目構造を作るエダサンゴ...ではなくて,

その奥にツマジロナガウニが潜んでいます
 

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アマモ類にくっついているホヤ.

よーく目を凝らすとかなりの数が見られました.

かなり巧妙に擬態しています.
 

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この手のひらほどの大きさのイモガイは?
 

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おそるおそるひっくり返してみると,どうやらマダライモのようでした.

いずにしろ怖いので,記録だけ残し,そっとしておきました.
 

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サンゴ塊の奥に,ウツボ発見

幅4-5 cmほどの小さな打ウツボでしたが,近づくと口を開けてしっかり威嚇してきます.

そっとその場を離れました.
 

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大きなサンゴには,大型の魚類の住処になっています.

オーバーハングしたサンゴの裏側には,ギョロ目のハリセンボンが.

じーっとこちらを観察しているようでした.
 

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おっと,ミノカサゴまでいました

楽しい海とはいえ,やはり危険がいっぱいですね.

十分気を付けましょう.
 

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こちらは,おそらくタマシキゴカイか何かの卵塊でしょう.

奥の方に,親の巣穴が見えます.
 

普段は潮間帯で干上がった状態の磯観察が多いため,

水中で見る生き物は,いずれもとても興味深い生態を見せてくれます.
 

 


伊良部島調査⑨

それでは,伊良部島の生物たちをご紹介します
 

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海草に紛れていたヒトデ.
 

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死サンゴにはたくさんの生物が固着しています.

ウミシダや...
 

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おそらくもう生殖時期が終わりかけですが,

必死に固着しているウミウチワの仲間.
 

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海草が途切れると,砂地にちらほらとサンゴ塊が現れます.
 

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かぼちゃみたいなヒダ状のサンゴ.
 

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サンゴの形はやはり見ていて多様です.

枝状,ヒダ状,塊状...
 

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おや,遠くの方に何かが見えます.
 

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キノコが花粉をまき散らしているわけではありません.
 

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何らかの調査で打ち込まれた杭の先端にサンゴが定着し,

魚の住処になっているようです.
 

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私が近づいていくと,サンゴの中に隠れてしまいました.

外からサンゴをつんつんしてみても逃げません.

どうやら相当頼りにしている隠れ家のようです.
 

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しばらくじーっとみていると,こちらの様子をうかがうようにそーっと出てきていました
 

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今回の調査で,サンゴと生物多様性の関係の一端が見えたような気がします.

様々な生物を育んでいるサンゴは,まさに海のゆりかごなのかもしれませんね.

何より,見た目に美しいサンゴは,それだけでも守る価値のあるものだと実感できました.
 

続く.

 


伊良部島調査⑧

せっかく水中シリーズなので,

私のダイビング装備を紹介いたしましょう
 

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その① ピンセット
 

基本アイテムです.危険生物や固い固着性の生物は,

まずこいつを使ってアタックを試みます.

脆い石なら破壊も可能です.
 

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その② ハサミ
 

ヒドロ虫などの樹状の生き物にクモヒトデが絡んでいる場合,

ピンセットではあーだこーだといじくってるうちにボロボロになることもしばしば.
 

そんな時には,これでホストごと切った方が,双方へのダメージが少なくて済みます.

百円ショップものですが,ここ数年は問題なく使えています.
 

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その③,記録用紙台と鉛筆.
 

そのまんま,水中での情報記録用ですが,紙は使いません.

この記録台に直接書き込みます.
 

紙の質によりますが,水中では紙に書き込むよりも,

プラスチックに書き込む方が断然効率が良かったりします.

試行錯誤の末にたどり着きました.
 

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その④ 洗濯網.
 

単なる日用品と侮るなかれ,

今回の調査で少し破けてしまいましたが,

私の装備の中では,

傑出した耐久力とコストパフォーマンスを兼ね備えた代物です.
 

ビニールパック袋やポリ瓶にサンプルを入れ,この袋の中に入れて地上に持ち帰ります.
 


伊良部島調査⑦

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見渡す限りの海草原でした.
 

よくこういった場所が「藻場」と呼ばれますが

海藻と海草は全く別物です.
 

海藻は,コンブやワカメに代表され,花は咲かせず,胞子体を作って生殖します.

一方海草はいわゆる「種子植物」の類で,花を咲かせて,種子によって生殖します.

海草の祖先は陸上由来と考えられているため,海には二次的に進化したことになります.

前置きが長くなりましたが,これらはおそらくアマモなどの類の立派な海草です.
 

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波に揺られる海草原は本当に幻想的でした.

水深も2-3 mと非常に浅かったため,

心置きなく生き物観察を楽しむことができました.
 

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他のメンバーも次々に降りてきます.
 

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水中でもライン調査が行われていたので,

興味深く拝見していました.

用意するものは,杭とハンマーと巻尺.
 

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まず,このように杭を地面に刺し...
 

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ハンマーで打ち込む 
 

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打ち込む 
 

杭の頭だけしか見えなくなるくらいにまで打ち込みまくります.
 

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杭の頭にはこのように,ライン用をの巻尺の一端を固定し,
 

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もう一方をもって泳ぎ,ラインを作ります.

終着地点では,もう一つ杭を使って端点を固定します.
 

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あとはラインにコドラートを沿わせ,

順番に写真を撮影していきます.

陸上で撮影した写真を見ながら各生物の被度を計算します.
 

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こちらは端点に浮かべられていた何か.

おそらくGPSかと思います.
 

今回は波も非常に穏やかでほとんど苦労はありませんでしたが,

場合によっては物が流されないように注意する必要があります.

今回の調査では,ダイビングの猛者の方々の「技」を目の当たりにして,

一つスキルアップした気がします
 

続く.

 


伊良部島調査⑥

伊良部島調査も佳境に差し掛かってまいりました

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最終日のダイビングポイントは,伊良部島と下地島の間にある佐和田の浜です.

遠くの方に,大きめの岩がゴロゴロ転がっています.
 

1771年に起こった「明和の大津波」で海底から運ばれたものだそうです.

このようなものを「津波石」というのですが,

実際に津波石をそれと認識して目の当たりにするのは初めてで,

島を壊滅させたという津波のすさまじさを見せつけられた思いでした.
 

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この「明和の大津波」で,標高の低い宮古島は壊滅的な打撃を受け,

12000人もの犠牲者が出たということです.
 

もし現在津波が起こった場合の陸上の安全対策に関しては不勉強ですが,

今回の我々の活動は,その被害評価のために役立つものと信じています. 
 

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ということで,今日も調査に励みます.

最終日は海人の方々ではなく,

ダイビングショップに船を出してもらいました.
 

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実はこれまで大人数でボートダイビングをしたことがなかったので,

今回の調査は,とても快適なのでした

どの船も,広くて作業がしやすいのです
 

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装備を整えて,出発!海岸には,人類文化学の調査メンバーの,

高橋さんと渡久地先生が見送りに来てくださっていました!

行ってきます
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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我々は再び海岸にいました

車の中にウェイトを忘れてしまっていたのです. 
 

改めて,出発
 

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何度でも言いたい

本当にきれいな海と空でした.

実はこの後,水中でもっと美しい光景を目の当たりにできたのです. 
 

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碇をおろし,いよいよ水中へ

次回はたくさん水中写真を紹介します
 

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こうご期待

 

 


伊良部島調査⑤

ダイビング調査二日目

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海藻やサンゴの研究者など,調査人数が増え,にぎやかになってきました
 

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出向直後に,お神酒を海に奉納し,調査の安全を祈ります. 
 

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調査の合間に,とても優しい海人が,いろんな差し入れをしてくださいます.

クッキーやコーヒーに始まり,
 

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船長お手製のスープや,
 

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なんとお昼にラーメンを振舞ってくださいました

南国とはいえ,濡れた体で風にあたっているとどんどん体温が奪われます.

暖かいスープがとても体に沁みました...
 

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ちなみに,この日も漁は絶好調のようで,

南国らしい色とりどりのお魚が釣れていました.

モンガラカワハギやスズメダイの仲間など,

素手では絶対に採れない魚をポンポン釣り上げる様子を見ていると,

人類の生活を支えてきた漁法には,やはり人の英知が詰まっているのだなあと,

いまさらながら感銘を受けていました.
 

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日が傾きかけたころ,やっとこさ調査終了.

調査地から港へは約1時間弱です.
 

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その間,船尾に糸を泳がせ,大物を狙った釣りを行っていました.

残念ながら今回は釣れませんでしたが,シイラやカツオなどが釣れるそうです
 

続く

 


伊良部島調査④

一日に複数回潜るので,途中でダイビングショップからボンベを補給してもらいました.
 

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いい感じの時間帯になると,ダイビングショップの船が接近
 

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ロープを使ってしばらく船を横付けし,

使用済みと未使用のボンベを交換です.
 

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なんとウミヘビを捕まえる猛者が
 

安全な種類だと,行動を見極めてコツをつかめば,比較的簡単に捕まえられるそうです.
 

ちなみに,沖縄の言葉でウミヘビは「イラブー」.

今回の調査で,誰かが伊良部島の語源はウミヘビなのかも,と言っていました.
 

真偽のほどはさておき,実際に泳いでいると結構ウミヘビに遭遇する確率が高く,

舌をチロチロさせた蛇が水中を器用に泳いでいるのを見ていると,

なんだか不思議な気分になりました.
 

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持ち帰った生物は,担当班ごとに分かれて,撮影し,標本にします.
 

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みなさんそれぞれの技を使って次々に標本化していきます.
 

沖縄のみなさんはとても写真を撮るのが上手な人が多く,

いろいろと撮影技術を勉強させてもらいました.
 

たとえばフラッシュ一つとっても,フラッシュ自体にカメラのシャッターが内臓されているものや,

無線で本体の信号をキャッチするものなど,

今後の撮影意欲を駆り立てられる面白アイテムがたくさん見られました
 

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その場できっちりと記録をつけていくと,

あとの作業が楽になります.

諸先輩方の技術をたくさん学ばせてもらいました


伊良部島調査③

 

今日はいよいよダイビング調査です
 

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漁師さんの船をお借りして,

ボートダイビングをさせてもらいました
 

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調査日の三日間は天候に恵まれました

ご覧くださいこの快晴
 

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早く紺碧の海に潜りたくてうずうずしている伊勢先生(左)と,

フクロムシの専門家の琉大の吉田博士(右).

お二人とも,スキューバ経験豊富な頼れる研究者です
 

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ふと近くの丘を見上げると,調査リーダーの藤田博士(海の自然史研究所)が.
 

沖縄の離島調査では,海人(うみんちゅ:漁師さん)の協力が必要不可欠ですが,

藤田博士は長年にわたって沖縄で調査をされており,

沖縄の海人からの信頼の厚い,優れた自然史研究者です.
 

今回の調査は,藤田博士以外にはなしえない調査だったでしょう.

お誘いいただいて,本当に良い経験をさせてもらいました

ありがとうございました
 

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漁師さんがサビキ釣り中.
 

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鮮やかな赤い色のグルクンと思われます.

基本的には,漁の合間の船の停泊中にダイビングをさせてもらっています.

惜しみない協力をいただいた海人の皆様,ありがとうございました
 

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休憩中の様子.

透明度が高くて,まるで浮かんでいるようです.

本当に美しい海ですね.
 

沖縄の美ら海がますます好きになってしまいました.
 

続く


伊良部島調査②

 

沖縄調査のレポートを書きましょう
 

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沿岸性の生物調査部隊は,潮間帯も攻めました

干潮時間は真っ暗けの午前12時.
 

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しかしその方が面白生物との遭遇確率がアップしようというもの.

それぞれライトを手に,浅海の生き物にアタックです.

フィールドワーカーは,状況がつらいほど燃えるという側面を備えています.

こちらが調査用具.様々な生物を採集するための強力な武器たちです.
 

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巻尺の一端を固定し...
 

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もう一端を伸ばしてライン(今回は50 m)をつくり,

そのライン上の幅約1m間の生物を,定量的に調査します.

「ライン調査」と呼ばれる,非常にありふれた生態学的調査手法の一つです.
 

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夜中に出現した生き物シリーズ.

砂に潜って隠れているハゼ.
 

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威嚇のポーズをとるクマドリオウギガニ(多分).

他にもミナミコメツキガニなどのカニ類が多数見られました.
 

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しっかり触手を広げたハナギンチャク類.

光を当てていると,少しずつ触手が縮んでいきました.

夜中ならではの光景です
 

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なぜかマングローブの葉の裏に特異的についている巻貝類.

おそらくイロタマキビだとか.

いずれも沖縄では普通に見られる生物かもしれませんが,

普段本州で見ている生物相との違いに興奮しっぱなしの一夜でした
 

この後,採集した生物を仕分けして,翌日のダイビングに備えました


伊良部島調査①

沖縄西方の伊良部島に調査に行ってきましたよ
 

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白浜を出発してから,関空経由で沖縄本島で飛行機を乗換え...

8時間かけて,ようやく伊良部島のお隣の宮古島にたどり着きました.
 

海岸線からやや離れた場所に白波が立っています.

そこに珊瑚礁の際(リーフエッジ)がある証拠です。南国ですね~.
 

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宮古島空港では,先に到着していた名古屋大学の伊勢先生がお出迎え.

海綿動物の専門家で,私の出身研究室の先輩なんですよ
 

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宮古島から伊良部島へ移動開始.
 

珊瑚礁が隆起してできた島ということで高い山がほとんどありません.

見渡す限りのサトウキビ畑
 

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宮古島から伊良部島へは,この「スーパーライナーはやて」で

約20分です
 

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日が傾いてきてとてもムーディーです.
 

ちなみに,この写真にうっすら見えているのは,

来年に開通予定の,宮古島と伊良部島を新しく繋ぐ橋です.
 

開通すると,伊良部島への人の流入が格段に増すと予期出できます.

そこで生態系に影響が出る前に,

その生物相を網羅的に調査・記録しようというのが今回の調査目的です.
 

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一日かけて,伊良部島の調査拠点にたどり着きました.
 

今年最後の調査が始まりますよ


棘皮動物研究集会

「棘皮動物研究集会」が開催されます
 

今年で発足11年目という,比較的若い会です.
 

師走の始まりのとある日,国内の棘皮動物研究者が人知れず集い,

棘皮動物話に華を咲かせるというマニアックさ
 

詳細はこちら
 

「第11回棘皮動物研究集会」

場所:東京大学三崎臨海実験所

日程:2014年12月6日(土),昼くらいから.
 

基本的には忘年会も兼ねたフレキシブルな会です.

堅苦しい雰囲気もなく楽しめます
 

勿論私も発表いたします
 

「キヌガサモヅル(棘皮動物門,クモヒトデ綱)の分子系統地理」

というタイトルで,academistで募った資金で行った研究の成果発表です
 

翌日のもづるカフェも参加して,今年の締めは棘皮動物で決まりです

 

 


タイの水族館

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プーケットで滞在したホテルから歩いてほんの1分のところに,その水族館はありました.
 

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巨大な駐車場!あいにくの天気で車は見当たりませんが,

早くも館内のキャパシティの高さが予想されます.
 

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子供と飼育員さんのふれあいに心が躍りますね!

右上の方に,人魚的な人物がいますが,

この方については後々触れられますのでお楽しみに.
 

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看板の片隅にあった謎のロゴ.

これ,何?

何かの幼生のようですが...
 

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なんとチケット売り場を通る前のタッチプールが

いきなり棘皮天国です
 

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コブヒトデから,ゴツゴツのナマコから,

入口でいきなり心をつかまれました
 

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館内はこんな感じ.照明の感じといい,

筒型の水槽といい,なかなか雰囲気はオシャレです



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まずは淡水魚コーナー.ナイフフィッシュと呼ばれる類だそうで,

正面から見ると,その理由に納得せざるを得ない薄さでした.



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電気うなぎ.とある書籍で電気ウナギの恐ろしさを叩き込まれた私には,
 

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この説明図のリアリティにただただ恐怖するのでした.
 

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さらに奥に進むと海水コーナーが

色とりどりの魚たちにまぎれて...



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これはなかなかの作り物ですね.

造礁サンゴの作り物はよく見かけますが,

ヤギの作り物は初めて見たかもしれません.
 

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キレイなミノカサゴ
 

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やたら黄色いウミスズメ.
 

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お,これは有名なVeronのサンゴの解説図では?

きちんと作られたものはワールドワイドに通用するのですね.
 

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サンゴフィギュアが展示されていました.
 

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手元のボタンを押すと...
 

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該当するサンゴが光ります 
 

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クモヒトデもいました

一応属までは調べられていましたが,実際には検鏡しないとわかりません.
 

やはり自分の研究対象には

ついつい魅入ってしまうのが研究者の悲しき性ですね.


もづるカフェ開催!

東京にて,もづるカフェ開催いたします

—————————————————————-
【もづるカフェ】

■日 時:2014年12月7日(日)13:00~15:00
■場 所:喫茶ルノアール(JR高田馬場駅早稲田口より徒歩3分)
( http://standard.navitime.biz/renoir/Spot.act?dnvSpt=S0107.60 )
■定員:15名
■参加無料
■講演内容:
1. てづるもづるとは?
2. 分類学って?
3. これまでの研究紹介
4. キヌガサモヅルの分類学的研究の進捗状況
—————————————————————-

講演の後は参加者を交えてのサイエンスカフェ形式での鼎談も予定しています.
 
終了後は早稲田近郊で懇親会(有料)を開催いたしますので,

こちらも是非ご参加ください.
お申し込みは( mokanishiあっとtezuru-mozuru.com )にお願いいたします.
 

タイトルを「もづるカフェ申し込み」としていただき,以下のフォームをお埋めください.
氏名(アカデミストユーザー名):
講演会参加:有・無
懇親会参加:有・無
 


タイへ行ってきました⑫

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船の出航時間が迫ってきたので,コテージに戻っていると
 

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なんと道端にウシが二頭。この島はウシさんパラダイスです
 

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こちらのウシさんは向いてくれませんでしたが,
 

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こちらの実にウシらしい柄のウシさんは,

正面から撮れました
 

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そんなこんなで,プーケットに帰る時間になりました.

同じく帰り便を待ち受ける観光客で,ビーチは溢れています
 

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対して明らかに観光でない我々
 

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やや天候が不安でしたが,無事に帰ることができましたとさ.


タイへ行ってきました⑪

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調査が終わった翌日,本島行の便の出港まで時間があったので,

ちょっくら島を散歩してきました.
 

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なかなか風流な眺めです.
 

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時々,小さな池がありました.

こんなつり橋もあったのですが,普通にすぐ横に回り道できる道があったので,

実用的なものではないのかもしれません.
 

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おお,なんかめっちゃリゾートチックなコテージ海岸が見えます
 

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「ホテル居住者のみ」
 
 
 

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落胆してとぼとぼ歩いていると,牛さん

しかもこいつは水牛っぽい
 

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水牛さんも交えた写真を撮れて満足です


デスクトップ

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研究室PCのデスクトップ画像を,久々に更新しました.

先日の調査で撮った海と船の写真です.
 

楽しかった余韻に浸る間もなく,次の調査が迫っております.  

12月にサイエンスカフェを開催予定です.

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【もづるカフェ】
■日 時:2014年12月7日(日)14:00~16:00
■場 所:10°cafe(JR高田馬場駅早稲田口より徒歩3分)
http://judecafe.com/access-%E4%BA%A4%E9%80%9A%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/
■対 象:支援者(もづT,もづポロ,もづパー所有者優先)
■人 数:限定20名
■参加無料
■講演内容:
1. てづるもづるとは?
2. 分類学って?
3. これまでの研究紹介
4. キヌガサモヅルの分類学的研究の進捗状況

 

講演の後は参加者を交えてのサイエンスカフェ形式での鼎談を行いたいと思います.

カフェ終了後は,早稲田近郊で懇親会(こちらは有料)も開催予定です.

参加者の皆様の親睦を深めていただくため,

首から下げる名刺ケースをご用意いたしますので,

名刺等ご所属のわかるものをご持参ください.



申し込みは私mokanishiあっとtezuru-mozuru.comまでお願いいたします.

タイトルを「もづるカフェ申し込み」としていただき,以下のフォームをお埋めください.
 

氏名(アカデミストユーザー名):
講演会参加:有・無
懇親会参加:有・無

申し込み締め切りは,11月14日とさせていただきます.

懇親会のみの参加も歓迎です.

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ということです.
 

12月お会いしましょう

 

 


タイに行ってきました⑩

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天候不順もありましたが,

最終的には,全日程でダイブを行うことができました.

目的としていたニシキクモヒトデも得られ,

実りある採集になりましたが,

水中でいくつかの調査用具を失くしてしまい,

ダイビング調査に真剣に向き合う良い機会になりました.



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最後の夜ですから豪勢です
 

牛肉の野菜いため,空芯菜,そしてタイカレー...

タイフードは本当にどれも美味しいです.

住んだらきっとぶくぶくになってしまいます
 

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なかでもこいつは別格でした.

生姜の切り端がまるまる入ったスープですが,
 

まあ辛いこと.
 

タイの本気を見ました.
 

これを食べたら,しばらく味覚が失われます

しかしながら,辛さの奥にしっかりとした旨さが秘められており,

喉もと過ぎて辛さを忘れた頃に,

ついついまた手を伸ばしてしまう魔性のスープです.
 

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カニだって食べちゃいます

おそらくタイワンガザミかと思います.

店内の生け簀から採れたてほやほやを蒸してくれました!
 

注文の際に,「Death or live?(カニが)」と聞かれて,勿論liveを選びましたが,

Deathはいったいどういう選択だったのでしょうか. 
 

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カニの身ディップ用の甘辛ソース.

タイでは,ほとんどの食事で唐辛子,砂糖,魚醤などの

追加調味料が伴います.

自分ごのみにカスタマイズできる良き国です.

(上記スープのように初めから選択肢がないこともあります) 
 

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最後はビールに合うTENPURAで〆!
 

食事が終わったころに合流したPiyaさんが,

酒のつまみにと注文してくださいました.
 

日本のものよりちょっと衣が硬い感じでしたが,

しっかり下味がついていておいしかったです
 

こうしてRacha島最後の夜は過ぎていきましたとさ.
 

続く.


タイに行ってきました⑨

 

タイでの調査について,いろいろ書いてきましたが,

肝心の収穫をお見せ致しましょう
 

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収穫その①「チビクモヒトデ」

まずは小手調べ.世界中の海岸域に生息していると言われているクモヒトデです.

分裂によって増え,時々水族館の水槽などにうじゃうじゃ沸くことがあります.

でも悪さはしません...多分.
 

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その②「トゲクモヒトデ科の一種」

おそらくトゲクモヒトデ属Ophiothrixかと思いますが,検鏡しないとわかりません.

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なかなかカラフルな種です.

この類は,ダイビングではほぼ必ず採集することができます.
 

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その③「オニクモヒトデ」?

これはなかなか味わい深い色彩ですね...
 

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こちらは盤の拡大画像.

配色や,このような盤上にみっしり生えた棘から同定していますが,

やはり実際には顕微鏡で口側などを見て見なくてはなりません.
 

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その④「ウデナガトゲクモヒトデ属の一種」

その名のとおり,腕がながーーーいクモヒトデです.
 

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うーん,よく見ると盤上を覆う微小な突起がかっこいいです

うっとり...
 

ちなみに,腕の付け根に見える三角系の部分は輻楯(ふくじゅん)と呼ばれており,

その形,大きさ,刺などの被度などが分類形質となっています.


 

こんなふうに,ひとくちにクモヒトデといっても,

よーく見るといろんな形があってかっこいいのですよ
 

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ちなみにこちらが口側.
 

ふわふわ触手みたいに伸びているのは,そのまんま「触手」と呼ばれるもので,

ヒトデやウ二が移動に使う吸盤(管足と呼ばれます)と相同です.
 

クモヒトデでは腕自体をくねくね動かして移動するので,

この触手に移動するほどの吸着力はありませんが,

その他様々な事に使われており,

例えばこの種では触手を使って腕の先で捉えた餌を,

口まで運んでいるのを見かけます.
 

腕を伸ばしたままで自動的に餌を得る...

夢の寝そべり生活です


 

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そして,これが今回の目玉です

このヤギをよーーく見てみると...?
 

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クモヒトデが絡んでいます
 

その⑤「ニシキクモヒトデ」です
 

今回はじめて,タイの西側のアンダマン海で採れました
 

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タイの東側のタイ湾では,一つのヤギに様々な色彩変異が見られましたが,

こちらのものはどうも全て同じ色彩のようです.
 

そもそもこれらは同じ種なのか?

それとも色が違えば別種なのか?
 

このようにある種の色彩一つをとっても,

まだまだわからないことだらけです.
 

タイにおいては大雑把な種数も分かっていない状況ですが,

私が三回調査しただけでもこれだけの種が採れ,

その多くが分類学的な問題を抱えています.
 

このような状況ですから,例えば,

「タイにはどれくらいのクモヒトデがいるの?」

という質問の答えをだすためには,10年以上はかかるでしょう.
 

と言って,やる人がいなければ,また数十年,

タイのクモヒトデの種数はわからないままです. 
 

クモヒトデに限らず,多くの無脊椎動物の分類学的研究は,

まだまだこんな状況です.
 

しかし,実際にはいろんな分類学者が,

日々自分の研究対象の謎を解明すべく,

細々と頑張っています. 
 
 
 

続く.


タイに行ってきました⑧

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ダイビング調査が終わったある日,

コテージの前のジャングルを眺めていると...
 

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おや...?
 

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なんと
 
 
 

ヤシの木のてっぺんに人がいます

どうやらこれ,ヤシの実の採集現場のようです.
 

登った人がヤシの実を採集し,

ロープにくくりつけて吊り下ろします.
 

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下の人はそれを受け取り...
 

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運ぶ
 

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そして上の人はどうやって下りてくるかと思ったら...
 

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両足首をロープで結んであります
 

このロープの摩擦でしっかりと足とヤシの幹を固定することで,

尺取虫のようにするすると降りてきていました.
 

登るときも同じ原理です.
 

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チラッ
 

カメラ目線をいただきました

タイの人々はサービス精神旺盛です.
 

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私もやってみましたが...
 

1 mも登れませんでした(笑)

立派なヤシ職人になるにはまだまだ鍛錬が足りないようです.
 

とある南国の昼下がりの出来事でした.

 


タイに行ってきました⑦

そろそろRacha島のご説明をば.

この島は,タイ南西部プーケット島

(島といっても,タイ本土と短い橋で繋がれているだけです)より,

南へ20kmほどのところに浮かんでいます.
 

インド洋の青い海と白い砂浜に囲まれて,

「この世の楽園」とか言われるような観光地のようです.
 

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こちらがその楽園の地図.

ダイビングショップのものなのでダイブポイントの表示に特化しています. 
 

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少し散策すると地図が見つかりました.

人の活動域は,島の北側に限られているようです.

ちなみに南には小高い山が並んでいました.
 

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我々が滞在したスキューバショップ周辺の様子.
 

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他の集落への通り道に位置しているため,

時々観光客を乗せたトラクターが走っていくのを目にします.
 

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小さな集落ですがコンビニもあり,

ビールも売られていて品揃えは豊富です.


 

 
 

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ヤシの木が南国感を醸し出しています.

ある程度の間隔を保って植えられているところを見ると,

おそらく園芸的に植えられたものもあるようです.
 

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街灯代わりに,豆電球が柵に巻きつけられていました.

風流ですねえ.
 

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家畜として連れてきたところ,

いつの間にか牛が増えていたのだとか.

普段は草原に寝そべっていますが,

お昼時には,こうしてご飯をおねだりしに集落に現れるようです.
 

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カメラを構えていると...おやおや...?
 

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おやおやおや??
 

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牛を連れてきてくれました
 

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牛さんのアップ
 

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ドアップ
 

とても人懐こい牛さんでした
 

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この牛はその後,藤田先生の乾燥中の荷物に,

ちょっかいをだしに行って怒られてました
 

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夕方になるとセパタクローが行われていました.

たまにはこんな南国時間に身を任せることも大切かもしれませんね.
 

続く.

 


タイに行ってきました⑥

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調査地点に着いたら,早速準備です.
 

船上でBCジャケットを装着します.

その他,調査に欠かせない記録用耐水媒体(紙とかプラスチックボードとか),

ピンセット,水中カメラ,サンプル保管用プラスチック容器,

などを,水中でバラバラにならないように体にくくりつけ,

いざダイブ  
 
 
 
 

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船の下は,砂,石,サンゴのがれきなど,

生物が潜んでいそうな基質がたくさん

喜び勇んで潜水調査中の様子です.

これまでに比べて透明度がよく,大変快適に調査できました!
 

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水中棘皮動物シリーズ①

「ナガウニ」
 

色合いといい,リュウキュウナガウニのようですが,

果たしてどうでしょうか.
 

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その②,「アオヒトデ」
 

このヒトデは日本近海にもたくさんいますが,

このようにインド―西太平洋区に広く分布しています.
 

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その③「オウサマウニ」
 

スキューバとかでないとなかなか見られないウニです.

刺が太くてかっこよく,

系統的にもウニの中で祖先的なグループということで,

なんだか研究者魂をくすぐってくれます.
 

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このトゲトゲは
 

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その④「オニヒトデ」です

意外に個体数は少なかったのですが,

今回の調査でも何度か見かけました.
 

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オニヒトデの周りに,小魚がちらほら.

隠れ家となっているのでしょうか?
 

サンゴの天敵としてあまり印象の良くないオニヒトデですが,

このようにしっかり生態系の一角を担っていることを考えると,

むやみに敵視するのも考えものかもしれませんね.
 

保全学に関しては不勉強ですが,

要はバランスをどう保つかということだと思います.
 

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その⑤「マンジュウヒトデ」

勿論日本でもみられる(白浜水族館にもいる)のですが,

日本産のものには表面の赤いポチポチがないのだとか.
 

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その⑥「カワテブクロ」
 

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ひっくり返すと,口の部分に石が.

お食事中だったようですね.

(石を食べるわけでなく,付着生物を食べていると思われます)
 

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その他,こんな大きなナマコ(直径5-10cmほど)がいたり,
 

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ウミシダも比較的多く見られました.
 

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多くの棘皮動物は,検鏡なしでは同定が難しいわりに

体サイズが大きい種が多いため,

野外のサンプリングで持ち帰るかどうかに悩む場面に直面します.
 

また,丁寧に採集しないとボロボロになってしまう分類群が多いのもまた事実です.

このような問題を処理しながら,効率よく調査を行うには,

やはり専門的な知識や経験をもつプロフェッショナルが,

現地で採集をする必要があるのです.

続く.
 

※今回の記事の水中写真は全て国立科学博物館の藤田先生に提供していただきました

ありがとうございました


タイに行ってきました⑤

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Racha島の説明などはまた後にするとして,

早速調査の様子をお伝えいたします
 

早朝八時,まずは器材のセッティングとチェックです.

主に命に関わる酸素を得るためのBCやレギュレーターは念入りに.
 

自分でセッティングする場合もありますが,

今回はショップのスタッフの方々がセットアップしてくださるので楽でした
 

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Racha Scubaは小さな集落ですが,

カフェもあります.
 

Racha Yai Cafeというこのお店で,

毎朝アメリカ式の朝食を賄ってもらいました
 

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準備が整ったところで今日の作戦会議です.
 

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このようなボードを使ってその日の調査ポイントの地形などを説明してもらいます.

水中地形は潜ってみないとわからないため,

地元のダイバーの方との連携が必須です.

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器材を車に積んで,上陸した船着場へ出発です.

トラクター(Racha島のタクシーはほとんどこれ)とすれ違い...
 

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観光客の間をすり抜け...
 

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人であふれるビーチに到着

実はこの時期はRacha島のハイシーズンらしく,

お忙しい中時間を割いてくださったショップのみなさんに感謝です.
 

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水着の人々の中,ウェットスーツでバケツを道歩く謎の集団.(笑)
 

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ビーチから船に荷物を積み込み出発
 

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船上での様子.藤田先生と,後輩の新井君.

彼はヒトデの分類を行っています.
 

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Piyaさんと,手前の帽子を目深に被っている方は,

チュラロンコーン大学のSeさん.

Seさんは,以前の調査でも手伝いをしてくれました
 

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右側が黒潮生物研究所和歌山支部の今原先生.
 

スキューバでみられる生物の代表格とも言えるヤギ類ですが,

実は研究者が少なく,分類があまり進んでいません.
 

今原先生はそんな数少ないヤギ類(八法サンゴ類)の専門家で,

最近大変有用な八放サンゴの本を書かれました.
 


タイに行ってきました④

 

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Racha島に到着して,タイのチームと合流します.
 

今回は先方に,調査用の器材などの一部を用意してもらいました.

このように特に海外調査においては,当地とのコネクションが重要です.
 

長年に渡って東南アジアとのコネクションを築かれてきた先生方に感謝です.
 

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こちらがRacha島での宿泊コテージ.

今回の調査の本拠地です
 

なかなか快適でしたが,ここではのちのちに,

ある生物との戦いを強いられる事になるのです...
 

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この日は移動日で,調査は翌日から.

こちらは地元でScuba Shopを経営しているPiyaさん.
 

今回は本当にお世話になりました.

右手にいらっしゃる,タイのチュラロンコーン大学のApple先生の下で修士号を修得された後に,

このショップを経営されているそうです.
 

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ということで,PiyaさんによるRacha島の説明を受けて,

早速お昼ご飯となりました.

東南アジアの食は最高です!
 

続く.


タイに行ってきました③

 

更新が滞ってしまいましたが,タイ調査記第二弾です
 

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タイに到着後一夜明け,ツアー客に交じって調査本拠地のRacha島へ渡ります.

レジャーにおける注意説明を受けていると...
 

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「刺が長いウニ(ガンガゼ)は危険です」

日本の臨海実習と同じ説明をしていますね
 

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Racha島へはスピードボートで渡ります

浜にズラッと並んだボート群

さすが観光大国タイランド
 

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船着場がないため,水にじゃばじゃば浸かりながら乗船する羽目に.

事前連絡がなかったため,ジーンズがびしょびしょになりました
 

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スピードボート内の様子.

奥の三人が,一緒に調査同行したメンバーです.


 

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そして一時間ほどの船旅のあと,Racha島に上陸

ここからはこのトラックで移動です.
 

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ヤシの木が乱立する道を抜けると...
 

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おお!Racha Scubaの本拠地にたどりつきました
 

常夏の国での調査の始まりです


タイに行ってきました②

プーケットの入国審査で並ぶ列の選択に失敗して一時間以上かかり,

ヘロヘロになりながらもなんとかタイにつきました 
 

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[写真撮影:新井未来仁(東京大学)]
 
 

到着は夜中になってしまったため,この日はプーケット本島泊です.

翌日に調査地に向かいます.

こんなホテルに泊まりました!
 

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[写真撮影:新井未来仁(東京大学)]
 
 

なんともリゾートチック.

家族用らしく,広めの作りになっています.
 

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[写真撮影:新井未来仁(東京大学)]
 
 

天気はあいにくですが,シーサイドで抜群の眺めです
 

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[写真撮影:新井未来仁(東京大学)]
 
 

なんとプール付き

(泳ぐ時間はありませんでしたが...)


英気を蓄えて翌日からの調査に備えました



続く.


タイへ行ってきました

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突然ですが,プーケットに行きますよ
 

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関空にたどり着いたところ,カウンターまで長蛇の列.
 

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乗り換えの香港空港につきました.

目的地が霞んで見えません

恐ろしく広い空港です.
 

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カートをゲットしました.これがなくては始まりません.

ちなみに,預け荷物の可載重量を勘違い(多く見積もっていた)していたため,

前日に手荷物にいくつか入れ替えたため,ギュウギュウです
 

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 ということで,果たして無事に行ってこれるのでしょうか?
 

続く.


講演してきました

東北調査の帰りに,東京で講演を行ってきました
 

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場所はコチラ.東京のど真ん中にあるオサレなビルディング,

政策研究大学院大学です.
 

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ご覧くださいこのオサレな渡り廊下.
 

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コチラが発表会場.
 

なぜここで講演をすることになったかというと,

「研究現場の知財分科会」で研究会を主催されている山田光利さんから,

academistについての話をしてくれないか

と頼まれたのがきっかけでした.
 

当初はacademist達成のその後の話をする予定だったのですが,

私のポスドクの生活の話をしているうちに,

「その話もおもしろいじゃん」ということになり,

最終的に
 

「とあるポスドクの研究生活とacademist活用の裏側

~学会参加や野外調査に使えるお金と時間の実態について~」
 

というタイトルで講演をすることになりました!
 

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実際の講演の様子がコチラ.
 

わざわざ東北からお越しいただいた方もいたりして緊張しましたが,

academistの資金活用について,その道のプロの方々からの話が伺え,

私自身も大変勉強になりました.
 

関連ウェブサイトはコチラ↓「学問の箱庭」

http://www.2nd-lab.org/#!studygroup-018/c15sh
 
 

声をかけていただいた山田さん,

運営にかかわったスタッフの皆様,

ありがとうございました

 


分類学について⑥

分類学についてです.
 

コンビニで迷うことなく目的のものを買うことができるのは,

体系的に陳列されているからだということは,前回お話いたしました.
 

では,生物の名前も混乱が内容に用いるためにはどうすればよいのか?

答えは簡単で,同じように体系化すればよいのです.
 

実際,体系的な名前の整理は,紀元前4世紀ごろ,アリストテレスの時代から行われてきました.

しかし,リンネはここに「階層性」という革命的な概念を取り入れたのです.
 

分類学ってどんな学問?[岡西]

まず,とあるところに,12種のテヅルモヅルがいたとしましょう.

この12種の中から,似たものどうしを集めて集団にします(これを「クラスター」といいます).
 

分類学ってどんな学問?2[岡西]

さらに,このクラスターをさらに似たクラスター同士にまとめます.
 

分類学ってどんな学問?[3岡西]

これを繰り返すと,このような入れ子構造ができてきます.
 

分類学ってどんな学問?[岡西]4

これがリンネの考えだした「階層性」で,それぞれのクラスターのレベルに

分類階級(属,目,綱など)を与えました.

これが現在も使われている「階層式分類体系」です.
 

これは,写真などのファイルをフォルダに振り分ける作業に似ているかもしれません.

そもそも,PCではファイルを「階層」で分けていますよね.
 

リンネが初めてこの階層性を用いた際には,

「綱,目,科,種」が使われていましたが,

その後研究が進むにつれ,細分化などが進み,

少なくとも動物では,現在では以下のように,
 

分類学ってどんな学問?[岡西]5

上から順に「ドメイン,界,門,綱,目,科,属,種」等が用いられています.

しかしもちろんこれは日進月歩で,

最近では界と門の間にいくつかの分類階級群が存在するということで,
 

○亜界

(左右相称動物亜界)(非左右相称動物亜界)
 

○下界※非左右相称動物亜界の中で

(前口動物下界)(後口動物下界)
 

○超門

(脱皮動物超門)(冠輪動物超門)(脊椎動物超門)(歩帯超門)
 

等が設けられるようです.

http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/281/1794/20141729.abstract
 

ですが,これらはいずれも「界」や「門」に付随して設置された階級で,

基本的な階級に変更はありません.
 

あと,この論文のフォーカスはこのような階級の設定ではなく,

脊椎動物を三つの門に分ける,というところです.念のため.
 

続く.


てづるもづるとは⑦

テヅルモヅルは,クモヒトデ綱ツルクモヒトデ目に所属しますが,

テヅルモヅル≠ツルクモヒトデ目です.
 

ツルクモヒトデ目の中には腕が分岐しないものもいます.

こう書くと腕が分岐しない種の方がマイナーっぽいですが

実は腕が分岐しない種の方が多数派です.
 

現在約180種が知られているツルクモヒトデ目のうち,

テヅルモヅルはなんとたった63種で,1/3くらいです

棘皮動物研究集会

これこのとおり.
 

つまり,テヅルモヅルはマイナー(クモヒトデ綱)中の

マイナー(ツルクモヒトデ目)中の

さらにマイナーな存在なのです.

これでは研究が進むわけありません.
 
 
 

では,腕が分岐しない種と腕が分岐する種は何が違うのか?
 

私のこれまでの系統分類学的な研究の結果から,

少しずつその適応的な意味が分かってきています.
 

続く.


東北調査(番外編②)

 東北調査オフショット集第二弾



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調査中に月食に遭遇しました

白浜カメラ部は早速撮影

本当に綺麗な月食でしたよ.
 

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船上(戦場)で発見した工夫.

清水を常にドレッジの巻き上げロープに供給するシステム.

ホースとシャワーヘッドがあれば簡単にできます
 

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研究員の工夫シリーズ.

山名さんの撮影システムに驚かされました.

これなら影ができません
 

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Yamana Solutionに漬けられたナマコ達.

こうして適切に標本になったナマコが,学術的に貢献するのです.
 

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調査の途中でみんなで食べたわかめソフトクリーム.

いやあ,今思い出してもほんとに楽しかったです.

またこのメンツで東北調査に行きたいものです
 

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小川旅館のメシシリーズ.

焼き魚,

豚肉の生姜焼き,

ホタテのグラタン,

酢の物,

漬物...
 

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ホタテの焼き物,

刺身,

酢の物,

サケのホイル焼き,

たくあん,

などなど...
 

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春巻き,

秋刀魚焼き,

おでん,

鍋,ホタテ焼き,刺身,...



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極めつけはこれ.

ブリの照り焼き,イカの丸焼き,

刺身三点,吸い物,そしてカレー
 

いずれも素晴らしく美味しく,本当に満たされた一週間でした
 

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帰りの電車内.

最終的には,みんなでとても仲良くなりました

こんなに楽しい調査もなかなかなかったです.
 

みなさん,本当にありがとうございました

また絶対来ます
 



 


東北調査(番外編①)

長いこと記事にしてきた東北調査ですが,

最後にオフショット集で締めにしましょう
 

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小川旅館の入り口.
 

左手が玄関で目の前にカウンターがあります.

調査で体を冷やして戻ってくると,

いつもマスターが温かく迎えてくださいました.
 

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大槌沿岸センターの設備を見学させてもらいました.

リフォームが進んだ分析室.遠心機などが一通りそろっており,

材料がそろえば分子実験もできそうでした.
 

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謎の黄色い扉を発見.

結局最後まで開かずの扉でした.
 

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思わず配管の構造を調べだす.山名さん.

もはや業者さんのようでした
 

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震災の爪痕も,まだまだ残っていました.
 

私が2009年に訪問した際にお世話になった宿泊棟はまだ復旧していませんでした.

白ペンキで書かれた3/18の文字は,おそらく捜索隊の残したものでしょう.
 

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未復旧の階を見せてもらいました.

ほとんど何も残っていない部屋ばかりです.
 

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窓ガラスも割れており,屋外状態のままです.
 

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壊れた配電盤.
 

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ここはミーティングルームだったらしく,

スクリーンはまだ生きていました.
 

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玄関も今は見る影がありません.

確か以前は水槽等があったはずですが.
 

エレベーターの扉.

最初は津波で変形したのかと思ったのですが,

捜索隊がこじ開けたのかもしれませんね.
 

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天井に巡らされた配水管も今は使われていません.

それなりに価値があるものなのに,もったいないです.
 

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個人的に一番印象に残った景色.
 

この写真,左側が海になりますが,この鉄階段は,

その海側に向かって強い力がかかったように見えます.

実は津波の引き戻しの際に,津波とともに流されてきた物の圧力で,

このように海側に向かってまがっている鉄製の建造物が多いとのことでした.
 

まさに,百聞は一見にしかずです.

フィールド調査中も,このような津波の影響を目の当たりにすることができ,

まだまだ復興中であるという現実を身に刻むことができました.
 

続く


東北調査⑨

調査を終えた一向.

調査の最終日と言えば...
 

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そう
 

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打ち上げ 
 

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終始お世話をしてくださった広瀬さんと共に,

東北の焼肉に舌鼓を打ちました
 

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肉を喰らいまくれ

小川旅館の食事ももちろん美味しかったのですが,

焼肉には不思議な魅力がありますよね.



 
 

こうして,東北最後の夜は,意外にもで更けていきましたとさ.


 

 

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こうして一週間にわたる東北調査は幕を閉じました.
 

出発の朝,小川旅館のマスターと調査メンバーでパシャリ.
 

お忙しい中,写真撮影に応じてくださいました.

最後の最後までお土産を渡してくれたり,

帰りが遅くなった時はわざわざ外まで出迎えてくださったり,

本当に心温まる歓待を受けました.
 

調査の半ばくらいには絶対にマスターと一緒に記念撮影を撮ろう

と皆で誓いあっていたくらいでした.
 

次に大槌に来る時も絶対小川旅館です.

っていうかみなさんも,小川旅館で決まりです


 

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コチラは,朝ごはんの時に作ってくれたドーナツを,

何と復路のおやつ用にたくさん持たせてくれました

小川旅館の温かい心遣いに,

ほんとに最後の最後までお世話になってしまいました
 

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釜石から新花巻まではローカル線の旅.
 

往路ではもう暗くなっていたので気づきませんでしたが,

この釜石線は銀河ドリームラインとも呼ばれていて,

釜石線の前身が宮沢賢治の銀河鉄道の夜のモデルと言われている事に因み,

各駅に作品中でよく使われているエスペラント語の別名がつけられているそうです.
 

こちらの宮守駅には

「Galaksia Kajo(ガラクシア カーヨ)」という別名がつけられていました.
 

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途中,銀河ドリームラインの看板に書かれていた図の中に...

カシパン

...ここまで来ると職業病ですねbr] 

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新花巻から新幹線に乗り換え.

のどかな田園風景も見納めです.
 

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新花巻で購入した釜飯弁当と一緒に,

風景を楽しみます.
 

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東京まで,徳田博士,太田博士と一緒に,

新幹線でのんびり移動しました.

(電車の時間が合わなかった山名さんは釜石でお別れでした)

本当に楽しい調査でした.
 

お世話になった広瀬先生をはじめ,

東京大学国際沿岸海洋研究センターの皆様,

小川旅館のマスター並びにスタッフの皆様,

そして調査に同行してくださった徳田さん,山名さん,太田さん,そして千徳さんに,
 

心から感謝を申し上げます.
 

本当にありがとうございました


東北調査⑧

気付けばこのレポートも第8弾になりました.
 

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ドレッジで採れたサンプルを,各自でさばきます
 

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篩などを使って,泥などの底質を取り除きました
 

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とはいってもこの状態.この中からそれぞれの方法で研究対象を探し出します.
 

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千徳・徳田ペアは微小なサンゴを取り出すため,

白いバットに少しずつとり,肉眼で注意深く探し出します.
 

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太田さんはさらに小さなウミクワガタを採集するため,

顕微鏡下での作業になります.

彼は砂だけでなく,メイオベントス採集で行われる,

洗い出しのサンプルもみなくてはならないので,

かなりの作業量になります.
 

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コチラは山名さんのナマコの作業.

タッパーの中の麻酔液にしばらくナマコを浸します.

基本肉眼で見えるため,細かい作業は必要ありませんが,

研究に耐える標本にするためには注意深い麻酔が必要不可欠で,

こちらもかなりの集中力を要します.
 

ちなみに,この麻酔液は山名さんが考案されたらしく,

メントールとエタノールがいい感じに配合された水溶液です.

人呼んで「Yamana Solution
 

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廣瀬先生も作業中.
 

大槌湾のガイドブックづくりのための生物の写真を集めておられるそう.

勿論,ご専門のコケムシもたくさん採れていました
 

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一見いなさそうに見えても,時間が経つと生きているものが何らかの動きをおこして

自ら這い出てくる場合があります.
 

徳田博士,千徳博士の対象でも生きているものが見つかったのでしょうか?
 
 

そうこうしているうちに,全日程の調査を終えました

が,皆さんが持ち込んだ調査用の荷物が重く,

一回まで運ぶのは至難の業...
 

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そこで,広瀬さんがクレーンを駆使して荷物を降ろしてくださいました
 

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おおー!大きな籠に入った荷物が,ゆっくりとつりさげられます

 

 

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下から激写!とっても楽におろすことができました

クレーンを操作してくださった廣瀬先生,ありがとうございました
 

 

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 廣瀬先生のお車を借りて,ヤマトに荷物を運ぶことができました

何から何まで本当に感謝です
 

 
 

こうして,一週間にわたる東北調査は終わりを告げました.
 

そして残るは...
 

続く

 


東北調査⑦

 

磯採集とか化石調査とかいろいろしてきましたが

この東北調査の真の目的は

ドレッジ採集なんです
 

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台風の影響もありましたが,ついに最高のコンディションが訪れました



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徳田博士と千徳博士も準備万端

7:00から集合して,たくさんのポイントをめぐります
 

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船着場までトラックで移動.

4人の技官さんがとてもテキパキと準備を手伝ってくださいました
 

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救命胴衣を着て準備万端

廣瀬先生も同乗してくださいました
 

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こちらが沿岸センターの調査船「弥生」です.

実は震災で流されてしまった旧弥生は結局発見されず,

この新型弥生はごくごく最近建造されました.
 

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こちらが船尾...む,なんか見たことある

瀬戸臨海のヤンチナとそっくりです
 

それもその筈,実はヤンチナと弥生は同じ設計図を元に作られているそうです

兄弟船ですね
 

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CTDも搭載
 

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こちらが弥生で使われているドレッジです.
 

瀬戸臨海で使っているものはもっと金属部分が多いのですが,

こちらは網部分が多くなっています.
 

あまり岩場などは曳けないのですが,

砂地や泥地などで効果を発揮する作りです.
 

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準備も整い,早速出港

ひょうたん島をお沖から眺めると,よりひょうたんです
 

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ご覧下さいこの穏やかな水面

待った甲斐があるというものです
 

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海底地形をリアルタイムで3D構築しています.

なんというテクノロジーだ...
 

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ハイテク機器にキャッキャしているうちに,ステーションに着きました
 

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基本的にこちらが手を出さずとも,技官さんが全てをやってくださいます

乗船調査は,船によってルールが違うので面白いです.
 

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深海から帰ってきたドレッジ

泥を吹き出しているのは,たくさん採れた証拠です
 

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ドサーッ

ドレッジの実力発揮です
 

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いろいろ採れていそうですねー.

早速海綿が見えています
 

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とりあえず目に見えるものは船上で分けちゃいましょう
 

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この日は結局9地点も曳いてもらいました
 

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持ち帰ったサンプルを,陸上でより分け中.

果たしていいものは採れたかな?
 

続く