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ウニの解剖

2015年9月7日~9月12日 大阪大学「臨海実習」④

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実習二日目はウニ尽くしです

講師は引き続き古屋先生です.



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今回の主役はツマジロナガウニ.

ムラサキやコシダカなどの他のウニの生殖期が終わっていく中,

ツマジロナガウニは生殖期の本番に入ってくる,頼れるウニです.



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以前にもご紹介したかと思いますが,

このように毎回使う器具などの説明文は,

このようにラミネート加工されて使いまわしができます.

見習いたい工夫ですね.

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発生の次はウニの解剖です.

後口動物の中でも特異的な形の棘皮動物の体制を,

実際に解剖によって観察してもらうことで,

生物の体制の進化を考察してもらいます.



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まずはウニの棘をハサミで散棘(さんきょく)です.



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水の中に漬けることで,トゲが勢いよく飛んでいくのを防止します.



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外側をヤスリでゴリゴリ削ります.

内臓が殻のすぐ内側に裏打ちされているので,

丁寧に削らないと内臓を傷つける恐れがあります



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こちらが上手に解剖できた個体です.



左側が口側,右側が反口(肛門)側です.

黒く見えているものは消化管で,口から入って,

体の中を数周したのちに,肛門へつながっていきます.



右の黄色い部分は生殖巣で,みなさんがお寿司屋さんで口にする部分です.

こうしてみると,ちゃんと生殖巣も五つあり,星形に配置していることが分かります.

ヒトデと一緒ですね.


2015年8月6日~12日 京都大学臨海実習二部+公開臨海実習「発展生物学実習」⑥

 

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色々解剖してみようということで,棘皮動物の解剖のお手伝いをしました.
 

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対象はウニとナマコ.まずはウニです.

ゴーグルをつけて散髪ならぬ散棘です.
 

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お次はナマコ.ナマコの口はどっち?

こんな風に前端と後端をつまんでみればわかります.

ちなみにこのニセクロナマコはメンソールによって麻酔中です.だらーん.
 

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麻酔中に一気に切開します.

内臓の配置を確認すると,

図説に載っているマナマコとはずいぶん配置や構造が異なります. 
 

なぜ内臓の配置が違うのか?

口の位置は他の種でも簡単にわかる?

キュビエ管は他の種にもある?
 

実はある種の機能形態は,他の種(分類群)と比較することで,

得られる情報が格段に増えます.

このような比較形態学的な手法は,

地味ながら,生態や行動を考える上で非常に重要で,

かつとてもエキサイティングです.

白浜の多様な生き物を通じて,

少しでもその楽しさに触れてもらえたらうれしいですね.


龍谷大学実習➄

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龍谷大実習は内容盛りだくさん.

棘皮動物の解剖を行います.
 

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ウニの殻を赤道面で割った様子.

ウニの内臓は殻の内側に裏打ちされているので,

外側を割っただけではまだ離れません.
 

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お次はナマコの解剖.

時間の都合もあるので,今回は班ごとに,解説と同時進行で実践してもらいました.
 

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意外にしっかりしたナマコの内臓の様子に,

カルチャーショックを受けた様子でした.
 

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最後にナマコの骨片の観察も行いました.

ナマコの皮膚を切り取り,一分ほどハイターに漬け,

水洗の後にプレパラートにして観察すると,

驚くほど多彩な骨片が観察できます.
 

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畠島の生物の観察も,いよいよラストスパートです.

観察種数を増やすため,貝殻を割って中身を観察する猛者まで.
 

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時間になりました.いよいよ観察種数を書き出します

千徳博士が,お手製のペラ紙で動物門の名札を作ってくれました.

これすごいですよ!安く作れて今後も使いまわせるので,絶対に役に立ちます.
 

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今回はリストの作成と別に,個別にお気に入り生物の発表も行ってもらいました.

ジャンケンで発表順を決定
 

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それぞれに自分が気になった生物の,

環境と形の適応についてを発表してもらいました
 

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全体で,60種近くの生物をリストアップすることができました

今回はなかなか僅差の勝負でしたが,優勝班は海藻まで見ていたのが決めてとなったようです.
 

お疲れ様でした


ウニウニ君

 

 

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ウニの解剖開始

外部形態→内部形態と,みられる特徴を余すところなく見ていきます.
 

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そしてこちら!今回は秘密兵器を導入していました.

私(右手)が触っているタッチパネルにウニの動画を映し出し,

詳しいウニの特徴を詳細な動画で理解できる次世代型教育機器です.

この写真では,私のタッチパネルの操作が,そのままモニターに反映されます.
 

叉棘の動きや多孔体の配置,水管系の仕組みなど,

なかなか解剖の現場では全員に教えにくいことも,

この装置ならその場で瞬時に見せることができます.

また,本来は展示品として開発したものなので,自発的な学習にも役立ちます.
 

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開発者はこの方.自然共生研究センターの渡辺友美さんです.

実は今年の動物学ひろばの隣のブースでこの展示を見かけたときにお話をして,

今回の実習に使わせていただきました.

お陰様で,いつもは解説が難しい部分まで詳細に見せることができました.

ありがとうございました!
 

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まだ開発途中らしく,今後,様々な意見を取り入れ,教育用にも開発を進められるとのこと.

完成版が楽しみです

ちなみに,今回の実習でこの装置に「ウニウニ君」という愛称が付けられることとなりました

 


棘皮動物の解剖

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今年最後の実習では,棘皮動物(ウニ,ヒトデ,ナマコ)の解剖を担当しました.
 

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クモヒトデは解剖できるほどの大きさではないので,

標本でその存在を紹介.
 

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ウニの解剖の方法の説明.基本的には赤道面上でパカッと割ります.
 

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こちらが,ウニの体内部の様子.北極から(口側を)見た様子です.

真ん中にはアリストテレスのランタンとも呼ばれる,強大な歯を備えているのがわかります.

体の側面にあたる部分には,黒色の消化管が裏打ちされています.

時期であればこの消化管の間に生殖巣が発達しているのですが,

残念ながらこの個体ではほとんど見当たりませんでした.
 

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  ヒトデも,腕二本を切って,その間から盤中心を除くように観察します.

ウニでもヒトデでも,瓶嚢と呼ばれるスポイト状の部分で,

水管系の水圧を調整している事が見て取れるかと思います.


大阪大学臨海実習④

なまこの骨片の観察方法について

解説致しましょう
 
 
 
 

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材料:
 

なまこ
ハサミ
スライドグラス
カバーグラス
キッチンハイター

顕微鏡

以上 
 

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まずはなまこの体表の皮を
 

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このように切り取り
 

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スライドグラスとカバーグラスでサンドイッチ

(この時,指の腹などで軽く押してやるとなおgood)
 

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生物顕微鏡で観察
 

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わかりにくいですね


 

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5倍希釈のハイターに少し漬けてやり,皮膚を溶かします

(スライドグラスとカバーグラスの隙間に注入してもOK)
 

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皮膚が溶けて,炭酸カルシウムの骨片が見えました
 

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非常に小さいのですが,かなりはっきりと形が決まっています.

なまこでは,この骨片の形を見て分類を行っています.
 

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お次はウニの解剖

ナガウニを求める長蛇の列.
 

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皆真剣に取り組んでいます.
 

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まずはハサミで棘を短く刈りましょう.
 

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そしてピンセットで刺を抜き...
 

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歯ブラシで表皮を削り取ります.
 

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ヤスリで赤道面上の殻を削る

すると...
 

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パカ 
 

っと割れて,中の様子が観察できます.


 

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上手くわると,消化管などが繋がった様子が観察できます.

ちなみに,右側のクリーム色の部分が生殖巣(精巣かな)で,

右側の真ん中の白い丸い物体が,アリストテレスのランタンとも言われるウニの口器です.

そのランタンから伸びている黒い筋状のものが,消化管ですね.

顕微鏡で観察すれば,このランタンの周りの水管系の配置などが詳しく観察できます.
 

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おや,突如実習室に見慣れた顔が...
 

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モッチーです!なんともっちーが連休を利用して瀬戸臨海に遊びに来ていました

既に元師匠の宮崎先生と一杯飲んできた模様.

カメラを向けるとポージングするところは相変わらずでした

福岡で元気に仕事に取り組んでいるそうです
 

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そんなこんなで,実習の前半は無事終了しました.

後半開始した学生たちに挨拶する古谷先生.
 

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TAの奥田さん,鈴木さんとともに帰阪されました.
 

おつかれさまでした!
 

続く.


大阪大学(留学生)臨海実習③

 

 

皆さんの努力の甲斐あって,畠島ではいろいろと珍しい生物が採れました

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ギンカクラゲ.
 

これで一個体かと思いきやなんと群体性のヒドロクラゲで,

真ん中の気胞体と呼ばれる部分に多数のポリプがぶら下っているのだそうです.

ちょっとボロボロになってしまっていますが,よくこんな小さなものを見つけましたね
 

甲殻類に挟まれて窮屈そうなカツオノエボシ.

触手が未熟なの失くしたのか,ほとんど気胞体の部分(烏帽子)しか残っていませんね.

猛毒のクラゲなので,触手には触れないよう注意
 

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 ガンガゼの撮影会. 
 

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畠島の次はウニの発生実習です
 

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さすがのムラサキウニさんもそろそろ生殖時期が終わりかけ.

ということで,ツマジロナガウニさんの出番です
 

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阪大の鈴木さんによる精子混入実験.

受精膜が上がるのを観察してもらいます.
 

未受精卵の表面に精子が到達すると,原形質膜と卵膜の間に空間(囲卵腔)ができ,

原形質膜の内側にある表層粒が爆発的に膨張し,

その内部にあった受精膜形成物質が囲卵腔に流れ込んで,

卵膜に内側から作用し,物理的にも化学的にも強固な受精膜が形成されるという仕組みです.
  
 

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ウニの精子を求める長蛇の列.

かつてこれほど(以下略
 

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実習課題は山積みです
 

お次はウニの解剖実習.まずトゲを鋏やピンセットで取り除いた後,

歯ブラシで丁寧に表皮を磨いてやります.
 

あまり知られていませんが,ウニやヒトデを含む棘皮動物は,

体の外側が必ず薄い皮でおおわれています.

そういう意味では,実は厳密にいうとウニのトゲなどは外骨格にも見えますが,

内骨格であるともいえるのです.
 

生物学辞典などを見ても,その辺りの決着は実はついていないそうです.
 

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丁寧に計測中.
 

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そして,ヤスリで赤道面を削って,横方向に開いてやると,

体内の構造がよく見えます.
 

時間がないときは鋏などで一気に割ってしまいますが,

ウニの内臓は殻の内部に裏打ちされているので,

それだと内臓を傷つける恐れがあります.
 

実はヤスリで外側から削ってやるのが,最もダメージが少なく内部形態を観察できる方法なのです.
 

続く.


関西学院大学臨海実習③

 関西学院大学実習レポート
 

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ムラサキウニの発生。講師は関学の関行人先生です.
 

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アセチルコリンを注射,放精放卵を見守るみなさん.

いつもの光景です.
 

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無事に配偶子を出してくれました

安定のムラサキウニさんは実力が違います.
 

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今回は一つ勉強させてもらったことがありました.

ウニは,自然状況下ではトゲを器用に動かして狭いところに入り込むため,
 

ビーカーの上に置いておくと,この手前のウニのように(危ない)

その中に入り込んでしまうことがあります.
 

その危機を防ぐため...
 

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このように,ビニールテープで入口を狭くしてやるというわけです
 

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...この方法が効果的でないウニもいるようです

まあ,コシダカは比較的管足が弱いので,

ビーカーの中に入っても取りやすいのでOK
 

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水替えは重要ですね

正常発生を効率よく観察するため,なるだけ快適な環境を維持してあげましょう
 

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きちんと水替え担当が組み込まれています.
 

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学生の要望に応え,ムラサキウニの解剖を行いました.
 

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パカッと開くと,腸や水管系が上下でつながっているのが観察できます.
 

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水につけてやると,内臓が浮き上がってその配置が見えやすくなります.
 

今回は尊いムラサキウニの命を犠牲にしましたが,

生殖巣だけ食べて捨てられるよりはその命を有意義に使えたはずです.
 

棘皮動物フィーバーの一日でした.