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実習 - 6. page

2014年龍谷大学実習③

4月の龍谷大学の実習のレポートです。

前回までのお話はこちら

畠島で採集した生物の鑑定からスタートです。

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バケツに採集してきた生き物を,机の上で白いプラスチックの「バット」にあけていきます.

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タツナミガイ,ニセクロナマコ,イソナマコ...

ここは長虫状のものを集めていますねえ...



...おや?

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こ,これは!


ユムシじゃないですか

ゴカイやミミズなどの環形動物に似た生き物ですが,体節がなく,別の動物門と考えられている生き物です。

(最近はDNA解析の結果から,環形動物門の仲間と考えられつつあります)

特に特徴的なのが頭から伸びたスプーン状の吻で,

種類によってはこれが何メートルもの長さになります.

地面の下などに穴を掘って隠れ住むためなかなかお目にかかることのない動物ですが,

転石の下に何気なくいたそうです.

学生は「ミドリユムシ」と同定していましたが,

分類が進んでいないため,同定の真偽は専門家に聞いてみないとわかりません.

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図鑑を片手に悩む学生アリ.

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いつて海胆の同定を助けてやりました,

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瓶についた奇妙なコブあり.

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なんとカニが絡まっているやうだ。

瓶から出ようとしてもがいているうちに こうなってしまったのでしょうか。

この後,やさしくほどいて逃がしてやりました.

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そしておなじみナマコの解剖です.

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今回は(も)ニセクロナマコの解剖でした.

ナマコはかなり内臓がしっかり見えて,

結構グ○なのですが,意外に多くの学生が興味を持っていました.

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面白生物解析シリーズ,お次は千徳博士の「単体サンゴ」の解説。

群体性ばかりと思われがちなサンゴですが,実は単体で生き抜くたくましいサンゴもいるのです.

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珍しい生き物に,みなさん興味津々です。

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こうして楽しく鑑定は続いていくのでした。

続く.

 


2014年龍谷大学実習②

 龍谷大学実習レポート第二弾です。

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磯観察に向かう前に、河村研究員による危険生物の説明。

アンボイナ(巻貝)、ヒョウモンダコ、イラモ(刺胞動物)、ガンガゼ(ウニの仲間)

など、白浜の海には危険生物がみられることがあります。

事前にこのような生物を実際に見ておくことは非常に重要です。

瀬戸臨海ではこのような生物の標本を集めており、

実習中に実際の姿を見せしながら説明をしています。

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千徳博士が持ってきた、

大阪市立自然史博物館の「帯状分布手ぬぐい」です。

生物は水深ごとに生息場所を棲み分けている場合が多いため、

磯での生物相の概観が水平な帯状に見えることを

「帯状分布」といいます。それをカラフルに、見事に表した傑作手ぬぐいです。

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京大所有の無人島「畠島」に到着です。

上陸前の撮影タイム。

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畠島の分室に古くからある黒板を使っての生物相の説明。

買い取りから現在までの生物相の変遷を説明できる貴重な記録が残された黒板です。

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河村研究員による帯状分布の説明。

固着性の貝が生えているゾーン、

海藻が生えているゾーンなどが見て取れます。

特に潮間帯では潮の満ち引きによって、

水面からの高さごとの環境が激変するので、

帯状分布が顕著にみられます。

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転石下の生物観察。

潮が満ちているときは、水に浸かってしまう一帯です。

干出しているときは、転石下でじっと乾燥に耐えている生物たちが観察できます。

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畠島での昼食。

青空で食べる弁当の美味しいこと。

うまくタイミングが合えば、このような経験ができるのも、瀬戸臨海での実習の醍醐味です。


2014年龍谷大学実習①

先日、2014年度第一発目となる龍谷大学の実習が行われました。

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今回の講師は学振PDの千徳博士です。

龍谷大の実習では毎年実験所の教員でなく、

所の学生やポスドクに担当を任せています。

去年は学振PDの諏訪さんが担当していました。

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この実習は実質3日という短い時間の中で、

磯観察、ウニの発生実験などを行います。

集合初日から千徳博士のウニの発生の講義です。

一応棘皮動物の研究をしている端くれからみても、

大変わかりやすく、的確にウニの発生の講義でした。

天晴です。

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ウニの放卵・放精は、アセチルコリンという薬品の投与によって誘発します。

どんな方法で、どんな場所に投与するのか?

みんな興味津々です。

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ペーパータオルをしいたバットの上にウニをとります。

(こうしないと、プラスチックのバットにウニが張り付いてしまって大変)

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そしてウニの口の周りにある周口膜というやわらかい部分に、

注射針をとおしてアセチルコリン(大体1 ml)を投与。

針の刺さるリアルな感触に恐れおののく学生多数。

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こうして受精させたウニたちの子供たちですが、

うまく発生がすすみました。

今回はバフンウニを使いましたが、

膜が透明で細胞の観察が容易でした。

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ですが、時間がたつとと酸素不足などから環境が悪くなります。

底に沈んでいるウニの卵を残し、そっと海水を入れ替えている様子。

すでに職人の顔になっていますねー。

続く


海産無脊椎動物多様性実習⑧

フィールドだけではありません。座学も行われました。 

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朝倉所長の

「海洋生物の多様性」

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琉球大学の本郷宙軌さん(学振PD)のゲストセミナー

「サンゴ礁生態系の過去・現在・未来」

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如何にサンゴ礁の古環境生態を詳細に復元するかというお話。

夜中だったにもかかわらず、

学生だけでなく所員も興奮して質疑の収まらない大変興味深いセミナーでした。

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中野先生による軟体動物の講義。

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再び朝倉所長の

「海洋生物によって種とはなにか?」

「種」の概念には、未だに20以上の定義がある非常に難しい問題です。

特に海洋生物は、幼生期の分散も考慮する必要があるため、

更に複雑な種形成がなされていると考えられます。

そのような難しいテーマを、優しく噛み砕いて講義してくださいました。

 

残すは最終日の打ち上げです。

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 打ち上げのつまみは、とれとれ市場で買った魅惑の海産物達。

見た目に拘って盛り付けしてみました。

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そして乾杯。

ぶれすぎてみえません(笑)

この日は夜更けまで実習生の笑い声が宿泊棟にこだましましていました。

  

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そして翌日、最後のお別れの日です。

こんなに打ち解けたポーズまでしてくれるほどになりました。

如何に彼らの実習が充実したものであったかを物語っています。

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そして最後に集合写真。

お疲れ様でした!


海産無脊椎動物多様性実習⑦

海ばかりではありません。汽水域の生物も見ます。

河口付近の川にきてみました。

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朝倉所長の解説中。

終わるやいなや…?

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ワラ…。

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ワラワラ…。

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ワラワラワラワラ

あっという間に生物を探し求めて学生が拡散していきます。

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御覧くださいこの幸せそうな表情。 

彼らにとっては、生物との触れ合いの時間が、

なにものにも代えがたいプライムタイムなのです。

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お次は干潟。 

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ワラワラワラ 

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こちらは、汎用干潟兵器「ヤビーポンプ」に挑戦中。

これは巣穴に隠れている生物を取るためのウェポンで、

物理的に金属の筒の中を陰圧にすることで、

水や泥ごと孔内の生物を吸い取ってしまいます。

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見学に来ていた千徳博士も実施中。

吸ってー。

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出す。

何回か繰り返せば、この泥と一緒にアナジャコ等がポロッと出てきます。

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 こうして泥だらけになりながら持ち帰ったサンプルを同定中。

苦労しただけに愛情が湧くというものです。

続く


海産無脊椎動物多様性実習⑥

もちろん今回の実習でも畠島に上陸しました。

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人数が多いので、2班にわけて乗船しました。

一般は船着場ではなく、別の岸壁で待機中。

ちなみにパーフェクト凪。

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鏡のような水面を切り裂いてやってきた我らがヤンチナ。

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毎度おなじみ、上陸後の畠島分室でのレクチャー。

ここで事前講義を受けているのとそうでないのとでは、畠島の楽しみ方が数倍違います。(当社比)

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いざ磯観察へ。

先に上陸した班が遠くに見えます。

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「うおりゃーーー!!」

岩の下には、自分では動くことの出来ないレア生物が隠れ住んでいることが多いのです。

ひっくり返した岩はもとに戻しましょう。

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持ち帰った生物の仕分け。

いくつかウニが採れていますが、何種類でしょう?

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こ、これはいけません!

弱ったニセクロナマコ(Holothuria leucospilota)が内蔵を…。

衝撃映像なのでモザイクをかけておきます。

是非とも直接見たいという猛者は、公開臨海実習に参加してみましょう。

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ナマコの骨片の観察中。

ナマコは一見ブヨブヨしていて形質が少なく、分類が難しいのですが、

体表に埋め込まれている小さな骨片の形が種ごとに違っており、

この形の違いで種が分けられています。

今回は皮の一部をキッチンハイターに浸して、

骨片を取り出して観察しました。

ちなみに、ナマコもウニも同じ棘皮動物で非常に近縁なのですが、

このような骨片を観察すると、ウニもナマコもカルシウムの骨片で体が作られているのが理解できます。

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今回畠島からはこれだけの生物が得られました。

湾内の外洋と内湾の水が入り混じる場所に位置している畠島は、

「奇跡の島」と称されているそうです。

1968年に京都大学瀬戸臨海実験所に買い取られてから、

百年計画でその生物相のモニタリングが行われており、

現在でも所員によって五年に一度、全島調査が行われています。

こんな奇跡の島で実習ができるのは、日本広しといえでも瀬戸臨海実験所だけです。

みなさんこぞって公開臨海実習に申込みましょう!

続く


海産無脊椎動物多様性実習⑤

メイオベントス観察開始。

今回は、泡立て法を試してみました。

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~泡立て法の手順~

まず基質と真水を混ぜてよく振ります。

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それをバケツに注ぎまして。

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さらに真水を注ぎます。

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ゆっくりと、しかしなるべく泡が立つように移植ゴテでかき混ぜます。

こうすると、空気(疎水性)と親和性の高い外皮を持つ生き物が、

空気にトラップされて泡と共に水面に浮かんできます。

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そして、水面をコピー用紙などのツルツルの紙でそっと撫でてやります。

すると、今度はこの紙にメイオベントスがトラップされるというわけです。

あとはこの紙を水で洗いながら表面のメイオベントスを洗い、

目の細かい網で濾してやれば、

網の中に獲物が残るということですよ。

誰がこの方法を思いついたのでしょうか。

しかし画期的です。

実際にこの方法によって、動吻動物(Kinorhyncha)などはかなり効率的に採集されるということです。

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お次はフジツボ。これは単純に真水でシェイクするだけ。

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こうして得たサンプルたちです。

それぞれの基質には、特有の生物が観察できます。

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この日は夜遅くまで観察は続いたようです。 


海産無脊椎動物多様性実習④

前回基質を採集したメイオベントスについてはさておきまして。

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プランクトン観察がスタートです。

船上で採ってきたプランクトンが、この赤い蓋のボトルに入っています。

どんなプランクトンが採れてますかな?

  

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久保田先生によるプランクトン解説。

「あんまし採れてないなあ」といいつつも、次々にプランクトンを解説していきます。

実習に関わり出して二年経ちますが、いまでもぱっと見てわからないプランクトンはたくさんいます。

先生のようにはなかなかなれません。精進ですね。

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プランクトンといえば河村博士です。

飼育中のクラゲ(タコクラゲ[Mastigias papua]だったかな?)のポリプの解説中。

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漁網に混獲されるベントスを採集しに、隣町の境港にも行きました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 」

大和先生のヤギの解説中。

ソフトコーラルと呼ばれる、硬い骨格を持たないサンゴの仲間のうち、

木の枝みたいな形になるヤツをヤギと呼ぶのです。

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漁網にかかったままの獲物に手を出す強者も。

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香ばしく香る魚カゴの中にも、探せばお宝があるものです。

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なんとテヅルモヅルが採れました。

自慢げに(?)解説中です。

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収穫物。手前でブリッジ気味なのはアオヒトデです。

カラーバリエーションが多く、青くないものも時々見られます。

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並べてみると結構な生き物が採れているものです。

ですが、いずれもそれなりに深い場所の生き物だけあって、

いつもの磯で採れるものとはだいぶ様子が違います。

深海では、捕食に対する戦略の一つとして、

体の大型化があるそうです。

言われてみれば、ヤドカリにしろ、巻貝にしろ、大型ものが多い気がします。

もちろん、採集漁具の関係もあるのでしょうが、

きちんと調べてみたらそれなりの傾向がでるのではないでしょうか。

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収穫物を再び実習室で解説中。

いえ、好きな生き物は、何度解説しても楽しいものです。


海産無脊椎動物多様性実習③

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宮﨑先生の先導の下、北浜にきました。

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相談しながら穴を掘っています。

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そして、岸壁のイワフジツボも集めます。

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Invertebrateな皆さんは既にお気づきでしょうが、

これはメイオベントスを観察するための基質採集です。

メイオベントスとは、海岸の砂浜の隙間にいるような、非常に小さな生き物です。

1 mm のメッシュを通り、64 umのメッシュの上に残るくらいの大きさの生物の事を指し、

近年になって莫大な多様性を秘めている事が明らかになりつつある生物群です。

分類とは関係がなく、節足動物、線形動物を始めとして、

環形動物、扁形動物、動吻動物、緩歩動物、さらには棘皮動物(ナマコ)などがみられます。

また、最近になって発見された胴甲動物は、メイオベントスサイズしか知られていません。

まだまだ研究が進んでおらず、我々が見てもなかなか種まではわからないものが多いのが現状です。

今回はどんな生き物が見られるのでしょうか。

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夜は久保田先生と共に、プランクトンのDVD鑑賞。

海産無脊椎づくしの日々です。

続く


海産無脊椎動物多様性実習②

標本解説を行っていたその頃、

田辺湾の海上では、プランクトン採集実習が行われていました。

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研究員の河村さんによるプランクトンネットの使い方の説明です。



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海中に放り出したプランクトンネットを、

ロープを使って手繰り寄せます。

なるべく海表付近を引くのがコツだそうですが、

雨が振ると塩分濃度の影響で海表のプランクトンは下に下がるそうです。

慎重な調整が求められます。

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お次は海底の砂をスミス・マッキンタイアー(SM)採泥器で採集します。

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赤いのがSM採泥器です。

下のオレンジの入れ物に泥を受けました。

さてさて、何が採れたかな?

まだまだ続く


海産無脊椎動物多様性実習①

2014年3月25日~30日にかけて、

公開臨海実習「海産無脊椎度異物多様性実習」が開講されました。

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今年は全国津々浦々から、計23名のInvertebrateソルジャーが集いました。

大変盛況です。

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中にはこれまでの公開臨海実習に何度か参加してくれている猛者まで。

リピーターがきてくれるのは、実験所的にはとても嬉しいことです。

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整備した実習室の標本が役に立つ時がきましたよ。

標本を使った動物の形態の多様性の解説を行いました。

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久保田先生による脊索動物の説明。

ご専門は刺胞動物ですが、大変博識で、様々な動物の解説を担当してくださいました。

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私も棘皮動物の解説を担当しました。

これは先日手に入れたサキワレテヅルモヅルの仲間を、

自慢気に見せびらかしている様子です。

こんな感じで始まった海産無脊椎動物多様性実習、

今回はどんなドラマが飛び出すのでしょうか。

続く


藻類の系統と進化⑦

長きにわたる藻類実習レポートも、ついに最終話です。 

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最後の夜は、もちろん先生お手製の海藻たこ焼きです。

緑のつぶつぶは、ヒジキです。

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関東から来てくれた学生がたこ焼きを。

彼はこの一週間弱で、しっかりと関西に馴染めたようです。

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こちらはお好み焼き。

サラミと海藻の絶妙なコンビネーションを、貴方はもう体験しましたか?

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ムカデノリのサラダ

ドレッシングがよく絡み、食感も良く絶品です。

この料理のおかげでムカデ嫌いが克服できそうです。

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乾杯!

天候には恵まれませんでしたが、

皆さんよく頑張りました。

この日は遅くまで解放感に浸りながら美酒に酔ったことでしょう。



翌日



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いよいよ今日で皆さんともお別れです。

一週間弱お世話になった実習用具をピカピカに掃除してくれました。

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それでは、みなさん。

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お疲れ様でした。



以上、藻類実習レポートでした。


この実習は、2014年度より「藻類と海浜に生息する種子植物の系統と進化」

と、実施項目を反映した名前に変更されます。

藻類だけでなく、海浜植物に興味がある方も、

是非ともご参加ください。

※1 食卓に上った海藻類は、実習で観察して余ったものです。

※2 学名の典拠→ネイチャーウォッチングガイドブック「海藻」、発刊:誠文堂新光社、監修:神谷充伸


藻類の系統と進化⑥

 

ついに最後の野外実習です。

この日の作業は、海藻の組成比較です。

各班で二つのタイドプールを決めてもらい、海藻の分布を調べ、比較します。

ポイントになるのはタイドプールの選び方です。

水深、面積、低質、海岸からの距離、高さなどの条件のうち、一つの条件だけが異なるように

タイドプールを選定することで、その条件が海藻の分布に及ぼす影響を考察してもらいます。

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タイドプールを決めたら、まずは水をバケツで掻き出します。

ある程度の深さに生えている海藻も観察するためです。

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しかしこの日は強風でした。

掻き出した水が、風にあおられてすぐに霧状に。

本当に過酷な作業でした(経験者談)

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水がなくなったタイドプール内の海藻の分布を調査中。

水平分布だけでなく、垂直分布も調べます。

実に骨の折れる作業です。

みんなヘトヘトかと思いきや…?

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まだポージングする余裕が。

強風も、彼らにとっては演出の一部にすぎないようです。

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穴の見えない円月島をバックに、この余裕っぷり。 

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実習室に戻って、結果発表会です。

今回は、多くの班が水深に着目していました。

光合成を行う植物にとっては、やはり数10cmといえども、

水深は大きく分布に影響するようです。

紅藻、褐藻、緑藻である程度垂直分布に差が見られました。

とはいえ、そう簡単に傾向が出ないのもフィールドワークの妙。

みなさん、それぞれの結果に全身全霊で考察を加えてくれました。

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発表会終盤。

とある鋭い指摘が。

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あ!May 21て!!

※3月に行われた実習です。

この班は文字のデザインにこだわってくれましたが、

最後の詰めが甘かったようです。

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無事発表終了。

このあとはいよいよ打ち上げです。

最終話へ続く。

※タイドプールの水は、スタッフによってもとの水位に戻されました。


藻類の系統と進化⑤

まだまだ続く藻類実習。

今日は畠島でのライントランセクト及びコドラート調査です。

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ライントランセクト(Line Transect)は、海岸線に任意のラインを引き、

その上の生物の被度や個体数などを調査する方法です。

一方コドラート(quadrat)法は、四角形の枠を海岸の基質の上に置き、

その中の生物の個体数や被度を調査する方法です。

今回は、両者を同時に行いました。

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まずはラインを引く場所を決めます。

なるべくその辺り一帯の生物相を反映するような場所を選ぶ必要があります。

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調査開始!

コドラート内の海藻の被度を調べていきました。

この日はなかなか激しい雨風に見舞われ大変な作業となりましたが、

めげることなく完遂してくれました。

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畠島で見られた海藻「オニアマノリ(Pyropia dentata)」

荒見かけた実習生たちの心を癒してくれた食卓の人気者です。

※食べてません。

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実習室に帰って、データの解析。

苦労して持ち帰った宝のようなデータです。

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今回は畠島の内湾側と外洋側の二回に分けて調査を行ってもらいました。

果たしてどんな差が出るのでしょうか?

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 実習の合間に、外国人を想定したディスカッションの練習中。

あらゆる場合を想定した準備に余年がありません。

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ライントランセクト・コドラート調査結果発表

外洋側ではヒジキやウミトラノオなどの茎が長い褐藻が多いのですが、

内湾側では、ボタンアオサ(Ulva conglobata)やボウアオノリ(Ulva intestinalis)のような緑藻などが多く見られました。

この違いおそらく波当たりの強さに由来しているのではないかという考察でした。

今は海岸を覆い尽くす勢いの海藻類も、夏には脱落してしまいます。

藻類が豊富な時期だからこそできる調査といえるかもしれません。

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前日に作成した藻類の標本達です。

乾燥すると、だいぶ様子が変わって、生きている時とは全く違う形になったりするものもあります。

このような標本作成法は、古典的ではありますが、

いまでも藻類の分類学では中心的に行われているようです。

続く


藻類の系統と進化④

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野外観察の続きです。

先生の後ろには深いくぼみがあり、日中は陽が差さない場所になっています。

こういったところには、暗所に適応した藻類が生息しています。

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これはムカデノリ「Grateloupia asiatica 」です。

太い茎部分から、細い足がたくさん生えていて、

まるでアレのようなことからこの名前が付けられているそうです。

ああ、そういえばもうそろそろアレが出てくる時期なのですね…(遠い目)

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少し休憩。

無理せずこまめに休憩をとることも、磯観察の重要なポイントです。

ゴールまであと少し!

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帰所後、採集した海藻の標本づくりです。

綺麗につくると、このような美しい標本になるそうです。

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まず、海藻を、このようにツルツルのコピー用紙に

そっと乗せて、形を整えます。

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吸水性のあるフェルトでこの海藻用紙を挟みまして。

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サンドイッチに。

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そらにダンボールで挟んで、扇風機で一晩乾かします。

うまく標本はできているでしょうか?

続く


藻類の系統と進化③

 海浜植物の次は、海藻実習です。 

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野外に出る前に、まずは海藻のご説明。

「かいそう」と言うと「海草」とも「海藻」ともとれますが、

これらは全く異なる分類群です。

「海草」は、海に生息している種子植物(アマモなど)です。

「海藻」は、呼んで字の如く、目に見える大きさの海の藻類(コンブなど)です。

こうした混同を防ぐため、「海草」は「うみくさ」と呼び分ける場合もあるそうです。

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先生が事前に採ってきた実物の海藻 を見ながらの説明。

みなさん興味津々ですねー。

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そして野外へ。

普段何気なくみている堤防などの岸壁にも、実はたくさんの藻類が生えています。

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岩場の藻類の説明。

ヒトに踏みつけられてもめげない

海藻達のたくましい生き様が見られます。

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磯の海藻シリーズ!!その①

ヒジキ(Sargassum fusiforme)

言わずと知れた食卓の名脇役。

乾燥させる前では、このように枝がプリプリしています。

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その②

イソモク(Sargassum hemiphyllum 

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その③

イワヒゲ(Myelophycus simplex

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その④

ヒジキを囲むように生えているウミトラノオ(Sargassum thunbergii

この海藻の根本には、マキトラノオガニ(Pilumnopeus makianus)というカニが潜んでいることがあります。

藻類実習レポート、まだまだ続く!

 


藻類の系統と進化②

藻類実習レポート第二弾です。

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採集してきた植物のスケッチ中。

ほとんどの場合、実習で採集された生物はスケッチをしてもらいます。

スケッチは、単にその生物の形の記録を残すための作業ではありません。

俗に、スケッチをするために観察するのではなく、観察するためにスケッチをする、と言います。

スケッチの際、その生物の特徴をよく観察する必要があり、

この作業こそがスケッチの意義であり本質でもあります。

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ウラシマソウの仏炎苞を開いたところ。

小花が見えます。

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陸上植物の標本作成手順の説明。

水分を吸い取れる布とダンボールで標本をサンドイッチしたものをいくつも重ねることで、

押し葉標本ができるというわけです。

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学生による、陸上植物の研究発表。

ハマダイコン(Raphanus sativus)を説明しています。

実験所内でもわんさか生えている種です。

根は、細いですが、ちゃんと「大根」です。

ハマダイコンは、他の海浜植物と違って、

見た目に際立った乾燥適応は見られないのですが、

種子が海流に乗った放散に非常に適した形をしているとのことです。

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 思わず先生も身を乗り出して解説!

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所員も質問!

熱い発表会となりました。

続く。

 

 


藻類の系統と進化①

 

2014年3月17-22日にかけて、公開臨海実習「藻類の系統と進化」が開催されました!

白浜周辺の藻類や、海浜植物の高い多様性に着目した実習です。

普段海産無脊椎動物を見ているだけでは得られないことも多く、大変勉強になります。

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畠島へ向かう一行。

畠島は、離島の植物相が手付かずのまま残っている貴重な場所でもあるのです。

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現場での植物の説明。

海岸付近は潮風の影響で、

植物にとっては過酷な乾燥環境なのだとか。

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海浜植物をシャベルで掘り出して採集します。

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陸上だけではありません。

学生の足元に生えているのは「コアマモZostera japonica」です。

陸上から海中に適応した珍しい種子植物です。

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帰所後、所内の植物の観察です。

何気なく毎日見ている植物も、実は面白い生態をもっているそうですよ。

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ウラシマソウです。

雌雄を判定するには、

葉に包まれた部分を解剖する必要があるそうです。

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楽しき植物の生態解説に、学生も興味津津でした!