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分類 - 2. page

若手分類学者の集い②

命名規約の輪読会は,主にこちらの部屋で行われていました.

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北は北海道,南は白浜(私ですね)から集った輪読戦士達です.

研究対象も,海産無脊椎動物から陸産の昆虫,アンモナイトと,現生化石問わず多様でした.

また,なんとこの間入学したばかりの学部の一年生も勉強に来ていました.

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そんな中で,異彩を放つ学生が一人.

広島大学が生んだ奇才,自見直人くんです.

ご覧ください,“No polychaeta No life”Tシャツです。

「多毛類なくして人生なし」

※多毛類…ゴカイなどを含む環形動物の仲間.体の各体節に疣足と剛毛をもつ.

この覚悟は見習わなくてはいけません。

ちなみに彼は,今月末瀬戸に来所の予定です.

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そんなこんなで内容の濃い二日間が終わりました.

終わったあとはみんなで打ち上げ。

命名規約の話や,各人の研究の話で盛り上がって,みんな仲良くなっていきます.

このあと,それぞれの場所へ帰って行きました.

さらに科博で調査予定だった私は,そのまま筑波に残りましたとさ.


若手分類学者の集い

動物分類学会が終わった直後,

若手分類学者の集い主催の,

動物命名規約の輪読会に参加してきました。

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科博からほど近い,筑波研修センターにて行われました。

実は毎年,輪読会の開催場所探しには苦労するのですが,

さすが科学の街つくばですね.研究場所には事欠かないようです.

こんな風に団体名が表記されると,なかなか風格が出てくる気がしますね。

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分類学会からそのまま参加するもの,

この勉強会のために集まったもの,

学生から研究員までさまざまな(気持ちが)若手14名が集いました。

こちらはサンプルのやりとり中.

分類学者が集うと必ずこういうことが起こります.

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JAMSTECの伊勢戸さん,東大の瀬尾さん,早稲田大の生野さん.

ここには写っておりませんが,科博の神保さんが今回の世話人を引き受けてくださいました.

感謝です。

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輪読を行うにはまず体力から。

ということで,挨拶もそこそにお食事タイムです.

研修センターは三食付きです.

安心して勉強に励めます。

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こちらが輪読会のスケジュール.

ご覧のとおり,なかなかのハードスケジュールです.

本輪読会では,全員が完全に規約が納得できるまで,

時間を忘れてあーだこーだと議論を続けるのです.

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各規約の担当者が作ったレジュメ.

それぞれが規約と格闘した汗と涙の結晶です.

これが手に入るだけでも集った価値があるというものです.

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食事と入浴後も輪読は続きます.

時には議論が白熱することもあり,

非常にアカデミックな雰囲気です.

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みんなで和気あいあいと語り合いながら,

輪読の夜は更けていきましたとさ.

続く.


日本動物分類学会⑥

さてさて,もちろん懇親会だけではありません.

分類学会では,さまざまな人が,

いろんな興味深い発表をされていました。

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功労賞を受賞された,京大の中野さんの発表.

「本州産クガビル属の一未記載種について」

彼はクガビルという研究の進んでいないグループの分類を精力的に行っていて,

いつもシンパシーを感じてしまいます.

今回は,小型のクガビルについての話を聞かせてくれました.

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琉球大学の吉田さんの発表

「沖縄県産フクロムシ属の未記載種とPeltogasterella aculcataとの比較」

うみさわ会でも話を伺いましたが,

フクロムシは形態が非常に退化的な節足動物で,

よくこんなに寄生に特化したものだと,

いつも興味をそそられる生物です.

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東京大学の広瀬雅人先生の受賞記念講演

「触手冠動物の分類学-コケムシ動物の多様な形質と生活史の記載を例として-」

コケムシ研究の歴史と,網羅的なサンプリングに基づくご自身の最新の研究についてのお話でした.

広瀬先生の妥協を許さないサンプリング活動には,いつも刺激を受けています。

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クモヒトデの発表もありました。

ロシアから藤田研究室に長期研究滞在をされていたAlexander Martynovさんの発表.

「A common undescribed species reveals developmental and batheymetric differentiation among a species complex of the genus Ophiacantha in the deep sea of Japan」

Ophiacantha属という,よく見られるクモヒトデについて,

膨大な科博のサンプルの検討に基づいて未記載種を発見したという発表です.

彼は私がクモヒトデ研究を志す前から研究を行われていますが,

毎回凄まじい数のサンプルの検討に基づいて結果を出されており,

クモヒトデへの情熱が溢れんばかりに伝わってきます.

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私も発表しました.

「Asterostegus属の分類学的再検討」

ツルクモヒトデ目の中でもレアな属の分類学的再検討です.

後半では,先日行ったクラウドファンディングの話もさせてもらいました。

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そしてなんと,先月開催されたうみさわ会のレポートもありました.

琉球大学の山崎博士の,

「うみさわ会(若手海洋生物学研究者フィールドワークショップ)の報告」

うみさわ会がなぜ始まったのか,

そしてこれからどのように活動していくのか,

笑いと感動(?)を交えて大変魅力的に発表してくださいました.

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これまで動物分類学会大会では,

前の発表者が次の発表者の座長を行っていましたが,

今年は演題が多かったため,座長を立てることとなりました.

なんと,節足動物のセッションでは,瀬戸の宮崎先生が座長をされていました!

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休憩室も用意されていました!

お昼ご飯をみんなでいただいて交流を深めます!

おや,後ろの方で...

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ピース!

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ポスター発表も大変盛況でした。

もっちーと宮崎先生も,中野先生と共同で発表をしていました。

「汎温帯性フタツメイソウミグモの謎:白浜個体群(紀伊半島)と下田個体群(伊豆半島)は同種なのか」

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研究の少ないウミグモに関する貴重な話に,

たくさんの方が興味をもたれたようです.

質問に答える宮崎先生と,弟子のもっちー.

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解説中もカメラ目線を忘れないもっちー。

九州でも,是非ウミグモの研究を続けてね。

ということで,今年も大変盛況のうちに分類学会がお開きとなりました。

来年は広島大学で開催されます.

いろんな生き物の話が聞きたい人,

珍しい生き物の話を語りたい人は,

是非ともお越しください。

最後になりますが,記念講演会を一緒に企画してくださった

国立科学博物館の神保博士,

JAMSTECの伊勢戸博士,

農業・食品産業技術総合研究機構の三田博士,

並びに講演を快くお引き受けくださった

京都大学の江頭博士,

九州大学の荒谷博士,細谷博士,

北海道大学の柁原博士

の皆さんには格別の感謝を申し上げます.



また,

今回の発表を聞いていただいた方,

ご意見をくださった方,

本当にありがとうございました。

大変勉強になりました!


日本動物分類学会⑤

学会の醍醐味は懇親会の後の二次会にアリ。

ということで,二次会のレポートです。

学会発表で知的に興奮した科学者達は,

その熱が冷めやらぬところに酒の勢いが足されるため,

二次会ともなると大いにバカ話科学談義に花を咲かせるのです。

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ほぼ店を貸切状態です。

こちらは若者席.

今後の分類学会を担う人々が,大変陽気に盛り上がっております。

いずれも愉快な奴らばかりで,

一緒に話していて笑いが絶えません.

これからもこの人たちと一緒に酒が飲めると思うと,

自分は本当に幸せ者だなあと思えるくらいです.

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そして重鎮の方々.

今の分類学会の盛況があるのは,この方々が礎を築いてくださったからこそです.

いまでも第一線で活躍されており,

お話を伺っていて本当に勉強になります.

それにしても,最近の分類学会は若手が増えてきており,

勢いを感じます.

生物学を志す学生の方々は,

是非とも一度は分類学に触れてみることをおすすめしますよ!




ところで,もっちーが瀬戸臨海を離れて二ヶ月経ちますが,

私は実は密かに気にかけていました.

この二ヶ月の間に,彼が,彼でなくなっているのではないかと...

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心配は無用でした。 


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ご覧下さいこの表情。

彼はアイドルとしての才能を,

失うどころか,磨いていました。

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 「さ,受け取り給え」

衰えるところを知らない,恐るべき才能です.

私は見くびっていました.

彼は九州でシャッターの前での立ち居振る舞いの向上に

磨きをかけていたに違いありません.

今後ももっちーの動向から目が離せません。

続く.


日本動物分類学会④

日本動物分類学会レポートの続きです。

毎年,日本動物分類学会では若手の分類学研究者に対し,

奨励賞の受賞選考を行っています.

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今回の受賞者は,東大海洋研の特任助教の広瀬雅人先生でした。

広瀬さんはコケムシを含む触手冠動物の専門家で,

日本産淡水コケムシ類の分類,

歴史的な標本群に基づく相模湾産コケムシ類の分類学的再検討,

および日本産のホウキムシ類や腕足類の分類学的研究を,

精力的に行ってきたことから,今回の受賞となりました.

おめでとうございます!

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それから,今回は特別功労賞の受賞もありました.

なんと,受賞者は同じ京大の中野隆文博士でした。

日本におけるZoobankへの命名法行為や学名などの精力的な登録を行ったことや,

それによって日本人で唯一Zoobank Editorを勤めていることから今回の受賞に繋がりました.

中野さんのHPはコチラ

おめでとうございます!

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はにかむ二人を激写.

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そして,懇親会に突入です。

ホテルの一角を借り切ってのオサレなパーティでした。

50周年記念のロゴが映えますね~.

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豪華な食事に舌鼓です。

美味しい食事と美酒で舌を滑らかにし,懇親するのです.

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社会人になったもっちーが,

お仕事で学会に来ていました。

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なんとスーツです。

会っていない二ヶ月間ですっかり大人になっていました。

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奨励賞受賞者の広瀬さんと名刺交換中.

働く男は輝いて見えますね。

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50周年記念講演会ということで,

49年前(!)の第1回大会参加者の入村先生に当時の様子を振り返っていただきました.

入村先生は,日本におけるクモヒトデ研究の大家で,

実は私が大変お世話になったLiving legend(生きる伝説)です.

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一緒に来ていた千徳博士と,瀬戸の三人でパシャリ.

こうして,久しぶりに研究仲間に会えるのも,

学会の醍醐味ですね!

続く.


日本動物分類学会③

 

さていよいよ記念講演会も終わり,

日本動物分類学会本番です。

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開催場所は,古巣の国立科学博物館つくば分館です.

なつかしい建物。

私がD3の時にこの建物に越したので半年ほどしかいなかったのですが,

いろいろと思い出がよみがえります.

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会場にはたくさんの研究者や学生が集まっていて,とても盛況でした。

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おや,なにやらみた顔が.

うみさわなメンバーもやはり集っていました。

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生き物の写真を見せ合うのも,

もはや恒例の風景でしょう.

さまざまな動物を扱う研究者が集まっているので,

珍しい生き物の写真には事欠きません。

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今年度より,分類学会会長に就任された

藤田先生(私の元指導教官)のご挨拶です.

スーツでバシっと決められています。

こんなふうにして分類学会ははじまりました。

続く


日本動物分類学会①

動物分類学会が始まりました。

まずはその記念講演会が

上野の国立科学博物館で開催されました。

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講演会開始前の様子.

研究者だけでなく,高校生を含める,たくさんの学生がご来場くださいました。

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まずは学会長の藤田先生のご挨拶.

お師匠に見られているとなると,緊張しますね。

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まずは私の発表「分類学ってどんな学問?」

私がこのような話をしてよいのか恐縮でしたが,

私がこれまで専攻してきた学問分野についての話をさせていただきました.

高校生を対象にということでしたが,

楽しくお話をさせていただきました。

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京都大学の江頭さんの発表.

 両生類の最近の分類学(+系統地理学)的な研究について,

最新の研究成果も交えてのびのびと発表していただきました。

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九州大学の荒谷先生の,クワガタムシカブトムシの分類学の生物多様性研究への応用の発表.

様々なデータから,多角的に,分類学の生物多様性保全への貢献をお話していただきました.

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そしてトリは,北大の柁原先生の,分類学の愉悦と若手の分類学者へのエールです.

昨今の分類学を取り巻く現状と,

これから,若手分類学者がどのような活動をしていけるのか,

ということに関して,ご自身の経験も踏まえた熱い講義をしていただきました.

質疑応答も,研究者だけでなく,

学生も交えて,終始非常の良い雰囲気で講演は進められました。

明日からは分類学会本番です。

アカデミックに楽しんできます。

 


分類学について②

前回の記事から書く書く詐欺状態になってしまったので,

分類について,少し話を進めてみたいと思います.

今日は「学名」についてです.

話は中世ヨーロッパに遡ります.

このころ,航海技術の発達によって,

ヨーロッパに各国から多種多様な動植物が持ち込まれ,

次々に名前がつけられていきました.

当時は命名にルールがなく,動植物の名前に,

類似種と区別できる特徴を示す単語をどんどん追加していきました.

例えばオオカミは当時”Lupus“と呼ばれていましたが,

ジャッカルは”Lupus aureus“という感じです.

しかし次々に持ち込まれる生き物に同じ方法で名前を付けていくと,

名前は長くなる一方です.

例えばミツバチには,

Apis pubescens, thorace subgriseo, abdominale fusco, pedibus posticis glabris utrinque martine ciliatis

という非常に長い名前が付けられていたそうです.

こうなってくると,動物の数の増加に伴い,

生物の名前を覚えるにも一苦労で,

必然的に全体像の把握も難しくなってきます.

さらに,多くの名前にはラテン語が用いられていましたが,

他の言語による生物の名前も混在していました.

こうなってくると,生物の研究はもとより,

生物資源の利用も難しい状況に陥るのは明らかです.

そこで,全人類が簡便に共有できる

生物の名前の呼び方を考案する必要がありました.

これが「学名」です.

このような状況を受け,はたして,1758年に,

「学名」の付け方のルールや,分類法の基礎が築かれることとなりました.

では,この基礎を気付いたのは一体誰なのか? 

続く.

 


世界の動物に名前をつけよう!

宣伝です。

講演をします。

日本動物分類学会の記念講演です。

分類学会講演会チラシ案20140424

こんな綺麗なポスターを作ってもらいました。

以下,案内文より転載です.

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日本動物分類学会は、1965年の第1回大会の開催以来、動物分類学に関する活発
な活動を続け、2014年に第50回大会を迎えることになり ました。これを記念し
て、公開講演会を開催いたします。

 テーマは「動物分類学」そのものとし、一般の方にも分かりやすくこの学問の
基礎、面白さ、そして最近のトピックスを紹介します。この講演会 は、まだ分
類学に関わったことのない方々を分類学の魅力的な世界にお誘いする意味を含ん
でいます。分類学や自然史研究に興味のある高校生、そ の他の一般の方々のみ
なさまのご来場を心よりお待ちしております。当日は会場からのご質問等も歓迎
いたします。

===================================
日本動物分類学会大会 50回記念講演会
「世界の動物に名前をつけよう ~動物分類学への招待~」

日時:2014年6月13日 18:00-20:00(17:30 開場)
場所:国立科学博物館 上野本館 日本館講堂
対象:分類学や自然史研究にご興味のある一般の方々
主催:日本動物分類学会  
共催:国立科学博物館

講演1:岡西政典(京都大学)
「分類学ってどんな学問?」

講演2:江頭幸士郎(京都大学)
「両生類における最近の分類学的研究」

講演3:荒谷邦雄、細谷忠嗣(九州大学)
「生物多様性の解明と保全・利用への動物分類学への応用 ~人気昆虫カブトム
シ・クワガタを例に~」

講演4:柁原宏(北海道大学)
「動物分類学の愉楽と次世代分類学者へのエール」

申込・問合せ |
氏名・所属(学校名)・連絡先(メールアドレス)を、下記までメールまたは郵
送にてお送り下さい。(定員 120 名:先着順)
メールの場合:ujinbo@kahaku.go.jp(神保)
郵送の場合:305-0005 茨城県つくば市天久保4-1-1 国立科学博物館 動物研究
部 神保宛
※ 同じ学校からの複数名のご参加の場合、先生等からまとめてお申込み頂いても
結構です。
 申込締切|: 6月6日(金)
===================================

世話人:
・ 神保 宇嗣(国立科学博物館)
・ 伊勢戸 徹(独立行政法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC))
・ 岡西 政典(京都大学・瀬戸臨海実験所)
・ 三田 敏治(九州沖縄農業研究センター東京農業大学

——————————————————————–

以上です.

ウェブサイトはコチラ

私はオーガナイザー兼講演者です.

高校生にもわかりやすく,というところに今からビクビクしておりますが...

頑張ります!6/12日,上野で会いましょう。


命名規約輪読会が開催されます

動物の名前の付け方で迷っている…。


ひょっとしてこれってシノニム(同種異名)?でも確証がない…。


そんなあなたに朗報です。


動物命名規約の勉強会が開催されます!


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※前回の輪読会の様子(撮影:伊勢戸徹[JAMSTEC]

この会は、「若手分類学者の集い」が主催している会です。

「若手分類学者の会」は、分類学に関係する論文を記述する(または理解する)上で欠かせない

「命名規約」の解釈や、その具体的応用(または適 用)

についての勉強会を続けている研究会です。

毎年、日本動物分類学会の後に開催されており、今年はつくばで六月に開催されます。

いくつかのMLで回っているかもしれませんが、

詳細は以下の通りです。

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第6回『若手分類学者の集い』のご案内
———————————————————–


ウェブサイトはこちら
http://wakate-taxonomists.jimdo.com/

<開催趣旨> 

これまで5回にわたり日本動物分類学会大会にあわせて開催された勉強会『若手分類学者の集い』では、

全国の若手分類学者が集まって国際動物命名規約の学習を行いました。

さまざまな分野の研究者による自由闊達な議論によって

規約への理解を深めることができたと感じています。

今年も日本動物分類学会大会の日程に合わせて勉強会の開催を企画しましたので参加者を募集いたします。 

勉強会の内容はこれまでと同様、『国際動物命名規約第4版』を輪読形式で読み進め、

疑問がある場合にはそのつど全員で徹底的に議論を行い、解決する、というものです。 

また、勉強会は、予算的な負担が最小限で済むように

日本動物分類学会の終了後に会場である国立科学博物館筑波研究施設の近くで行います。

もちろん、日本動物分類学会大会に出られない方の参加も大歓迎いたします。 

なお、「若手分類学者の集い」という名前ではありますが、

これは特に若手の参加が重要だと考えているからで、

若手しか参加できないという意味ではありません。

また、専攻が分類学でなくてもまったく問題ありません。

気持ちが若手!で、分類学に興味をお持ちの全ての方の参加を歓迎いたします。

<内容>

国際動物命名規約の勉強会
※基本的に輪読形式です。『国際動物命名規約第4版日本語版』をお持ちください。

第5回より2巡目の輪読を開始しています。

第5回までに条11.10(14ページ)までの学習が済みました。

第6回はこの続きの条12から輪読を行いたいと考えています。

なお、勉強会の最後に次回の開催や内容について話し合う予定です。

『国際動物命名規約 第4版日本語版』をお持ちでない方は

日本分類学会連合のウェブサイト(下記)をご参照ください。

PDF版のダウンロードができます(無料)。

2,800円(送料込み)で印刷体の購入もできます。

一般の書店では取り扱われていません。
http://www.ujssb.org/iczn/index.html
※2012年9月4日に国際物命名規約が改正され,同日に発効しました。こちらも適宜参照します。

改正文の和訳を含む解説記事が「タクサ」第34号に掲載されています。

PDFが日本動物分類学会のウェブサイト(下記)からダウンロードできます。
http://jssz.sakura.ne.jp/

<勉強会会場および宿泊先>

筑波研修センター
http://www.meikei.or.jp/~center/

国立科学博物館筑波分館からは徒歩約15分
つくば駅からは、バスセンター6番乗り場より「筑波大学循環」(右回り・左回りどちらでも)

「筑波大学中央」行きで「筑波メディカルセンター前」下車、

徒歩約10分(休日は本数は少ないので注意してください)、またはタクシーで約5分

<日時>

2014年6月15日(日)18:00 ~ 16日(月)17:00
※1日目の開始時刻は日本動物分類学会大会のプログラムに合わせて調整する可能性があります。
※2日目の17時以降に、希望者で打ち上げを行う予定です。

<費用>

・会場使用料:23,300円を、参加人数で割ります
・宿泊費:1人当たり3,700円~4,000円の予定です
・食費:1人当たり2,100円(1日目の夕食・2日目の朝食・昼食の合計)の予定です。

※研修センター内の食堂を利用します。

<参加申し込み方法>

参加ご希望の方は、5月19日(月)までに瀬尾絵理子(mail: seoe@aori.u-tokyo.ac.jp)

まで下記の点をご連絡ください。
なお、会場の収容人数の問題があるため、先着順で定員に達した場合には、

募集を締め切らせていただきます。あしからずご了承ください。

1.氏名・フリガナ
2.性別
3.所属(学生の方は学年もお知らせください)
4.E-mailアドレス
5.研究対象(例:河川性アマオブネ科腹足類の系統と分類)
6.動物分類学会大会への参加の有無
7.部分参加や会場に宿泊されない方はその旨をお書きください

(勉強会は合宿形式で夜遅くまで続きますので、できる限り会場にご宿泊されることをお勧めします)。
8.食べ物等のアレルギーがある方は、その旨をお書き下さい

ご不明な点がありましたら下記の4名の世話人のうち、誰にでもどうぞお気軽にお問い合わせください。

<世話人>(五十音順)
生野 賢司(早稲田大学大学院 創造理工学研究科 修士2年)
E-mail:id-kenji-ikuno@asagi.waseda.jp
伊勢戸 徹(海洋研究開発機構 地球情報基盤センター)
E-mail:iseto@jamstec.go.jp
神保 宇嗣(国立科学博物館 動物研究部)
E-mail:ujinbo@kahaku.go.jp
瀬尾 絵理子(東京大学 大気海洋研究所 新領域創成科学研究科 自然環境学専攻 博士後期課程)
E-mail:seoe@aori.u-tokyo.ac.jp
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以上です。命名でお悩みの方、是非ともご参加ください。

ちなみに、少しでも命名規約を読み進めてみた方はお分かりかと思いますが、

命名規約は法律文であるため、

解釈の方法が一通りでない場合もあり、

一人で読むのはとても困難です。

これまでの輪読会に参加した経験から、

命名規約を複数人で読み進めるのは、

時間はかかりますが非常に効率的であると私は考えています。

おそらく、命名規約の存在は知っていたけど、

読む機会がなかった、という方もおられるでしょう。

この機会に触れてみてはいかがでしょうか?


てづるもづるとは④

てづるもづるの説明について、大分時間が経ってしまいましたが、マイペースで説明していきます。

ヒトデとクモヒトデの違い、それはズバリ、腕の中の骨格の構造の違いです。

ヒトデの腕の中にはいくつかの骨片が組み合わさっており、その構造から腕の口側に歩帯溝という溝を備えています。

ここから管足という触手を出し入れし、主に移動に使っています。

ところが、クモヒトデではこの溝が腹腕板という板によって閉じられています。

そして、 その腹腕板の縁っこに、触手孔と呼ばれる、

管足(クモヒトデでは管足は触手と呼ばれています。これは、直した方がよいと個人的には思っています。) を出し入れする穴があります。

つまり、腕の口側に溝があるかないか、 これがクモヒトデとヒトデを見分けるシンプルかつ本質的な違いなわけです。

Trichaster_Cetonardoa2

こちらの図はCetonardoa属のヒトデ(左)ツルタコクモヒトデ(右)の腕の口側(腹側)の様子です。

ヒトデの腕の正中線上には溝がありますが、クモヒトデの腕には溝らしき構造が見られないのがお分かり頂けると思います。

みなさんも、海で星形の生き物をみつけたら、ひっくり返して口側を見てみましょうね。


分類学について

誰もが一度は「ホモ・サピエンス」という単語を耳にした事があるのではないでしょうか。

これが我々人間を表していることは、多くの方がご存知かと思います。

ですが、この単語の真ん中になぜポチ「・」が入っているのか?

そしてこの言葉の意味は何なのか?

ということについて深く考えた方はあまり多くないのではないでしょうか?

ホモ・サピエンスは正式には”Homo sapiens“という二つの単語をカタカナにしたものです。

Homoとは「ヒト」の意味のラテン語の名詞で、

sapiensとは「賢い」の意味のラテン語の形容詞です。

これは、我々「ヒト」という種を表す学名です。

では学名とは何なのか?

なぜ学名を使う必要性があるのか?

続きはまた今度お話いたしましょう。