さてさて,もちろん懇親会だけではありません.
分類学会では,さまざまな人が,
いろんな興味深い発表をされていました。
功労賞を受賞された,京大の中野さんの発表.
「本州産クガビル属の一未記載種について」
彼はクガビルという研究の進んでいないグループの分類を精力的に行っていて,
いつもシンパシーを感じてしまいます.
今回は,小型のクガビルについての話を聞かせてくれました.
琉球大学の吉田さんの発表
「沖縄県産フクロムシ属の未記載種とPeltogasterella aculcataとの比較」
うみさわ会でも話を伺いましたが,
フクロムシは形態が非常に退化的な節足動物で,
よくこんなに寄生に特化したものだと,
いつも興味をそそられる生物です.
東京大学の広瀬雅人先生の受賞記念講演
「触手冠動物の分類学-コケムシ動物の多様な形質と生活史の記載を例として-」
コケムシ研究の歴史と,網羅的なサンプリングに基づくご自身の最新の研究についてのお話でした.
広瀬先生の妥協を許さないサンプリング活動には,いつも刺激を受けています。
クモヒトデの発表もありました。
ロシアから藤田研究室に長期研究滞在をされていたAlexander Martynovさんの発表.
「A common undescribed species reveals developmental and batheymetric differentiation among a species complex of the genus Ophiacantha in the deep sea of Japan」
Ophiacantha属という,よく見られるクモヒトデについて,
膨大な科博のサンプルの検討に基づいて未記載種を発見したという発表です.
彼は私がクモヒトデ研究を志す前から研究を行われていますが,
毎回凄まじい数のサンプルの検討に基づいて結果を出されており,
クモヒトデへの情熱が溢れんばかりに伝わってきます.
私も発表しました.
「Asterostegus属の分類学的再検討」
ツルクモヒトデ目の中でもレアな属の分類学的再検討です.
後半では,先日行ったクラウドファンディングの話もさせてもらいました。
そしてなんと,先月開催されたうみさわ会のレポートもありました.
琉球大学の山崎博士の,
「うみさわ会(若手海洋生物学研究者フィールドワークショップ)の報告」
うみさわ会がなぜ始まったのか,
そしてこれからどのように活動していくのか,
笑いと感動(?)を交えて大変魅力的に発表してくださいました.
これまで動物分類学会大会では,
前の発表者が次の発表者の座長を行っていましたが,
今年は演題が多かったため,座長を立てることとなりました.
なんと,節足動物のセッションでは,瀬戸の宮崎先生が座長をされていました!
休憩室も用意されていました!
お昼ご飯をみんなでいただいて交流を深めます!
おや,後ろの方で...
ピース!
ポスター発表も大変盛況でした。
もっちーと宮崎先生も,中野先生と共同で発表をしていました。
「汎温帯性フタツメイソウミグモの謎:白浜個体群(紀伊半島)と下田個体群(伊豆半島)は同種なのか」
研究の少ないウミグモに関する貴重な話に,
たくさんの方が興味をもたれたようです.
質問に答える宮崎先生と,弟子のもっちー.
解説中もカメラ目線を忘れないもっちー。
九州でも,是非ウミグモの研究を続けてね。
ということで,今年も大変盛況のうちに分類学会がお開きとなりました。
来年は広島大学で開催されます.
いろんな生き物の話が聞きたい人,
珍しい生き物の話を語りたい人は,
是非ともお越しください。
最後になりますが,記念講演会を一緒に企画してくださった
国立科学博物館の神保博士,
JAMSTECの伊勢戸博士,
農業・食品産業技術総合研究機構の三田博士,
並びに講演を快くお引き受けくださった
京都大学の江頭博士,
九州大学の荒谷博士,細谷博士,
北海道大学の柁原博士
の皆さんには格別の感謝を申し上げます.
また,
今回の発表を聞いていただいた方,
ご意見をくださった方,
本当にありがとうございました。
大変勉強になりました!