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2014年3月25日~30日「海産無脊椎動物多様性実習」

海産無脊椎動物多様性実習⑧

フィールドだけではありません。座学も行われました。 

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朝倉所長の

「海洋生物の多様性」

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琉球大学の本郷宙軌さん(学振PD)のゲストセミナー

「サンゴ礁生態系の過去・現在・未来」

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如何にサンゴ礁の古環境生態を詳細に復元するかというお話。

夜中だったにもかかわらず、

学生だけでなく所員も興奮して質疑の収まらない大変興味深いセミナーでした。

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中野先生による軟体動物の講義。

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再び朝倉所長の

「海洋生物によって種とはなにか?」

「種」の概念には、未だに20以上の定義がある非常に難しい問題です。

特に海洋生物は、幼生期の分散も考慮する必要があるため、

更に複雑な種形成がなされていると考えられます。

そのような難しいテーマを、優しく噛み砕いて講義してくださいました。

 

残すは最終日の打ち上げです。

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 打ち上げのつまみは、とれとれ市場で買った魅惑の海産物達。

見た目に拘って盛り付けしてみました。

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そして乾杯。

ぶれすぎてみえません(笑)

この日は夜更けまで実習生の笑い声が宿泊棟にこだましましていました。

  

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そして翌日、最後のお別れの日です。

こんなに打ち解けたポーズまでしてくれるほどになりました。

如何に彼らの実習が充実したものであったかを物語っています。

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そして最後に集合写真。

お疲れ様でした!


海産無脊椎動物多様性実習⑦

海ばかりではありません。汽水域の生物も見ます。

河口付近の川にきてみました。

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朝倉所長の解説中。

終わるやいなや…?

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ワラ…。

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ワラワラ…。

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ワラワラワラワラ

あっという間に生物を探し求めて学生が拡散していきます。

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御覧くださいこの幸せそうな表情。 

彼らにとっては、生物との触れ合いの時間が、

なにものにも代えがたいプライムタイムなのです。

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お次は干潟。 

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ワラワラワラ 

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こちらは、汎用干潟兵器「ヤビーポンプ」に挑戦中。

これは巣穴に隠れている生物を取るためのウェポンで、

物理的に金属の筒の中を陰圧にすることで、

水や泥ごと孔内の生物を吸い取ってしまいます。

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見学に来ていた千徳博士も実施中。

吸ってー。

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出す。

何回か繰り返せば、この泥と一緒にアナジャコ等がポロッと出てきます。

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 こうして泥だらけになりながら持ち帰ったサンプルを同定中。

苦労しただけに愛情が湧くというものです。

続く


海産無脊椎動物多様性実習⑥

もちろん今回の実習でも畠島に上陸しました。

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人数が多いので、2班にわけて乗船しました。

一般は船着場ではなく、別の岸壁で待機中。

ちなみにパーフェクト凪。

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鏡のような水面を切り裂いてやってきた我らがヤンチナ。

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毎度おなじみ、上陸後の畠島分室でのレクチャー。

ここで事前講義を受けているのとそうでないのとでは、畠島の楽しみ方が数倍違います。(当社比)

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いざ磯観察へ。

先に上陸した班が遠くに見えます。

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「うおりゃーーー!!」

岩の下には、自分では動くことの出来ないレア生物が隠れ住んでいることが多いのです。

ひっくり返した岩はもとに戻しましょう。

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持ち帰った生物の仕分け。

いくつかウニが採れていますが、何種類でしょう?

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こ、これはいけません!

弱ったニセクロナマコ(Holothuria leucospilota)が内蔵を…。

衝撃映像なのでモザイクをかけておきます。

是非とも直接見たいという猛者は、公開臨海実習に参加してみましょう。

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ナマコの骨片の観察中。

ナマコは一見ブヨブヨしていて形質が少なく、分類が難しいのですが、

体表に埋め込まれている小さな骨片の形が種ごとに違っており、

この形の違いで種が分けられています。

今回は皮の一部をキッチンハイターに浸して、

骨片を取り出して観察しました。

ちなみに、ナマコもウニも同じ棘皮動物で非常に近縁なのですが、

このような骨片を観察すると、ウニもナマコもカルシウムの骨片で体が作られているのが理解できます。

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今回畠島からはこれだけの生物が得られました。

湾内の外洋と内湾の水が入り混じる場所に位置している畠島は、

「奇跡の島」と称されているそうです。

1968年に京都大学瀬戸臨海実験所に買い取られてから、

百年計画でその生物相のモニタリングが行われており、

現在でも所員によって五年に一度、全島調査が行われています。

こんな奇跡の島で実習ができるのは、日本広しといえでも瀬戸臨海実験所だけです。

みなさんこぞって公開臨海実習に申込みましょう!

続く


海産無脊椎動物多様性実習⑤

メイオベントス観察開始。

今回は、泡立て法を試してみました。

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~泡立て法の手順~

まず基質と真水を混ぜてよく振ります。

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それをバケツに注ぎまして。

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さらに真水を注ぎます。

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ゆっくりと、しかしなるべく泡が立つように移植ゴテでかき混ぜます。

こうすると、空気(疎水性)と親和性の高い外皮を持つ生き物が、

空気にトラップされて泡と共に水面に浮かんできます。

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そして、水面をコピー用紙などのツルツルの紙でそっと撫でてやります。

すると、今度はこの紙にメイオベントスがトラップされるというわけです。

あとはこの紙を水で洗いながら表面のメイオベントスを洗い、

目の細かい網で濾してやれば、

網の中に獲物が残るということですよ。

誰がこの方法を思いついたのでしょうか。

しかし画期的です。

実際にこの方法によって、動吻動物(Kinorhyncha)などはかなり効率的に採集されるということです。

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お次はフジツボ。これは単純に真水でシェイクするだけ。

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こうして得たサンプルたちです。

それぞれの基質には、特有の生物が観察できます。

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この日は夜遅くまで観察は続いたようです。 


海産無脊椎動物多様性実習④

前回基質を採集したメイオベントスについてはさておきまして。

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プランクトン観察がスタートです。

船上で採ってきたプランクトンが、この赤い蓋のボトルに入っています。

どんなプランクトンが採れてますかな?

  

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久保田先生によるプランクトン解説。

「あんまし採れてないなあ」といいつつも、次々にプランクトンを解説していきます。

実習に関わり出して二年経ちますが、いまでもぱっと見てわからないプランクトンはたくさんいます。

先生のようにはなかなかなれません。精進ですね。

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プランクトンといえば河村博士です。

飼育中のクラゲ(タコクラゲ[Mastigias papua]だったかな?)のポリプの解説中。

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漁網に混獲されるベントスを採集しに、隣町の境港にも行きました。

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大和先生のヤギの解説中。

ソフトコーラルと呼ばれる、硬い骨格を持たないサンゴの仲間のうち、

木の枝みたいな形になるヤツをヤギと呼ぶのです。

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漁網にかかったままの獲物に手を出す強者も。

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香ばしく香る魚カゴの中にも、探せばお宝があるものです。

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なんとテヅルモヅルが採れました。

自慢げに(?)解説中です。

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収穫物。手前でブリッジ気味なのはアオヒトデです。

カラーバリエーションが多く、青くないものも時々見られます。

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並べてみると結構な生き物が採れているものです。

ですが、いずれもそれなりに深い場所の生き物だけあって、

いつもの磯で採れるものとはだいぶ様子が違います。

深海では、捕食に対する戦略の一つとして、

体の大型化があるそうです。

言われてみれば、ヤドカリにしろ、巻貝にしろ、大型ものが多い気がします。

もちろん、採集漁具の関係もあるのでしょうが、

きちんと調べてみたらそれなりの傾向がでるのではないでしょうか。

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収穫物を再び実習室で解説中。

いえ、好きな生き物は、何度解説しても楽しいものです。


海産無脊椎動物多様性実習③

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宮﨑先生の先導の下、北浜にきました。

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相談しながら穴を掘っています。

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そして、岸壁のイワフジツボも集めます。

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Invertebrateな皆さんは既にお気づきでしょうが、

これはメイオベントスを観察するための基質採集です。

メイオベントスとは、海岸の砂浜の隙間にいるような、非常に小さな生き物です。

1 mm のメッシュを通り、64 umのメッシュの上に残るくらいの大きさの生物の事を指し、

近年になって莫大な多様性を秘めている事が明らかになりつつある生物群です。

分類とは関係がなく、節足動物、線形動物を始めとして、

環形動物、扁形動物、動吻動物、緩歩動物、さらには棘皮動物(ナマコ)などがみられます。

また、最近になって発見された胴甲動物は、メイオベントスサイズしか知られていません。

まだまだ研究が進んでおらず、我々が見てもなかなか種まではわからないものが多いのが現状です。

今回はどんな生き物が見られるのでしょうか。

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夜は久保田先生と共に、プランクトンのDVD鑑賞。

海産無脊椎づくしの日々です。

続く


海産無脊椎動物多様性実習②

標本解説を行っていたその頃、

田辺湾の海上では、プランクトン採集実習が行われていました。

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研究員の河村さんによるプランクトンネットの使い方の説明です。



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海中に放り出したプランクトンネットを、

ロープを使って手繰り寄せます。

なるべく海表付近を引くのがコツだそうですが、

雨が振ると塩分濃度の影響で海表のプランクトンは下に下がるそうです。

慎重な調整が求められます。

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お次は海底の砂をスミス・マッキンタイアー(SM)採泥器で採集します。

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赤いのがSM採泥器です。

下のオレンジの入れ物に泥を受けました。

さてさて、何が採れたかな?

まだまだ続く


海産無脊椎動物多様性実習①

2014年3月25日~30日にかけて、

公開臨海実習「海産無脊椎度異物多様性実習」が開講されました。

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今年は全国津々浦々から、計23名のInvertebrateソルジャーが集いました。

大変盛況です。

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中にはこれまでの公開臨海実習に何度か参加してくれている猛者まで。

リピーターがきてくれるのは、実験所的にはとても嬉しいことです。

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整備した実習室の標本が役に立つ時がきましたよ。

標本を使った動物の形態の多様性の解説を行いました。

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久保田先生による脊索動物の説明。

ご専門は刺胞動物ですが、大変博識で、様々な動物の解説を担当してくださいました。

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私も棘皮動物の解説を担当しました。

これは先日手に入れたサキワレテヅルモヅルの仲間を、

自慢気に見せびらかしている様子です。

こんな感じで始まった海産無脊椎動物多様性実習、

今回はどんなドラマが飛び出すのでしょうか。

続く