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2014年4月2日~5日「環境フィールドワーク白浜臨海実習(龍谷大学)」

2014年龍谷大学実習④

龍谷大学実習レポ,ついにラストです!

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畠島で採集した生物を,黒板にリストアップしていきます.

はるか昔から行われている,

教育効果の高い優れた手法です.

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リストアップした生物の中で,

自分が気になった生物を説明してもらいました.

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生物の形と,採集された場所とを関連付けてもらい,

なぜそのような環境に生息するに至ったかについて考察してもらいました. 
 

生物と環境を考える上では,その生物の形や生態に注目する必要があります.

今後,彼らがどのような分野に進むかはわかりませんが,

多角的な視点を育むことは,環境学を修めていく上で決して無駄にはならないでしょう.

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聞く方も真剣勝負!

先生方や研究員からも質問が飛びました.

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そして,無事に発表終了!

明日もまだありますが,とりあえず主な実習項目は終了です.

千徳博士から〆の挨拶.

三日という短い時間でしたが,

教える側と教わる側とで刺激しあうことのできたよい実習でした.

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一夜明けて最終日.

この日は朝から最後の講義です.

千徳博士の「サンゴの生物学」

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単なる学問的な話だけでなく,

博士課程での実情などを交えた,とても楽しい発表でした.

多くの学部生にとっては,普段はあまり聞かない話に触れられる,

よい機会だったのではないでしょうか.

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河村博士の「クラゲの多様な生活史」

クラゲの研究を行う上では,どのポリプがどのクラゲになるのか?

また逆にどのクラゲがどのポリプになるのか?

という生活史の解明が必要なため.飼育が必須です.

そのようなクラゲの多様な生活史について,

非常に美麗なクラゲ写真が満載のスライドで発表してくださいました.

クラゲへの愛がうかがえます.

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私もお話をさせてもらいました.

学会での雰囲気を味わってもらうため,ポスター発表風にしてみました.

先日の古生物学会で発表したポスターが活用されましたw

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ちなみに,この日はアウターを「テヅルモヅルパーカー」でキメてみました.

このウェブサイトでも注文できますよ!

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講義のあとは,野外授業!

浜辺でのビーチコーミング(漂着物観察)です!

白浜は黒潮の影響を受けて,南洋性の様々なものが流れ着きます.

珍しいものも時々混じっているんですよ!

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そして,最後にみんなで写真をパシャリ.

あっという間の四日間でしたが,教える側としても得られるものの多い実習でした.

個人的には,自分に足りないものの一つ(熊のプ○さんの物真似の精度)

がはっきりとわかった貴重な実習でした.

来年までに腕を磨いておきます!










ちなみに,私は本日(5/27)をもちまして,31歳となりました.

時が経つのは早いものです.

高校生ぐらいの時に想像していた31歳とは全然違うのですが,

今はクモヒトデの研究がつづけられてとても幸せです.

今後も教育に,研究に邁進していきます!


2014年龍谷大学実習③

4月の龍谷大学の実習のレポートです。

前回までのお話はこちら

畠島で採集した生物の鑑定からスタートです。

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バケツに採集してきた生き物を,机の上で白いプラスチックの「バット」にあけていきます.

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タツナミガイ,ニセクロナマコ,イソナマコ...

ここは長虫状のものを集めていますねえ...



...おや?

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こ,これは!


ユムシじゃないですか

ゴカイやミミズなどの環形動物に似た生き物ですが,体節がなく,別の動物門と考えられている生き物です。

(最近はDNA解析の結果から,環形動物門の仲間と考えられつつあります)

特に特徴的なのが頭から伸びたスプーン状の吻で,

種類によってはこれが何メートルもの長さになります.

地面の下などに穴を掘って隠れ住むためなかなかお目にかかることのない動物ですが,

転石の下に何気なくいたそうです.

学生は「ミドリユムシ」と同定していましたが,

分類が進んでいないため,同定の真偽は専門家に聞いてみないとわかりません.

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図鑑を片手に悩む学生アリ.

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いつて海胆の同定を助けてやりました,

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瓶についた奇妙なコブあり.

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なんとカニが絡まっているやうだ。

瓶から出ようとしてもがいているうちに こうなってしまったのでしょうか。

この後,やさしくほどいて逃がしてやりました.

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そしておなじみナマコの解剖です.

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今回は(も)ニセクロナマコの解剖でした.

ナマコはかなり内臓がしっかり見えて,

結構グ○なのですが,意外に多くの学生が興味を持っていました.

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面白生物解析シリーズ,お次は千徳博士の「単体サンゴ」の解説。

群体性ばかりと思われがちなサンゴですが,実は単体で生き抜くたくましいサンゴもいるのです.

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珍しい生き物に,みなさん興味津々です。

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こうして楽しく鑑定は続いていくのでした。

続く.

 


2014年龍谷大学実習②

 龍谷大学実習レポート第二弾です。

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磯観察に向かう前に、河村研究員による危険生物の説明。

アンボイナ(巻貝)、ヒョウモンダコ、イラモ(刺胞動物)、ガンガゼ(ウニの仲間)

など、白浜の海には危険生物がみられることがあります。

事前にこのような生物を実際に見ておくことは非常に重要です。

瀬戸臨海ではこのような生物の標本を集めており、

実習中に実際の姿を見せしながら説明をしています。

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千徳博士が持ってきた、

大阪市立自然史博物館の「帯状分布手ぬぐい」です。

生物は水深ごとに生息場所を棲み分けている場合が多いため、

磯での生物相の概観が水平な帯状に見えることを

「帯状分布」といいます。それをカラフルに、見事に表した傑作手ぬぐいです。

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京大所有の無人島「畠島」に到着です。

上陸前の撮影タイム。

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畠島の分室に古くからある黒板を使っての生物相の説明。

買い取りから現在までの生物相の変遷を説明できる貴重な記録が残された黒板です。

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河村研究員による帯状分布の説明。

固着性の貝が生えているゾーン、

海藻が生えているゾーンなどが見て取れます。

特に潮間帯では潮の満ち引きによって、

水面からの高さごとの環境が激変するので、

帯状分布が顕著にみられます。

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転石下の生物観察。

潮が満ちているときは、水に浸かってしまう一帯です。

干出しているときは、転石下でじっと乾燥に耐えている生物たちが観察できます。

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畠島での昼食。

青空で食べる弁当の美味しいこと。

うまくタイミングが合えば、このような経験ができるのも、瀬戸臨海での実習の醍醐味です。


2014年龍谷大学実習①

先日、2014年度第一発目となる龍谷大学の実習が行われました。

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今回の講師は学振PDの千徳博士です。

龍谷大の実習では毎年実験所の教員でなく、

所の学生やポスドクに担当を任せています。

去年は学振PDの諏訪さんが担当していました。

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この実習は実質3日という短い時間の中で、

磯観察、ウニの発生実験などを行います。

集合初日から千徳博士のウニの発生の講義です。

一応棘皮動物の研究をしている端くれからみても、

大変わかりやすく、的確にウニの発生の講義でした。

天晴です。

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ウニの放卵・放精は、アセチルコリンという薬品の投与によって誘発します。

どんな方法で、どんな場所に投与するのか?

みんな興味津々です。

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ペーパータオルをしいたバットの上にウニをとります。

(こうしないと、プラスチックのバットにウニが張り付いてしまって大変)

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そしてウニの口の周りにある周口膜というやわらかい部分に、

注射針をとおしてアセチルコリン(大体1 ml)を投与。

針の刺さるリアルな感触に恐れおののく学生多数。

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こうして受精させたウニたちの子供たちですが、

うまく発生がすすみました。

今回はバフンウニを使いましたが、

膜が透明で細胞の観察が容易でした。

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ですが、時間がたつとと酸素不足などから環境が悪くなります。

底に沈んでいるウニの卵を残し、そっと海水を入れ替えている様子。

すでに職人の顔になっていますねー。

続く