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分類学について④

二名法の利点は,単に名前が短くなったたけではありません.

もう一つの利点は,「名前を記号として扱った」ことです.
 

実はそれまでの生物の特徴を表す形容詞がどんどん付されていった名前は,

その種の名前であると同時に,定義でもありました.
 

従って,その種の定義が変わってしまった際には,

その名前も変更されることになります.
 

例えば,
 

「灰色の 毛並みがいい 足の早い 北欧産の オオカミ」
 

がいたとして,これによく似ていてちょっと毛の色が薄い
 

「薄灰色の 毛並みがいい 足の早い 北欧産の オオカミ」
 

がいたとします. 
 

そして前者の種があるとき,ヨーロッパ全体に分布していることが確認されると,
 

「灰色の 毛並みがいい 足の早い 欧州産の オオカミ」
 

と改名されます.

こうなってくると、この2種の狼の会話が

かなり複雑なことになってしまう可能性は否めません.

 

対してリンネの二名法では,名前をあくまでも記号として扱い,定義は別のものとして扱いました. 
 

つまり,種の形質(この場合は分布域)が変わろうとも,名前は変えなかったわけです.

上の会話の
 

「灰色の 毛並みがいい 足の早い 北欧産の オオカミ」

および「灰色の 毛並みがいい 足の早い 欧州産の オオカミ」

と呼ばれていた種を二名法で
 

「灰色の オオカミ」に,
 

「薄灰色の 毛並みがいい 足の早い 北欧産の オオカミ」を

二名法で
 

「薄灰色の オオカミ」

というように、名前はあくまでも記号にすれば、

生物の名前の複雑化に伴う混乱は解消したといえるでしょう.
 
 
 

そしてさらに、リンネはこの二名法の他にさらに便利な方法を開発しています.
 

 
 

続く.