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2014年3月17日~22日@「藻類の系統と進化」

藻類の系統と進化⑦

長きにわたる藻類実習レポートも、ついに最終話です。 

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最後の夜は、もちろん先生お手製の海藻たこ焼きです。

緑のつぶつぶは、ヒジキです。

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関東から来てくれた学生がたこ焼きを。

彼はこの一週間弱で、しっかりと関西に馴染めたようです。

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こちらはお好み焼き。

サラミと海藻の絶妙なコンビネーションを、貴方はもう体験しましたか?

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ムカデノリのサラダ

ドレッシングがよく絡み、食感も良く絶品です。

この料理のおかげでムカデ嫌いが克服できそうです。

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乾杯!

天候には恵まれませんでしたが、

皆さんよく頑張りました。

この日は遅くまで解放感に浸りながら美酒に酔ったことでしょう。



翌日



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いよいよ今日で皆さんともお別れです。

一週間弱お世話になった実習用具をピカピカに掃除してくれました。

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それでは、みなさん。

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お疲れ様でした。



以上、藻類実習レポートでした。


この実習は、2014年度より「藻類と海浜に生息する種子植物の系統と進化」

と、実施項目を反映した名前に変更されます。

藻類だけでなく、海浜植物に興味がある方も、

是非ともご参加ください。

※1 食卓に上った海藻類は、実習で観察して余ったものです。

※2 学名の典拠→ネイチャーウォッチングガイドブック「海藻」、発刊:誠文堂新光社、監修:神谷充伸


藻類の系統と進化⑥

 

ついに最後の野外実習です。

この日の作業は、海藻の組成比較です。

各班で二つのタイドプールを決めてもらい、海藻の分布を調べ、比較します。

ポイントになるのはタイドプールの選び方です。

水深、面積、低質、海岸からの距離、高さなどの条件のうち、一つの条件だけが異なるように

タイドプールを選定することで、その条件が海藻の分布に及ぼす影響を考察してもらいます。

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タイドプールを決めたら、まずは水をバケツで掻き出します。

ある程度の深さに生えている海藻も観察するためです。

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しかしこの日は強風でした。

掻き出した水が、風にあおられてすぐに霧状に。

本当に過酷な作業でした(経験者談)

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水がなくなったタイドプール内の海藻の分布を調査中。

水平分布だけでなく、垂直分布も調べます。

実に骨の折れる作業です。

みんなヘトヘトかと思いきや…?

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まだポージングする余裕が。

強風も、彼らにとっては演出の一部にすぎないようです。

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穴の見えない円月島をバックに、この余裕っぷり。 

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実習室に戻って、結果発表会です。

今回は、多くの班が水深に着目していました。

光合成を行う植物にとっては、やはり数10cmといえども、

水深は大きく分布に影響するようです。

紅藻、褐藻、緑藻である程度垂直分布に差が見られました。

とはいえ、そう簡単に傾向が出ないのもフィールドワークの妙。

みなさん、それぞれの結果に全身全霊で考察を加えてくれました。

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発表会終盤。

とある鋭い指摘が。

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あ!May 21て!!

※3月に行われた実習です。

この班は文字のデザインにこだわってくれましたが、

最後の詰めが甘かったようです。

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無事発表終了。

このあとはいよいよ打ち上げです。

最終話へ続く。

※タイドプールの水は、スタッフによってもとの水位に戻されました。


藻類の系統と進化⑤

まだまだ続く藻類実習。

今日は畠島でのライントランセクト及びコドラート調査です。

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ライントランセクト(Line Transect)は、海岸線に任意のラインを引き、

その上の生物の被度や個体数などを調査する方法です。

一方コドラート(quadrat)法は、四角形の枠を海岸の基質の上に置き、

その中の生物の個体数や被度を調査する方法です。

今回は、両者を同時に行いました。

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まずはラインを引く場所を決めます。

なるべくその辺り一帯の生物相を反映するような場所を選ぶ必要があります。

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調査開始!

コドラート内の海藻の被度を調べていきました。

この日はなかなか激しい雨風に見舞われ大変な作業となりましたが、

めげることなく完遂してくれました。

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畠島で見られた海藻「オニアマノリ(Pyropia dentata)」

荒見かけた実習生たちの心を癒してくれた食卓の人気者です。

※食べてません。

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実習室に帰って、データの解析。

苦労して持ち帰った宝のようなデータです。

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今回は畠島の内湾側と外洋側の二回に分けて調査を行ってもらいました。

果たしてどんな差が出るのでしょうか?

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 実習の合間に、外国人を想定したディスカッションの練習中。

あらゆる場合を想定した準備に余年がありません。

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ライントランセクト・コドラート調査結果発表

外洋側ではヒジキやウミトラノオなどの茎が長い褐藻が多いのですが、

内湾側では、ボタンアオサ(Ulva conglobata)やボウアオノリ(Ulva intestinalis)のような緑藻などが多く見られました。

この違いおそらく波当たりの強さに由来しているのではないかという考察でした。

今は海岸を覆い尽くす勢いの海藻類も、夏には脱落してしまいます。

藻類が豊富な時期だからこそできる調査といえるかもしれません。

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前日に作成した藻類の標本達です。

乾燥すると、だいぶ様子が変わって、生きている時とは全く違う形になったりするものもあります。

このような標本作成法は、古典的ではありますが、

いまでも藻類の分類学では中心的に行われているようです。

続く


藻類の系統と進化④

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野外観察の続きです。

先生の後ろには深いくぼみがあり、日中は陽が差さない場所になっています。

こういったところには、暗所に適応した藻類が生息しています。

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これはムカデノリ「Grateloupia asiatica 」です。

太い茎部分から、細い足がたくさん生えていて、

まるでアレのようなことからこの名前が付けられているそうです。

ああ、そういえばもうそろそろアレが出てくる時期なのですね…(遠い目)

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少し休憩。

無理せずこまめに休憩をとることも、磯観察の重要なポイントです。

ゴールまであと少し!

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帰所後、採集した海藻の標本づくりです。

綺麗につくると、このような美しい標本になるそうです。

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まず、海藻を、このようにツルツルのコピー用紙に

そっと乗せて、形を整えます。

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吸水性のあるフェルトでこの海藻用紙を挟みまして。

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サンドイッチに。

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そらにダンボールで挟んで、扇風機で一晩乾かします。

うまく標本はできているでしょうか?

続く


藻類の系統と進化③

 海浜植物の次は、海藻実習です。 

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野外に出る前に、まずは海藻のご説明。

「かいそう」と言うと「海草」とも「海藻」ともとれますが、

これらは全く異なる分類群です。

「海草」は、海に生息している種子植物(アマモなど)です。

「海藻」は、呼んで字の如く、目に見える大きさの海の藻類(コンブなど)です。

こうした混同を防ぐため、「海草」は「うみくさ」と呼び分ける場合もあるそうです。

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先生が事前に採ってきた実物の海藻 を見ながらの説明。

みなさん興味津々ですねー。

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そして野外へ。

普段何気なくみている堤防などの岸壁にも、実はたくさんの藻類が生えています。

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岩場の藻類の説明。

ヒトに踏みつけられてもめげない

海藻達のたくましい生き様が見られます。

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磯の海藻シリーズ!!その①

ヒジキ(Sargassum fusiforme)

言わずと知れた食卓の名脇役。

乾燥させる前では、このように枝がプリプリしています。

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その②

イソモク(Sargassum hemiphyllum 

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その③

イワヒゲ(Myelophycus simplex

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その④

ヒジキを囲むように生えているウミトラノオ(Sargassum thunbergii

この海藻の根本には、マキトラノオガニ(Pilumnopeus makianus)というカニが潜んでいることがあります。

藻類実習レポート、まだまだ続く!

 


藻類の系統と進化②

藻類実習レポート第二弾です。

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採集してきた植物のスケッチ中。

ほとんどの場合、実習で採集された生物はスケッチをしてもらいます。

スケッチは、単にその生物の形の記録を残すための作業ではありません。

俗に、スケッチをするために観察するのではなく、観察するためにスケッチをする、と言います。

スケッチの際、その生物の特徴をよく観察する必要があり、

この作業こそがスケッチの意義であり本質でもあります。

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ウラシマソウの仏炎苞を開いたところ。

小花が見えます。

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陸上植物の標本作成手順の説明。

水分を吸い取れる布とダンボールで標本をサンドイッチしたものをいくつも重ねることで、

押し葉標本ができるというわけです。

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学生による、陸上植物の研究発表。

ハマダイコン(Raphanus sativus)を説明しています。

実験所内でもわんさか生えている種です。

根は、細いですが、ちゃんと「大根」です。

ハマダイコンは、他の海浜植物と違って、

見た目に際立った乾燥適応は見られないのですが、

種子が海流に乗った放散に非常に適した形をしているとのことです。

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 思わず先生も身を乗り出して解説!

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所員も質問!

熱い発表会となりました。

続く。

 

 


藻類の系統と進化①

 

2014年3月17-22日にかけて、公開臨海実習「藻類の系統と進化」が開催されました!

白浜周辺の藻類や、海浜植物の高い多様性に着目した実習です。

普段海産無脊椎動物を見ているだけでは得られないことも多く、大変勉強になります。

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畠島へ向かう一行。

畠島は、離島の植物相が手付かずのまま残っている貴重な場所でもあるのです。

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現場での植物の説明。

海岸付近は潮風の影響で、

植物にとっては過酷な乾燥環境なのだとか。

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海浜植物をシャベルで掘り出して採集します。

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陸上だけではありません。

学生の足元に生えているのは「コアマモZostera japonica」です。

陸上から海中に適応した珍しい種子植物です。

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帰所後、所内の植物の観察です。

何気なく毎日見ている植物も、実は面白い生態をもっているそうですよ。

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ウラシマソウです。

雌雄を判定するには、

葉に包まれた部分を解剖する必要があるそうです。

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楽しき植物の生態解説に、学生も興味津津でした!