四双島調査も終わりです.
それぞれの調査を終えた面々が船着場に集まってきました.
調査にお付き合いいただいた船長の山本さん,ありがとうございました!
帰港途中の船内.
それぞれのサンプルや写真を愛でる人たち.
飼育員のうっちーさんも完全装備でした.
良いお魚は獲れたのでしょうか.
凌君もいい顔をしています
それぞれ実りのある四双島調査でした
四双島で採れた生物写真をご紹介.
四双島(赤丸)は実験所(黄丸)の西方に浮かぶ島で,
外洋の影響を受けて,番所崎よりも南方性の生物相が観察できます.
クサフグ.
かなりアップで撮らせてくれました.
青い目が素敵ですね.
ギンポ.
こちらも大分近くまで寄らせてくれました.
カタベガイ.
四双島でなくてもみられる種ですが,
なんとなく撮ってしまいました.
アミメ?ジュズベリヒトデ.
実験所周辺の潮間帯ではあまりみられません.
そしてこれはトサカでしょうか?
近くによって撮影できなかったのですが,
写真を拡大してみると,触手っぽいものが見えました.
後で図鑑を調べてみたんですが,
キイロトゲトサカに近いような印象です.
四双島でウミシダが採れたので!
ウミシダの標本作製についてお話しましょう!
まず,クモヒトデと同様,まずは容器に入れて写真撮影です.
しかし,麻酔はご法度です.
実はウミシダでは塩化マグネシウム溶液による麻酔ができません.
無理に麻酔液に漬けると,苦しんで腕がバラバラになってしまいます.
撮影が終わったら,クモヒトデの時と同じように,別の容器にエタノールを入れます.
写真の様子は灯油の配注ではありません.
一斗缶にエタノールが入っていて,灯油ポンプで取り出しているのです.
私の知る限り,大体の科学者が灯油ポンプでエタノールを扱っています.
そしておもむろにウミシダを隣におきまして...
えい.
とひっくり返してエタノールに漬けます.
この時,しばらく上から軽く抑えてやるのがポイントです.
腕が平面上に固定され,あとで観察のしやすい良い標本になります.
そっ…と手をのけてやると
ウミシダ標本の完成です!
あとはクモヒトデと同様,ビニールパックに入れるなりして研究室に持ち帰り,
瓶などに入れ替えます.
ちなみに,オレンジ色のモヤモヤはエタノールに体色の構成要素が溶け出したものです.
固定後は色が変わってしまうので,その前に写真を撮っておく必要があります.
続く
四双島で見られた生物シリーズ。
まずはこちらの岩の隙間をよーくご覧ください.
岩の隙間にウメボシイソギンチャク Actinia equinaの集団です。
実験所周辺ではブロックなどの隙間の奥にしか分布していないため,
こんな風に簡単には観察できません.
しかし色といい形といい,梅干の名を関するにふさわしいですね.
ただ,種小名は「馬のたてがみの」とかいう意味のようです.
絶対梅干のほうがいいと思うなあ.
四双島の醍醐味はタイドプールにありました.
何気ない態度プールのように見えますが...
こんな風にイボヤギTubastraea coccineaやトゲトサカDendronephtyaがいたり.
これもイボヤギでしょうか?
無藻性のサンゴと思いますが,なんだか緑色です.
ハナヤサイサンゴ?がいたり。
さらにはなんと,ムチヤギがいたり。
普通は波あたりが強い場所や日光が当たらない場所,
やや深い場所にいるはずの生き物がごろごろみられました.
熱い!
これはまた徒党を組んで調査に来なくてはなりません。
こんな風に,クシクラゲもプカプカ浮いていました!
そして島の外洋性を示すこちらのウニたち.
(ヒメ)クロナガウニEchinometra oblonga(左二個体)と,
ホンナガウニEchinometra mathaei(右一個体)です!
どちらかというと亜熱帯に生息しているウニで,
瀬戸臨海周辺でも見られるのですが,こんなに大きくありません.
黒潮が当たる温暖な四双島では十分に成長できるのかもしれません.
ちなみに,岩の間のクロナガウニを採ってみると,こんなになっていました.
これは別に採集時のダメージでこうなったわけではありません.
おそらく岩に密着していたた部分の外殻が発達しなかったのだと思います.
体の内部の骨格が見えちゃってますが,いいんでしょうか...
さらにコブヒトデまでいました。
この大きな管足!立派ですねー.
そしてウミシダまでタイドプールに。
え!!ウツボまで!!?
・・・と思ったら,釣り人の釣果でした。
軟体動物も多様でした.こちらはメクラガイDiloma suavis
海藻にたくさんが付いてました.
ずいぶん派手な色をしていて,岩陰などにはかくれないそうです
THE アメフラシAplysia kurodai
クロシタナシウミウシDendrodoris arborescens
コチラはメリベウミウシMelibe papillosaです.
この方の採餌法は変わっておりまして.
体の前方(左側)の口をカッと広げて・・・
ガバッと投網を投げるかの如く,目の前の海底を覆います。
そしてゆっくりと口をすぼめて,小さな甲殻類などを食べちゃうそうです.
もしゃもしゃ.
みんなでそんなメリベウミウシのお食事を観察.
大変有意義な四双島調査でした!
続く.
四双島に上陸しました。
畠島のように視界を遮る山などの起伏はなく,
広めのタイドプールが点在しています.
緑藻,褐藻,紅藻など,藻類が豊富です.
場所によっては,このように一種類の海藻が優先していました.
これはフクロフノリです.
決して気温は高くなかったのですが,水着になった猛者が。
何をしているのかと近づいてみると...?
ぶくぶくぶく...
「はい!とってきました!」
上の人に命令されていたようですね。
続く.
和歌山大学実習レポートです。
この実習の特徴の一つは,「四双島」での磯観察です.
瀬戸臨海実験所の西方に位置するこの島は,
畠島とは違い,京大所有の島ではありませんが,
外海に面しているため,畠島や番所崎とはまた違った生物がみられます.
一年を通して,実習でこの島に渡るのは和大の実習だけなのです。
いつもの寒さ浦の船着場でなく,
実験所の裏の北浜からの乗船.
ワイルドに砂浜に着けた船に乗り込みます。
出港は人力です。
技官の興田さんのパワーです。
第一便(定員いっぱい)に乗り遅れた先生とポスドクたち.
学生が集めたハコフグを眺めて待つとしますか...
そうこうしているうちにすぐに船が帰ってきました。
孤島の釣り人を横目に出発。
うっすらみえてきました。
灯台がある島が四双島です。
はたして何が待ち受けるのか?
続く.
生物を分けると世界が分かる ー分類すると見えてくる、生物進化と地球の変遷ー
講談社ブルーバックス
新種の発見
ー見つけ、名づけ、系統づける動物分類学ー
中公新書 2589
深海生物テヅルモヅルの謎を追え!
系統分類から進化を探る
東海大学出版会
フィールドの生物学シリーズ 第20巻
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・2020/10/28 論文が出版されました!
Okanishi, M.*, Fujii, T. (2020)
“A new record of brittle star Ophiopsila cf. polyacantha (Echinodermata: Ophiuroidea) from Southwestern Japan, with notes on its bioluminescence”.
Species Diversity. 25(2): 283—294.
・論文が出版されました!
Okanishi, M.*, Kohtsuka, H., Fujita, T. (2020)
“A taxonomic review of the genus Astrocladus (Echinodermata, Ophiuroidea, Euryalida, Gorgonocephalidae) from Japanese coastal waters”.
PeerJ. 8: e9636 (42 pp.)
・論文が出版されました!
Oikawa, S*. Matsui, Y., Oguro, M., Okanishi, M., Tanabe, R., Tanaka, T., Togashi, A. Itagaki, T. (2020)
“Species-specific nitrogen resorption proficiency in legumes and nonlegumes”.
Journal of Plant Research. 133(5): 639—648.
・論文が出版されました!
Okanishi, M.*, Mah, C., L. (2020)
“Overlooked biodiversity from museum collections: Four new species and one new genus of Ophiuroidea (Echinodermata) from Antarctica and adjacent regions with notes on multi-armed ophiuroids”.
Marine Biodiversity. 50: 64 (26 pp. )
・論文が出版されました!
Okanishi, M., Kato, M., Watanabe, H., Chong, C. and Fujita, T. (2020)
“Large populations of two new species of Ophiambix (Echinodermata, Ophiuroidea) discovered on Japanese hot vents and cold seeps”.
Raffles Bulletin of Zoology. 68: 196—213.
・論文が出版されました!
木村妙子他…(著者24人中9番目) (2019)
「紀伊水道南方海域および熊野灘の深海底生動物相」.
三重大学大学院生物資源研究科紀要. 45: 11—50.
・論文が出版されました!
木村妙子他…(著者25人中10番目) (2019)
「紀伊水道南方海域および熊野灘の深海底生動物相(第2報)」.
平成30年度三重大学フィールド研究・技術年報. 17: 1—29.
・論文が出版されました!
Hayashi, R. & Okanishi, M. (2019)
“The widely occurring brittlestar Ophiactis savignyi (Amphilepidida: Ophiactidae) as an epibiont on loggerhead sea turtle, Caretta caretta”.
Zootaxa. 4695: 497—500.
・論文が出版されました!
Okanishi, M., Ishida, Y. & Mistui, S. (2019)
“Fossil gorgonocephalid basket stars (Echinodermata: Ophiuroidea: Euryalida) from the Middle Pleistocene of Japan; the first record from the Indo Pacific region”.
Paleontological Research. 23: 179—185.
・論文が出版されました!
Okanishi, M., Oba, Y. & Fujita, Y. (2019)
“Brittle stars from a submarine cave of Christmas Island, northwestern Australia, with description of a new species <i>Ophiopsila xmasilluminans</i> (Echinodermata: Ophiuroidea) and notes on its behavior”.
Raffles Bulletin of Zoology. 67: 421—439.
・2019/3/27: 論文が出版されました!
Okanishi, M & Fujita, T (2018) “A comprehensive taxonomic list of brittle stars (Echinodermata: Ophiuroidea) from submarine caves of the Ryukyu Islands, southwestern Japan, with a description of a rare species, Dougaloplus echinatus (Amphiuridae)”. Zootaxa. 4571(1): 73—98.
・2018/6/21: 論文が出版されました!
Okanishi, M & Fujita, T (2018) “A new species of Ophioconis (Echinodermata: Ophiuroidea) from a submarine cave at Shimoji Island, Miyako Island Group, southwestern Japan”. Proceedings of the Biological Society of Washington. 131: 163—174.
・2018/4/6: 論文が出版されました!
Okanishi, M & Fujita, T (2018) “Description of a New Subfamily, Astrocloninae (Ophiuroidea: Euryalida: Gorgonocephalidae), Based on Molecular Phylogeny and Morphological Observations”. Zoological Science. 35(2): 179—187.
・2018/4/5: 論文が出版されました!
Okanishi, M, et al. (2018) “A new cryptic species of Asteronyx Müller and Troschel, 1842 (Echinodermata: Ophiuroidea), based on molecular phylogeny and morphology, from off Pacific Coast of Japan”. Zoologischer Anzeiger. 274: 14—33.
・2018/3/9: 論文が出版されました!
Okanishi M, Fujita, T. (2018) “A taxonomic review of the genus Astrodendrum (Echinodermata, Ophiuroidea, Euryalida, Gorgonocephalidae) with description of a new species from Japan”. Zootaxa. 4392(2): 289-310.
・2018/3/8: 論文が出版されました!
Baker, AN, Okanishi M, Pawson, DL. (2018) “Euryalid brittle stars from the International Indian Ocean Expedition 1963–64
(Echinodermata: Ophiuroidea: Euryalida)”. Zootaxa. 4392(1): 1-27.
・2018/1/31: 論文が出版されました!
Okanishi M, Fujita, Y. (2018) “First finding of anchialine and submarine cave dwelling brittle stars from the Pacific Ocean, with descriptions of new species of Ophiolepis and Ophiozonella (Echinodermata: Ophiuroidea: Amphilepidida)”. Zootaxa. 4377: 1-20.
・2017/12/23: リバネス 「サイエンスキャッスル関西大会」にて講演を行ってきました!
・2017/11/20-22: 第14回JAMBIO 沿岸生物合同調査@千葉県館山に参加してきました!
・2017/11/4: 平成29年度自然史学会連合公開講座「海の今昔を深~~く探る.」にて講演を行ってきました!
・2017/9/21: 日本動物学会 第88回富山大会@富山県民会館にて口頭発表を行ってきました!
・2017/6/4: 日本動物分類学会 第53回大会@海洋研究開発機構にて口頭発表を行ってきました!
・2017/3/28: 論文が出版されました!
Okanishi M, Fujita T, Maekawa Y, and Sasaki, T. (2017) “Non-destructive morphological observations of the fleshy brittle star, Asteronyx loveni using micro-computed tomography (Echinodermata, Ophiuroidea, Euryalida)”. Zookeys. 663: 1-19.
・2017/2/7: 論文が出版されました!
Okanishi M.(2017)
“A taxonomic review of the genus Astrohelix Döderlein, 1930 including the
synonymy of the subgenus Asteroporpa (Astromoana) Baker, 1980 to Astrohelix”
Zootaxa. 4227 (4): 543-553.
・2016/12/5: 論文が出版されました!
Okanishi M., Sentoku, A, Fujimoto, S, Jimi, N, Nakayama, R, Yamana, Y, Yamauchi, H, Tanaka, H, Kato, T, Kashio, S, Uyeno, D, Yamamoto, K, Miyazaki, K and Asakura, A. (2016)
“Marine benthic community in Shirahama, southwestern Kii Peninsula, central Japan”
Publications of the Seto Marine Biological Laboratory. 44: 7-52.
・2016/12/1: 論文(著書)が出版されました!
Okanishi M. (2016)
“Ophiuroidea (Echinodermata): Systematics and Japanese Fauna”
In: Masaharu Motokawa and Hiroshi Kajihara (eds.) Species Diversity of Animals in Japan.
Springer Japan, Tokyo, Japan, pp. 657—678.
・2016/11/18: 日本動物分類学会 第87回沖縄大会と,第22回国際動物学会議の合同大会にてシンポジウムを企画し,講演・ポスター発表を行ってきました!
・2016/6/12: 日本動物分類学会 第52回大会@札幌にて口頭発表を行ってきました!
・2016/5/18: 読売新聞に記事が掲載されました!
・2016/1/29: マイナビニュースに記事が掲載されました!
・2015/12/5: 第12回棘皮動物研究集会が開催されました!
・2015/12/1: マイナビニュースに記事が掲載されました!
・2015/10/30-11/6: タイ・プーケットで調査を行ってきました!
・2015/10/1茨城大学理学部生物科学コースに所属が移りました!
・2015/9/17-19:日本動物学会 第86回 新潟大会にて招待講演と口頭発表を行ってきました!
・2015/6/13-15: 日本動物分類学会 第51回大会@広島にて口頭発表を行ってきました!
・2015/6/6: 化石研究会 第33回総会・学術大会のミニシンポジウム「深海環境と生物」にて招待講演を行ってきました!
・2014/12/7: サイエンスカフェを開催してきました!
・2014/12/6: 第11回棘皮動物研究集会に参加してきました!
・2014/11/20-25: 沖縄で調査を行ってきました!
・2014/11/02-08: タイ・プーケットで調査を行ってきました!
・2014/10/11: Smips, 研究現場の知財分科会にて招待講演を行ってきました!
・2014/9/21: 論文が出版されました!
Okanishi M., Moritaki T. and Fujita T. (2014)
“Redescription of an euryalid bittle star, Astroceras coniunctum (Echinodermata: Ophiuroidea: Euryalidae).”
Bulletin of the National Museum of Nature and Science Series A (Zoology). 40 (3): 133-139.
・2014/9/11-13: 日本動物学会 第85回 仙台大会にて口頭発表を行ってきました!
・2014/8/31: 鳥取県立博物館特別展示「胸キュン☆サンゴ展~わたしを深海(うみ)につれてって~」の特別シンポジウムにて招待講演を行ってきました!
・2014/7/20-23: 2014 European Echinoderms Colloqium(欧州棘皮動物研究会議)にて口頭発表を行ってきました!
・2014/6/28: 日本古生物学会2014年年会・総会にて口頭発表を行ってきました!
・2014/6/13: 日本動物分類学会第50回記念講演会を企画いたしました.たくさんの方にお越しいただきました.ありがとうございました!
・2014/5/29: 研究費獲得のためのクラウドファンディング”academist”でのチャレンジが終了しました!最終獲得金額は,目標金額40万円を達大きく上回る63.45万円でした!
皆さん、本当に応援ありがとうございました。
・2014/4/22-25: WESTPAC 9th International Scientific Symposiumで口頭発表を行ってきました!
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岡西政典 OKANISHI Masanori
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