Skip to content

ゼミ

八放サンゴのセミナーが開かれました!

和歌山大学の畠島実習に同行されていた並河先生と今原先生ですが,

実は「相模湾産八放サンゴ類」の発刊のお祝いにいらっしゃっていたのでした。

本書は,相模湾で約60年にわたってヒドロ虫類を採集された昭和天皇陛下が

集められた標本と,新規に採集した標本や,欧米博物館に保管されていた相模湾産の標本に基づき,

今原先生と並河先生,そして黒潮生物研究所の岩瀬先生によって執筆されました.

単なる分類学の専門書ではなく,研究方法,必要文献などの情報も網羅されており,

また図鑑としての体裁も整った優れた一冊です.

八放サンゴ類は鮮やかな色彩の種が多く,

随所にふんだんなカラー写真として紹介されています.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて,せっかく刺胞動物の専門家にお越しいただいたということで,

瀬戸の海洋生物学セミナーでお話していただきました.

まずは並河先生の

「ヒドロ虫類における生殖体制の多様化」

ヒドロ虫類は刺胞動物の中でも派生的なグループと考えられているのですが,

特筆すべき特徴はその生殖様式です.

他の刺胞動物では多くが生殖細胞が内胚葉由来なのに対し,

ヒドロ中の生殖細胞は外肺葉由来で,

体の外側に生殖体を出芽させます。

この生殖体の位置は,群体や単体など,

ヒドロ虫によて異なるのだとか.

うーむ勉強になりました.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今原先生の

「相模湾産八放サンゴ類に分類」

相模湾における八放サンゴの分類学的研究の歴史を

お話いただきました.

意外と日本人研究者が少なかったことに驚きました.

また,これまでに記載されている日本の八放サンゴ類の

1/3は相模湾から記載されているということです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

発表後,瀬戸の先生方からも質問が止みませんでした.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

大変興味深いお話を,ありがとうございました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて,セミナーの後はいよいよお祝い会です。

このために先生方は集ったのです。

瀬戸の刺胞研究者の千徳博士や久保田先生,河村博士(写真がありません...)

も一緒に参加しました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

私は棘皮研究者ですが,古巣の博物館の並河先生(私の向い)と久しぶりにお話できる機会と思い,

参加させいていただきました。

私の隣が,本の著者の,黒詩生物研究所の岩瀬文人先生です。

出版にまつわる苦労話や笑い話に花が咲きます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

おや,久保田先生が寝てしまいました.

お酒が入ると眠くなってしまうそうです.

久保田先生,セミナーのオーガナイズ,お疲れ様でした.

そして,この度の書籍の発刊,おめでとうございます。


UMISAWA2その⑧

深海を攻めた後は浅海を攻めるしかないでしょう。

ということで,干潟に来ました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 

ここでは泉君が,イソギンチャクを狙いました.

何のイソギンチャクかは後のお楽しみ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こういう干潟のドロドロの中に埋もれて暮らしているイソギンチャクだそうです.

まずは泥をとり,網でふるえば採れることがあるそうです.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

おや!採れましたか!?

・・・残念,ホヤだったようです.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

同行していた千徳博士が,カニに手袋を挟まれていました。

この後,泉君は二時間ほど作業を続けましたが,残念ながら獲物は現れなかったそうです.

しかしそれだけに,採集できた時の喜びがひとしおになるのでしょう.

戦い続けたソルジャーにだけ,うみさわの女神は微笑むのです.



そして,好例の発表会もいよいよ最後です。

毎晩ほぼ夜12時オーバーというスケジュールでしたが,

みなさん大変面白い発表ばかりだったので楽しい時間を過ごすことができました。

中でも最終日は一味違っていました.

東大が生んだ鬼才,泉氏の落語からはじまったのです. 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「うみさわっす!」の軽快な一言からスタートです.

前口上中に,観客が食べていたそばを見て,とっさに思いついた題目は,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「時そば」です。

以下,Wikipediaより転載

—————-

そばの勘定を巡るごまかしを目撃した男が、それにえらく感心して、

自分も真似して同じことをしようというスリリングかつ滑稽な話である。

本編に入る前の枕の部分で、江戸時代のそばについてあらかじめ解説しておく場合が多い。
そばを食べる場面において麺を勢い良くすする音を

実際と同じように表現することが本作の醍醐味であり、

一番の見せ場であるとよく言われる。

—————-


数ある古典落語の中でもポピュラーな題目らしく,

「そばを食べる音」の再現が注目らしいのですが,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

超リアルでした.

いや本当に.

話のテンポ,声の張りなど,どこをとっても,

大変素晴らしい出来の落語でした.

ありがとうございました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして興奮冷めやらぬまま研究発表へ.

これが彼の研究対象の

「ムシモドキギンチャク」だそうです.

残念ながら今回は見つけられませんでしたが,

既に卒業絵研究での成果を,論文にできつつあるそうです.

素晴らしいですね.身が引き締まる思いです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

私も続いて発表しました.

この間少しだけ世間を騒がせた,「クラウドファンディング」 に関する発表でした.

うみさわメンバーも何人か興味をもったようでした.

もうみんなやっちゃいましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その後も,琵琶湖博物館の太田さんによる

ウミクワガタ(昆虫ではありません.れっきとした「甲殻類」です)

の採集に関する発表や,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

東京大学海洋研究所の広瀬さんの

コケムシ(コケではありません,コケムシ動物門という,れっきとした動物です)

に関する系統分類や発生,生態に関する発表がありました.

いずれの研究も,研究対象に対する「愛」がひしひしと伝わってくる内容で,

「金」の話をしたわが身を少し恥じました。

やっぱり,研究に必要なものは,「愛」ですね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて,この日はなんと参加者の一人,

大阪市立大学の竹本さんの誕生日でした!

憧れの千徳博士にプレゼントをもらい,

満面の笑みを浮かべています。

うみさわですね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて最終盤,

売り子と化した凌君もところせましと食堂を駆け回ります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

大トリは,琉球大学の吉田さん.

フクロムシという,一風変わった動物の発表をしてくださいました.

カニなどの腹に寄生する動物で,見た目はその名の通り,「フクロ」にしかみえないのですが,

実は体制が退化したフジツボなどの「節足動物」の仲間だそうです.

この不思議な生物の系統分類学的な研究について,

うみさわのトリを飾るにふさわしい,

美彩なスライドで発表してくださいました.

天晴。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ということで!!





うみさわおひらき 





OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ありがとうございました

続く?


UMISAWA2その④

今回のウミサワでは,毎夜,若手研究者による発表会が行われました。

質問あり,やじりあり,笑いあり,涙あり...悲喜こもごもの人間模様がスライドの上で展開されていきました.

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

プロジェクターの準備中.この時点で早くも笑いが生まれています.

今回のうみさわの個人的な裏テーマは「笑い」でしたが,幸いにもメンバーに恵まれ,腹筋の休まる暇がありませんでした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今回のオーガナイザーの藤本会長の趣旨説明.

彼なしでは今回の調査は実現しませんでした.本当にありがとう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

琉球大学の山崎博士の発表.

彼はスライドに映っている動吻動物門(Kinorhyncha)の系統分類学的研究を行っています.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして今回は,動吻動物門が含まれる,有棘動物の最近の系統分類の動向を語ってくれました.

実にマニアック。実にUMISAWA。

この動物群は,他に胴甲動物(Loricifera),鰓曳動物(Priapulida)を含み,

頭に出し入れ可能な棘の束を持ちます.

例外を除きほとんど小型で,これまであまり研究が進んでいなかったグループです.

現在活発にこのグループの研究が行われているのは,コペンハーゲンと日本くらいでしょう.

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして二番手は北大の角井博士.

彼はタナイスという甲殻類を研究しています.

カニやエビを含む,いわゆる十脚類とは違い,

フクロエビ上目という,ダイオウグソクムシなどが属するグループの甲殻類です.

微小な種(普通mm単位)が多いのですが,明瞭な鋏脚をもつことが特徴です.

彼は,この小さなタナイスの生殖行動を追い,

自家受精を行うことを最近突き止められた,大変優秀な研究者です。

ウェブサイトはコチラ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして藤本会長の発表でこの日はラスト。

UMISAWA QUEST 

なんというクオリティ...彼はこのロゴの制作に命を燃やしたそうです.

今後のUMISAWAの方向性が確実なものとなりました.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして〆のスライド.

そう,我々は海でさわやかに採集し続けるのです.

心に海の生物への探求心(QUEST)を持つ限り何度でも。

続く.

 

 

 


ゲストセミナー

京都大学本学でのセミナーに招かれました!

 IMG_8352

京都大学動物生態学のゲストセミナーですって!

講演は私の、

「西太平洋海域におけるツルクモヒトデ目(棘皮動物門)の分類・系統・進化」

IMG_1687

西海区水産研究所の林亮太さんの

「本草学資料を用いて科学する:海亀・鯨・藤壺の生態学」

でした!

林さんとは数年前に若手分類学者の集いの命名規約輪読会で知り合い、時々学会などでお会いしています。

京大本学を訪問するのは数回目なのですが、このようなセミナーに参加させていただき、大変勉強になりました。

招待していただいた

動物生態学研究室の細将貴さん、

ならびにセミナーを企画してくださった林さん、

ありがとうございました!