Squamophis amamiensisについての追記です.
はじめ,科博でこの標本を見た際には,
新種とはわからなかったのですが,手元の文献では名前が調べられませんでした.
前記事でも述べましたが,ヒトデモドキ属はとにかく外部形態が少ないのですが,
種の分類に用いられていたのは体表の骨片(皮下骨片と我々は呼んでいます)の形状や配置でした.
粒粒の骨片やトゲトゲ等,様々な形の小さな骨がこの属の種の体を覆っており,
その大きさや密度等が分類の指標になっていました.
まずはこれらの形態を整理しなくては始まらないので,
古今東西の全てのヒトデモドキ属の記載文献を集め,解読したところ,
いずれの記載にも一致しない事がわかりました.
ほとんどの種が顆粒状やトゲトゲの骨片を持っているのに対し,
この標本の体表の骨片の形は,写真のようにうろこ状だったのです.
さらに観察を続けると,腕に生えている針の数や,体内の骨片の形状までが,
他の種と異なっていることを見出しました.
そこで,これらの違いをまとめ,約1年近くかけて論文を準備しました.
この間に何度も何度も原稿を修正してくださった藤田先生には,本当に感謝です.
こうして,出会いから一年以上を経て,
本種はAsteroschema amamienseという名前で発表されました.
その後,この種が実はツルクモヒトデ目の中でもかなりの変わり種という事が分かってきたのですが,
それはまた別の機会にお話いたしましょう.