こちらは,Squamophis amamiensis (Okansihi and Fujita, 2009)という種です.
私と,師匠の藤田先生が2009年に新種として発表しました.
私が初めて論文にした,思い出深いヤツでもあります.
現在はSquamophisという属に移されていますが,
私が記載した際は,この種はヒトデモドキ属(Asteroshcema)に属していました.
この属は,他に比べて外見の差が少ない(形態形質が少ない)にもかかわらず,
ツルクモヒトデ類の中では珍しく34種という多種を含みます(他の属は,多くても10種程度です).
多種=多様と考えてもよいのですが,
分類が進んでいないグループでは同種異名が多いということが考えられます.
この属はまさにそのようなグループだといわれており,
各地の研究者によって種が乱立している状態でした.
しかし,私が修士でこのヒトデモドキ属の情報を整理しているうちに,
科博に所蔵されていたある標本が,どうしても既存の種の記載に当てはまらないことに気付いたのです.
そこで一大決心し,この個体を新種として発表することを決めました.