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2015年2月28日~3月7日 「海産無脊椎動物分子系統学実習」

海産無脊椎動物分子系統学実習⑫

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打ち上げ翌日は最終日,いよいよ成果発表です

トップバッターはコガモガイ類の分子系統.

様々な基質に付着する個体を解析し,

基質と系統との違いを考えてもらいました.
 

いくつか,本州にいるとは考えにくい種の配列が読まれており,

果たして種の新分布域の発見なのか,

それとも解析上のハンドリングミスなのか,

色々な意見が飛び交いました.
 

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お次はプランクトンの発表.

今回はヤムシ,プルテウス,ネクトキータ幼生の解析に成功し,

それらとウェブ上のデータを比較して,種を推定してもらいました.
 

興味深かったのが,オフィオプルテウスが,

高確率でOphiura ooplaxの幼生である事が判明したことです.
 

本種は東シナ海から太平洋海域に生息しているのですが,概して深海性であるため,

今回の結果は,深海種の幼生が,田辺湾の入り口まで流れ着いていることを示唆します.
 

分子系統解析がの種の同定ツールとしての有用性を示していますが,

一方で,今回は一個体をまるまる解析に用いてしまったので,

証拠標本が残らないなどの問題点も指摘されました.
 

今後も内容の改変が必要かもしれません.
 

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ナガウニ類の発表.唯一,実習の第一期から残っているテーマです.

これまでのデータも併せて,段々とナガウニ類の分類が見えてきました.

今年はOBの座安さんから得たリュウキュウナガウニのサンプルのデータも加えられたことで,

更に有意義な考察ができたようです
 

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そしてウミグモの発表.

今回,最も成功データが少なくなってしまった分類群です.

特に,同種であるにも関わらず採集場所ごとに結果が違ってしまったので,

ひょっとすると固定方法に何か問題があったかもしれないとの結論が得られました.

宮崎先生も見守る中,堂々と発表をしてくれました
 

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最後はケフサイソガニとタカノケフサイソガニの発表.

この班は解析個体の形態観察から,

ウェブ上のデータの検討までかなり精密に行っていて,

二種を分けた論文(Asakura & Watanabe, 2005)の結果を支持するものとなりました.
 

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興味深い結果に,たくさんの質問が飛び交い,盛り上がりました
 

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ということで,海産無脊椎動物分子系統学実習のカリキュラムが無事終了しました

中野先生からの総括の後,参加者の皆さんに一言ずついただきました.

最後に,カリキュラムを終えた参加者の一回り大きくなった姿をご覧ください.
 

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分子系統学への興味,自身の卒研のため,

研究のため...
 

思いは様々ですが,それぞれに得たものの大きさを語ってくださいました.

また,この実習でリベンジを誓った参加者もいるようです.
 

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最後に朝倉先生のお話で締めです.
 

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記念撮影のあと...
 

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最後は恒例のウミウシフィギュアの配布です.
 

お疲れ様でした


海産無脊椎動物分子系統学実習⑪

 

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宮崎先生がパスタを振る舞い...
 

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河村博士が魚を煮つけ...
 

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中野先生が魚介類の捌きを指導する夜...
 

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そう
 

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打ち上げです
 

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いよいよ全てのプログラムを終え,後は発表会を待つのみ

朝倉先生の音頭で乾杯です
 

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夏の実習でTAだった小泉君と実習生が旧交を温めます. 
 

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こんな感じで,夜遅くまで打ち上げは続いたようです.
 

いよいよ翌日は成果発表です


海産無脊椎動物分子系統学実習⑩

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いよいよシーケンスデータが返ってきました.

これからデータの解析に移ります.

 ということで,これから描いてもらう系統樹の基本的な読み方の講義のあと...
 

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まずは解析対象種の近縁種をデータバンクから集めてもらいます.

FASTAファイルの作り方など,解析データの基礎を説明.
 

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各自のPCでアライメントから系統樹の作成を行ってもらいます.
 

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帰ってきたシーケンスデータのアセンブルです.

なかなかの成功率だったようです
 

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自分たちのデータと,データバンクのデータを合わせ,いよいよ本格的に解析開始

得られた系統樹が何を意味するかは,

その系統樹に使われたデータの元の文献情報に当たらなければならないときもあります.

系統解析は,系統樹を書いてからが本番なのです.
 

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ケフサイソガニチームは,スペシャリストの朝倉所長にお話しを伺っていました.

記載されたご本人がいらっしゃるとは,大変に恵まれた環境と言えるでしょう.
 

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翌日の発表の備え,みんなでお掃除.

長きにわたり,お疲れ様でした


海産無脊椎動物分子系統学実習⑨

 

サンプル収集の次は座学です
 

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今回実習生として参加してもらった山室教授にお話してもらいました.

「ラグーンから考える生態系の保全」
 

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山室先生は地学出身で保全生態関連のお仕事に携わっておられます.

様々な手法を用いて多角的に水域環境動態を研究されています.
 

環境学に用いられる分子系統学的手法の解釈を学ぶため,

今回の実習に参加されたそうです.
 

いつまでも新しい手法を学んでいく姿勢がとても素敵ですね.

ご自身の発表にそれがよく表れており,

かくあるべきと身が引き締まる思いでした.

刺激になります.
 

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宮崎先生の「カイヤドリウミグモの分類をめぐるいくつかの謎」
 

今回の実習の対象の一つ,カイヤドリウミグモについてのお話です.

ウミグモ担当の実習生は絶対に逃せません.
 

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久保田先生による「不死のベニクラゲと早死のカイヤドリヒドラクラゲの分子系統形態の関連」
 

スライドは使わず,プリントを見ながらのお話です.

太平洋に広く分布するベニクラゲの仲間の分子系統解析の結果,

隠蔽種の存在が示唆されているそうです.
 

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大和先生の「ヨコエビ類とフジツボ類における種」
 

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大和先生は,ヨコエビやフジツボを研究対象として,

「種」の問題に関する考察を行っておられます.
 

今日までずっと議論が続いている非常に難解な問題について,

分類の問題を絡めつつ,綺麗にまとめてくださいました.
 

今回の実習では分子系統樹から種の分類を考察してもらいますが,

実はそれは分子系統樹一本だけから簡単に導けるものではありません.
 

「種とは何か?」という大命題に関するお話は,

私自身にとっても勉強になりました.


海産無脊椎動物分子系統学実習⑧

磯で採集した生物の同定です

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ケフサイソガニの同定.
 

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宮崎先生による,フタツメイソウミグモのご説明.
 

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ウミグモ担当の学生さんと,濃密なディスカッション中.
 

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ウニ担当の学生さんは,凝って写真を撮影しています.

ユニパックに分けている姿がプロっぽい
 

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他にもアカクラゲや,
 

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M1の中町君の研究対象のシリケンウミセミも採れた模様です.
 

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もう実験はないので,使った器具を綺麗にエタノールで掃除.

お次はいよいよ解析です


海産無脊椎動物分子系統学実習⑦

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DNAデータの解析には線用のソフトウェアが必要不可欠.

最近ではアライメント,モデルテスト,系統解析を一手に担ってくれる優れたソフトウェアが開発されています.

これらをインストールするため,

河村博士がネットアクセスの方法を丁寧に説明します.
 

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順番が逆になりますが,シーケンス解析の外注の待ち時間で,

今回の実習で扱った生物の採集のため,磯に赴きます.
 

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カサガイ類の説明.何気なく転がっているように見える岩にも多様な生物が張り付いています.
 

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近くの岩礁でフタツメイソウミグモの採集.

何故かこのあたりの岩の下にだけ,常に本種の集団が見られます .
 

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ナガウニの採集.本当はもっと番所崎の先の方へ行けば複数種のナガウニがみられるのですが,

天候の関係で近くのタイドプールにとどまりました.
 

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干潟河口に移動し,ケフサイソガニの採集.

皆で石をはぐってやると,それなりの数が採れました
 

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採集の後は講義「深海生物テヅルモヅルの謎を追う」
 

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テヅルモヅルやクモヒトデ,および自身の研究の紹介を行わせていただきました.

ステキな写真を撮ってくださった河村博士に感謝です


海産無脊椎動物分子系統学実習⑥

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PCRの結果確認のための電気泳動です

まずは1%濃度に調整したTAE溶液とゲル粉末を混ぜ合わせ,
 

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レンジで溶かします
 

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いい感じに溶けたかな?
 

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分子の先輩の凌君に確認中.

(熱された溶液にはくれぐれもご注意を)
 
 

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溶液に適量のミドリグリーン(DNA蛍光試薬)を混ぜ,トレイに流し込みます.
 

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電気泳動層にゲルを淹れ,PCR産物と色素を混ぜ,ゲルの穴に流し込みます.
 

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20分後,十分に流れたバンドを確認!さあうまくいってるかな?
 

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いよいよLEDでバンドの有無を見ます.

結果はまずまず!全ての対象生物でバンドが見えていました.
 

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PCRが成功したDNA産物を,限外濾過法により精製し,余計な配列やdNTPを取り除きます


海産無脊椎動物分子系統学実習⑤

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切り出した組織にタンパク質溶解酵素を加え,
 

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ブロックインキュベーターで温めること1時間.
 

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DNA変性させ,フィルターのグラスファイバーに吸着できる状態にします.

この作業によってDNA以外の組織が洗い流されます.
 

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M2の凌君です.

この一年間で分子系統解析のテクニックを付けて,

頼れるTAとして活躍してくれました
 

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サンプルを遠心しフィルターを通します.

それぞれのサンプルの数を計算しないと対象に配置できないため,

慎重に作業が進められます.
 

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合間にチップを詰め替えてくれる凌君
 

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抽出したDNAテンプレートを使って,いざPCRです

手前の発泡スチロールに氷を入れて,氷上で作業をします.
 

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試薬を混ぜ合わせたら,いよいよPCRです.

サーマルサイクラ―にセットして数時間放置



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夜は担当の中野先生のお話「カサガイの生物学」で締めです.
 

ここまでくれば折り返しです


海産無脊椎動物分子系統学実習④

分子実習レポです.

今回は5つのテーマが用意されました.
 

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①カメノテ,フジツボなど様々な基質に付着したコガモガイ.

付着基質の違いと系統の相関を見ます.
 

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慎重に軟体部だけを殻から取り除きます.
 

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とれましたね!後は足の部分を切り取り,DNA抽出に使います.
 

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体の残った部分は,証拠標本として残します.
 

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②お次はプランクトン.事前に河村博士が仕分けてくださいました.

様々な動物群から一種選び,その系統的な位置や,

親の同定を試みます.
 

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③事前に内之浦で採集したタカノケフサイソガニとケフサイソガニです.

形態的に非常によく似た二種のDNA配列を比較します.
 

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河村博士による分類法の講義.
 

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こちらは足の筋肉からDNAを抽出です
 

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④お次はおなじみのナガウニです.

日本に生息していると言われる4種のナガウニのDNA配列を調べます.

今回は,これまで手に入らなかった南方性のリュウキュウナガウニが手に入りました

瀬戸OG(現:OIST)の座安さんが採集してくださいました.
 

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解剖し,体の中にある管足の根元(瓶嚢)の列を取り出します.
 

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⑤カイヤドリウミグモ

カイヤドリウミグモの系統的な位置を確かめると共に,

産地による遺伝的な違いを検証します.


海産無脊椎動物分子系統学実習③

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分子実習レポートです.
 

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まずは対象とする生物の選択です.

余りに小さいウミグモに目を凝らしたり...
 

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中山君の対象のコガモガイの説明を受けたり.
 

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生物のあとは,白衣装着
 

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ゴム手袋装着
 

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ピペットマンやチューブ使い方など,基礎をみっちり学んでもらいました


海産無脊椎動物分子系統学実習②

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「海産無脊椎動物系統学実習」が始まりました
 

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関西圏の大学から,
 

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関東圏の大学まで.
 

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中には見た顔も

リピーターがいるのはうれしいことです
 

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なんと,東京大学の教授も参加されました

地学ベースの先生ですが,研究上,分子系統解析の技術も必要ということで参加を決められたのだとか.

いつまでも新しいスキルを身に着けようという気概,見習いたいものです.
 

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リピーターの学生さんたちと談笑中.

旧交を温めます.
 

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所内見学の後,
 

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朝倉先生の講義です.分子系統を学ぶための基礎について.
 

さあ,春の実習シーズン到来です


海産無脊椎動物分子系統学実習①

 

 

とある冬の昼下がり.
 

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内之浦の河口で一心不乱に石の下をめくる集団が.

公開臨海実習のためのサンプル集めをしているのでした.

今回はカニの採集に来ています.
 

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さすがカニの専門家,真っ先に目当てのカニを見つけました
 

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その後干潟に異動してさらにカニ探し.

ヤビーポンプで巣穴の中の手強い個体を狙う中町君.

巣穴を吸いまくっていると...
 

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こんな風に,「ポロ」っと採れます.
 

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たくさん採れました
 

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実験室に持ち帰って同定&標本作成.
 

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こんな風にして作られた標本は,昨日から始まっている,

海産無脊椎動物分子系統学実習で既に使われています

その様子のレポートはまた後日.