Skip to content

マクロベントス観察 - 2. page

関西学院大学臨海実習

 

先日,鳥取県立博物館の特別シンポジウムでの発表を終えてきました.
 

一般の方々を対象にということで緊張したのですが,

なかなか楽しくクモヒトデの紹介や,自分の研究の紹介ができたのではないかと思っています.
 

他の発表者の方々のお話も非常に興味深いものばかりで,

私自身もすっかり楽しんでしましました.
 

その様子はまたアップいたしますね.
 

まずはこの間終わった関西学院大学の臨海実習のレポートおば.
 

2014年8月22日~26日にかけて開催されました.

八月最後の臨海実習の様子をお送りいたします.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

お昼に学生さんが全員集合しました.24人の大所帯です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

集合当日から磯に出ます
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

南浜で磯観察.高潮時の南浜です.新鮮
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

瀬戸臨海実験所からは大和先生が講師として参加しておられます.

ご専門のカメノテを採集です
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

カメノテが曼脚を広げているのがみられました.

潮が高いときでないとなかなか見られません.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

漂流していた浮きに,同じ蔓脚類のエボシガイがついていました.

陸生のカメノテに比べ,はるかに成長スピードが速いのだとか.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

北浜からの道のりはおそらく海の下になってしまうので,

帰りは番所山公園を横断.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

帰所後水族館観察!新装開店後,大活躍の白浜水族館です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

系統樹パネルの前での説明.

関学の講師の内田先生が活発に質問をしていらっしゃいます.
 

生涯現役ですね
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

改修後見やすくなったと評判の小さな生き物の展示.

ここではホシムシやヒモムシ,カイメンなどの普段あまり注目されない生物にスポットが当てられているのです
 

続く.

 

 


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習⑧

京大実習レポートいよいよ大詰め
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この写真を覚えておいででしょうか?
 

自由課題実習です.
 

実はこれまでの実習に他の人たちが取り組んでいる間に,

滋賀県立大の杉本君が,

「潮間帯の岩礁や転石帯において,波や乾燥などの環境要因が,

貝類の分布に及ぼしている影響についての考察」

というテーマに取り組んでいました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

鳥の巣,番所崎など数地点でコドラート・ライントランセクト調査を行い,

干潮時の海岸線から約1m 間隔で潮上帯まで50 cm四方のコドラートをとりました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

得られたデータを解析中.

地点ごとにシャノン・ベイナー多様度指数(H’)や

類似度を算出しています.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

結果発表
 

台風の影響であまりたくさんデータが採れなかったので,

中野先生のコドラート調査のデータもお借りして比較に用いました.
 

分布図を書き,多様度などを地点ごとに比較したところ,

波あたりが強い場所では生物の多様性が高そうだ,

という考察に至りました.
 

そもそも生物学では,どうしても厳密なデータを採るのが難しいため,

たくさんのデータを採り,統計学的に処理することでその傾向を見る,

という手法が多くとられるます(特に生態学のような分野では).
 

台風でデータが得られなかったという原因はありますが,

今回はやや解析だよりになってしまったかもしれません.
 

例えば,分布図を書いてみた時点で,

肉食の捕食者のイボニシやシマレイシガイダマシ(巻貝)の分布と,

被食者のクログチガイ(固着性二枚貝)などの分布に,

ある程度の重なりがみられることがわかりました.
 

これを新たな出発点とし,

干潮時と満潮時での巻貝の挙動の違いや,

実際の捕食行動や捕食数から推測される捕食圧などを地点ごとに調べると,

さらに面白いことがわかったかもしれせん.
 

そして,新たに得られたデータを基に多様度や類似度を検定できれば,

解析をさらに「有意義」なものにできたでしょう.
 

また来年度,新たなチャレンジャーがこの謎を究明してくれることを祈ります
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

実習の最終日は恒例のBBQ大会
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

白浜の海の幸をたっぷりと堪能してもらいながら,

海洋生物談義に花を咲かせ,夜が更けていきましたとさ.
 

IMG_2266

一夜明けて,本当の最終日.

最後に宿舎と実験室の掃除をして,気持ちよく家に帰りましょう

こんなにピカピカにしてくれました!
 

IMG_2277

最後に白浜水族館をバックにパシャリ.
 

皆さんお疲れ様でした


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習⑥

発生実習の次は,干潟にやってまいりました
 

IMG_2139

まずは干潟下流の用水路にて観察.

朝倉先生の説明が終わった後...
 

IMG_2148

わら...
 

IMG_2150

わらわら...
 

IMG_2156

あっという間に岩礁に食らいつくソルジャーたち.

生き物への愛情があふれています.
 

IMG_2178

そしてお次は干潟にやってまいりました.

いい具合に潮が引いて,泥干潟になっています.
 

IMG_2188

なかなかの日照りでした.暑い
 

IMG_2180

 麦わら帽子に長靴,これが磯観察の基本スタイルです.

これに,軍手というオプションを付ける場合もあります.
 

IMG_2204

段々と川の上流に遡っていくと,分布している生物も少しずつ変わっていきます.
 

IMG_2210

ほぼ川のような状態になってきましたが,

それでも下流の干潟で見られたチゴガニなどがみられました.
 

こういった種は生息場所の塩分濃度が一日で劇的に変化するため,

幅広い塩分変化に対する耐性(広塩性)を持っているということです.
 

IMG_2215

またしてもi phoneのパノラマ機能を使ってみました.

天気も恵まれており,ここでもかなりたくさんの種を採集できました.
 

IMG_2221

ドロドロになった長靴を洗っておしまい
 

お疲れ様でした


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習③

真夏の京大は実習まだまだ続きます
 

瀬戸臨海が誇る高速型多機能調査船「ヤンチナ」の係留港にやってまいりました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

設備の説明中.黄緑の鉄枠は「Aフレーム」と呼ばれ,

ドレッジなどの重量物を船上に引き上げるのに大変役にたちます.
 

何度もこれにお世話になっております.
 

台風避難のために湾に多数の船が入り込んでヤンチナが出港不可につき,

本来予定していた畠島渡航は断念と相成りました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

しかしそこは百戦錬磨のSMBLスタッフです

係留物に付着する生物を観察するという代案を繰り出しました
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

船を係留しているロープなどには,驚くほど多数の生物が付着します.
 

ちなみに,これは以前紹介した筑波大学の中野先生が,

平板動物を採集するためのガラス板を入れておいた買い物かごを沈めておいたものです.

海中に入れて1年はんほど経っていますが,かごであった形跡は微塵もみられませんね.
 

ほとんどが海藻,コケムシ,ヒドロ虫,ホヤなどで,ゴカイの棲管なども

この光景の形成に一役買っています.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

タイヤやロープなど,様々な係留物から生き物を採集してもらいました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

採集物の解説中.磯観察ではどうしても動くものばかりに目が行ってしまうのですが,

固着物だけを見るというのも,なかなかどうして面白いものです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

コケムシの群体をモニターに映し出しました.
 

採集当初は虫室に引っ込んでしまっていたのですが,

しばらくすると安心したのか,ほとんどの個虫が元気に顔(触手)を出してくれました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

たくさん採れたシロボヤを解剖してみました.
 

はじめに小さな個体を真っ二つにした際には何がなんだかわからなかったのですが,

複数の個体を捌いているうちにだんだんと構造が分かってきました.
 

体内の鰓の構造,胃の位置,さらには口と肛門と,入水孔と出水孔の位置関係など,

大変興味深く勉強させてもらいました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

観察の合間に水族館を解説.

白浜水族館の誇る無脊椎動物ラインナップをとくとご覧あれ.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

付着生物実習のまとめです.前日に引き続き,様々な生き物が採れました.
 

「動かない」とう一見不利な生活を行いながら,食う,寝る,子孫を残す,などの生活の必須要素を

どのように達成しているのかを考える,良い機会になったのではないでしょうか.
 

続く.

 


京大実習(一部,四部)+公開臨海実習②

京大実習のレポートです
 

最初の実習は付着生物観察です.
 

多くの動物はその名のとおり「動」いて生活しています.
 

ところが,中にはフジツボやイソギンチャクのように,「動かない」という生活を選択したものがいます.

それらの付着生物にターゲットを絞り,その生態的な意義を考察してもらうのが目的です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

講師は大和先生.

調査地の説明中.


 

   OLYMPUS DIGITAL CAMERA

台風の接近に伴い,実験所近くは荒天につき磯観察ができなかったので,

普段は来ない,内湾の鳥の巣という場所に来ました.
 

堤防の向こうが観察地ですが,流石にこの高さは降りられません
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ということで少し離れた階段から歩いて磯に向かいます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

台風の影響はありましたが,まだ雨は降っておらず,

青空も垣間見えました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こんなコンクリートの棒の橋を渡ります.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

田辺湾の景色を説明中.

普段は遠くに望んでいる神島が近くに見られました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

公開臨海実習の自由課題用のコドラート調査中.

このような方形枠を何地点かでとり,その中の生物相を

地点ごとに比較するという伝統的な方法です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

例のごとく,持ち帰った生物を図鑑で同定中.

図鑑の使用方法も,臨海実習の重要な教育事項です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

バットの中で,何やら小さな黒い粒が蠢いています.

こんなものは採っていなかったはずですが...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

黒い粒をモニターに映してみました.
 

なんとこれらは,ゾエア幼生と呼ばれるカニの赤ちゃんでした
 

お母さんガニはお腹に卵を抱えて,孵化するまで育てます.

採集された際の刺激で,ゾエア幼生が孵化してしまったのかもしれません.

(もちろん自然に孵化した可能性もあります)
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

む,このコンビは.

TAの小泉君と,3月の実習に来ていた大塚くんの感動の再会です.

詳しくは3月の実習報告をご覧下さい.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Nahraさんも磯の生物に興味津津

タンタ大学では軟体動物の生物学を専攻していらっしゃるそうです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

イソギンチャクが,槍糸と呼ばれる防御用の刺胞を備えた糸を出していたので,

河村博士がモニターに映し出して解説中です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

指示棒で指しているのが刺胞細胞ですね.

さすが防御用ということで,長い刺胞が発射されている様子が観察できました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

最後に,採集された生き物を黒板に書き出しました.
 

なんとその数60種!
 

これは生物が豊富な畠島実習での採集数に迫ります.

学生のみなさんの採集努力の賜物ですね.
 

次は,漁港などの係留物に付着した生物を観察しに行きます
 

続く.

 


大阪市立大学実習⑥

大阪市立大学実習最終レポートです。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 

最終日は,夜中まで研究発表会でした。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

スベスベマンジュウガニに関するお話.

一部の足を切り外し,機能形態学的な話をしてもらいました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

学生,教員関係ありません.

全員が,各々興味を持った生物についての発表を行いました.

橘先生の,ヒメヒラアワビなどの軟体部が露出する貝類の刺激反応に対するお話.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらは後藤先生による,巻貝類の歯舌のお話.

カサガイの齒舌が本当に体長の何倍も長いのか?

そしてヒザラガイの齒舌は本当に磁性があるのか?

というお話を,見事に完結に短時間でまとめてくださいました。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

川村博士の,シマレイシガイダマシの同定と生態学に関するお話.

ご自身のこれませのシマレイシガイダマシの他種との分類の問題点と,

食性などの生態について,見事にまとめてくださいました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

私も発表を行いました.

番所崎に生息する星虫類の分類学的研究です.
 

白浜周辺の礫石間を探るとたくさんの星口動物が採集できるのですが,

実は実はそれらをよく観察すると,少なくとも三種がいることがわかりました.
 

そのうちの一種が,現在の図鑑的な文献では同定できないことがわかりました.
 

タテホシムシ科だと思うのですが,吻部の鉤列が50以上あるので種が同定できませんでした.
 

ご意見を伺ええる方は是非ともご一報を。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こんな感じで深夜まで研究発表が行われました.
 

最終的に私自身は大変楽しめ,またみなさんとてもいい笑顔で実習を終えられましたが,

それがランナーズハイ的な笑顔でないことをを祈るばかりです(笑)
 
 

最終日は,みなさんの清掃により,

大変気持ちよく実習を終えることができました.
 

みなさんお疲れ様でした。


大阪市立大学実習⑤

 国際学会@ポーツマスが終わりました。
 

IMG_1573 (コピー)

発表も済ませてきました.
 

なんやかんやしているうちに発表の日が来てしまったのですが,

なんとか無事に発表を終えられてほっとしています.
 

学会の様子についてはまた後日。
 

その前にこのレポートを終えなくては。
 

大阪市立大学の実習レポートです。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

久保田先生の系統分類学の講義の続きです.

白浜水族館は海産無脊椎動物の展示が充実しており,

海の生き物の多様性を学びやすい構造になっています.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

また,各水槽は分類群(主に門や綱)ごとに分けられ,

それぞれに設けられたトピック的な解説を読んでもらうだけで,

楽しく生き物の分類を知ってもらえます.
 

引率の後藤先生や橘先生も含め,皆勉強熱心になっていました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さてさて,生き物の基本構造が頭に入ったところで,

再び番所崎で磯観察です!
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

柔らかいホネナシサンゴなどもタイドプールで見られました.
 

これは,ヤギなどとは異なる六放サンゴの仲間です.

ですが,いわゆるソフトコーラルとは呼ばないのだとか.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

番所崎一周中.前回はいかなかった北側をグルっと回ってくると...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

なんとホンダワラ(Sargassum)が大量に打ち上がっていました。

普段は穏やかな砂浜ですが,足の踏み場もないとはこのことです!
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

どこまでが砂浜でどこまでが水やら...

うっかりすると長靴が水没しそうでした。

夏の到来が感じられる出来事でした.
 

続く.

 


大阪市立大学実習④

 大阪市立大学の実習もいよいよ佳境です。

生理学実習の次は,系統分類学実習です.

講師は瀬戸臨海の久保田先生。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

動物門の説明中.我々研究員が整理した標本が使われております。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

浜に打ち上がっていたヤギ(硬い骨格のない柔らかいサンゴ)の説明.

台風八号の影響で,普段はなかなかうち上がらない生き物が見られたそうです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

と,盗撮者が!?
 
 
 
 
 
 

...というわけではもちろんありません.
 

ドイツから来ていた久保田先生の取材チームが実習に同行していました.

ベニクラゲに関する記事でしょうか.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

南浜での磯採集の様子.

みんなで力を合わせて石の裏の生物を探します。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

誰かが踏んだようですね.タツナミガイを。

姿は見えねど,体液が見えています。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

なんと,カツオノエボシが打ち上がっていたそうです。

こいつの触手(この写真では水中に隠れて見えませんが)は強力な毒があるのでご注意を.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

カツオノエボシの刺胞の観察中.
 

種類にもよるのですが,触手を薄い酸(食酢くらい)に晒すと,

刺胞を発射してくれます.
 

右下のポコポコした黒い部分が触手で,

毛のようにピュっと伸びたのが刺胞です.
 

この刺胞の長さと,刺胞に含まれる毒の量で,

人間に対する害の度合いが決まってくるんだとか.
 

カツオノエボシの刺胞は非常に長く,刺す気が伝わってきます.

みなさんは触らないようにしましょうね!
 

くわばらくわばら...
 

続く.

 

 

 


奈良教育大学実習②

 奈良教育大学実習レポートです。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

一度で船に乗りきらない人数なので,

後発隊は船着場でなく,近くの岸壁から乗船です.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

いつもの分室で説明がされている間に...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

河村博士が分室入口の掃除をしていました.
 

このような実験所所員の努力によって,

清潔に保たれているのですね.

※撮影後,私も手伝いました.
 
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

講義のあとは,磯観察開始。

そしてタイドプールにウミシダ発見。

オオウミシダのようです.
 

黒色で,時折潮間帯でもみられる種だそうです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

黒く濁ったタイドプールを発見。
 

中にタコがいるに違いないと,タコ採り名人の石田先生(奈良教大)がチャレンジをしましたが,

意外に穴が深く,残念ながら採れませんでした.
 

穴の中のタコを引っ張るのではなく,奥の方にぐいぐい押し込む力を与えてやると,

嫌がって出てくるそうです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

デローンと転がったニセクロナマコたち.
 

畠島の北西の方には,このようなナマコゾーンが広がっています.

要因不明ですが,彼らにとっては住み心地のよい環境のようです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

大阪教育大学の実習の時にも見つかった亀の死体がまだ残っていました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

おや,まさか...?
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

なんと辻野先生(奈良教大)が持ち帰るそうです。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

無事に岸壁に帰着.

この後奈良まで持ち帰ったようです.
 

辻野先生は,シカやサルなどの哺乳類と樹木のかかわりや,

人と自然のかかわりなどを研究されています.
 

自然が作り上げた脊椎動物の骨格標本に,思わず食指が動いたのでしょう.
 

ウミガメが今後の研究に生かされるとよいですね。
 

続く


大阪教育大学実習②

大教大実習レポート第二弾です。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

畠島から持ち帰った生物を,例のごとく分類群ごとに仕分けして,同定を行います.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

図鑑と照らし合わせながらあーだこーだと悩みます.

例えば貝類の場合,アクキガイ科などの難しい種類を同定する場合は,

一種に一時間以上かかる場合もあります.
 

このような同定の苦労を経て,生物の多様性を直に感じてもらうことが,

この分類の実習の醍醐味ではないでしょうか.
 

少なくとも瀬戸臨海で開催されるすべての大学の実習では,

必ずこの分類の実習が行われます.

各大学で分類の重要性が理解され,今後も続けていってもらえるといいなー

なんて,密かに期待していたりします.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

真剣にスケッチ中。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

おや,こちらに気づいて...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

良い笑顔です。

最近気づいたのですが,事前に

「この写真はブログに載せる可能性があります」

と宣言したほうが,学生の皆さんのポージングが良い気がします.

みんな誰でも心にアイドル性を秘めているのですね.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

全部でこれだけの生き物が得られました。

今回の参加学生は8名とやや少なかったのですが,

それでも数時間でこれだけの生物が観察できるのは,

畠島の生物相の豊かさを物語っていますね.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

担当した分類群の説明中.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

河村博士の刺胞動物の説明.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして宮崎先生の総括の説明.
 

遊び心も織り交ぜつつ,実習は進んでいきました。
 

続く.


大阪教育大学実習①

2014年6月24日~6/28日にかけて,

大阪教育大学の臨海実習が行われました。

例によってその様子をレポートします。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

大阪教育大学教育学部の生田准教授です.
 

生田先生は宮崎先生の筑波大学時代の後輩にあたり,

甲殻類を主な研究材料として,形態・発生学的な研究をすすめておられます.
 

ウェブサイトはコチラ
 

珍しい生き物がお好きで,珍奇生物に興奮してしまう私としては,

親近感を覚えてしまいます.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この実習でも畠島へ渡ります.

畠島頻度が高くなってくすると,いよいよ実習シーズンが始まったなという感じです。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

畠島から一望できる白浜の様子を開設する宮崎先生.

生田先生とのつながりで,本実習は宮崎先生が担当されています.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

帯状分布の説明.磯観察の基本ですね。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

いつも人気のタツナミガイさん Delabella auricularia
 
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 ガンガゼDiadema setosum発見
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして横にはアオスジガンガゼDiadema savignyi

本種は肛門の周りに青い筋があることでガンガゼと区別できたのですが,

うまく写真が撮れていませんでした.なんたるイージーミス。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ウミガメの死骸.アオウミガメだそうですが,

実はこのウミガメ,二か月前からここにいました.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ケハダヒザラガイAcanthochiton defippi
 
 

多板綱という軟体動物門の一群ですが,必ず八枚の殻を持つグループです.

(化石種では七枚のやつがいるらしい)
 

以前はその八枚の板が繰り返し構造とみられ,

環形動物や節足動物との類縁性を疑われた時期もありましたが,

現在ではなんの関係もないということが分かっています.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

小丸島付近の転石をひっくり返すと,必ずこいつがいます.
 

でろーーんと長く伸びたムラサキクルマナマコPolycheira fusca

無足類と呼ばれる,管足(体表面のぶつぶつ)がないタイプのナマコです.
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こちらは,ニセクロナマコHolothuria leucospilotaを片手に,ナイスポージング。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 さすが甲殻類研究者の生田先生.

怒らせると怖いベニツケガニを見つけたと思ったら...
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

なんとそのおなかにフクロムシがついているではありませんか。
 

しかも二個体同時。

※あまり詳しい説明はありませんが,フクロムシについてはコチラ
 
 

フクロムシがどこにいるかわからない
 

という方のために
 

特別にイラストレーションします。
 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これでおわかりいただけるでしょう。

しかし同じ甲殻類でもこんなに形が変わるんですね.
 

実際に目の当たりにすると,生物の適応力の底知れなさを感じます.
 

続く.

 


奈良女子大学実習④

奈良女子大学実習レポートです。

タイドプール相の比較調査の結果を,班ごとに発表していきます.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

画用紙に手書きのタイドプールのスケッチを描き,

それを元に説明してきます.

生物のスケッチの意義について,よく

「スケッチするために観察するのでなく,観察するためにスケッチする」

と説かれます.タイドプールでも同じことが言えるのかもしれません.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

みなさん,大変よく説明できており,

質問も活発に投げかけられ,大変アカデミックな雰囲気でした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて,お次は畠島でのマクロベントス観察です.

遊佐先生の合図でGO。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

みんなでお弁当を持ち込んで乗船.

渡し橋から落ちないようにね!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

出港してすぐ,水クラゲの大群が出迎えてくれました.

この時期はクラゲ相の変化によって,季節の移り変わりが感じられます.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

畠島には様々な底質環境がみられます.

岩礁でのZonationの説明や,生物の乾燥耐性についてのお話.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

アマモ場の重要性と,そこに生息する生物群の解説,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

砂場をよーーーく見ると,タツナミガイDolabella auriculariaが。

見事にゴカイの巣穴に擬態しているように見えます.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

うわー!だれか間違えてタツナミガイをふんじゃったようです.

紫色の汁を出してしまい,スプラッタ状態に。

※タツナミガイはこれくらいでは死にません.

  OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「みんなまってー!!」

畠島はそこらのアドベンチャー施設には負けないくらい広く,

細かく見ようと思ったら一日では回り切れません。

引率の先生,お疲れ様でした.

続く.


2014年和歌山大学実習⑦

四双島でウミシダが採れたので!

ウミシダの標本作製についてお話しましょう!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

まず,クモヒトデと同様,まずは容器に入れて写真撮影です.

しかし,麻酔はご法度です.

実はウミシダでは塩化マグネシウム溶液による麻酔ができません.

無理に麻酔液に漬けると,苦しんで腕がバラバラになってしまいます.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

撮影が終わったら,クモヒトデの時と同じように,別の容器にエタノールを入れます.

写真の様子は灯油の配注ではありません.

一斗缶にエタノールが入っていて,灯油ポンプで取り出しているのです.

私の知る限り,大体の科学者が灯油ポンプでエタノールを扱っています.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そしておもむろにウミシダを隣におきまして...

プレゼンテーション1

えい.

とひっくり返してエタノールに漬けます.

この時,しばらく上から軽く抑えてやるのがポイントです.

腕が平面上に固定され,あとで観察のしやすい良い標本になります.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そっ…と手をのけてやると

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ウミシダ標本の完成です!

あとはクモヒトデと同様,ビニールパックに入れるなりして研究室に持ち帰り,

瓶などに入れ替えます.

ちなみに,オレンジ色のモヤモヤはエタノールに体色の構成要素が溶け出したものです.

固定後は色が変わってしまうので,その前に写真を撮っておく必要があります.

続く


2014年和歌山大学実習⑥

 四双島で見られた生物シリーズ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

まずはこちらの岩の隙間をよーくご覧ください.

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

岩の隙間にウメボシイソギンチャク Actinia equinaの集団です。

実験所周辺ではブロックなどの隙間の奥にしか分布していないため,

こんな風に簡単には観察できません.

しかし色といい形といい,梅干の名を関するにふさわしいですね.

ただ,種小名は「馬のたてがみの」とかいう意味のようです.

絶対梅干のほうがいいと思うなあ.

   OLYMPUS DIGITAL CAMERA

四双島の醍醐味はタイドプールにありました.

何気ない態度プールのように見えますが...

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こんな風にイボヤギTubastraea coccineaやトゲトサカDendronephtyaがいたり.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これもイボヤギでしょうか?

無藻性のサンゴと思いますが,なんだか緑色です.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ハナヤサイサンゴ?がいたり。

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さらにはなんと,ムチヤギがいたり。

普通は波あたりが強い場所や日光が当たらない場所,

やや深い場所にいるはずの生き物がごろごろみられました.

熱い!

これはまた徒党を組んで調査に来なくてはなりません。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こんな風に,クシクラゲもプカプカ浮いていました!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして島の外洋性を示すこちらのウニたち.

(ヒメ)クロナガウニEchinometra oblonga(左二個体)と,

ホンナガウニEchinometra mathaei(右一個体)です!

どちらかというと亜熱帯に生息しているウニで,

瀬戸臨海周辺でも見られるのですが,こんなに大きくありません.

黒潮が当たる温暖な四双島では十分に成長できるのかもしれません.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ちなみに,岩の間のクロナガウニを採ってみると,こんなになっていました.

これは別に採集時のダメージでこうなったわけではありません.

おそらく岩に密着していたた部分の外殻が発達しなかったのだと思います.

体の内部の骨格が見えちゃってますが,いいんでしょうか...

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さらにコブヒトデまでいました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 この大きな管足!立派ですねー.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そしてウミシダまでタイドプールに。 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

え!!ウツボまで!!?

・・・と思ったら,釣り人の釣果でした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

軟体動物も多様でした.こちらはメクラガイDiloma suavis

海藻にたくさんが付いてました.

ずいぶん派手な色をしていて,岩陰などにはかくれないそうです

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

THE アメフラシAplysia kurodai 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

クロシタナシウミウシDendrodoris arborescens

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

コチラはメリベウミウシMelibe papillosaです.

この方の採餌法は変わっておりまして.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

体の前方(左側)の口をカッと広げて・・・

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ガバッと投網を投げるかの如く,目の前の海底を覆います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そしてゆっくりと口をすぼめて,小さな甲殻類などを食べちゃうそうです.

もしゃもしゃ.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

みんなでそんなメリベウミウシのお食事を観察.

大変有意義な四双島調査でした!

続く.


2014年和歌山大学実習②

和歌山大の実習で見られた畠島の生き物シリーズ!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その① チゴケムシ Watersipora subovoidea

岩の下の方に,薄らオレンジに見えるコケのようなものが張り付いているのがおわかりいただけますでしょうか?

これはれっきとしたコケムシと呼ばれる動物で,外肛動物門とも呼ばれています.

個虫と呼ばれる,頭の部分に触手の環を持つ小さな生き物が,

サンゴなどと同じように群体を形成しています.

詳しい形態の話などは,知り合いのコケムシ研究者さんのウェブサイトで勉強できますよ!コチラ↓

https://sites.google.com/site/kokemushiweb/

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その② アオウミウシ Hypselodoris festiva

春はウミウシの季節ですね.このように目につく鮮やかなものから,

擬態しているのか,じっと海藻を見ていてやっと見つかるようなものまで,

様々な種がみられました.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その③ ウミヒルモ Halophia ovalis

海藻ではありません.海に適応した種子植物です.

畠島では汚染が進んだ1970-80年代に消滅してしまったという記録がありますが,

海の浄化がすすんできた近年になってまたみられるようになりました.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その④ モミジガイの仲間たち.

「カイ」といっても貝ではありません.写真からお分かりいただける通り,れっきとしたヒトデです.

いつもは砂の中に潜っていますが,潮が引くと,苦しいのか砂から出てくるので,簡単に捕まえられます.

この中にはおそらくトゲモミジガイとモミジガイが混ざっていますが,見分けがつきますか?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その⑤ ウミガメとその⑥ ハリセンボンの死骸!

外湾に面したこの島には,いろんなものが流れ着くのですね.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今原先生が何かを見つけられました!

  OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その⑦ コマイハナゴケ Cervera komaii

です!ヤギやウミトサカに代表される八放サンゴはあまり浅いところには見られませんが,

こんな潮間帯にみられる八放サンゴもいるのですね!

この赤いポツポツの一つ一つがポリプで,観察していると,

八放サンゴに特徴的な羽状の触手が観察できました!

ちなみに種小名の「komaii」

は,瀬戸臨海実験所の初代所長の駒井卓先生に献名されたものです.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その⑧ これは,,,なんでしょう?

海中から突っ立ている棒状の物体.

ツバサゴカイの棲管でしょうか?それにしては長いような,,,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

浜辺で赤潮が観察されました.

その⑨ 夜光虫Noctiluca scintillans(渦鞭毛藻)

が大量発生していたようです.

この水の中にはすさまじい数の夜光虫が顕微鏡で観察できます.

こんな日に夜の海岸に出ると,波の動きに刺激された夜光虫が光ってとてもきれいですよ.

続く.


2014年龍谷大学実習③

4月の龍谷大学の実習のレポートです。

前回までのお話はこちら

畠島で採集した生物の鑑定からスタートです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

バケツに採集してきた生き物を,机の上で白いプラスチックの「バット」にあけていきます.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

タツナミガイ,ニセクロナマコ,イソナマコ...

ここは長虫状のものを集めていますねえ...



...おや?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こ,これは!


ユムシじゃないですか

ゴカイやミミズなどの環形動物に似た生き物ですが,体節がなく,別の動物門と考えられている生き物です。

(最近はDNA解析の結果から,環形動物門の仲間と考えられつつあります)

特に特徴的なのが頭から伸びたスプーン状の吻で,

種類によってはこれが何メートルもの長さになります.

地面の下などに穴を掘って隠れ住むためなかなかお目にかかることのない動物ですが,

転石の下に何気なくいたそうです.

学生は「ミドリユムシ」と同定していましたが,

分類が進んでいないため,同定の真偽は専門家に聞いてみないとわかりません.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

図鑑を片手に悩む学生アリ.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

いつて海胆の同定を助けてやりました,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

瓶についた奇妙なコブあり.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

なんとカニが絡まっているやうだ。

瓶から出ようとしてもがいているうちに こうなってしまったのでしょうか。

この後,やさしくほどいて逃がしてやりました.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そしておなじみナマコの解剖です.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今回は(も)ニセクロナマコの解剖でした.

ナマコはかなり内臓がしっかり見えて,

結構グ○なのですが,意外に多くの学生が興味を持っていました.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

面白生物解析シリーズ,お次は千徳博士の「単体サンゴ」の解説。

群体性ばかりと思われがちなサンゴですが,実は単体で生き抜くたくましいサンゴもいるのです.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

珍しい生き物に,みなさん興味津々です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こうして楽しく鑑定は続いていくのでした。

続く.

 


UMISAWA2その⑧

深海を攻めた後は浅海を攻めるしかないでしょう。

ということで,干潟に来ました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 

ここでは泉君が,イソギンチャクを狙いました.

何のイソギンチャクかは後のお楽しみ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こういう干潟のドロドロの中に埋もれて暮らしているイソギンチャクだそうです.

まずは泥をとり,網でふるえば採れることがあるそうです.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

おや!採れましたか!?

・・・残念,ホヤだったようです.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

同行していた千徳博士が,カニに手袋を挟まれていました。

この後,泉君は二時間ほど作業を続けましたが,残念ながら獲物は現れなかったそうです.

しかしそれだけに,採集できた時の喜びがひとしおになるのでしょう.

戦い続けたソルジャーにだけ,うみさわの女神は微笑むのです.



そして,好例の発表会もいよいよ最後です。

毎晩ほぼ夜12時オーバーというスケジュールでしたが,

みなさん大変面白い発表ばかりだったので楽しい時間を過ごすことができました。

中でも最終日は一味違っていました.

東大が生んだ鬼才,泉氏の落語からはじまったのです. 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「うみさわっす!」の軽快な一言からスタートです.

前口上中に,観客が食べていたそばを見て,とっさに思いついた題目は,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「時そば」です。

以下,Wikipediaより転載

—————-

そばの勘定を巡るごまかしを目撃した男が、それにえらく感心して、

自分も真似して同じことをしようというスリリングかつ滑稽な話である。

本編に入る前の枕の部分で、江戸時代のそばについてあらかじめ解説しておく場合が多い。
そばを食べる場面において麺を勢い良くすする音を

実際と同じように表現することが本作の醍醐味であり、

一番の見せ場であるとよく言われる。

—————-


数ある古典落語の中でもポピュラーな題目らしく,

「そばを食べる音」の再現が注目らしいのですが,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

超リアルでした.

いや本当に.

話のテンポ,声の張りなど,どこをとっても,

大変素晴らしい出来の落語でした.

ありがとうございました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして興奮冷めやらぬまま研究発表へ.

これが彼の研究対象の

「ムシモドキギンチャク」だそうです.

残念ながら今回は見つけられませんでしたが,

既に卒業絵研究での成果を,論文にできつつあるそうです.

素晴らしいですね.身が引き締まる思いです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

私も続いて発表しました.

この間少しだけ世間を騒がせた,「クラウドファンディング」 に関する発表でした.

うみさわメンバーも何人か興味をもったようでした.

もうみんなやっちゃいましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

その後も,琵琶湖博物館の太田さんによる

ウミクワガタ(昆虫ではありません.れっきとした「甲殻類」です)

の採集に関する発表や,

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

東京大学海洋研究所の広瀬さんの

コケムシ(コケではありません,コケムシ動物門という,れっきとした動物です)

に関する系統分類や発生,生態に関する発表がありました.

いずれの研究も,研究対象に対する「愛」がひしひしと伝わってくる内容で,

「金」の話をしたわが身を少し恥じました。

やっぱり,研究に必要なものは,「愛」ですね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて,この日はなんと参加者の一人,

大阪市立大学の竹本さんの誕生日でした!

憧れの千徳博士にプレゼントをもらい,

満面の笑みを浮かべています。

うみさわですね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて最終盤,

売り子と化した凌君もところせましと食堂を駆け回ります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

大トリは,琉球大学の吉田さん.

フクロムシという,一風変わった動物の発表をしてくださいました.

カニなどの腹に寄生する動物で,見た目はその名の通り,「フクロ」にしかみえないのですが,

実は体制が退化したフジツボなどの「節足動物」の仲間だそうです.

この不思議な生物の系統分類学的な研究について,

うみさわのトリを飾るにふさわしい,

美彩なスライドで発表してくださいました.

天晴。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ということで!!





うみさわおひらき 





OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ありがとうございました

続く?


UMISAWA2その⑦

ドレッジ二日目。

天気があまりよろしくないということで,田辺湾内(波が穏やか)でドレッジを行いました.

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

波がないので余裕です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

先日は細かい作業ができなくてカメラ係だったので,

今日は最前線で働きました。

(ドレッジをつまんでいるだけに見えていますが,ちゃんと仕事しています)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

湾内の底質は大体ドロドロです.

この中には,いったいどんな貴重生物が!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて,陸に帰ってからが本番です。

まずは細かいものを見る班が,泥と水を混ぜて撹拌し,

うちのメイオベントス実習でも行う方法などで生き物を回収です。

この手法で,ほとんど目に見えない,体調1/10 mmよりもさらに小さい生き物

(クマムシや動吻動物,微小甲殻類など)が採集できます。



 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そして,残った基質を再び水で撹拌し,

上澄みを目の細かい網(数十マイクロ)でこします。

上記の手法よりも少し大きな

(と言っても体長はµm~mm単位)微小甲殻類などを採ります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 そして,網に残った基質を,

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今度はもっと目の粗い網(1 mm程度)で越すのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そうして,体長1 mm以下の小さな生き物がこされ,

それよりも大きな生き物や砂がこのように残ります.

今度は,この砂の中から生き物をピックアップです.

白浜沖の生き物を,余すところなく採集です。

つづく


2014年龍谷大学実習②

 龍谷大学実習レポート第二弾です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

磯観察に向かう前に、河村研究員による危険生物の説明。

アンボイナ(巻貝)、ヒョウモンダコ、イラモ(刺胞動物)、ガンガゼ(ウニの仲間)

など、白浜の海には危険生物がみられることがあります。

事前にこのような生物を実際に見ておくことは非常に重要です。

瀬戸臨海ではこのような生物の標本を集めており、

実習中に実際の姿を見せしながら説明をしています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

千徳博士が持ってきた、

大阪市立自然史博物館の「帯状分布手ぬぐい」です。

生物は水深ごとに生息場所を棲み分けている場合が多いため、

磯での生物相の概観が水平な帯状に見えることを

「帯状分布」といいます。それをカラフルに、見事に表した傑作手ぬぐいです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

京大所有の無人島「畠島」に到着です。

上陸前の撮影タイム。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

畠島の分室に古くからある黒板を使っての生物相の説明。

買い取りから現在までの生物相の変遷を説明できる貴重な記録が残された黒板です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

河村研究員による帯状分布の説明。

固着性の貝が生えているゾーン、

海藻が生えているゾーンなどが見て取れます。

特に潮間帯では潮の満ち引きによって、

水面からの高さごとの環境が激変するので、

帯状分布が顕著にみられます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

転石下の生物観察。

潮が満ちているときは、水に浸かってしまう一帯です。

干出しているときは、転石下でじっと乾燥に耐えている生物たちが観察できます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

畠島での昼食。

青空で食べる弁当の美味しいこと。

うまくタイミングが合えば、このような経験ができるのも、瀬戸臨海での実習の醍醐味です。


UMISAWA2その②

UMISAWA2調査初日は天候に恵まれ,無事にドレッジに成功しました。

※若干の酔いはありましたが...

IMG_9215

ドレッジ採集での様子は後日まとめて記事にするとして,

サンプル処理の様子です.

底引き網採集では生物といろんな基質が混獲されます.

その中から生物を選り分ける方法が,対象生物のサイズごとに異なるのです.

今回は各専門家たちが様々な方法でサンプルのより分けを行いました。

IMG_9220

おもしろ生物その一.

ケヤリムシ.

ソーティング中にふと気づいたら頭を出してました.

エキセントリックな配色に思わずパシャリ.

IMG_9208

クモヒトデも採れました。

こちらはチビクモヒトデ科の仲間で,

このように岩やカイメンなどの隙間に潜り込む生物です.

IMG_9213

外人の真似をしながらサンプル処理するの図.

常に国際的な感覚を忘れないUMISAWA会.

まだまだ続きます。


海産無脊椎動物多様性実習⑥

もちろん今回の実習でも畠島に上陸しました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

人数が多いので、2班にわけて乗船しました。

一般は船着場ではなく、別の岸壁で待機中。

ちなみにパーフェクト凪。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

鏡のような水面を切り裂いてやってきた我らがヤンチナ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

毎度おなじみ、上陸後の畠島分室でのレクチャー。

ここで事前講義を受けているのとそうでないのとでは、畠島の楽しみ方が数倍違います。(当社比)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

いざ磯観察へ。

先に上陸した班が遠くに見えます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「うおりゃーーー!!」

岩の下には、自分では動くことの出来ないレア生物が隠れ住んでいることが多いのです。

ひっくり返した岩はもとに戻しましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

持ち帰った生物の仕分け。

いくつかウニが採れていますが、何種類でしょう?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

こ、これはいけません!

弱ったニセクロナマコ(Holothuria leucospilota)が内蔵を…。

衝撃映像なのでモザイクをかけておきます。

是非とも直接見たいという猛者は、公開臨海実習に参加してみましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ナマコの骨片の観察中。

ナマコは一見ブヨブヨしていて形質が少なく、分類が難しいのですが、

体表に埋め込まれている小さな骨片の形が種ごとに違っており、

この形の違いで種が分けられています。

今回は皮の一部をキッチンハイターに浸して、

骨片を取り出して観察しました。

ちなみに、ナマコもウニも同じ棘皮動物で非常に近縁なのですが、

このような骨片を観察すると、ウニもナマコもカルシウムの骨片で体が作られているのが理解できます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今回畠島からはこれだけの生物が得られました。

湾内の外洋と内湾の水が入り混じる場所に位置している畠島は、

「奇跡の島」と称されているそうです。

1968年に京都大学瀬戸臨海実験所に買い取られてから、

百年計画でその生物相のモニタリングが行われており、

現在でも所員によって五年に一度、全島調査が行われています。

こんな奇跡の島で実習ができるのは、日本広しといえでも瀬戸臨海実験所だけです。

みなさんこぞって公開臨海実習に申込みましょう!

続く