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分類形質

てづるもづるについて~クモヒトデの体の仕組み②~

クモヒトデの体の仕組みがどうしても知りたいあなたへ,

クモヒトデの形態解説第二弾です
 

前回と同じミツイタクモヒトデをみながらその体の仕組みを理解しましょう.

IMG_4852

こちらは体の口側.盤の真ん中には口があります.
 

Oraldisc3

鱗しかなかった反口側と違い,口側はやや複雑.
 

 五つの腕の延長線上の交差点に口があり,

様々な形の骨片が組み合わ去っているためです.
 

まず,口の入口部分は五つの顎に囲まれており,

その先端に生える歯で口を通る餌を咀嚼します.
 

この画像では全貌が見えませんが,歯は歯板という板状の骨片に間接しており,

歯版は口板という骨片に支えられています.

口板の外側には側口板が配置し.

対になった側口板の間には口楯という板状の骨片があります.

多くの種ではこの口楯の一つが巨大化し,多孔体の役割を果たします.
 

というように,口の周りを構成する骨が複雑に配置しています.

また,顎のスリット部分の最も口側には,

口棘と呼ばれる,歯に似た骨片が並んでいます.
 

また,間輻部と呼ばれる盤の口側の腕と腕の間には,生殖裂孔があります.

この生殖裂孔の縁に生じる突起は生殖棘です.
 

後にも述べたいと思いますが,

口の中から腕の先端までは触手の列が伸びており,

多くの種はこの触手伝いで,食物を口に運んでいると思われます.
 

このような歯,口棘,歯板,口板,側口板,口楯,

生殖裂孔,生殖棘などの形,数,大きさなどが分類形質になるのですが,

これらは,比較的高次(属や科)の分類に

使われていると思います.

(はっきりと検討したわけではありません).
 

一目には似たような形のクモヒトデですが,

顕微鏡レベルでは様々な形の違いが見て取れます.


てづるもづるについて~クモヒトデの体の仕組み①~

突然ですがクモヒトデの体の仕組みを解説いたします.
 

IMG_4851
ミツイタクモヒトデOphionereis prorrectaの反口側.

以前,ちょろっとだけ触れましたが,多くのクモヒトデは,

体の真ん中の「盤」という部分と「腕」が,見た目で明瞭に分けられます.

(実質的なヒトデとの違いは,歩帯溝がないことです)
 

クモヒトデの体はいろんな形の骨片に覆われており,

その形状が分類に使われています.

今回は,盤の形状についてご紹介します.
 

Aboral disc
上記個体の反口側の盤の拡大画像.

じゃーん,こちらが,盤の反口(背)側です.

基本的に,クモヒトデの盤は,「盤鱗」と呼ばれる鱗に覆われています.

この鱗も様々な形があり,盤のど真ん中のものひときわ大きく「中背板」と呼ばれ,

その周りに配置している5つの比較的大きなものは「下址板」と呼ばれます.
 

これらは合わせて「第一次板」と呼ばれ,他の盤鱗と区別されます.
 

また,腕の付け根部分には,輻楯(ふくじゅん)と呼ばれる対の鱗があり,

この形や大きさは多くの種で重要な分類形質となっています.
 

勿論,鱗だけでなく棘や皮に覆われたり,第一次板のような鱗の区別がないもの,

輻楯が他の骨片などに覆われて見えないものがいたりと,種によって形質状態は様々ですが,

これらの特徴は昔も今も重要な形質として使われていることは間違いありません.